魔力がなくても、英雄になれますか?〜伝説神具持ちの劣等生〜 作:律兄ぃ
よろしくお願いします。
「これは人類が誕生してまもない頃の御伽噺である。昔の人達は魔獣の存在に日々怯えて過ごしていた。そんな時神々が下界に降臨し、人々に魔獣を討伐出来るほどの武器や防具、そして魔力を与えられた。神々が作った武器はどれも破格の性能を持った物ばかりで、与えられた人達は英雄として崇められた。神々は今でも私たちをみまもり、15歳になると神具を与えられるようになった。それが今まで続く神々の神話だ。どうだったかい?ルキファ」
「わぁぁぁ!すごいすごい!パパ!」
「そうだろ、そうだろ!俺も御伽噺は好きでなぁ。昔はよく父親に話してと言ったものだ。」
「僕も昔の英雄みたいになれるかなぁ」
「ルキファならなれるさ!お父さんの子供だからな!」
「ルキファならなれるわよ。さ、ご飯にしましょ。」
「はーい!ママ!」
これが俺が覚えている昔の記憶だ。
お父さんはその1年しないうちに馬車で引かれて死んでしまった…お母さんは女手一つで俺を育ててくれた。
けれども俺は魔欠だった。魔欠だった俺は、ずっとずっと虐められてきた。そんな俺を見捨てないでいてくれたお母さんだけど、ついこないだ精神的な病で亡くなってしまった。魔欠であった俺を庇い続け、様々な人からお母さんまでも誹謗中傷を受けた。
俺がお母さんを殺してしまったのだ…
魔欠である俺に味方なんて居なくて、孤児院に入りそこで一人生活していた。孤児院では居場所なんてものはなく、毎日同級生や上級生のおもちゃとしての生活を余儀なくされた。
「おらぁ!魔欠野郎、新必殺技くらいやがれ!水流連弾!」
「え、う、うわぁぁぁ! かはっ…」
いつもこんな毎日で、僕を虐めるためこんな風に魔力を込めて攻撃してくる。魔力がないから防ぐすべもなく、長い時間苦しめられ果ては捨てられる。そんな一日を過ごす。
「はっ。思い知ったか魔欠野郎。これが魔力だ!見本見せてやってるんだから感謝しろよな。はっはっはっは!」
「あ、ありがとうございます…ウィナ様…」
「相変わらず魔力もねぇし勇気も覇気もねぇ。もう1発行くぞゴラァ!!」
せめて少しでも魔力があればと何度思ったことだろうか。
力があればと、勇気があればと。しかし無常にもそんな願いは叶わない。
「またこんな汚れやがって。だれが洗濯すると思ってるんだ!」
「はい…申し訳ございません。ミリヤ院長。自分で洗います…」
どこにも自分の味方なんておらず、孤児院の院長でさえ虐めは見て見ぬふり。俺をいじめて楽しがっているのだ。
寒い風が身を凍えさせる真冬真っ只中、俺は泥の着いた服を手で洗いながら思った。
「絶対。絶対に見返してやる…あいつらだけは絶対に俺の事を認めさせてやるっ!」
せめて神具が宿れば…と。昔に聞いた御伽噺を思い出す。
あいつらを見返せるほどの神具があれば、魔欠でも話が変わってくる。それほどまでに神具とは桁違いに強いものなのだ。
神具の数はおよそ1万と言われている。何万もの神が作ったと言われているからだ。
その中でも100の伝説神具と呼ばれるものがある。一つ一つにランクが付けられていて、1〜100までの順位付けされている。
もちろん伝説神具以外にも宝物神具、支援神具など様々な種類が存在する。
「あと1年…あと1年だ。そしたら神具が宿る可能性もある。絶対に見返してやる。絶対だ。」
静かに俺は闘志を身に宿すのだった。
〜1年後〜
「君たち。今日はとても大切な日だ。なにしろ神から君たちに贈り物があるのだからな!楽しみにしておけよ!」
「やったぜ!」「ついにこの日が来たのか!」「待ちに待ったわ!」
皆思い思いに今日という日を喜んでいる。
そう、今日は神具をその身に宿す儀式のある日なのだ。
俺も興奮しており、昨日から眠れずじまいたった訳だが…
「魔欠野郎じゃねぇか!はっはっは、お前貰えるとでも思ってんのか?あ??お前なんか貰えるはずねぇだろうが!ま、貰っても大したものじゃないだろうな!」
「う、うるさい!誰でも貰えるんだから、関係ないだろ!俺が貰ってもいいじゃないか!」
俺は言ったあと、やってしまったと思った。
案の定ウィナはブチ切れていた。それはもう見た事ないくらいに
「アァ!?誰に向かって物言ってんだァ?舐めたくち聞いてると、儀式すら参加できねぇほどに痛めつけてやるよ!水流三連弾!ほら、避けてみろや!!」
「くっ、ぐはっ。あがっ…けほっけほっ…た、耐えてみせたぞ…」
偶然かどうかは分からないがウィナは手加減していたように思えた。
「はっ。このよえー技耐えたところで自慢気な面すんなや!まだくらいてぇみてぇだな?アァ!?」
「分かった。謝るっ謝るから。許してください…」
もう1発耐えられる自信も体力も尽きていた。さすがに耐えきれなかった俺は土下座し、ウィナに謝った。
「土下座ってのはなぁ、こうやってやんだよ!!おらぁ!」
僕は頭を踏みつけられ、顔面中に泥を被った。口の中は血と泥の味がした。
「ご、ごめんなさい…許してください…」
「お前みたいな気の弱いやつ、なんにもなれねぇよ!神具貰った所でおまえにはなんにもできねぇ!ざまぁねぇな。」
そう言い吐き捨てて彼は去っていった。当然周りは俺の事なんて見て見ぬふり、それどころか嘲笑まで聞こえてくる。
「うぐっ。いてて…気が弱い、か。その通りだよな…。でも弱ってても仕方ないや。儀式を受けに行かなきゃ。」
儀式が始まるのは午後丁度。早速準備して教会に向かった。
「はん。弱いやつがでしゃばんじゃねぇよ…くそが。」
1話はこんな感じですかね…オリジナル小説って難しいっ!
ぜひ今後ともよろしくお願いします!