レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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二年ぶりの再会は少し前にやってましたので修整しました。


第七十八話 実は半年ぶりくらいの再会

 

「……樫野さんと何かあったのですか?」

 

赤城様にそんな事を言われてしまった。

 

「……何故でしょうか」

「いえ、妙によそよそしいと言いますか」

 

……敵わないなぁこの人には。

 

「先日、樫野さんに言われまして」

「はぁ」

「……今回の作戦を、辞退しないかと」

「………………」

 

赤城様が黙ってしまわれた。

まぁそうだよな……。

 

「……実を言うと私も貴方の作戦参加には反対したいと思っておりました」

「えっ」

 

……嘘だろ?

 

「生還率の低い、危険な作戦です。仮に隼鷹まで辿り着けたとして……果たして変わり果てた彼女に、言葉は届くのでしょうか」

「ちょっと、待って下さい」

 

思わず静止してしまった。

変わり果てた?

何を言っているんだ?

 

「隼鷹が、変わった?」

「……そうでした。貴方はあの時……」

「隼鷹は隼鷹です。何も変わっていません」

「……私たちが到着した際、彼女は私たちにも攻撃を加えました」

「え……」

「まるで、貴方が目覚めるまで守るかのように」

 

そんな……。

 

「危険、か……」

 

そんなもの。

 

「そんなもの、百も承知です。だから遺書だって提出しました」

「……そうですか」

「ええ」

「はぁ……全く、頑固なんですから」

 

赤城様が深いため息を吐く。

 

「ええ、ええ。分かっていましたとも……」

 

ですが、と一言置いて。

 

「ちゃんと、樫野さんと話して解消しておく様に」

「分かりました」

「何かあってからでは遅いのですから」

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

樫野さんを探すけども見つからない。

何処に行ったんだろうか。

 

「………………」

 

でも、会ってなんと言えば良いのだろうか。

俺の意志は変わらないし……でも納得してもらえるとは思えない。

 

「はぁ……」

 

ままならない。

 

うんうんと悩みながら歩いていると、

 

「……イサム様?」

「うん?」

「間違いない……!イサム様ぁ~~!!!」

 

急に黄色い声が聞こえたと思ったら背後から何かが走ってくる様な気配。

ぞっとしてしまい思わず走ってしまった。

 

「ああ!お待ちになってぇ~~~!!」

「じゃあ追わないでくれええええ!!!!」

 

怖いんだよぉ!!

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

しばらくして。

官舎中を走り回って赤城様に捕まりしこたま叱られた後。

 

「……お久しぶりですね、大鳳さん」

「はい♪」

 

にっこり、と黒髪の美女が微笑んだ。

 

「半年ぶりでしょうか」

「もうそんなに経つんですね。どうでしたか?ボランティアは」

 

諸事情により彼女は長期間の奉仕活動に従事していた。

 

「……ええ、大変でしたわ」

「ははは……まぁ、元気そうですね」

「そう見えます!?」

「ええ」

「イサム様には私はどう見えているのです……?」

「わりといつもハイテンションですね」

「えぇ……?」

 

そう言い合って、ふっとお互い笑った。

 

「……イサム様、変わりましたわ」

「そうかな」

「ええ。明るくなられました」

「そっか」

「……隼鷹の事、聞きました」

 

すっ、と大鳳さんが真面目な顔になる。

 

「そう」

「……行くのですね」

「うん」

「貴方の腕が無くなったのに、それでも」

「行くよ」

「……ふふ、本当に頑固な方なんですから」

「皆に言われたよ」

「覚悟はとうに決まっている、そんな様子ですわね」

「……大鳳さん!何をしているのですか!」

 

大鳳さんと話していると、樫野さんが走って来た。

今日は皆よく走るなぁ……。

 

「樫野。そう言えば貴女イサム様の副官になったって聞いたけど本当だったのね」

「何しに来たんですか貴女は」

「久しぶりに帰ってこれたんですもの。挨拶くらい良いじゃない」

「……本当ですかね」

「ま、まぁまぁ二人とも……」

 

何でこここんなに居づらいんだろう……!

 

「ああ、樫野さん。良かった……あの」

「……ごめんなさい!」

 

えっ。

樫野さんが急に頭を下げた。

 

「イサムさんが覚悟の上だって言うのは知ってるのに……私は」

「良いんですよ」

「でも……」

「それだけ樫野さんが俺の事心配してくれてたって事でしょう。悪い事じゃないです」

「イサムさん……」

「戻りましょう。まだ終わってない仕事がたくさんありますよ」

「はい!」

 

 

 

 

 

「……あれ、もしかして私ダシにされただけ……???」

 

 

 

 

この後二人で赤城様に頭を下げて、仕事を再開した。

 

 

 

 


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