「……あれ、ヒッパー」
「……うぇ?!あ、あぁ……久しぶり」
官舎の廊下を歩いている際。
曲がり角を曲がった瞬間誰かとぶつかりそうになり慌てて止まる。
……その相手は、大鳳さんと同じくらい久しぶりに会う相手だった。
「今日はどうして
「あー……まぁ、その」
「イサム、こんにちは」
「っ、ローンさん」
ヒッパーの後ろからローンさんがやってきた。
何となくそれで察した。
「ビスマルクさん絡み?」
「……そんなとこ。ローンがすぐ居なくなるから」
「うふふ、イサムに会いたくて」
「ビスマルクさん達に迷惑を掛けるようなやり方は良くないですよ」
「はぁ……」
ヒッパ―が盛大にため息を吐いた。
これは鉄血本国で散々振り回されていた様だ。
「イサムも甘いのよ。もっと強く言いなさいっての」
……まぁ、自覚はある。
俺も明確に拒絶しないのも多いに理由ではあると思っている。
でもなぁ……。
「うふふ」
ニコニコしているローンさんに、何故だか強く言えないのだ。
「ふん……それで、聞いたわよ。今度の連合作戦に参加するって」
「耳が早いね」
「たまたまだっての……本気なのね」
「ヒッパ―なら聞かなくても分るでしょう」
「馬鹿」
短く呟かれた。
勿論俺の耳にはしっかり入っている。
「イサムは、どうして連合作戦に参加するのですか?」
「え?ああ……会いたい人が居るんだ」
「会いたい人?」
「……俺の、大事な人ですよ」
「ふん……」
彼女に会って、伝えなきゃいけない。
「それは、命と引き換えにしてでもイサムがやらなきゃいけない事なの?」
「そうですよ」
「それに意味はあるのでしょうか」
「無いかも知れない」
「……よくわかりません」
「諦めなさいローン。そいつは、そう言う奴よ」
ヒッパ―が呆れた様に鼻を鳴らした。
……ローンさんは本当に理解が出来ないって顔してる。
それもそうだろうけど。
「だって、イサムはこんなにボロボロになったのに……死ぬのが怖くないんですか?」
「怖いよ」
言い切る。
でも、
「でも、死ぬより怖いことがあるから」
「死ぬより怖い事……?」
隼鷹とこのまま二度と会えない事。
隼鷹に何も言えないで離れ離れになる事。
「ああ」
俺は、何としても伝えたいんだ。
「……分かりません」
「所詮私たちは人間の感情のまがい物しか無いんだから。本物を理解しようとするだけ無駄だっての」
「そんな言い方は無いだろ」
「何よ。アンタには関係ないじゃない」
「こうやって喋ってるんだから、本物も偽物も無いよ。君は君だ」
「っ……!ホント、アンタそう言うとこよ!!」
「な、何だよ急に怒鳴って……」
「気にする事じゃないっての!!」
懐かしい感じ。
思えばヒッパ―とはこうやってギャーギャー言い合う事が多かったな。
「「ははっ……」」
「???」
お互いに、どちらからともなく笑い出した。
ローンさんが困惑している。
「二人は仲が悪いんじゃ?」
「何でそうなるのよ」
「だって、ヒッパ―はイサムを避けてたじゃない」
「ちょ、何で言うのよ!?」
「え」
「あ、違、そうじゃなくて……うぅ……ローン!帰るわよ!!」
「えっ……ちょっとヒッパ―!」
真っ赤になったヒッパ―がローンさんを引っ張って走って行ってしまった。
「何なんだ……?」