昨日は赤城様、加賀さんに食事を振舞って貰った。
2年前、頂いた懐かしのおでん。
とても美味しかった。
そのまま赤城様から梅酒を頂いて満足して部屋に戻り眠ったのだが……。
「おはようございます、イサムさん」
「……はぃ?」
休みなので目覚ましを切るという贅沢を堪能しようとしたら7時に起こされた。
誰だ……?
眠気眼で辺りを見回すと……。
銀髪のメイドさんの距離長めの谷間が目の前にありました。
「ッ!!!?!?!?」
慌てて枕の下の拳銃を取ろうとして、
「!?」
無い……!?
後方へ転がり落ち、壁に掛けられた制服の中に仕込んだ短刀を……。
「嘘だろ……!?」
しまった、万事休すか……ん?
メイド……?
「……寝起きとは言え、その様な反応をされるというのも些かショックですね」
「ベルファストさん……?」
「はい、お久しぶりです」
にこり、と惚れ惚れする様な笑顔で会釈した。
「わたくしも居るのですけども」
ちょっと拗ねた声音の方を見れば、何故か部屋のど真ん中に設置されたテーブルで誰かが優雅にお茶を嗜んでいた。
「フォーミダブルさん」
「お久しぶりですわ、イサムさん」
「どうしてここに……」
「今日は重桜とロイヤルの会合の日でしたの」
「ああ……あっ」
俺、そんな日の前日に赤城様に迷惑をかけてしまった……?
「……イサムさん?」
「ベルファストさん」
「何でしょう」
「短刀を返していただけますか」
「後悔と自責の念で腹を切るのはちょっと」
「えっ」
―――――――――――
「どうぞ」
「ど、どうも……」
結局、あの後俺もテーブルに招待されてベルファストさんの用意した朝食を頂いた。
……正直、美味い以外に気の利いたボキャブラリーが無くて申し訳なくなってくる。
「喜んでいただけて何よりです」
「ご馳走様でした……」
こんな良い目に遭っていいんだろうか……。
「良いのではなくて?」
「……声、出てますか?」
「いいえ?ですが、イサムさんはもう十分苦しみました……その腕も」
そう言えば、俺を義手の被検体にしたのは。
「わたくしですわ」
「そう、でしたか……」
「その、若干負い目が無かったわけではありません。わたくしが介入したせいで、イサムさんが腕を失う事態に陥った……そう考えてしまったの」
「あの時は、まだ同盟もありませんでした。仕方なかったんです」
「ですが……」
「フォーミダブルさん。貴女はひとつ勘違いをしています」
「勘違い……」
「これは俺の選択の結果です。貴女は何も責任を負う必要はありません」
この無くなった腕は、俺の選択の代償。
誰かが気負う事は無い。
「……貴方は、本当に優しいですね」
「そんな事はありませんよ」
優しい、よく言われるがそんな事は無い。
「俺は……」
「見 つ け ま し た わ!!」
ドガァン!!と誰かが部屋のドアを蹴破った。
「赤城様!?」
「何処に行ったかと思いきや!早くいらしてくださいまし!会議が始まりますわよ!!」
……今更だけど何してんのこの人。
そろそろ話を畳む段階に入らないとなぁ……。