RockmanX4 War of Repliforce 作:グルルre
以下の話は現在の小説からは完全に独立しており、時系列として過去の話となります。
一応以前に連載していたヴァヴァ編のリブート版の連載が始まり次第、その中のエピソードとして盛り込まれる予定です。
気分転換に書いていたら意外にも筆が乗ったので投稿する事となりましたが予想以上に長くなりました。
それと話としては途中で途切れております。
そういう意味では未完成なので申し訳ないですハイ。
連邦政府の要請を受けレプリフォースの最高司令官ジェネラルの命により南米への出撃が決まったレプリフォース陸軍のオフィス。
その内の一室である陸軍元帥の私室に二人の士官が招かれていた。
滅多に無い出撃と言う事もあって何時も以上に慌ただしく動く兵士らの賑わいが聞こえる中、カーネルとアテネは背筋を伸ばし一室の主に敬礼をする。
「既に通達が言っているだろうが敵はデッドフォースだ。だからこそ連邦政府はハンターじゃなく儂らに討伐を要請した」
「デッドフォース・・・我らから離反した裏切り者ですな。彼奴等の様な存在を許す訳には行きません。必ずや討ち果たしてみせましょう」
自身の言葉に決意を口にするカーネル。
デッドフォースを連邦政府に仇為す裏切り者と認識する若者に陸軍元帥スタチュリール=アトーラスは僅かに苦笑する。
「今の今まで我らのみならずイレギュラーハンターからもその尻尾を掴ませずに居たデッドフォースが急に姿を見せる様になったのは気になりますが」
アテネが横目で血気盛んなカーネルを見据えつつ口を開く。
「儂もそう思う。それに奴らの主力は海軍だ。なんせデッドフォースの母体は前海軍提督ソルトコールを中心にした連中・・・だからな」
若干歯切れ悪く言うアトーラス。
デッドフォースの母体が元海軍である事は周知の事実だが、それ故に地球上の深海のどこかに潜伏している彼らの拠点を探し出すのは並大抵の事ではない。
何年にも渡ってレプリフォースは勿論の事、イレギュラーハンターや政府軍も彼らの捜索を行っているがその成果は芳しくない。
「本来だったら海軍の出番なんだが、奴らが居るのが地上の拠点ってのもあって今回の討伐の主力は儂らだ。当然、海軍と空軍のバックアップもついている」
既に資料では通達済みではあるがアトーラスは確認する様に口頭で作戦の概要を口にする。
『万が一の為の保険に儂も現地に行く』とアトーラスは付け加える。
「元帥閣下自らですか。裏切り者など我らだけでも十分なのでは?」
「その台詞、ソルトコールの奴を前にしても言えるか?」
アトーラスの刺す様な言葉にカーネルは小さく呻きながら口を閉ざす。
カーネル個人は面識は無いが、前海軍提督の武威は裏切り者となった今でもレプリフォース内でも語り継がれている。
彼個人と真っ向からぶつかれるのは目の前のアトーラスや空軍長官のフレーヴェルス、それに最高司令官のジェネラルぐらいであろう。
「まあ奴の事だ。居ないとは思うがその可能性がある限りは儂も出向かない訳には行かねえだろ」
ニヤリと不敵に笑いつつ、アトーラスは『話は以上だ』と二人を下がらせる。
敬礼をしつつ立ち去る二人を見送り、アトーラスは大きく息を吐いていた。
「・・・と言う訳でだ。敵はデッドフォース、目の前に広がる密林地帯のどこかに拠点を築いているらしい。我々の目的は拠点の発見および敵戦力の殲滅だ」
海軍や空軍の協力もあって予定よりも早い日程で仮の拠点の設営を終えアトーラスは目の前に集まった兵士らを前に演説を行う。
「連中は裏切り者であり絶対に許す訳にはいかねえ。だが腐っても奴らは元レプリフォースだ。油断すれば負けるのは儂らの方と思え」
アトーラスの言葉に何人かが息を呑むのが見える。
だがそれ以上に何時もの演習とは違う実戦を前に興奮を抑えきれぬと言う様子が垣間見える。
「儂からは以上だ。既に細かい指示は各指揮官より下っているだろう。各々の健闘を期待するぜ」
「「「おおおっっっ!!」」」
締めの言葉に声を張り上げる兵士一同。
一斉に動き出す面々を満足げに見据え、アトーラスは踵を返し仮設の司令室へと向かう。
自身を敬礼で出迎えるのは陸軍参謀のトキシック=コモドールだ。
その隣には今回の作戦で空軍を指揮するストーム=フクロウルの立体映像も浮かぶ。
フクロウルの本体は上空に待機する飛行艦隊の旗艦のブリッジにある。
因みに海軍の方はタイダル=オアンネルを中心にした部隊が出向いており、彼らは海岸沿いで警戒に当たっている。
「カーネルとアテネの二人にそれぞれ部隊を預けて本当に宜しいのですか?」
コモドールが若干不安げに口を開く。
アトーラスは己が期待する若手の士官二人にそれぞれの部隊を任せ、密林地帯の探索を命じている。
何せ敵の居場所が分からないのだからそうする他無いのだが、アトーラスが行った編成にはどこか場当たり的な印象が伺える。
<先に我ら空軍が露払いとして密林地帯を焼き払うのも一計だが・・・>
「まあそれは敵の拠点の位置が分かってからで良い。密林地帯に適当な爆撃なんぞして市民団体から苦情を言われたくねえからな」
フクロウルの案を退けつつ、アトーラスは口の端を歪める。
「これからの陸軍を背負ってもらう奴を鍛えるには丁度良い機会だ。想定外の戦場に放り込まれてそこでどう判断して動けるか・・・楽しみじゃねえか」
アトーラスのやらんとしている事は部外者のフクロウルすらも分かる。
カーネルとアテネの両名を今回の討伐を利用して実戦での経験を積ませるつもりなのだ。
彼の言う通り、二人はこれからの陸軍を背負うべき人材と言えようが。
「閣下・・・もしも不慮の事態になった場合は」
「そん時はそん時だ。運の良さも実力ってな・・・ここで死ぬ様なら奴らもその程度だったって事だ」
苦言を呈するコモドールにアトーラスは今の今までの豪放磊落な雰囲気を打ち消し、どこか冷徹な顔で言い放つ。
「そういやてめえの所のペガなんとかだってか?」
<ペガシオンだ。そちらのカーネルとは交友を結んでいると聞くが>
「お前とフレ公がそいつに期待を寄せているのは知っている。それと同じように儂もカーネル達には期待を寄せているんだ。今回は儂の我儘にちょっとだけ付き合ってくれ」
<貴様に迷惑をかけられるのは何時もの事だがな。些かこのやり方は参考にはしたくないものだ>
フクロウルとフレーヴェルスが今、自身らの後継者に成りうる逸材と期待を寄せているペガシオンを引き合いに出され、普段ならば無駄な将兵の犠牲が出ると反対をするであろうフクロウルもアトーラスのやり方に黙って従う他無い。
とは言え思うのだ。
(付き合わされる兵士らからすれば溜まった物ではないな)
内心で溜息を吐きながらフクロウルの立体映像はその場から消えた。
「・・・ところでですが」
コモドールが思い出した様に口を開く。
「・・・あ~?」
「先程フクロウル殿も話していたのですが・・・」
アトーラスが戻ってくる前に雑談とばかりに話していた話題を口にしようとするコモドール。
「フクロウル殿とこのコモドールの勘が正しければ・・・」
「ソルトコールか或いは三幹部の誰かがあそこに居るってか?」
「ハ・・・今の今まで我らに尻尾を掴ませなかったのです。何らかの目的があって我らを誘き寄せているのは確実だと思われます」
コモドールの言葉にアトーラスは腕を組み無言になる。
既に言われるまでも無くアトーラスも敵の不可解な動きに何らかの意図がある事は察している。
「大首領(マスター)アルバートだったか・・・ブラックなりソルトコールも一応の思惑はあるだろうが、恐らく大元はそいつが企んでる計画の一端だろうな」
『あんまり他の連中の考えに頭を巡らせるのは得意じゃないが』と付け加えつつ、アトーラスは自身の予測を口にする。
「ここはランファント遺跡群の中枢であった月の神殿跡地にも近い。密林だけでなくその地下に何が潜んでいるやら・・・」
「もしかしなくてもその古代遺跡の地下とやらでとんでもねえのを造っていたりしてな」
コモドールの懸念にアトーラスは面白そうに笑う。
相変わらずな主に頭を抱えながらもコモドールも端末を開くと己が指揮する者達に指示を送り出す。
「別に若造共がどうなろうと知った事ではありませんが。事と次第では今後の脅威となる・・・私個人も出来る事はさせて頂きますよ」
口煩い参謀に『好きにしな』と言いつつアトーラスは目の前に置かれたモニターに目を向けていた。
「・・・・・・」
そんな上司らの思惑など露知らず陸軍の一兵卒であるフロスト=キバトドスは内に沸き立つ苛立ちを隠すのに必死であった。
キバトドス自身、今回の討伐に関しては久しぶりの実戦と言う事もあって意気込みも人一倍はある。
のだがどう言う意図は知らないがアトーラスらが行った編成によって悪友のビストレオとは別の部隊に割り当てられてしまった事。
その上で己を指揮するのがあのカーネルと言う事で内心で不満を抱かない筈が無い。
しかも・・・しかもである。
この時点でもはやストレスしか感じないと言うのに明らかに場違いと言うべき会議に出席させられているのだから堪らない。
周囲を囲む士官らの視線は当然の事ながら冷たい。
元イレギュラーの一兵卒が何故に自身らの会議の場に居るのか。
(カーネルの野郎・・・)
自身に作戦会議への出席を命じた忌々しい指揮官は、キバトドスの苛立ちを知ってか知らずか何時もの様に己の席に座ると一同を見渡し咳払いをする。
「既に話は聞いていると思うが・・・」
開口一番カーネルが作戦概要を口にする中、一人の士官が手を上げる。
「失礼ですがカーネル中佐、場違いな者をこの神聖な軍議の場に呼んだ意図をお聞かせ願いたい」
士官の言葉にキバトドスが鋭い視線を送る中、カーネルが軽く手を上げ士官の次の言葉を遮る。
「キバトドスをこの場に呼んだのは私個人の考えだ。当然だが、知略面での活躍を期待している訳ではない」
(言われなくても俺が頭悪いのは自分で分かってるつーの)
カーネルの言葉を受け何人かがせせら笑うのを見てキバトドスの苛立ちは頂点に達する。
「キバトドスよ、もう少しだけ堪えてくれ。私が貴様を呼んだのはその経歴ゆえだ」
「元イレギュラーの俺に話なんて聞いても無駄だろ?」
己を制する様に手を上げるカーネルにキバトドスは横柄な態度で返す。
この時点で上官への態度が悪いと制裁を加えられても仕方が無いのだが、カーネル自身はそこに気にした様子は無い。
「雪原地帯でイレギュラーハンターや我らレプリフォースを相手に数ヶ月も逃げ回り、その間に略奪を含めた破壊活動の限りを尽くした薄汚いイレギュラーですよコイツは」
横目で己を見る士官にキバトドスは舌打ちをし睨み据える。
彼に言われるまでも無く元イレギュラーと言う前歴を持つキバトドス。
彼が率いた強盗グループは当初こそ少人数であったのだが、その活動が長くなるにつれ組織も巨大化し、最終的にはイレギュラーハンターの討伐隊を差し向けられる程になる。
そのイレギュラーハンターすら出し抜き活動を続けた彼らであったが、追加で派遣されたレプリフォースの圧倒的な戦力を前に成す術無く敗れ去る。
もはやこれまでと離脱する仲間達の時間を稼ぐ為にレプリフォースの陣地に突貫したキバトドスであったのだが、陸軍元帥アトーラスの膂力を前に轟沈。
既にイレギュラー認定も受けており、死は免れないと囚われの身となった後も不遜な態度を取り続けていたのが気に入られたのかどうかは分からないが、彼の才を惜しんだアトーラスはキバトドスに司法取引を持ち掛ける。
結果として己の罪を不問にする代わりにレプリフォース陸軍に属する事となった彼にとって、イレギュラー時代の話は一つの黒歴史と言えよう。
「行った行為に関しては褒められたものではない。だがハンターや我々を相手に寄せ集めの戦力で数ヶ月も逃げ回る事が出来たのだ。逆に問うがお前達や我々に同じ事が出来るか?」
「そ・・・それは」
冷静に言葉を続けカーネルは士官らを黙らせる。
「敵は元レプリフォースのデッドフォースだ。悔しいが我ら以上の修羅場を潜り抜けた者達が相手なのだ。その点は認める他無い」
久しく実戦と言う機会に恵まれなかった事実はカーネルも認識している。
己らの弱点を再認識する上でもカーネルはキバトドスをこの場に呼んだと言う事らしい。
「キバトドスよ。貴様の経験から我が軍の弱みを指摘して欲しい。無礼は承知の上だ。堅苦しい言葉でなくても構わんし、どのような発言をしても不問するから遠慮なく言って欲しい」
じっと己を見据えるカーネルに鼻を鳴らしつつ、キバトドスは面倒臭げに口を開く。
「あ~じゃあ言いますが。レプリフォースと言うかそもそもこれはハンター達にも共通する事なんですが・・・」
と若干言葉を選びながら言いかけたキバトドスであったが。
(あ・・・ヤベ)
己の思う所を言葉にしカーネルらに話を終えたキバトドスが真っ先に感じ取ったのは、周囲の面々から放たれる殺気だ。
カーネルに言われたのもあるがレプリフォースの弱みを話す内に話の中身は軍上層部、ひいては目の前に居るカーネルを含めたキャリア組への批判へと変わって行ってしまった。
強いストレスを感じていたのもあるが、一度喋り出すと止まらない悪癖もあってひとしきり話を終えた後にキバトドスは小さな後悔を抱いてしまう。
「これはぐ・・・軍法会議ものですぞカーネル中佐!!」
「無礼な奴め。今すぐに処断しましょう!!」
士官らが顔を真っ赤に立ち上がる中、カーネルも僅かに握り締めた拳をプルプルと震わせているのが見える。
何時もであれば怒鳴り散らしているだろうが、それすらもせずに逆に微笑んでいる様にも見える彼の顔からも怒りの程が窺い知れよう。
「ん・・・どんな事を言っても不問にすると先に言ったのは私だ。ここは堪えよう」
『んんっっ』とわざとらしい咳払いをしつつ、カーネルはエネルギーパックの中身を喉に押し込むと血相を変える面々を押し留める。
「だがキバトドスの話の・・・『前半の方は』私も認識している事実である」
敢えて強調しつつもキバトドスの話した内容、要はレプリフォースの補給軽視の風潮が見られる点についてカーネルは居並ぶ一同に指摘する。
「ここから先の密林地帯では思う様に動けまい。そしてどこから敵が襲ってくるかは分からん。そんな中で補給物資を輸送する部隊を襲われれば部隊全体の士気に関わる。それ故に平時とは違う部隊編成で動くとする」
それからの話はカーネルら士官らの話であり、キバトドスが何かを発言する機会などある筈も無く終わる。
「次回からは言葉に気を付けて欲しいとだけは言っておく」
会議が終わりそれぞれの持ち場に士官らが戻る中、キバトドスを呼び止めたカーネルが再度釘を刺すように注意をする。
「い・・・以後気を付けます」
冷や汗を掻きながら頭を下げるキバトドスにカーネルは口の端を僅かに緩める。
「過ぎた事はもう良い。なまじ恵まれた環境に身を置くが故に補給線の維持と言った基本的な事を疎かにしてしまう。私個人も痛感している事実だ」
『温室育ちの我々は逆境に弱いからな』とどこか自嘲気味に話すカーネル。
そこに『その通り』と合いの手を入れたくなるがそんな事をすれば今度こそ懲罰は免れないだろう。
流石にキバトドスでもそのくらいの空気は読める。
「恐らく相手は老練な相手だ。私の様な若造相手にどの様な手を打ってくるか・・・」
ぼやく様に口を開きながらカーネルは踵を返す。
「いずれにせよ。くれぐれも警戒は怠るな」
小さく敬礼をしながらその場を後にするカーネルをキバトドスは敬礼して見送る。
若干の緊張が解けた事もありキバトドスは嫌そうな顔で息を吐くのであった。
そして彼の相方と言うべきビストレオの方と言えば。
「あの・・・本当に宜しいので?」
困惑気な顔で己に問うてくる下士官にスラッシュ=ビストレオは苛立ったような顔で睨みつけていた。
普段であればぶん殴っていたかも知れないが、そんな事をすれば騒ぎになるのでビストレオは自重した。
「良いんだよ。どうせこんな細かい事気にする奴らじゃねえって」
補給物資を抱えながら己の持ち場に戻るビストレオら一同。
自身らの部隊を指揮するマグニティ=アテネや士官、参謀連中が会議を開いている今がチャンスとばかりにビストレオらは今回の従軍に用意された物資の一部を勝手に自身らの手元に確保していた。
言うまでも無く業務上横領となり、れっきとした犯罪である。
「我が軍ながら馬鹿だよな。物資の運搬は基本アイテムキャリアーとか言うメカニロイド任せ。でもってその物資の出し入れの許可は上の方の許可が出たと適当に言えばあっさりと通ると来たもんだ」
己らの分隊の持ち場に辿り着いたビストレオは手に入れた物資を前にほくそ笑む。
「聞いた話じゃ俺よりも頭の良い連中は物資の横流しを組織的に行っているそうだぜ」
「だとしてもやはりこれは軍規違反。見つかれば何が起こるか」
どこまでも生真面目な副官のグレンが咎めようとするが、ビストレオらはどこ吹く風である。
「とか言いながらもお前も俺と一緒に違反を犯してるじゃねえか。グレン、ここまで来たら一蓮托生だぜ~。それに俺の言う事も一理あるから従ったんだろ?」
「た・・・確かに」
ビストレオに言い包められ渋々従う他無いグレン。
「よしお前ら。遠征前に言った通りにしてるな?」
「準備は万端です兄貴~」
ビストレオの言葉に彼を簡略化した様な風貌のレプリロイド達が次々と声を上げる。
ビストレオ同様に元々自然公園のガードマンをやっていたライギャンと呼ばれるレプリロイド達だ。
『大暴れがしたかった』と言う極めて不純な動機で軍に入隊したと噂されるビストレオに付き従う形で入隊したライギャンらだが、軍人への適性は正直厳しいとしか言いようがない。
と言うか物資の横領をしている時点で軍人と言うかまともな仕事が出来るようにはグレンには思えなかった。
「余分にテントは持ったし、武器に弾薬にエネルギーパックも本来の倍は確保した。これで何かあっても大丈夫だ」
「流石です兄貴!!」
親指を立てるビストレオに対し能天気に声を上げるライギャン達。
グレンは思わず空を見上げるが周囲に密林が生い茂る中で夜空など見える筈が無い。
(そもそもなんで自分はこんな奴の副官をしているのだ・・・)
口にすればビストレオ以下の面々にボコボコにされかねないが、グレンはそう己の運命を嘆かずにはいられない。
グレン自身、自分がレプリフォース陸軍に無数に居る量産型の下士官レプリロイドのグランベレーの一人に過ぎない事は理解している。
組織の歯車として生まれ歯車となって死す。
そんな運命を半ば受け入れてすらいる彼だが、目の前の粗野で常識の欠片も無く見当違いの事ばかりする人物の面倒を見る為に生まれて来たのではないと叫びたいぐらいだ。
(どうせならカーネル中佐やアテネ少佐の下で働きたかった)
と言うのが彼の偽りなき本音である。
そんなグレンの憂いを知ってか知らずか能天気に騒ぎ出すビストレオら。
彼らを尻目にグレンは今の状況を冷静に判断する。
まずに自分はこのビストレオと言う問題ありまくりの人物が指揮する分隊の副官である。
今回自身らはデッドフォースの拠点の捜索及び敵の殲滅を命じられここ南米に派遣されている。
分隊の指揮官は目の前の男だが、直接的な部隊の指揮官はアテネ少佐であり自身らはその部隊の下に居る十数人の分隊に過ぎない。
でもってこうして物資の横領をしているのだが、それもこれもビストレオが『何があるか分からないから余分に調達しておくぜ!!』と出撃前に騒ぎ出したのがそもそも原因である。
言うまでも無く今回の遠征に当たり武器や弾薬などの物資は必要なだけ支給されているのだが、ビストレオはライギャン達に命じ出撃前からテントだの何だのと言った物を勝手に確保している。
そこはまだ自主的な動きでまだ咎める事では無いのだが、その上での横領と言う事で都合ビストレオらは本来支給されているだけの倍の物資を分隊内で抱え込む事となる。
『戦闘で使い切れば絶対にばれないって』とはビストレオの言だが、果たして本当に上手く行くのだろうか。
仮にばれた場合、保身を図るつもりは無いので自身ははっきりと白状しようとグレンは心に固く誓うのであった。
<各部隊、班は予定通りに動け!!敵はデッドフォースだ。正義の軍隊である我らが裏切り者に天誅を下すのだ!!それでは各員進め!!>
端末越しに凛とした声が響く。
自身らを指揮するアテネの号令に従いビストレオらは密林の中を進む。
<第3分隊遅れているぞ。第15班はどこに行った?>
行軍を始めて数時間、早速だが各部隊に遅れや乱れが生じ始める。
「ハッハッハ。こんなの自然公園じゃ当たり前だっての」
そんな中、意外にも要領良く進むビストレオ達。
元々自然公園でガードマンをやっていたと言うビストレオやライギャン達は足場の悪い密林であっても慣れた様子であった。
情けないがグレンも先程沼に足を滑らせライギャン達に引き上げてもらっており、この場においては彼らに頭が上がらない。
「このまま先に行って手柄も独り占めってか~」
とビストレオが言いかけた時であった。
<第2分隊、先に進み過ぎだ!!>
「え?いや俺達予定通りに進んでるだけ・・・」
<他の者達が遅れている。前もって各員の把握はしておけと命令していただろう!!>
不意にアテネの声が端末から響き、ビストレオは驚きながら返すも更に罵声に近い言葉で返される。
声の調子からしてかなり不機嫌になっているのは間違いない。
「いや・・・俺達予定通りの速度で進んでるよな?」
困惑するビストレオ。
グレンが把握するに自身らは当初予定していた通りの速度で行軍しており、寧ろ遅れているのは他の者達である。
ここで怒鳴られる筋合いは無いし、勝手に行軍速度を遅くすれば逆に『遅い』と咎められた可能性すらある。
軍には理不尽がつきものだが、こればっかりはビストレオの方の言い分が正しいと言える。
「戻るのも癪だし。全員ここで待機な~ノロマな連中が来るまでさ」
先程までのテンションはどこへやら急にやる気を無くした様に話すビストレオ。
分隊長の待機命令が来るやその場に荷物を下ろす一同。
「今の内にエネルギーパック飲もうぜ~」
と言い出しながらエネルギーパックを口に含み出すライギャン達。
このペースで飲めば目的地に着く頃には使い果たしているのではと思ったがいちいち指摘する気分ではない。
そもそも必要以上に物資を持ち込んだ意味があるのだろうか。
そんな事を考える中、ビストレオがまたしても端末から聞こえる怒声に耳を覆っていた。
幸いにも自身らにではなく他の足が止まっている者達への叱責だった様だ。
「うるせえな・・・」
そう言って端末の電源を落とすビストレオ。
『妨害電波が出てたって事にしとけ』と言いつつビストレオはその場にある人工林の木にもたれる様にして座る。
「どう思うよ。あのガミガミ女、お前らの方で人気あるのか?」
「ガミガミ・・・とはまさか少佐の事で?」
作戦行動中だが不意に任務に関係ない話題を振って来るビストレオ。
驚くグレンにビストレオは『そうだ』と頷く。
こんな所で私語など懲罰ものだが、幸い他の部隊が己らに追いつくまでには一時間は掛かるだろう。
一応の余裕は確認しつつ、グレンは思考を巡らせる。
「正直な所、あまり評判は宜しくありませんな。海軍においては最近シーラ中尉が一部で人気とは聞いていますが」
「知ってる知ってる。でもなんかあの子ってタカビーな感じだろ~?まあ俺は好みじゃねえんだが、ていうかレプリフォースってよ~目の保養になる女子少なくね?」
軍内の女子についての話になり一部のノットベレーやライギャン達が集まって来る。
「知ってますか曹長。あのカーネル中佐の妹に当たるレプリロイドが製作中らしいですよ」
「自分も聞いたであります。兵器開発部に荷物を運ぶのを手伝った奴の話によれば、可愛い顔をしてたって話です」
「でもあの堅物野郎の妹だろ。どうするよあのガミガミ女の二号みたいだったら」
近々カーネルの妹と思われる存在がロールアウトすると言う話は陸軍だけでなく、レプリフォース全体で噂になっている。
「軍楽隊のレオーラちゃん」
「空軍に居るカセウェードの姉貴」
そこからはあの子が可愛いだの余所の組織に居るあの子が良い等々、モテない男達の話が弾む。
挙句に軍のオペレーターに女子が居ないのにハンターには居るのはおかしいだのと言う上層部批判の話へとすり替わっていく。
「俺が陸軍で出世したら女子を増やすぞぉぉ!!とにかくこの軍には癒しが必要だ!!」
熱弁するビストレオはさておきである。
半分白けた顔で一連のやり取りを見ていたグレンはふと自身の端末を目にする。
次の瞬間、グレンの顔が青ざめる。
「ビストレオ曹長。端末の電源を!!」
慌てる様に声を上げるグレンに一瞬怪訝な顔となるビストレオだが、すぐさに電源を落としていた端末を起動させる。
「・・・ん?」
この時になってビストレオは端末の画面に他の仲間達の反応が一切表示されていない事に気づいてしまう。
「これは・・・」
「恐らくジャミングでしょう。これでは我々は勿論の事、アテネ少佐の本隊がどこに居るのか分からなくなりました」
敵が潜むこの密林地帯で孤立するのは死に直結するのはビストレオでも分かる。
嫌な空気が場に流れる中、遠くのどこかで銃声と爆音が響く。
「恐らく敵襲です。仲間がデッドフォースに襲われているのでしょう」
グレンの言葉にビストレオの顔が引き攣る。
「待て・・・すぐに動くな。下手に動いたら俺らもミイラ取りのミイラになっちまう」
落ち着く様に一同に掌を向けながらビストレオが言う。
ドゴオオオォォォォォンッッッ!!
そんな中、凄まじい爆音と共に密林地帯にキノコ雲が立ち昇る。
場所や爆発の規模からして恐らく本隊の後方に居た補給部隊が攻撃を受けてやられたのだろう。
「誰か木に登れ!!でもって目視で距離測れ」
ビストレオの指示にライギャンの一人が急いで木を登っていく。
「あの爆発はエネルギーパックや弾薬を満載した輸送車両が破壊された際に生じた物と推測されます。補給が出来ないとあれば横領していた我々はともかく他の部隊は三日も持ちませんよ」
「わわわ・・・分かってる。どうすんだこれ?」
状況を冷静に口にするグレンに泡を吐きながらビストレオが叫ぶ。
今にも取り乱しそうなビストレオだが、実際グレンの方もパニック寸前である。
ややあって周囲を警戒していたライギャンが声を上げる。
彼が示した先に居たのは自身らと装いを同じくする者達。
『仲間か』と思わず声を掛けそうになるが彼らを率いていたのはキングポセイドンと呼ばれる、海軍に所属している筈の軍用レプリロイドであった。
その違和感を感じ取ったのか咄嗟に言葉を飲み込むビストレオ。
そして彼らが掲げるレプリフォースとは異なる所属マークを見るやグレンが叫んだ。
「奴らは仲間ではありません。デッドフォースです!!」
前海軍提督のイレイザー=ソルトコールが首領を務めている事もあり、デッドフォースの母体は海軍である。
それ故に従来のレプリフォースと違い元海軍の者が作戦指揮を担当する事が多い。
密林地帯と言う陸上においてもキングポセイドンが運用されていても不思議ではないのだ。
「既に囲いに入れたと思ったが・・・外側に居たか!?」
あちら側としても不慮の遭遇だったのだろう。
デッドフォースの一団を指揮するキングポセイドンが驚いた反応を見せながら、即座にデッドフォースにおけるノットベレーことデッドベレー達に指示を出す。
無言のままビームガンを構える敵にビストレオが腰を大きく屈める。
「こうなったらどうもこうもねえ。超特急でぶっ倒してやる!!」
両腕からビームクローを出しながらビストレオは咆哮を上げた。
一方、キバトドス達である。
(いきなり来やがった・・・!!思い切り良すぎだろ)
内心で毒気づきながらキバトドスは迫りくる敵に氷塊を放り投げる。
当初、敵はキバトドスの予想通り後方の補給部隊を狙って攻めて来た。
相手方の奇襲もあり、ある程度の損害を受けたがカーネルが予め予測していた事もあり被害は最小限に食い止められる。
逆に奇襲に失敗し退却する敵の方向からある程度の敵の拠点の位置を割り出し、後は偵察用のメカニロイドの調査報告を待つだけとなった時であった。
敵の主力と思われる軍勢が突然自身らを襲ったのは。
「おい!!カーネルに連絡しろ。このままじゃ持たねえぞ」
「ジャミングで通信が・・・」
キバトドスの怒声に急かされる様に下士官の一人が端末を慌てて操作するも、端末からの通信は一向に届かない。
「だったら森に火でもつけてこっちの居場所が分かるようにしろ!!」
「でもそれは・・・」
「俺が命令したって事にしやがれ!!」
キバトドスにどやされ下士官やノットベレーが慌てる様に動いた時だった。
ドオオォォォォンッッ!!
数メートル先に居たノットベレー達が衝撃波によって吹き飛ばされる。
キバトドスの視界を覆うのは巨大な象の姿をしたレプリロイド。
ガーネシャを思わせるボディに取り付けられた無数の腕を振るうその姿はレプリロイドと言うよりかはライドアーマーのそれを連想させる。
「グフフフフ・・・脆い脆いゾウ」
デッドフォースの大幹部ファング=ガネシャルヴは顔にある無数の目で周囲を見渡す。
圧倒的な力を見せつける元陸軍将官を前にノットベレーのみならずキバトドスも及び腰になる。
「まずは末端の貴様らを潰す。恨むなよ」
ニヤリとほくそ笑むガネシャルヴは敵の中で一際目立つキバトドスに目を向ける。
「小僧。その図体は飾りか?なかなかパワーはあると見たが」
全身より煙を噴き出しゆっくりと近づいてくる相手に今まで掻いていた汗が一瞬で引いて行くのが分かる。
(ヤベェ・・・相手は元陸軍将官だろ。俺なんかが勝てる相手じゃねえだろ)
と内心で怖気づくも相手に補足された以上は逃げる暇など無い事はキバトドスにも分かる。
当然の事ながら命乞いをして許してくれる相手でもないだろう。
引き攣った笑みを浮かべながらキバトドスは覚悟を決めた。
「来い・・・受け止めてやるゾウ」
「ああ・・・そうかい!!」
地面に手を置き冷気を放出するキバトドス。
一瞬の内にガネシャルヴの足元まで凍結させるや全速力で相手へと突っ込む。
凍結した地面の上を滑る事で本来の倍以上の勢いで敵に拳を叩きこむ事が出来る。
その上、相手の足元を凍らせた事で相手はその場から動く事が出来ない。
キバトドスの十八番の戦法だ。
「おらああぁぁぁぁ!!」
冷気を纏った巨大な拳がガネシャルヴの顔面に叩き込まれる。
本来であれば一撃で粉砕する筈の一撃をまともに受けながら、ガネシャルヴは顔を僅かに陥没させただけで平然としていた。
「グフフフ・・・ワシの顔に傷を付けるとは勢いは良し!!だがその程度では勝てないゾウ!!」
慌ててその場から離れようとするも無数に生えた腕がそれを阻む。
両肩口と腕を掴まれたキバトドスにガネシャルヴの残った二本の腕が次々と拳の連打を叩き込む。
「てめえ!!」
苦し紛れに放った蹴りも同じく蹴りで受け止められる。
「フロストファング!!」
「ブラッディファング!!」
冷気で伸ばした牙も同じ様に封じ込まれる。
その間にも無数の拳は叩き込まれ続け、頑強なキバトドスのボディが陥没し破壊されていく。
「グフフ・・・止めだゾウ!!グランドシェイカー!!」
膨大なエネルギーを纏った拳でもって殴り飛ばされ、キバトドスの巨体が宙を舞う。
「キバトドス軍曹!!」
下士官の一人が声を上げる中、キバトドスの意識は一瞬だが飛ぶ。
(ああ~ここまで飛ばされるのも久しぶりだな)
危機的状況化でありながら、どこか冷静な自分が腹立たしい。
どうせならもう少し頭が働けば良かったのだが、なかなか世の中上手く行かない物である。
「イテテテ・・・アトーラスの親父と戦った時以来だぜ」
「ほうアトーラスとやりあったか。その心意気や良し!!まだ陸軍にも活きの良い若造共が揃っている様だ」
己のボコボコになったボディを見るや苦笑いを浮かべるキバトドスにガネシャルヴは豪快に笑う。
無数の拳が握り締められキバトドスが無言で身構えた時であった。
「邪魔か・・・人が楽しんでいる時を狙って横やりを入れるそのやり口はフクロウルだな!?」
一体何をと思ったその時、無数の爆雷がガネシャルヴ目掛けて飛来する。
危うくキバトドスらも巻き込まれそうになるが、お陰で敵との距離が離れる。
「チチチチチ・・・友軍を巻き込みかねないギリギリを狙う。フクロウルらしいわね」
何時の間にか後退したガネシャルヴの背後に居たのは黒衣を纏った女性型レプリロイド。
蝙蝠宜しく木に逆さまになったまま静止する彼女はガネシャルヴの肩に舞い降りるとキバトドスに笑いかける。
「軍曹、あれも大幹部ですよ。デッドフォースの大幹部ノイジーラ=カーグラですって」
「分かってるよ」
足元で兵士の一人が騒ぐがキバトドスは舌打ちをするに留まる。
ガネシャルヴだけでも勝てる気がしないのにその上、大幹部がもう一人も現れ勝てる見込みは更に無くなった。
その事を悟る中、己に居並ぶ形で一つの影が地面に舞い降りる。
「先程の爆撃に誰も巻き込まれとらんやろな?」
「正直危なかったがな」
空軍と一目で分かる純白の制服を身に纏った女性にキバトドスは悪態を衝く。
「ウチは准将に言われてやっただけや恨みっこなしやで」
背に展開した翼を畳みつつ、空軍士官サファーデ=カセウェードは一見すると華奢に見える拳を握り締める。
「カーネルもその内やって来るで。上の方でウチらが誘導しとる」
耳元で囁くようにカセウェードが言う。
彼女自身が駆け付けてくれたこともそうだが、陸軍でも屈指の実力を持つカーネルが来たなら対抗出来なくは無い。
「フクロウルの子飼いの力を見るのも一興ねえ。チチチチ・・・折角育ってきた若手を潰したらアイツどんな顔をするかしら?」
妖艶に微笑みながらカセウェードを見据えるカーグラ。
一瞬だがこの場に居ないフクロウルに対する殺意を表す彼女にカセウェードは朗々としたものだ。
「大幹部やか何や知らんけど、ウチらを舐めたら痛い目遭うで」
「あ~ら~その言葉そっくり返してあげるわよ~」
腰を低くしたカーグラの瞳が怪しく光る。
彼女を肩に乗せるガネシャルヴも身構え、互い何時でも飛び出せる体勢だ。
僅かな間と共に動き出す強大な敵を前にキバトドスらも迎え撃つ様に飛び出すのであった。
「どうするんですか・・・?」
「いやどうもこうもねえだろ」
小さな声で己に問うてくるグレンにビストレオは同じ様に小声で返す。
チラリと彼らが見据える先に居るのは明らかに不機嫌な態度で用意された椅子に座る女性士官。
「何て言いますがその~他の奴らがどうなったか分からないですしここは一旦撤退するのも~」
「撤退はあり得ん。何としても敵の拠点を見つけ出して叩き潰す。ここでおめおめと逃げ帰れば私はアトーラス閣下に合わす顔が無い!!」
(まあそりゃお前の面子は潰れるけど・・・俺らを巻き込むなよ)
遠慮がちにゴマすりをしながら進言するもそれをあっさりと退けるのは、自身らの指揮官であるマグニティ=アテネその人だ。
周囲を見渡すと負傷した兵士らが多数転がる中でビストレオは思う。
(てかこのままで戦闘継続とか絶対に無理だろ・・・)
と軍略に疎いビストレオでも悟ってしまう。
そもそも初手で補給部隊をやられた時点でもう撤退決定と言えよう。
他の部隊よりも先を行った事で敵の包囲網の外側に位置する事が出来たビストレオ率いる分隊。
彼らは偶発的に遭遇したデッドフォースの部隊と交戦する事となるのだが、その結果デッドフォースの包囲網に綻びが生じる。
補給部隊をやられ互いの位置が分からぬ状況下で包囲されたアテネだが、目聡く敵の包囲が緩んだのを見るやそこからの脱出を図る。
結果としてビストレオらと合流する事となり、今は各所に散り散りになった仲間達を集め部隊の再編を目指している最中だ。
ややあってメタルホークと呼ばれる空軍の小型艦が飛来し、そこより何名かの空軍の兵士らが降りて来る。
「・・・遅い!!」
面と向かうなりアテネにいきなり叱責をされたのもあって空軍の兵士らは困惑顔だ。
「少尉のペガシオンです。准将の命令で負傷した方々の回収に来たのですが・・・」
困惑気にアテネに敬礼をするのはスパイラル=ペガシオン。
フクロウルや空軍長官のカムシーム=フレーヴェルスが成長に期待を寄せる逸材なのだが、ビストレオらがその事を知る筈も無い。
自身の想像以上に多いと言うか多すぎる負傷者の姿にペガシオンは唸る他無い。
「さっき補給部隊がやられたが我々はまだ戦える。お前らの持っている物資を寄越せ」
階級こそ上だが他軍のそれも救援に来た自身らに居丈高に命令をするアテネにペガシオンが渋い顔となる。
この辺りはペガシオンもまだまだ若い青年である。
「お言葉ながら負傷者数を見るに一度退くべきと思うんですが・・・」
「そこの空軍の人の言葉通り、一旦は怪我人を収容した上で・・・」
「嫌だ!!絶対に嫌だ!!私はまだ戦える!!」
ペガシオンの進言に便乗する形でビストレオも撤退を進言するのだが、とりつく暇は無い。
それどころかまるで拗ねた子供の様に頬を膨らませ、足をジタバタさせる彼女の姿にペガシオンのみならずビストレオらも呆れる他無い。
「次に敵に攻撃されたらやばいですって」
「あの・・・何時までもメタルホークも上空に待機させておけませんよ。この場に留まれば敵に撃墜される危険性がありますので」
兵士の一人が愚痴る様に言う中、ペガシオンが突き付ける様に言う。
そんな彼にアテネが射殺す様な目で睨み据えるも、逆に呆れた様な冷たい視線が返されるのみ。
結果睨み合いをする事となる両者を見て、直感的に危機を感じ取ったビストレオが作り笑いを浮かべ間に立つ。
「あれよ・・・とりあえず空軍の人らは動けない奴らを回収してもらって一旦帰ってもらう感じにしたらどうです?このままだと小型艦も良い的だし」
「元よりそのつもりです。想定以上に負傷者が多すぎます。後でこちらも陸軍を先導して回収に来ますので、それまではどうか変な気は起こさないで頂きたいですね」
ビストレオを横目で見つつ、ペガシオンは『言うまでも無い』とばかりに言い放つ。
(気に入らねえな。空軍らしい優等生な坊ちゃんだぜ)
どこか己らを小馬鹿にした様な態度が見え隠れするペガシオンに反感を覚えつつも、ここで諍いを起こす訳には行かない。
ここまで他人にゴマを擂るのは何年振りかと思いつつ、ビストレオは終始不機嫌なアテネに代わり負傷者を収容し退いていくペガシオンらを見送る事となる。
「既にアトーラス閣下らには報告が行っているでしょう。我々は救援部隊が来るまでここで防備を固め・・・」
「駄目だ。このまま作戦は続行だ。動ける者達を集めろ!!」
ビストレオに囁く様に言うグレンの言葉を耳にするや即座にそれを退けるアテネ。
己の失態を認めたくない彼女は意固地になっており、全く以って聞く耳を持とうとしない。
「そこまでして何で手柄に拘るんですかい?」
流石に疲労もあり思わず本音が出てしまうビストレオ。
彼女に睨まれ失言をした事に気づくももう遅い。
「奴に・・・カーネルに負けたくないからだ!!今回の任務で成功すれば私はあの男よりも有能である事を示す事が出来る」
ビストレオの言葉を受けてアテネも普段は決して口にしないであろう、カーネルへのライバル意識を鮮明にする。
軍内においてノンキャリアのビストレオからすれば同じエリート軍人の枠で一括りにされてしまう二人だが、実際の所は出世を巡って争う関係にある。
まあこの場合はアテネの方が一方的にライバル視していると言うのが正解なのだが。
同期で士官学校を卒業した時点であちらが首席卒で自分が次席卒だったのもあるが、同じ陸軍に所属した事でアテネからすれば常にカーネルは己の上を行く存在だった。
あちらの方が階級も一つ上となっているし、陸軍元帥であるアトーラスの覚えも目出度い。
ゆくゆくはカーネルが陸軍元帥になるのではと噂になっている事も、士官学校時代からしのぎを削ってきたアテネからすれば面白くない。
そして今回、同時に別行動で任務に当たる事となり、アトーラスは勿論他の者達にも自分がカーネルよりも優れている事を示す千載一遇のチャンスであったのだが。
「それで手柄を焦って敵にボコボコにされるとか正直笑い話にもなりませんぜ」
ここまで来ると上官への礼儀も無くなったビストレオがはっきりと彼女に感想を口にしてしまう。
「・・・お前!!」
アテネが顔を真っ赤にし起き上がったのと同時にビストレオの体が地面に沈み込む。
泥の中に顔を突っ込む形となったビストレオの体が軽々と持ち上がり、再度地面に叩きつけられる。
磁力を自在に操るアテネの仕業である事は言うまでも無い。
「後で懲罰にかけてやる!!」
今度は逆にアテネに引き寄せられビストレオの胸倉が掴まれる。
磁力の力を応用する事でアテネは本来の膂力以上の力を発揮する事が出来る。
でなければ女性型のレプリロイドである彼女がビストレオのボディをこうも簡単に持ち上げられる筈が無い。
「ぐ・・・軍規違反の懲罰なんて慣れっこだけどな。てかアンタ個人がどんだけ吠えようがこれ以上の戦いは無理だ。こんなん馬鹿の俺でも分かるぞ」
「何を・・・」
大きく鼻を鳴らすビストレオにアテネが空いた腕を振り上げようとするも、その前に周囲から自身に注がれる視線に気づき歯を軋ませる。
彼女とて今の状況で任務の継続が無理であるのは十分に理解している。
理解してはいるが己のプライド故に認めたくないだけなのだ。
「もういい!!」
ビストレオの体を真横に投げ飛ばしアテネは己を失望或いは蔑むような目で見る面々を睨み返す。
一対一なれば逆に怯ませる事も出来ただろうが、この数では勝てる筈も無い。
次第に目の端に涙が浮かんでくるのを隠す様に軍帽を目深に被る。
「私は今回の作戦の責任を取って敵に向かって特攻を仕掛ける。ついて来る奴だけついて来い!!後の腰抜けはここに残っていろ!!」
そしてそう叫んだかと思えば敵が潜む密林の中に走っていくのだから堪らない。
残されたビストレオ以下の面々は気まずそうに互いの顔を見合わせる。
「放っておけば良いんじゃねえの?」
と一人の兵士が呆れた顔で言う。
「いやこれはまずいですよ。少佐がやられたら部隊としては全滅扱いです」
「もう全滅みたいなもんだろ」
「勝手に行ったとは言えそれこそ上官を見捨てた我々が軍法会議にかけられるぞ」
あれやこれやと話し出す兵士達だが、誰も率先して彼女について行こうとする者達が居ない辺りはビストレオですら哀れに思う。
「まあ密林地帯で俺よりも早く動けるとは思えねえから。しゃあないから俺が迎えに行ってくるわ」
ライギャン達に周囲の警戒を怠るなと命令しつつ、ビストレオは面倒臭げに彼女の後を追った。
一方、勝手に飛び出したアテネだが小一時間もしない内に道に迷う。
前後の方向感覚もままならず中で密林の中に飛び出せばそうなるのは自明の理。
バシャアァァァ!!
ぬかるみに足を取られひっくり返った所で涙が止まらなくなる。
「糞・・・糞っ!!どうして私は・・・」
と自分への苛立ちをぶつけても何も変わらない。
涙を拭いながら周囲を見渡すも誰も自分についてこなかった事が分かる。
ガサッッ!!
そんな折、不意に目の前の茂みが動く。
無言のままビームセーバーの柄を手にするアテネに対し、銃を手にしたデッドベレー達が姿を現す。
「出たなデッドフォース。私はマグニティ=アテネ。栄えある陸軍士官の一人にして・・・」
「ハッ・・・カモになった部隊を指揮していた小娘だな。勝手に一人になってくれて丁度良かったぞ」
堂々と名乗ろうとするアテネを遮る様にジャガーの姿をしたレプリロイドが嘲笑を上げる。
元レプリフォースのゲリラ部隊を指揮していたチョッキング=ジャガール。
デッドフォースの大幹部ではないが実力者として知られるイレギュラーの一人だ。
「チョキンチョキン!!てめえの首を真っ二つに切り取ってやるぜ」
両腕の高周波ブレードを展開しアテネへとジャガールが真っ直ぐに突っ込んで来る。
更に周囲のデッドベレーも無言のまま包囲しつつ、手にした銃をアテネへと向けて来る。
ガキィィンッッッ!!
高周波ブレードとビームの刃がぶつかり合う。
ギィィィィィィンッッ!!
鍔迫り合いを始めると思われた瞬間、高周波ブレードが大きく揺れる。
刃を合わせただけで全身が軋み思わず舌を噛みそうになる。
振動と共に視界がぶれる中、アテネが歯を軋ませる。
「マグニティフィールド!!」
ギリッと言う音と共に奥歯が砕けるがそんな事を気にしている暇は無い。
アテネの体から発せられた磁力によってジャガールの体が後方に押し退けられる。
「構え・・・!!」
号令と共にデッドベレー達が銃を向けてくるのが分かる。
彼らが銃を放つ前に磁力を帯びたシャガールごとデッドベレー達が持つ銃を繋ぐ。
「・・・なっ!?」
驚愕するデッドベレー達の手元からすり抜ける様に銃がアテネの下に引き寄せられる。
慌てて起き上がったジャガールがブレードを構える中、アテネは己のエネルギーを片腕に集め始める。
「食らえ・・・マグニティゲイザー!!」
アテネが拳を地面に叩きつけ小規模の磁気嵐を発生させ、デッドベレー達が弾き飛ばされる。
「ええい・・・やってくれるじゃねえか!!」
苛立った様に叫ぶジャガールにアテネがビームセーバーの柄を放り投げる。
磁力による操作かビームの刃を自動で出したビームセーバーは回転しながらシャガール目掛けて真っすぐに飛ぶ。
ガキィィィィィンッッ!!
飛来したビームセーバーを受け止めた事でジャガールの動きが止まる。
俊敏性に優れたジャガールにとって動きを止める事は、己の長所を殺すに等しい。
「シザアァァァ!!」
気合の一声と共にビームセーバーが弾かれる。
ジャガールの目に映るのは跳躍しもう一本のビームセーバーを手にしたアテネの姿。
(・・・拙い)
孤立した小娘一人と侮った己の失態に歯噛みするジャガール。
反射的に片腕を出す事でアテネの刃を受け止める。
そのまま切り落とされる腕をそのままにジャガールは残った片腕の高周波ブレードを振るう。
アテネの脇腹にブレードが食い込むもそれ以上は進まず逆にブレードが浮く。
彼女が磁力を発しギリギリの所でブレードを食い止めたのだ。
でなければ今頃、彼女のボディは脇腹の傷を起点にズタズタになっていただろう。
「おおおおぉぉぉぉ!!」
気合の声と共にビームセーバーを構えるアテネにジャガールは今度こそ己の失態を悟ったのだが。
ドゴオオォォォォォンッッ!!
側面で生じた爆風にジャガールとアテネの体が吹き飛ばされる。
弾かれる様に起き上がった両者は砲撃を行ったイレギュラーに目を向ける。
「メェェラァァァ!!ジャガール、なにしてるカメ」
「俺ごと吹き飛ばしやがって。まあ助かったぜ」
結果として自身を助けた形となったアトミック=ネガトータスにジャガールは渋い顔になりつつも、素直に礼を言いアテネの方に目を向ける。
「危うくこっちの首が取られる所だったぜ」
「お前はそうやって敵を油断する悪い癖があるカメ。まあ俺が援護するからこれからはその心配は無いカメ」
二対一となり不利となる中、アテネが息を整える。
脇腹の傷から漏れるオイルは徐々に増えているがすぐに動けなくなる事は無い。
とは言え今の状況で目の前に居るデッドフォースの指揮官を二人倒すのは殆ど無理だろう。
(たとえ刺し違えてでもこいつらを倒す)
両手にビームセーバーの柄を握りしめ彼女が息を吸い込む中、彼女の見知った顔がすっ飛んで来る。
ズシャアァァァァ!!
全速力で走って来たのか足を止めた勢いで盛大に泥を撒き散らされる。
「超特急で駆けつけてやったぜ!!」
ビームクローを構えポーズを決めるビストレオだが、その隣で思いっきり泥を被ったアテネが鋭い視線を向けて来た事に気づき思わず数歩下がる。
「お前と言う奴は・・・いやもう良い」
何時もの様に叱責をしようとしてアテネは首を振り、目の前の敵に意識を向ける。
「なんだなんだ?仲間が一人来たからってどうなるってんだ?首になる奴が増えただけだ」
「てめえこそガミガミ女相手にもう片腕になってんじゃねえか。ジャガー如きが百獣の王に勝てると思ってんのか?」
「ライオンこそジャングルででかい顔出来ると思うんじゃねえよ。そもそもジャングルにライオンは居ねえからな」
似た様なモチーフ故か面識が無かったと言うのに互いに険悪な口を叩き合う両者にアテネとネガトータスが困惑気な顔となる。
暫しの睨み合いの後に両者は真っ向からぶつかり合うのだが。
彼、彼女ら四名も気づいてはいなかった。
キバトドスらの前に大幹部が現れた様にこの場にもデッドフォースの大幹部が居る事に。
「お前らさっさと起きやがれ」
アテネに吹き飛ばされ気を失っていたデッドベレー達を蹴飛ばし強引に叩き起こすのは巨大なザリガニの姿をしたイレギュラーだ。
「たかが小娘と言えどアトーラスの後釜候補ってだけあってその性能は侮れんか。まあどれだけ粘れるか・・・俺はここで様子を見させてもらうぜ」
激突する面々を余所に高みの見物を決め込むのは大幹部の一人、ヘルムス=ザリガンダ。
レプリフォース海軍きっての猛将であり、敵味方問わず恐れられた男は残忍な笑みを浮かべていた。
「まさかここまで簡単に引っ掛かるとはな」
密林の奥深く、ランファント遺跡群があった場所にほど近い隠された基地にて黒衣を纏った巨人が目の前に映されたモニターを見据えほくそ笑む。
「レープリフォースにとって我々デーッドフォースは存在すら許されぬ不倶戴天の敵。であれば見つけ次第、勇み足で攻めて来るのは必定」
初期型レプリロイド特有の訛りと共に口を開くのはシオマネキを思わせる風貌のレプリロイド。
前海軍提督にしてデッドフォース首領のイレイザー=ソルトコールだ。
「言うまでも無いがレプリフォースも馬鹿ではない。これが罠である事はある程度承知していただろう。恐らくは貴様か大幹部の一人は居ると判断していただろうが・・・」
「まさか全ての大幹部に首領のワシに加え、ここにお前まで居るとは思うまい。なあブラックよ」
ブラックと呼ばれた巨大なレプリロイドは片方の髭だけを動かし笑みを深くする。
「どうせならフレーヴェルスも連れてくるのであったなグランドリオンよ。アトーラスだけではこやつは止められん」
ここに居ない憎き相手の名前を口にしつつ、イレギュラー組織の最高幹部ジェネラル=ブラックは背後を振り返る。
地下の秘密基地内の空洞に眠る様に鎮座するのは巨大な猛禽類の姿をした兵器。
「ここに攻め寄せた者共を大首領より預かりしこの歪獣(わいじゅう)ファルザーの起動実験のサンプルにしてくれるわ」
最終調整を終え、既に起動を待つばかりとなった最終兵器が一つ。
それを見据え笑みを深くするブラック。
「これがファルザーか・・・話は聞いていたけど」
今の今までその場に居なかった筈の人物にブラックの顔が不快気に歪む。
そんな自身への反応を意に介さず、毛皮のコートを着込んだ女性はゆったりとした動作で手すりに持たれファルザーを見下ろす。
「ボクの事は気にしないで。ちょっと興味があっただけさ、人間達の技術力がどこまで我々に近づいたかね」
「貴様も元人間のくせに良く言う」
「ハハッ・・・それを言われると手痛いね。・・・でこのファルザーにグレイガだっけ?次のアルバートの作戦の肝は・・・」
「そう言う事になりますな。スキュレー殿」
ソルトコールにスキュレーと呼ばれた女性はオオカミの仮面を被った顔から唯一垣間見える唇を緩める。
「この歪獣達が本格的に動き出した暁には貴様らブリザー軍団にも協力してもらうぞ」
「ああ・・・裏切るつもりは無いから安心してくれたまえ」
憮然とした顔で言うブラックにスキュレーは茶化す様に笑い、そのままその場から姿を消してしまう。
「胡散臭い女だ」
苛立った様に掌で指揮棒を叩くブラックの顔をソルトコールは見上げる。
そしてこう思うのだ。
(胡散臭いと言う点では謀略の数々をこなしてきたお前も一緒であろうに)
同族嫌悪だなとは言わずにソルトコールは踵を返していた。
何時もの後書きです。
話が長いのもあって色々と長くなります。
〇設定の変更もろもろについて
リブート前からキャラの設定は殆ど変わっていないが細かい部分で変更点はある。
元ネタがデストロンであったゲストロンがデッドフォースに。
アテネの最初の名前がソルブライトからマグニティに変更となった。
アテネ含めその辺りは後述する。
〇時系列について
この話は前書きにも書いた通り時系列的にはヴァヴァ編の頃となる。
まだアトーラスが陸軍元帥であり、カーネルやアテネもまだ一部隊を指揮する指揮官に過ぎない。
〇コモドールについて
リブート前には居なかった人物。モチーフはコモドドラゴン。
陸軍に所属する参謀の一人で階級は大佐。
ずぼらなアトーラスに苦労しつつも、彼の真意を言葉を解さずに理解出来る貴重な人物。
尚、お互いに似た物同士と言う事もあり基本不仲な陸軍、空軍の垣根を超えフクロウルとの関係は比較的良好。
〇アトーラスについて
今回は敵の罠と分かりつつ期待株のカーネルとアテネを想定外の戦場に送り込むと言う豪快な面とは裏腹のダーティな部分を強調させた。
この話の時点では後方の本隊を指揮しており、あまり動いていない。
〇フクロウルについて
今回は陸軍メインなのであまり出番は無い。
階級は上である筈のアトーラスを貴様呼ばわりしたりと若干の軋轢がある所が描写されている。
彼の任務は参加する部隊の援護の為、あまり大規模な艦隊を連れて来てはいないようだ。
〇カーネル側について
キバトドスにとってイレギュラー時代の話は黒歴史であり禁句である。
そういう点では彼もそこは恥じていると言うべきか、事の経緯は作中にあった通りである。
キバトドス自体は単細胞であるが、勘は鋭い方でその点はビストレオも同上。
普段はそこまで口は軽くないが、話し出すと止まらなくなる悪癖がある。
この時点での彼の階級は軍曹である。
カーネルに関しても典型的なエリート軍人に見えて、自身らの弱点を把握しアウトローなキバトドスに意見を求めるなど、意外に柔軟な所はある。
但し冗談は通じないので注意と言う性格。キバトドスの罵詈雑言も最初に自分が何を言っても良いと言ったから不問せざる得なかったと言うのが本当の所である。
そういう意味では基本優秀な常識人に収まっている。
この時点では妹はロールアウト前なので馬鹿兄でも無いので弱点は少ないと言えるかもしれない。
〇ビストレオらについて
志願して入隊したと言うのは公式設定だが、自然公園のガードマンと言うのは独自の設定。
リブート前と違いライギャン達(池原先生の描いたイレギュラーハンターロックマンX内に出て来るオリキャラ)と共に入隊している。
彼率いる分隊は陸軍内のカチコミ分隊とみたいな扱いとなっている。
ビストレオの階級は曹長で副分隊長のグレンは軍曹となっている。
キバトドスよりも階級が高いのは一応、ビストレオの方は前科が無い為である。
主で苦労人の副分隊長のグレンの目を通して語られているが、終始突っ込みを入れては頭を抱えると言う可哀そうなポジションに。
彼の見た目はゲーム中でライデンなどに乗ってる兵士である。
余談だが名前は出なかったがカーネル付きの従卒のベリットやペガシオンの副官サージェ等、名前ありのモブはそれなりに居たりする。
因みにビストレオらが簡単に物資を調達出来た様にレプリフォース自体が物資の管理をやや軽視している傾向にある。
この辺は自身らに勝る勢力が地球上に存在しない事や常に連邦政府から手厚い資金援助を受けている所から来る一種の驕りと言える。
ビストレオらが口にした通り物資の横流しをしている者達もおり、軍規の乱れが垣間見える。
とは言え流石にビストレオの様な単細胞がそんな事をすれば、即座にばれるのは言うまでもない。
あくまでも現場レベルでの横領は比較的簡単と言うだけの話である。
〇ビストレオの貯め込み癖について
この辺は実は彼がビビリな所が大いにあり、頭の悪い彼でも物資が無くなると戦えなくなる事は理解しているようだが些か病的と言えるかもしれない。
実際貯め込むとライギャン共々安心して浪費してしまうので、持っていようが持ってなかろうがそこは変わらなかったりする。
それと軍楽隊のレオーラちゃんなる人物はホワイトライオンモチーフらしい。
〇デッドフォース大幹部について
ガネシャルヴとザリガンダについてはリブート前と殆ど変わらないが、カーグラのみ性別含め色々と変更となっている。
元ネタはソルトコール共々デストロン大幹部なのだが、リブート前のワイズマン=フェザリオンなるキャラが個人的に特徴が無く失敗だったと思った所とジェネラルや総監らの同型機をリオンシリーズと総称した為、フェザリオンと言う名前が些か不都合になった為である。
フェザリオンと言う名前もありといえばありなので、別の形で出る事はあるかもしれない。
カーグラについてはモチーフはカグラコウモリ。元空軍参謀でフクロウルと色々と因縁があるらしい、一見すると若く見えるがフクロウルとしのぎを削った所からも分かる通り結構なお歳である。
因みに彼女こそが妨害電波の発生源だったりする。彼女を倒さない限り、妨害電波は止まらない。
〇ペガシオンについて
今回は残念ながら脇役である。
今年、軍に入隊したばかりで階級は少尉。
ビストレオからすると典型的な空軍のエリートにしか見えなかった。
彼の方も「ノンキャリアのくせにうるさいな」と思っていたかも知れない。
〇カセウェードについて
リブート版追加キャラ、空軍の女性士官でペガシオンらの先輩。
空軍の士官の層が薄かったので追加した。
モチーフはヒクイドリで総合格闘技のサバットを使う空軍屈指の武闘家。サファーデもサバットの別読みで靴を意味する。
気さくだが好戦的な人物。サバットがそうである様に杖(対レプリロイド用)を使った戦闘術にも秀でている。
〇アテネについて
今回一番キャラが変わっている人物。しかも悪い方向に。
リブート前が気は強いが若干特徴が無い所もあったのでリブートの結果、カーネルをライバル視する人物に。
彼女からすると常に自分の先を行くカーネルが気に食わなくてしょうがないらしい。
カーネルの方は自身の同期で共に陸軍を盛り上げていく同士と見ているのだが、その辺の態度も相手にされていないようで癪に障るようだ。
この辺はカーネルの妹が出来てカーネル個人とももう少し接点が出来なければ改善はされないだろう。
前述の名前の件からも分かる様に能力の方をエネルギー系から磁力系に変更されている。
相手が基本的に金属の塊であるレプリロイドなのである意味でチート能力である。
どこぞのフォースの使い手の如く相手の体ごともしくは手に持っている物を強引に引き寄せたり、吹き飛ばしたりできるのだがこの系統の能力の宿命として割と大雑把な面もあるらしい。
作中では披露していないが磁力を利用して短時間なら飛行も可能である。
磁力を操る関係上、高圧電流など電気系統の技が弱点となっておりそんな意味でもカーネルとの相性は悪かったりする。
作中ではプライドの高さと出世欲が強すぎて問題点ばかりしか見えないが、ビストレオのお陰で包囲網が崩れたのを即座に見抜いたり短期で複数の相手を圧倒したりと能力の高さは見せている。
とは言えビストレオにガミガミ女と言われるぐらいに高圧的なので人望が無いのが最大の欠点。
要は余裕が無さ過ぎるのである。
その点、カーネルはまだどっしりと構えているので将兵らも安心できるようだ。
〇ジャガール、ネガトータスについて
ハサミジャガーとカメバズーカ・・・今回の出番は無かったので以上と行きたいが軽く触れる。
ジャガールの方はレプリフォースの元ゲリラ部隊の隊長だったようだが、作中の様子からも分かる様に実力はあまりなかったようである。
作中では有利な状況下でありながらアテネに追い詰められる等の失態を見せている。
もしもネガトータスが援護しなければ倒されていた事だけは付け加えておく。
ネガトータスは軍属では無く在野からの志願組である。
背に取り付けたキャノン砲もあって砲撃戦を得意とするが、見た目とは裏腹に俊敏で接近戦もこなせるほう。
対照的な性格のシャガールとは仲が良い。
〇最後に出た人らについて
ブラックとソルトコールは特に変更なし。
彼らが言う様に何人かの大幹部は居るだろうとレプリフォースも予測していたが、まさかの大幹部勢ぞろいと他組織のブラックまでと万全の態勢で待ち構えていた。
電脳獣ではなく歪獣と表記を変えて登場したファルザーの元ネタは言うまでも無くロックマンエグゼ6のラスボスの片割れから。
エグゼの方ではカーネルらとも因縁があったが、作中でも形を変えての登場となった。
対になるグレイガの方も別の拠点で開発中らしい。
スキュレーもリブート版追加キャラ。
元人間でこの時代におけるブリザー軍団を統括する神子だがあくまでも顔見せとなった。
今回の後書きは以上です。
本文含め異常に長くなってしまいましたがここまで見てくださりありがとうございます。