もうひとつのソラ   作:ライヒ

7 / 33
第六話 「乙女心は盲目です。」

 

 

 

 

 

 ○月◇日

 

 昨日、面白い女の子に会いました。

 はるちゃんって名前の子です。

 はるちゃん、かなり思い込みの激しい子みたいで、つなの事をリボーンを悪の道に引き込もうとしている極悪人だと思っているみたいでした。

 さて、明日も学校ですがいつも通りに毎日が暑いです。それに眠くなるし……。

 きょーや辺りに頼んで、応接室に居させてもらいましょうか……。

 

 

 

 

 

第六話 「乙女心は盲目です。」

 

 

 

 

 

「暑い~」

「桃凪ホント体力ないから……」

 

 朝にしては気温が高かった、とある夏の日。

 

「それにしても、昨日の子は本当によく解らなかったな~」

「面白い子だったよー」

 

 ツナたちの話は自然と昨日会った女の子、三浦(みうら)ハルにと移っていた。

 

「女の子にグーで殴られるなんて初めてだったよ……」

「……確かに」

 

 傍目で見ていた桃凪も驚いたが、何より一番驚いていたのはツナだろう。そんな機会そうそうないのだから。

 そんな感じで世間話をしていた双子の耳に、不思議な音が聞こえてきた。

 ガシャン、ガシャン、と何か金属的なものをこすり合わせる音。

 最初は暑さの余り幻聴でも聞こえてきたのではないかと思っていたツナ達だったが、それが間違いである事に気付いた。

 だって後ろにいたのは。

 

「おはよーございます……」

「あんた何ー!?」

 

 何やら武将が着てそうな甲冑をまとい、片手にヘルメット、もう片方にはアイスホッケーのスティックを持ったハルだった。

 

昨晩(ゆうべ)頭がぐるぐるしちゃって眠れなかったハルですよ……」

「いくら眠いからってそういう恰好はどうかと思う」

「違いますよ桃凪さんー。それじゃハル変な子じゃないですか」

 

 いや十分変だアンタ。

 桃凪は内心でそう思ったが、思うだけでは伝わらない。

 

「リボーンちゃんが本物の殺し屋なら、本物のマフィアのボスになるツナさんはとーってもストロングだと思うわけです」

「な!?」

「何故……」

 

 そう言ったハルは片手に持っていたヘルメットを被った。

 なるほど、どうやらヘルメットをそのままつけて歩くことは怪しいと思うくらいの常識はあったらしい。もっとも、いくら彼女でも寝ぼけてなければこういう恰好はしないと思うが。

 

「ツナさんが強かったらリボーンちゃんの言った事も信じますし、リボーンちゃんの生き方に文句も言いません」

 

 そしてスティックを構えたハル。

 

「お手合わせ願います! あちょー!」

「うわっ、ちょっ、待てよ!」

 

 変な掛け声の割に思いっきりスティックをぶん回したハルの一撃は重い。ツナは悲鳴を上げながらハルの攻撃を避けるが、重い甲冑を着ている割にはハルの動きは俊敏だ。

 とりあえず攻撃が当たらないぐらい遠くに移動した桃凪はこのまま人を呼ぼうかどうか考えていると。

 

「10代目ー!!」

 

 人が来た。ただし、獄寺だが。

 

「下がってください!」

「え?」

 

 そのままダイナマイトを投擲。

 そして、普通の一般人であるハルにそれをよける術はない。

 

「はっ、はひー!!」

 

 ドガァン!

 橋の上での爆発。衝撃によりコンクリート製の橋が少し揺れた。

 そしてハルは橋の下、つまり川に落下。鉄製の甲冑を身にまとっている事を考えると、危ない。

 

「つな! 助けないと!!」

「え……う、うん! でもどーやって……」

「助けてやるぞ」

 

 そう言って橋の欄干に立つリボーン。しかし、リボーンが助けるとはつまり。

 

「ツナ、行ってこい」

「え、」

 

 そのまま脳天に死ぬ気弾を一発。

 川に落下していくツナ。それを見ながら桃凪はポツリと思った。

 

(……流されるな、服)

 

 

 

 

 

「ありがとーございました……」

 

 橋の下の河原、無事助け出されたハルは体育座りでうずくまっていた。そのハルに向けて若干不機嫌な獄寺が話しかける。

 

「ったく、反省してんのか? 10代目にもしもの事があったら、おめーこの世に存在しねーんだからな」

 

 ハルは無言。しかし、よく見てみると細い肩が細かく揺れていた。

 

「……プ」

 

 ついに耐えきれなくなったように口から笑いが漏れ出る。そのまま顔を上げたハルは満面の笑みで。

 

「『死ぬ気でハルを救う!』『オレに掴まれー!』……そんなクサイセリフ、テレビの中だけだと思ってました」

(反省してねぇ!)

 

 愕然とするツナに何やら夢見る乙女のような視線を向けるハル。

 

「すごく……ステキでしたよ。リボーンちゃんの代わりに飛び込んでくれた10・代・目(はぁと)」

「な!?」

「……うーん」

 

 どうやらハルはツナに惚れてしまった模様。これはあれだろうか、危機的状況に陥ると恐怖のドキドキと恋を勘違いするという。

 

「……吊り橋効果?」

 

 なのだろうか。それともピンチを助けてくれたツナに惚れたのだろうか、どちらもありえそうな感じがする。

 

「ハルはツナさんに惚れた模様です……」

「ん゛なー!? で、でも確かリボーンの事が好きなんだろ?」

「今はツナさんにギュッとしてもらいたい気分です!」

「えー!?」

 

 その後はまぁ、追いかけるハルと、必死で逃げるツナの鬼ごっこが始まったという事で。とりあえず学校はもう遅刻だろうね。

 

「つな、ファイト」

「何を!?」




ハルってアホ可愛いと思うんです。というかヒロイン二人は天然な所が可愛いと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。