トライクのエンジンに火をつける。
いつもと変わらない振動と音。
ヘルメットの締付けを確認する。
今回はフルフェイスタイプのヘルメットで、通信機能にディスプレイ付きとかなり豪華な代物だ。
いつもなら荷物が括りつけられている肩や脚には防弾プレートが設置されている。
背中には鏡面海域用の観測装置が背負われている。
「太鳳さん、島風さん、駿河さん」
「「「はい!!!」」」
今回同行するメンバーの名を呼ぶ。
装甲空母太鳳。
駆逐艦島風。
戦艦駿河。
それぞれが重桜の誇る精鋭と聞いている。
「俺の命、貴女達に預けます。けれど……自分の命も大事にしてください」
「え……は、はい?」
駿河さんが面食らった様な顔をしている。
「どうしました?」
「い、いえ……そんな事、言われた事が無いので……」
「そうなんですか?」
「良いではありませんか駿河殿!アカツキ殿、この不肖島風!誠心誠意お力になりますとも!」
この子は、昔すれ違ったことがあったのを思い出した。
向こうは覚えてないみたいだけど。
あの頃は階級も高くなかったしなぁ。
今思えば俺の階級上がり過ぎじゃない?
二十歳で幹部だよ??
「イサム様ぁ〜〜〜!太鳳は、太鳳は感激しております!こうしてイサム様の為に戦えるなんて!」
この人はまぁ感極まってるし。
しばらく見ないうちに変わったかなーって思ってたけど全然変わってないやこの人。
「……うん、よろしくね太鳳さん」
まぁでも、赤城様から聞いた限り奉仕活動も真面目に取り組んでたみたいだし。
大丈夫でしょ。
駿河さんは物凄く落ち着かなさそうにしている。
ちょっと緊張解した方が良いだろうか。
「駿河さん」
「は、はい!」
「赤城様から、貴女は優秀な戦艦だと聞いています。宛にしてますよ」
「ありがとうございます!」
あ、違うなこの人。
自分は場違いだって困惑してるタイプだこれ。
「準備は万端ですね」
「お疲れ様です!」
ガレージに赤城様がやってきた。
周りの職員たちの敬礼を受けながら歩いてくる。
「お疲れ様です、赤城様」
「お疲れ様です、イサムさん」
「アカツキイサム准尉他、3名。出撃準備完了です」
「わかりました。3人とも、イサム准尉を頼みます」
「「「はい!」」」
「イサムさん」
「はい」
「必ず、帰ってきなさい」
「勿論です」
「宜しい」
「……行ってきます」
「……行ってらっしゃい」
ガレージのシャッターが開く。
水平線に太陽が重なっている。
日の出直後。
「重桜特務隊、出撃!」
「「「了解!」」」
アクセルを吹かす。
トライクが前進、海面に飛び出し加速する。
(隼鷹……今、行くから)