【本編完結】もしも、幸平創真が可愛い女の子だったら   作:ルピーの指輪

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料理のこととか理屈とかをツッコまれると非常に困る回です。
ノリと勢いで誤魔化してます。


“秋の選抜”――幸平創愛VS美作昴

「堂島先輩〜、幸平さんってあんなワイルドな雰囲気でしたっけ?」

 

「目の前にいるのは、合宿のときに見た幸平さんじゃないわ。おそらく、目の前にいるのは――かつて、この学園で“修羅”と呼ばれた男よ」

 

 わたくしが調理を開始すると堂島シェフは父のことを話そうとします。父親のモノマネをしていることを言いふらされるのは死ぬほど恥ずかしいのですが……。

 

「そいつァ、内緒にしてくれや。銀華ちゃん」

 

「――っ!? この子、堂島先輩になんてことを!」

 

 堂島シェフには内緒にしてもらいたいので、彼女の唇に指を当てて声をかけます。父になりきらないと集中力が途切れそうなので、変な行動をしてしまいますね……。

 角崎シェフがとてもお怒りでいらっしゃる……。

 

「ふざけてないで、料理に戻りなさい」

 

「へいへい。分かりましたよ。あんま、眉間にシワ寄せると可愛い顔が台無しだぜ」

 

「あいつ、誰? 幸平創愛って、あんなのじゃないでしょ? もっとぽわわんとした感じの……」

 

 水原シェフも困惑した表情を浮かべてます。だからこの手は使いたくなかったのです……。

 父の技術だけをキレイに真似られれば良いのですが、記憶を頼りに感覚で動いているので彼になりきらなくては即興で料理が作れません。

 

「本気でなりきってるのね。自分の父親に……。あとで、覚えてなさい……」   

 

 堂島シェフから怖いセリフが聞こえますが、調理に集中するとしましょう。謝るのは後です……。

 

「こ、この技術は――学生のレベルじゃないっ!」

 

「というより、世界中のシェフを探してもあれほど荘厳でそれでいて機械のように洗練された動きができる人が何人いるか……」

 

「四宮先輩との食戟のとき、あんなことされてたら、先輩でも危なかったんじゃ……」

 

「学園に入ってまだ半年? 何者なの? あの子!?」

 

 記憶に刻まれている知らない技術を父になりきることで体が勝手に動き、自分では思いつきもしなかったアイデアが次々に浮かんできて新しいメニューが瞬く間に完成します。

 

 父だったらこう考えるのですね――。

 

 まるで“ゆきひら”の厨房で彼が新メニューを試作しているところを間近で見ているような……、そんな感覚になりました――。

 

「ゆ、幸平……、この土壇場で誰の真似をしたのか知らねぇが。即興料理も所詮は付け焼き刃。小細工をいくら用意したところで……」

 

「んな、どーでも良いこと言ってねぇでさ。皿で語ろうぜ。さて、ソアラちゃんはどんな工夫をするのかな?」

 

 美作さんはわたくしの真似をしています。父はわたくしと料理勝負をするときが一番楽しそうな顔をします。

 わたくしがどんな発想でメニューを考えるのか遥かに高いところから見守ってくれるのです。

 なので、わたくしは本気で彼がどんな工夫をされるのか興味が出てしまいました。

 

「ぐっ、お前がタップリと肉を仕入れてることは知っている。どんな料理を作るかも予測できる」

 

「ふーん。すげぇじゃん。当たってると良いな。あと、お得意のモノマネはどうした? さっきも言ったがよぉ。ウチの可愛いソアラちゃんはそんな喋り方じゃねぇ」

 

「なんだ、あの動き――。幸平創愛は定食屋に毛が生えた程度の技術しか持ってないはずだ――! これじゃあまるで――」

 

 さぁ、ここからは知らない技術の応酬です。美作さんの言うとおり父はわたくしに必要最低限の知識と技術しか教えていません。

 しかし、彼は料理勝負のときは惜しみなくわたくしの知らない技術を使っていたのです。

 

 おそらく、それが海外で修得した技術なのでしょう。今やっている動作もどこの国のものなのか知りません。

 

「まるで、長いこと世界中を旅して来たかのようなスケールの大きな調理――たった15歳の少女がこれほどの調理技術を……」

 

「以前よりパワーアップしてる? 当然よね。あれから何年の時が経って――」

 

「堂島先輩……?」

 

「しかし、わかんねぇ。どんなビーフシチューになるのかさっぱりだ」

 

 さて、ここから仕上げに入ります。先程までのわたくしでは考えもつかなかったビーフシチューが完成しました。

 お父様……、ズルいですわ。こんなにわたくしと技量に差があるのに手加減を一切してくれないなんて……。

 

『調理終了!』

 

「まずは、美作昴の品から審査に入る」

 

「おあがりくださいまし……! ふふっ……」

 

「き、気持ち悪い……」

 

 美作さんは自ら作成したビーフシチューを出しました。

 やはり、わたくしが先程まで作ろうとしていましたテール肉を使ったビーフシチューですね。

 

 えりなさんにビーフシチューのアドバイスを頂いたとき、定食屋の味みたいに3口目で美味しいと思わせるような品ではダメだと言われました。

 そして、にくみさんからお肉の差し入れを頂き考えついたモノがテール肉を使ったビーフシチューです。

 

 なるほど、さらにアレンジとして美作さんは付け合せに燻製したベーコンを使いましたか。伊武崎さんのようなことをされていますね……。

 

「ガルニチュールはベーコンとマッシュルームに小玉ねぎのグラッセ。そもそもグラッセとはフランス語で凍らせるという意味で――艶々とした光沢が皿をきりっと……」

 

「うっせぇ! さっさと食いやがれ!」

 

「はむっ、――っ!? テール肉のとろみとその奥に感じられる白味噌のまろやかさが絶妙……、舌がとろけてなくなっちゃいそう……」

 

「そ、そのくせベーコンによるメスキートの香りはビシビシと強烈……、とんでもないおいしさだ……」

 

 審査員の方々の評価は高いみたいです。わたくしの考えたビーフシチューが元となっているので、美味しそうに召し上がっている顔を見て少しだけ嬉しかったりします。

 

 あのベーコンは普通のベーコンではなさそうですね……。

 

「お前の思考は全て読んでいる。即興で挑んでくることもな。誰かのマネをするパフォーマンスには驚いたが……。だからこそこの特製ベーコンだ。熟成・塩漬けに5日間、風にさらし丸1日かけて乾燥させ5時間もの間燻し続ける」

 

「それだけの手間をかけてこそこのうまさは実現する! 時間と手間、その重さ! 即興調理とは対極とも言える強みがこの皿にはある!」

 

 やはり美作さんのベーコンはかなりの力作みたいです。

 わたくしのメニューの1歩先を行くためにそれだけの手間をかけるなんて――。

 

「へぇ、わかってんじゃねぇか。んじゃ、ストーカーする時間もその手間とやらに加えたらもっと美味いもん作れたんじゃねーか?」

 

 そんなことをするくらいなら、最初からご自分でメニューを考えられても良い品を思い付きそうなものだと思ってしまうのはわたくしだけでしょうか? 

 

 どう考えても相手のリサーチをして、メニューを予測してそのアレンジを考えるなんて回りくどいことをすることが楽しいなんて思えないのですが……。

 

「何だと!? 負け惜しみを言うな! 見ろ! 審査員たちを! みんな俺の皿に釘付けだ!」

 

「ほわほわとろっとろ」

「これはまるでリング上で火花を散らす肉同士の戦い!」

 

 美作さんの仰るとおり審査員の先輩方の反応は良いです。彼がトレースだけではない人物であることも認められています。

 だからこそ、わたくしは彼のことが可哀想だと思ってしまうのです。

 

「浅はかだな幸平! 確かに自分以外の誰かを模倣するのはパーフェクトトレースからの逃れ方としてはいい考えだ。しかし、結局はその場のインスピレーションに任せて料理を組み立てることになる。聞こえはいいがそれは思考停止に他ならない! 料理ってのは微に入り細を穿ち準備し抜いた方が勝つんだよ!」

 

「ほう……」

 

「お前がいくら小細工を重ねようと無駄、無駄、無駄なんだよ! ま、しっかり記憶に刻むといい。お前の人生で客相手に出す最後の一皿を――」

 

「そんな怖い顔すんなよ。楽しく行こーぜ。いい料理人ってのはな、笑顔が大事なんだ。ウチのソアラちゃんを見ろ、そんなしかめっ面してねーだろーが」

 

 美作さんは全く楽しそうではありません。タクミさんとの食戟のときも高笑いはされていましたが、楽しんでいるようには見えませんでした。

 まるで見えない亡霊と不毛な戦いをされているような感じだったのです。

 

 彼に料理の楽しさを知ってほしいというのはわたくしの本心です。

 

「――っ!? なんだ、その笑顔……」

 

「次は幸平創愛の品の審査に入る」

 

「お待ちどおさま、さぁおあがりよ! じょういち……、おっとこれはまずいな。“ゆきひら特製・ビーフカツシチュー”だ!」

 

「「…………」」

 

 わたくしが牛カツ入りのビーフシチューを審査員の方々の前に出すと、審査員の先輩方は目を丸くしてフリーズされました。

 

 確かにこの見た目はどう見てもカツカレー……。お父様はやはり変人です……。

 

「確かに、途中おかしかった行程が見えた気が……。中華鍋で揚げ物みたいなモノを作っていて……」

 

「動きがあまりにも凄くて、動作が変だってことに気が付きませんでしたね」

 

 木久知シェフと乾シェフはわたくしの調理の変わったところに気付きかけてはいたみたいです。

 父の調理パフォーマンスは派手ですので、そちらに意識が持っていかれるのは仕方ないかもしれません。

 

「じょういち、じゃなかった。幸平創愛……、意外性のある料理だが、いささか攻め過ぎじゃない? そういうところも私には懐かしいといえば、懐かしいが……」

 

「頭が固ぇな。銀華ちゃん。つべこべ言わずに食ってくれや。オメーの仕事はそれだろう?」

 

「お前、堂島先輩に向かってさっきから――」

 

「角崎さん、良いのよ。確かに皿で語るのが私たち料理人。まずは食べてみましょう」

 

 まだモノマネを止められないわたくしは堂島シェフに失礼な口を利いてしまいました。

 しかし、彼女はそれを気にせずにわたくしの作ったビーフシチューに口をつけます。

 

「はむっ……、こ、この食感は――」

 

「そうか。カツにすることで上部にトロトロになったスジ肉、下部にはジューシーなサーロインの食感が同時に味わえる! シチューの味と相まってクドくなると思いきや、上品で奥深い味に調和されている」

 

「衣のカリッと感と、ソースの掛かった部分のしっとり感。さらにスジ肉のトロりと、肉の感触が口の中で賑やかにダンスをしているみたいです。こんな感触は今まで味わったことがありません」

 

「こっちはすね肉……。こちらも肉の旨味と食感を活かし、衣に染み込んだシチューの味と絶妙な調和を生み出している。さっきのスジ肉とは同じ牛カツなのに全く別料理を食べている気分……。まさか、揚げ物にした理由ってどの部位の肉なのか一見してわからなくさせるため? なんでそんなことを――」

 

「ああ、その方がおもしれーだろ?」

 

「えっ? それだけ……?」

 

 見た目で驚かせて、味でも驚かせ、そして楽しませる。どんなメニューにも遊び心を忘れないことが父の料理のモットーです。

 だから、わたくしは彼の料理が何よりも好きでした――。彼がわたくしに調理して人を楽しませ喜びを教えてくれたのです。

 

「ひと口食べるごとにわかってしまう。この皿に込められた様々な技術が……! そして、そのレベルが学生の領域を遥かに超えていることが……」

 

『ではこれより判定に入ります! さぁ果たして結果は――!?』

 

『全会一致! 幸平創愛選手、食戟に勝利! そして決勝進出!』

 

「お粗末!」

 

 わたくしは美作さんとの食戟に勝利しました。

 しかし、こんな手段で勝ってしまって良いのか疑問が残ります。怒りに任せて、身の丈に合わない力を使って――。

 

「嘘だろ……、掻い潜れるわけねぇんだ。俺のトレースが……」

 

「んじゃ、食ってみるか? ほれ」

 

「くっ……、はむっ……、――っ!? な、何て鮮烈でそれでいて奥深い味なんだ……。これが、技巧の極地……! ここまでの味を出すために一体どれくらいの――」

 

 負けたことが信じられないというような表情をされている美作さんに、わたくしは自分のビーフシチューを召し上がってもらいます。

 彼は父がここまでの技術を身に着けるまでの努力を感じ取ったようです。

 

「まぁ、それなりに苦労はしたけどよぉ。楽しかったぜ。色々な発見があった」

 

「――っ!? まさか俺のパーフェクトトレースが力だけで捻じ伏せられるなんて――。今まで、俺がしてきたことは一体……」

 

「おい、美作昴! こんなことして、何が楽しい? 借り物の力で相手を力づくで捻じ伏せて、面白いか?」

 

「幸平……」

 

 わたくしは今回ほど料理を作って虚しく感じることはありませんでした。

 確かに借り物の力で出来た品の完成度は高いです。

 でも、そこに努力の痕跡はありません。

 

 予定通りテール肉を使って、えりなさんやにくみさんのアドバイスを元に考えついたメニューを作ったほうが楽しいですし、達成感も得ることが出来たでしょう。

 

「ですから、今度は美作昴さんとちゃんとした形で一緒にお料理がしてみたいですわ。わたくしもその時は、一人の幸平創愛としてお相手させて頂きます」

 

 わたくしは彼に一番申し上げたかったことを伝えました。

 いつか幸平創愛として、もう一度料理人の美作昴さんと料理をしたいということを――。

 

「この食戟を以て美作昴のこれらの道具に対する所有権は消滅した」

 

 食戟管理局の変わったスーツを着ている方が美作さんの道具の所有権が無くなったことを告げたので、わたくしは元の所有者の方に自分の道具を取りに来られることを促しました。

 

「あの! 幸平さん! これ、私のお母さんが亡くなった時に貰った形見の品だったの……。ありがとう……、本当にありがとう……」

 

 伊武崎さんから聞いていた形見の品を奪われた女性も自分の包丁を取り戻せて嬉しそうにされています。

 思ったよりも美作さんがキレイに道具を管理されていたので良かったです。

 

「潮時だな……、俺は遠月を離れる。料理ももうやらない。こんな醜態晒して負けたんだ。誇る物はもう何も残って……」

 

「えっ? わたくしの言ったこと聞いてました?」

 

 その様子を見ていた美作さんが料理人をやめるというようなことを述べましたので、わたくしはそれを止めようと口を開きました。

 

「俺ともう一回試合がしたいってことか? バカ言え、こんな俺が――」

 

「それもありますし、もう1つ理由はあります」

 

「もう1つの理由?」

 

「あの〜! タクミさんは取りに来ませんの?」

 

 わたくしが美作さんに料理をやめて欲しくない理由は彼に料理の才能があることと、もう一つはタクミさんに関係があります。

 

「美作昴、俺は貴様に負けた。完敗だ――だが次は負けない! 君が一歩先を行くなら俺は二歩。いや十歩でも百歩でも進んでやるさ! このままでは終わらせない。いいな!? 美作!」

 

 そう、タクミさんは必ず再起して美作さんにリベンジしようと努力するに決まっています。

 だからこそ、その機会を失わせない為にも美作さんに料理をやめさせるわけにはいかないのです。

 

「メッザルーナは今はソアラさんの物だ。いつか必ず取り返しにいく。食戟で君に勝利してだ。それまで預かっておいてくれないか? 今日の君の強さには驚いたが、いつか必ず追いつく!」

 

「いえ、そのう。あれはですねぇ。わたくしがインチキをしたと言いますか……」

 

「いいや、どんな手を使おうがアレは君の実力だ。戦慄したよ。恐ろしい人と同期になったことをね……」

 

「タクミさん……。わかりました。これはわたくしが大事にお預かりします。――美作さん、料理でプロを目指そうって人間はどうしようもなく負けず嫌いなのですよ。ですから、一回こっきりの勝負で相手の誇りを根こそぎ奪おうなんて二度と考えないでくださいな」

 

 タクミさんはわたくしにメッザルーナを預けると仰って譲りませんでしたので、彼の言うとおりにすることにしました。

 そして、美作さんにも二度とこのように一度の勝負で何もかもを奪わないように頼みました。

 

「積み上げてきた自信も自負も全部吹き飛ぶような失敗をしても。もう立ち上がれないような惨めな思いをしても。明日も絶対店を開けなくてはならない。それが料理人なのです。あなたもそうではありませんか? 美作さん」

 

「せ、聖母だ……、まるで聖母のような慈愛に満ちた……」

「おい、美作! ソアラさんに対して変なことするんじゃないぞ! ストーカーとか二度とするな!」

「し、しねぇよ。見守ることくらいしか……」

 

 美作さんの表情は変わっておりましたし、何やらタクミさんと楽しそうに話していましたので、大丈夫だと信じたいです。

 

 これで、万事解決だと思いたいのですが、それは許されそうにありませんね……。

 堂島シェフがこちらに歩いて来ております。

 

「幸平さん、ちょっと良いかしら?」

 

「ど、堂島シェフ……」

 

 わたくしは堂島シェフとともに人気のない舞台裏に行きました。

 昔、父は彼女にとって特別な人だったということは聞いております。そして、彼女はおそらくわたくしが才波城一郎の娘だということに気付いているのでしょう。

 

 

「先程は無礼な態度を申し訳ありませんでした!」

 

「いいのよ。昔に戻ったみたいだったわ。とても懐かしい気持ちにしてもらえた……。まさか、あの人の娘さんがこれ程の力を見せつけるなんて……」

 

 堂島シェフはわたくしの謝罪を流してくださり、やはりわたくしが誰の娘か分かっているような発言をされました。

 

 彼女は誤解をしております。先程の食戟で見せたのがわたくしの力だという誤解を――。

 

「ええーっと、あれは本来のわたくしの力ではありません。父のモノマネを記憶を頼りにしてやってみただけですから」

 

「それが凄いと言っているのよ。本当にあの人が料理をしているみたいだった。出した品も学園の生徒どころか、私たち卒業生も食われ兼ねないレベルだったわ。でも昔見たあの人の料理と比べて随分と優しい品を作るものだから、それにも驚いた。あの人は料理を楽しめるようになったのね……」

 

「そ、それはそのう……」

 

「でも、可哀想なのは決勝戦であなたと戦わなくてはならない選手ね……。力の差が大きすぎる――」

 

「ですから、わたくしは――」

 

 堂島シェフは興奮気味でわたくしを持ち上げますが、父のモノマネを今までしていなかったのには理由があるのです。

 

 中学生のころ、興味本位で同じことを“ゆきひら”の厨房で行ったことがあったのですが、僅か5分くらいの調理で強烈な頭痛に襲われました。

 そのときにわたくしは悟りました。身についていない技術を記憶に任せて無理に行うことは危険だということを――。

 

 今回はそれを遥かに超える時間、わたくしはモノマネを続けました。実は今すでに意識が朦朧としてきているのです――。

 

「ソアラ! さっきの試合は何? あんな力があるなんて知らなかった。あなた、今まで力を隠してたの? あれじゃ、まるで――」

 

 そんな中、血相を変えたえりなさんがこちらに走ってきました。先程のわたくしの動きに違和感を感じたのでしょう……。

 

「え、えりな……、さん……」

 

 しかし、わたくしは彼女の顔を確認した瞬間に全身の力が抜けて倒れてしまいます。

 あ、頭がハンマーに永遠に殴られ続けているみたいに痛いです。腕も足もまったく力が入りません……。

 

 全身が鉛のように重くなって動けない――。こ、これは思った以上で……、す……、ね……。

 

「ゆ、幸平さん? た、大変、凄い熱……!」

「ソアラ! しっかりなさい! すぐにお医者様を!」

 

 えりなさんの悲鳴のような声がずっと遠くで聞こえたかと思うと、わたくしの意識はとても暗いところに行ってしまいました――。

 




この展開が良いのか悪いのかめちゃめちゃ不安です。
このまま目が覚めたら選抜が終わっていたみたいな展開も考えましたが、流石にそれはやめておきました(笑)
今回もですけど、決勝戦もオリジナルでメニューを書いたら酷いことになってしまったので、料理描写の稚拙さだけは目を瞑って頂きたいです……。ごめんなさい!
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