関わってきた人達に、挨拶を。
赤城様にそう告げられ、俺は色んな人たちに声を掛けていた。
「お、イサム!今度飲みに行こうぜ」
「准尉サマ、だろうがよ。へっ、いつの間にか大分先に行かれちまったな」
「どうよどうよ女の園のKAN-SEN部門は」
「お前この前までKAN-SEN恐怖症だったのに調子が良いな」
「あ、あはは……」
久しぶりに輸送班に寄ればこの通り。
最初と比べてまぁフレンドリーな事。
この2年間、色んな人に話しかけられる事が増えた。
半分くらい、俺の実力だと誇っても良いんだろうか。
「……いや、違う」
俺の実力何てたかが知れている。
全部、隼鷹が背中を押してくれたからだ。
「隼鷹……」
君は今、何をしているんだ?
「ハァイ、イサム君」
「愛宕さん」
背後から声が掛けられる。
幼い頃から慣れ親しんだ、もう一つの声。
「挨拶回り?」
「はい。赤城様から」
「……そうよね」
愛宕さんが目を伏せる。
「……大丈夫ですよ」
「大丈夫なものですか」
「………………」
「貴方、死ぬかもしれないのよ……?どうしてそんな顔が出来るの」
「……それでも、です」
「頑固なんだから」
「誰のおかげでしょうね」
「隼鷹よ隼鷹。全く……」
愛宕さんが頬を膨らませて腕を組む。
この人たまに可愛い事するんだよなぁ。
「私は、今回は同行出来ないの」
「みたいですね」
「……悔しいけど、アイツに任せるしかないのね」
「アイツ?そう言えば編成はまだ聞いてませんね」
「少なくと一人は知ってるわ……確か」
「イサム様ぁ~~~~~~~~~♡!!!」
……この、砂糖ありったけ追加で詰め込んだM〇X珈琲みたいな声は。
「大鳳さん……」
派手な着物を着崩して長い黒髪を振りまいて手を振って走ってこられた。
「お久しぶりですイサム様ぁ~!大鳳、この日を一日千秋の思いで待ち望んでおりました~」
「え、愛宕さん……突入メンバーの一人が大鳳さん?」
「はい、そうです!大鳳が、イサム様をお守りします!」
「そうだったんですか……よろしくお願いしますね」
「はい!」
大鳳さんは2年前……鉄血への渡航の際、重桜に戻った後各部隊への奉仕……要するに色んな所への無償労働をしていた。
過去に掛けてきた迷惑の清算の為という事で2年間頑張っていたそうな。
「……頼むわよ」
「勿論。絶対、守るわ」
二人の視線がぶつかる。
……そこに、マイナスの感情は無いように思えた。
「イサム様の覚悟、この大鳳には窺い知る事はできませんが……隼鷹に、お会いなさるのですね」
「はい」
「愛宕」
「何よ」
「止めなかったの?」
「止まると思う?」
「……思わないわよ。大鳳の誘惑に靡かなかった人。決心が変わるとも思わないわ」
「ホント、頑固なんだから……」
二人そろってため息を吐かれた。
何でさ……。
この後、まだ用事があると言っていた大鳳さんと別れたのだった。
「……じゃ、行こうか」
「え、あ、はい」