【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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第八十話 決別

 

夜。

なんとなく寝付けなかったのでふらふらと外に出た。

 

夜風が気持ちいい。

なんとなくいつもの散歩コース……いつもの神社の方まで歩いていった。

 

「……イサム?」

 

背後から声が掛かったので振り返った。

 

「ヒッパーじゃん」

 

昼に見かけたその姿。

アドミラル·ヒッパーがそこに居た。

 

「何してるのさ、こんな所で」

「そっくりそのまま返すっての」

「俺は……まぁ、散歩?」

「じゃあ私も散歩」

「そうなの?」

「そうなの」

「そっか」

 

暫し無言になる。

お互いに並んでそのまま歩く。

 

気が付けば、いつもの神社まで来ていた。

 

「ねぇ、イサム」

「うん?」

 

立ち止まり、振り返る。

ヒッパーは、ずっと下を向いていた。

 

「……今から私、らしくない事を言う」

「え?」

「私が良いって言うまで……黙って聞いてて」

「……?分かった」

 

ヒッパーが深呼吸をし始める。

俺は黙ってその様子を見ていた。

 

数分して、ヒッパーが意を決した顔になり、口を開く。

 

「イサム……私、アンタのことが好き」

 

風が吹いた。

 

「え……」

「あのとき、身を呈して私を助けてくれたあの日から……ずっと、ずっと好きだった」

「そ、そうなの……?」

 

驚ろくしかなかった。

ヒッパーが?

俺を?

 

今まで気の置けない友人位にしか思っていなかったのに。

……指揮官じゃない俺を気にかけるとは微塵も思わなかった。

 

「………………返事」

「えっ?」

「返事は!!!!!」

 

叫ばれてしまった。

返事、か……。

 

そんなもの、決まっている。

 

「……ヒッパー」

 

ヒッパーは、目をぎゅっと閉じて俺の言葉を待っている。

……ごめん。

俺は今から、君の一番望まない答えを投げる。

 

「ごめん。その気持ちには応えられない」

「――――――え」

 

ヒッパーが目を見開いた。

 

「俺は指揮官じゃない」

「そ、そんなの関係ない!」

「……うん、そんなの関係ない。ただの建前。でも……君の気持ちには応えられない」

「なんで……」

「次の任務で、俺は死ぬかも知れないから」

「あ――――――」

 

……隼鷹の奪還任務。

それに志願し、生還率は五割。

そんな所に行くのに、ヒッパーの気持ちに応えられる訳がない。

 

「……もしかしたら、君を置いていってしまうかも知れない」

「か、関係ない!私だってイサムを守るっての!」

「ありがとうね、ヒッパー。でも」

 

隼鷹と会うまでは。

 

「決着がつくまでは、応えられない」

「………………何よ」

 

ぱたたっ、と地面に零れ落ちる。

 

「イサムのバカ!!知らない!!」

 

……そのまま、走り去って行ってしまった。

 

「……ごめん」

 

俺には、それしか言えなかった。

 

 

 

 

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