カラッとした空気に澄んた青空。
飛行機から降りて、スーッと、思いっきり酸素を吸い込む。そう、ついにガラル地方に着いたのだ。
カランコロンと階段を降りてくるのは、真っ白な女性。ではなく。
「いやこれ変装しといて良かったわー」
とてつもなく地味でぐるぐるメガネをかけた、茶髪の三つ編みの女性だった。
これにはちゃんとした言い訳がある。
ここに来た目的は3つある。
1つ目は、ここに来るきっかけにもなったポケモンの巨大化を見るため。
2つ目はガラルでしか見れないポケモンを捕まえるため。
そして3つ目、これが1番重要。いかに自分がバレずにジムに挑戦できるかである。
何せ私は今までに3つの地方でチャンピオンになった存在、そんな人物がいきなりバトルしましょー!なんて言ったらとんでもないVIP待遇されるに決まってる。テレビに映ること間違いない。
それに、ジムリーダーが普段どのようにトレーナーと会話しているのかを聞いてみたかった。チャンピオンにはなったものの、いろんなトレーナーとはあまり接点がなく、アドバイスくださいと言われてもなかなか上手く伝えられないからだ。
その点、ジムリーダーはトレーナーとの接点が多い。勝ち負けの中でどのようにトレーナーと対話しているのかを直接感じてみたかった。
おいそこ、今他の地方でも出来ただろ?とか思っただろ?残念だったな!ネモさんは19歳までコミュ障だったんだ!
20歳になったから恋愛のひとつやふたつ経験したいが為に、わざわざこの地で!脱コミュ障!を目指しているのだ!!
まぁ、そんなことを公に言えるわけでもないので、こうやってコソコソと変装しているわけなのだが。
前置きはさておき、本題のジムへ行きたい。
荷物を受け取りに空港のロビーへ向かう。ここのジムでもサラッと攻略をしたいものだ。
受付のお姉さんに自分の荷物の番号を伝えると、お姉さんは一旦奥へ入っていき、私の荷物を持って戻ってきた。ありがとうございますー、と伝えて出ようとしたが、一応聞いておこうと思いそのまま声をかけた。
「あの、お姉さんちょっといいです?」
「なんでしょうか?」
「私ジムに挑戦したいんですけど、ここから近いジムってどこですかねー?」
今までのジムは、手持ちのレベルが充分高かったため、どこからでも挑戦はできた。こっちでも同じだろう、と思っていたのだが。
「あら?こちらの地方は初めてですか?」
「あ、はい。私シンオウ地方から来たんで初めてなんです。」
「ならご存知ないのも無理ないですね〜。ここ、ガラル地方ではジムチャレンジをするために推薦状が必要なんですよ」
はて、推薦状とは。
「推薦状はジムリーダーやチャンピオンが書いてくれますよ!ごく稀にローズ委員長が書いてくれることもあるとか!丁度2週間後に開会式が始まりますから、それまでに間に合うといいですね!」
なるほどわかった。要するにめんどくさい。
今度こそお姉さんにありがとうございます、と伝えて空港を出た。
さて困ったな、推薦状とやらがいるのか。
とりあえずもらったマップを開いて、現在地から近いジムのジムリーダーにでも書いてもらうか。現在地に近いジムはーっと。
「ナックルシティ…」
そうぼそっと呟いて、腰に付けていたボールをひとつ掴みポケモンを出す。きゅあ!と鳴いて出てきたのは、私の古参パートナーのフライゴン。
「おはようフライゴン。こっちに来てすぐで悪いんだけど、近くのジムまで行きたいの。お願いできる?」
そう言えば、さすが私のフライゴン。とても物分りのいい子だから、二つ返事で乗せてくれた。
「あーもう!好き!大好き!フライゴンありがとう!」
背中に乗ったまま、ギューッとフライゴンの首へとハグをすると、フライゴンも嬉しいのか、きゅあっ!と羽をパタパタさせた。
それを他の人に見られているとは露知らず、
おい、あの地味女、フライゴンの首絞めてるぞ…
ほんとだ、可哀想…
なんて言葉が聞こえてきたため、急いで空へと飛び立った。
悪かったな、地味女で。