【完結】レッドアクシズ・ストランディング   作:塊ロック

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第八十四話「鏡面海域攻略作戦」

 

セイレーンの量産型と思しき艦艇が次々と火を吹く。

レッドアクシズ、アズールレーン連合KAN-SEN達の猛攻で着実に数を減らしていた。

 

イサムが突入するのは最終段階に移行した後。

セイレーン艦隊の陣形を崩し中心部への突入準備を済ませてからだ。

 

速度が求められる今回の作戦で、島風さんと駿河さんはうってつけであった。

 

「イサムさん!着いてこれていますか!?」

「大丈夫です!」

「後ろ、キリが無いんですけど!?」

 

前後を二人に挟まれ、リバーストライクで疾走する。

目指す場所は、目の前だ。

 

 

 

……だが、不運にもそれを許さない存在にぶつかる。

 

 

「イサムさん!?避けて!?」

「なっ……!?」

 

慌ててハンドルを切る。

次の瞬間、先ほどまでの進路上を赤い閃光が薙ぎ払った。

 

「なっ……!?」

 

ブーストを解除、駿河さんが降りて臨戦態勢になる。

 

眼の前に現れるのは……黒い触手。

 

「うおっ……!?」

 

ウィリー、ブースターを一瞬だけ点火し跳ねる。

 

迫る触手を飛び越えて着水する。

 

「お前は……!」

「あら、覚えてたの?」

 

白い、病的な程の白い肌。

そして、こちらに対して何の感情も籠っていない瞳。

 

いつぞやのセイレーンが、現れた。

 

「島風!」

「もう送りました!」

 

すかさず島風が救難信号を送る。

セイレーンの撃破は任務に含まれていない。

 

……だが、向こうにとっては知った事では無いらしいが。

 

「貴方にイレギュラーと合流されたら困るの」

「知ったことか!」

「腕を失くしただけじゃ懲りなかった?」

 

イサムはスピードを上げるが、進路上に砲撃をされ迂回する羽目になる。

 

島風と駿河が攻撃を仕掛けるが効いている気配が無い。

 

「面倒だわ。沈めてあげる」

「沈むのは貴女の方よ」

「……?」

 

砲撃がセイレーンに直撃する。

島風でも駿河でもない。

 

誰の攻撃だ……?

救援にしては早過ぎる。

 

「イサム」

 

声音は優しかった。

だが、その言葉に乗せられた威圧感に息を呑む。

 

「ローンさん……」

 

いつの間にか、隣にローンが居た。

 

「私に任せて?」

 

そう一言言うと、素早くセイレーンに突撃する。

 

「あの時の生き残り?」

「大事な人を傷つける……」

「うん?」

「そんなの……許せない……ッ!!」

 

豹変。

その言葉が正しいと思えるほどの苛烈な攻め。

ローンは凄まじい勢いでセイレーンを攻撃し始めた。

 

「ちょっと……!もう!貴女と遊ぶつもりはないのに!」

「イサムさん!今のうちです!」

「あ、ああ……!」

 

ここはローンに任せよう。

 

「ふたりとも、動ける?」

「はい!島風は大丈夫です!」

「私も……!」

「よし、全速力で離脱して入り口に突入します。駿河さん!乗ってください!」

「何を……あっ、了解!」

 

駿河が艤装を格納し素早くイサムの後ろに飛び乗る。

腰に手が回された瞬間アクセルをフルスロットまでひねる。

 

「ブースト!」

「うひゃぁぁ!?」

 

駿河さんの悲鳴が聞こえるが気にしない。

一度前輪を上げてウィリー状態になり、再び前輪を下ろす。

このプロセスを踏むことでリミッターを外し、後部に取り付けられたブースターが点火。

 

短時間だけなら駆逐艦と遜色無いほどの速度が叩き出せるようになる。

 

「行きますよイサムさん!」

「着いていく!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

周囲の風景がすべて置き去りになる。

残ったセイレーン艦隊の砲撃がイサム達の背後に水柱を立てる。

そんなもの全て意識の外に行く。

 

俺はただ、君にもう一度会いたい。

 

「隼鷹……!」

 

ハンドルを握る手に力が篭った。

 

 

 

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