胡蝶の雪   作:ねをんゆう

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30.柱合会議

しのぶが柱合会議のために産屋敷邸の方へと向かうと、そこではなにやら柱達が騒いでいた。

彼等がここまで騒ぎ立てる事は珍しい。

 

とは言え、今のしのぶに同じ様に騒ぎ立てる元気は無い。

無気力とまでは言わないが、心がここには無いため、口を挟むのも億劫な有様だ。

チラリと覗き込むと、なにやら風柱:不死川実弥が大きな箱を手に持ち、額に痣のある少年を挑発しているようだった。

少年はゲホゲホと咳込みながら、痛みを堪えて必死になにかを言い返している。

 

(あの子は確か……)

 

最後に雪那が鬼と戦っていた時に、彼女の後ろで倒れていた少年。

状況的に追い詰められていた所を雪那に助けられたようだが、その後もずっと様子のおかしい雪那を心配してくれていた覚えがある。

しのぶ個人としてはあの少年に悪い印象はない。

むしろボロボロの身体をなんとか動かしてあの瞬間まで雪那を助けようとしてくれていたことについては、とても好感が持てる。

 

しかし、気になるのは不死川が持っている箱。

なにやら鬼の気配がするが、あれはなんなのだろうか。

少年は必死にそれを取り返そうとしているが……

 

「………どうでもいいですね」

 

しのぶは少しだけ考えて、結論を出す。

考えることすら面倒くさい、直接聞けばいい。

今は一刻も早く会議を終わらせて屋敷に戻りたいのに、こんなイザコザで会議を長引かされるのは本当に困る。

しのぶはなによりも今は雪那の側に居たいのだ。

例えお館様からの話があるとは言え、できればそれも後でカラスで伝えて欲しい。そう思ってしまうくらいには来たくなかった。

 

不死川がなにやら大声を出して刀でその箱を突き刺そうとする。

 

きっとあれを許してしまえばまた一悶着なってしまうだろう。

そうなればまたあーだこーだと話すことになる筈だ。

だからその前に……

 

 

「なにを……騒がしくしていらっしゃるのですか?屋敷の前で」

 

「っ、胡蝶!?」

 

なぜそんなにも柱達が一斉にこちらを向くのか。

しのぶはそんな疑問を抱いた。

 

しかし、当の柱達からすれば今のしのぶを見て驚かないという方がおかしい。

今の彼女は必死に心の動揺を仕舞い込み冷静さを装うあまり、仮面の様な空虚な笑顔がその顔に張り付いているのだ。

怒気というか威圧感の様な雰囲気を漂わせ、そのうちに秘めている爆発物が一体どんなレベルのものなのか、触れるのも恐ろしい様なナニカを感じさせる。

彼女自身は自分が冷静であると思い込んでいるが、少しでも刺激を与えれば一気に沸点まで達することは容易に想像できるだろう。

このしのぶの姿にはさしもの岩柱: 悲鳴嶼行冥でさえも驚愕を隠せず、どうしてこうなってしまったのかの事情を知っている義勇はただただ目を背けることしかできない。

 

「不死川さん、貴方が何をしようが勝手ですけど、まさかお館様の庭を汚すような真似は致しませんよね?」

 

「………後で掃除すりゃあいい話だろうがァ」

 

「自分で出来るならそれでいいんじゃないですか?私達は汚したものを自分で拭けない様な子供では無いんですし」

 

「……チィッ、邪魔しやがって」

 

不死川は箱を乱暴に投げ捨てると、痣の少年は手を後ろで縛られているにも関わらず、滑り込む様にしてその箱を身体で受け止める。

何度も何度も咳き込む様子から、あれからまだまともな治療を受けていないのだろう。

治療は遅れれば遅れるほど悪くなることなど常識だ。

こんな所で問い詰めるよりも先に治療をすべきだろうと思いながら、しのぶは少年に鎮痛薬の入った水を飲ませることにする。

 

「坊や、とりあえず水を飲みましょうか。鎮痛薬が入っていますから多少は楽になると思いますが、怪我が治るわけではありません。無理をしてはいけませんよ」

 

「えっと……その……」

 

「毒なんて入っていませんよ。坊やは雪那を助けようとしてくれましたから、そんな恩人に酷いことをしたりはしません」

 

「っ!そうだ!あの人、あの人は大丈夫だったんですか!?」

 

「!……今は屋敷で眠っています。ですが、今この状況にいる坊やがあの子を心配できる立場ではありません。ほら、お館様が参りましたから、辛いでしょうけど姿勢を正してください」

 

今この状況で炭治郎が最も信頼できる人間。

それはきっと目の前のしのぶだろう。

義勇は自分と同じように口を出せる立場ではないから仕方ないが、目の前の彼女はあの雪那という少女と親しいはずの人物だ。

彼女の知り合いが悪い人間の筈がない。

事実、鬼を庇う自分にこうして助けの手を差し伸べてくれている。

雰囲気は怖いが、彼女から焦燥と不安な気持ちを感じる。

きっとそれは雪那という少女の容態が良くないからだろう。

炭治郎はとりあえず彼女の言う通りに鎮痛剤を飲み、痛みを堪えて姿勢を正す。目の前の女性に今できるお礼は、とにかくこの騒ぎを早く終わらせることだと判断したからだ。

 

「よく来たね、私の可愛い剣士たち」

 

「っ!」

 

そうして、姿勢を正した炭治郎とそれを満足そうに見るしのぶの前に、ようやくこの会議を主導していく人物が現れた。

変わらず人を落ち着かせる声でゆっくりと柱達の前に出てきたのは、鬼殺隊の実質的なトップとも言える産屋敷家当主:産屋敷耀哉。

一年前よりも病の進行が進んでおり、今では娘達から支えられていなければ歩くことすらままならない有様である。

目が見えなくなったのも少し前で本格的に限界が近づいてきているのが嫌でもわかるが、それでも彼はこうして変わらず自身の仕事をこなし続けていた。

 

「……畏れながら、お館様。柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますがよろしいでしょうか」

 

一通りの挨拶を終えた後、まるで問い詰めるより様に発された不死川の言葉に、柱達の目線が一斉に耀哉の元へと持ち上がる。

誰もが厳しい目線を向ける中で、しのぶは1人だけその炭治郎と箱の方を見ていた。

 

鬼を連れた隊士というのは驚いたが、あの時確かに雪那はこの2人を庇っていた。雪那が鬼の気配に気付かないわけがない。それでも守ったということは、なにかしら理由があるからだろう。しのぶとしてはそれが気になるので表立って否定はしない。

いつの間にか自分の物事の判断の基準に弟子の存在が占める割合が大きくなってきたことにも気づかないまま、しのぶは耀哉の言葉を待つ。

 

「そうだね、驚かせてしまってすまなかった。……炭治郎と禰豆子のことは私が容認していたんだ。そして皆にも認めてほしいと思っている」

 

「「!!」」

 

耀哉の言葉は鬼殺隊としては到底信じられないものであった。

鬼殺隊はその名の通り鬼を殺すための組織。

大抵の隊士は鬼に対して憎悪の気持ちを持ち、柱になる程長く活動していればその負の感情はもっと凄まじいものになる。

ここにいる柱達もまた、それは変わらない。

例え禰豆子が例外だと言われても信じることはできないし、そんな戯言をのたまう鬼はこれまで何匹だって見てきた。

当然ながら柱達の意見は賛成1、中立1、反対5、そして義勇としのぶ。

義勇が黙りこくって先程からなにも言わないのを見るに、彼が今回の件に大きく関わっているのではないかとしのぶは思った。大正解である。

 

 

「……では、手紙を」

 

「はい」

 

柱達の反対意見に対して、耀哉は返すようにとある元柱からの手紙を娘に読ませ始める。

内容はこの2人を容認してほしいということと、鬼の妹は2年もの間一切人に対して危害を加えていないこと。そしてもし妹が人に危害を加えた場合、その元柱に加えて水柱:冨岡義勇もまた腹を切って責任を取るということだった。

 

(……相変わらず、影で色々とやらかしてくれますね。冨岡さんは)

 

義勇が他人に相談事をしないことはいつものことながら、今回は珍しくかなり大きな賭けに出たらしい。

この少年に果たしてそれほどの価値があるのだろうか?

そんなことを論じるのは野暮だろう。

自分が雪那とカナヲにそう思ったように、きっと義勇はこの兄妹に全てを賭けたいと思ったのだ。

ある意味では義勇の成長とも呼べるようなこの出来事に、きっと姉が聞けば喜ぶだろうなとしのぶは思った。

 

(まあ、それだけで納得するとは思えませんが……)

 

しのぶの予想通り、その手紙だけで頑固な柱達を説得することなどできはしない。柱の鬼に対する憎悪は、そんな手紙だけで納得させられるほど生半可なものではない。

その手紙に感動しているのは炭治郎だけであり、再び柱達は紛糾し始めた。

 

「確かに、人を襲わないという保証ができない。証明ができない。それはみんなの言う通りだ。……だが、人を襲うと言うこともまた証明ができない。そうは思わないかな?」

 

「それは……」

 

「禰豆子が2年以上も人を喰わずにいる事実と、彼女のために3人の命が賭けられていること。これを否定するためには、否定する側にもそれ以上のものを差し出す義務がある」

 

「……っ」

「……むぅ!」

 

そして、次の耀哉の言葉が柱達の導火線に火を付けた。

 

 

「それに、炭治郎は鬼舞辻と遭遇している」

 

 

「なっ!」「そんなまさか……」「こいつが!?」

 

そんな事実を出してしまえば、柱達が紛糾するのは当然だろう。

以前に雪那としのぶ達が鬼舞辻と遭遇しかけたということがあったが、あのときも本部は凄まじいことになったのだ。

あの時だって実際には会ってまではいなかったが、この炭治郎は実際に顔を合わせたと言う。実際にあれと顔を合わせて帰ってきた者など、ここ数十年一人たりとも居なかった。荒れるのも当然である。

次から次へと議題にすべき話題が耀哉から話され、柱達は段々と混乱気味になっていく。耀哉の前だというのに炭治郎に向けて次々と質問を投げかけ始めた。

……気持ちは分かるが、これ以上されると確実に会議が延びる。

 

 

「皆さん、一旦落ち着きましょう」

 

「………胡蝶」

「……すまない」

 

「いえ、そんな急に鎮まられると私も困るんですが……」

 

ため息混じりのしのぶの言葉に、柱達は急に声を荒げるのをやめ、謝罪しながらそのままノソノソと元の定位置へと戻っていく。

なぜ今日はこんなにも自分の言葉をすんなりと聞いてくれるのだろう?普段はあれだけ自由にやっている人達なのに。

そんな当然の疑問がしのぶにはあったが、扱い易いことは良いことなので、いつもこうならいいのにと思いながらも良しとする。

今の自分が彼等にどれだけ恐れられているかなどということは知る由もない。

 

「ありがとう、しのぶ」

 

「……いえ、話を続けましょう」

 

お館様はそう言って笑ってくれたが、しのぶは本当にとにかく早く帰りたいだけだったので、その感謝を素直に受け取れなかった。

 

隊士が鬼を連れている、

人を喰わない鬼が現れた、

その少年が鬼舞辻と遭遇した。

なるほど、どれも重要な案件だ。

しかし、どれも最も重要な案件ではない。

 

今もそのことについて耐えきれなくなった不死川が鬼の醜さを証明すると言ってわざわざ室内まで行って箱を滅多刺しにしているが、それが証明するには一番手っ取り早い行動なので止めはしない。

早く解決してくれるのならそれでいい。

もし昔の鬼への憎悪に染まっていたしのぶならば、きっと彼等と一緒になってその結果に目を釘付けにしていたことだろう。

 

しかし、今のしのぶにとっては、そのどれもが二の次三の次の要件にしか思えない。

 

カナヲが今も見てくれているとは言え、雪那のあんな症状は初めて見た。

しのぶもカナエも知らない様な原因不明の病になっているとすれば、こうして目を離している隙に容態が悪化しても全くおかしくない。

少し前に聞いたことだが、雪那の母親は原因不明の病で亡くなったというではないか。

もし雪那がその母親と同じ病を発症してしまったとするなら……しのぶはそんな恐ろしさを抱えて今ここに居る。

目の前の話題に全く集中できないのも当然の話だろう。

 

その後も、義勇が痣の少年を押さえつける伊黒の腕を引き上げたり、鬼の少女が不死川を拒絶したり、痣の少年が鬼舞辻無惨の打倒を宣言して直ぐ様現実を突きつけられたりと色々あったが、想定していたより話は早く進んだ。

何故か皆が自分のいる位置から離れて座ろうとすることだけが分からないが、会議が予定より早く進んでいることはとても好ましいことだとしのぶは笑う。

 

「しのぶ、炭治郎達を蝶屋敷で迎え入れることは可能かな?」

 

「問題ありません。禰豆子さんについても姉に事情を説明すれば問題なく対応してくれるかと。……隠の皆さん、お2人を屋敷に連れて行ってくださいな」

 

「「は、はいぃっ!!」」

 

隠の者達が必要以上に怖がっている気がするが、しのぶには理由がよく分からない。

一度は炭治郎が抵抗して不死川に文句を言おうとしたりもしたが、隠達の火事場の馬鹿力によって問答無用で連れていかれる。途中、お館様が彼に何かを伝えたような気もしたが、これで柱合会議の大きな話題も終わった。

スムーズに進む会議の様相に、しのぶは少しだけ表情を崩した。

 

 

 

「しのぶ、少しいいかな」

 

「……なんでしょう」

 

柱合会議が終わり蝶屋敷へと帰ろうとしたところで、しのぶは耀哉によって引き止められた。予定より30分も早く帰れると急いでいたため、危うくそのまま屋敷を飛び出してしまうところだった。

いくら急いでいるからとは言え、流石に耀哉の言葉を無視することはできない。

しのぶは促されるがままに彼の目の前に座る。

 

「雪那のことなのだけどね、任務の方針を変えようと思う」

 

「……私も、丁度それを提案させていただくつもりでした」

 

耀哉が懐取り出した何かの紙を差し出した。

それが何なのかは分からないが、とりあえずしのぶはそれを受け取り目を通し、あまりの驚愕に目を見開く。

 

「お館様、これはまさか……」

 

「そう、雪那のこの1ヶ月の活動を纏めたものだ。確か雪那には他者に生命力を分け与える力があるそうだね、もしかしたらだけど……」

 

「……確実に使っているかと。こんな数字は私や姉でも不可能ですし、あの子の性格ならまず間違いなく使ってしまうでしょうから」

 

手渡された雪那の任務記録は凄まじいものだった。

柱になるために各地を巡って鬼を討伐していた頃の自分でさえ、ここまで精力的な活動はしていないだろう。討伐した鬼の数も医療行為の回数も、移動距離でさえも、普通のものではない。特に医療行為を行った相手の生存率については異次元の領域だ。

 

「調べた所によると、雪那は"白い幽女"なんて呼ばれていたらしいね。幽鬼かと思うほどに顔色を悪くして、力なく笑う様子が幽女のようだったとか」

 

「……雪那は肉体もですが、なにより精神的な方面で疲労を抱えています。これ以上、彼女を一人で行動させたくはありません」

 

「私も、それについては同意見だよ」

 

雪那を以前と同じように扱うことはできなくなるだろう。

それでも、彼女の力は間違いなく鬼殺隊になくてはならないものだ。

彼女が意識を取り戻したことを仮定して、その彼女をこれからどうしていくか。

それは今決めておかねばならないことだった。

 

「私としては今後もし復帰するとしても、彼女の任務については私付きにしていただきたいと思っています」

 

「……なるほど。確かに、それもいいかもしれないね」

 

「お館様には他の考えがあるのですか……?」

 

しのぶの質問に耀哉は一つ頷く。

 

「うん。今後の雪那についてなんだけどね、これは提案の一つとして受け取って貰いたいのだけど……炭治郎達と一緒に行動させたいと思っているんだ」

 

「炭治郎というと……先程の少年ですか?」

 

「そうだ。彼は今2人の同期の仲間と行動を共にしていて、僕は今後も彼等3人を揃えて任務に向かわせようと思っている」

 

「それはまた、珍しい扱いですね」

 

「うん……けれど、どうにもあの3人は色々と不器用でね。特に炭治郎は生粋の厄介呼びの性質を持っているらしい。確実に楽な旅にはならないと、私は睨んでいるんだよ」

 

「……つまり、雪那に彼等のお目付役になって欲しいと?」

 

「毎回じゃなくてもいい、それこそ普段はしのぶの任務の手伝いをすればいいさ。けれど、私が必要だと思った時にだけでも協力して欲しいんだ」

 

しのぶは考える。

炭治郎が生粋の厄介呼びだということは、まあ鬼舞辻と遭遇したり入隊したばかりで下弦の鬼と戦闘する羽目になったことからも明らかだろう。

だが、厄介呼びという点に関しては雪那だってそこそことんでもないものを持っている。どころか、その厄介から積極的に狙われている身だ。正直に言えば不安は残る。

 

「……一つだけ、お聞きしてもいいでしょうか?」

 

「なにかな?」

 

「お館様がそこまで仰られるということは、雪那はすぐに復帰できるようになって、かつ彼等と同行しても危険な目には遭わない。そういう勘があったから、という風に解釈してもいいのでしょうか?」

 

「……そうだね、後者についてはまだハッキリとは言えないけれど、前者については……間違いなく、雪那は復帰できるようになると思うよ。詳細までは分からないけれど、必ず」

 

「っ!!ありがとう、ございます……!!それだけで、十分です……!」

 

しのぶはその場を立ち上がる。

その話を聞いただけで、彼女に会いに行きたくなる気持ちを抑えきれなくなってしまった。

 

「その事については雪那と姉に相談してまた返答させていただきます。今後とも、雪那のことをよろしくお願いします。お館様」

 

「いや、今回の雪那の件については完全にこちらに非があったからね。彼女についての支援は私からも最大限させてもらうよ。時間をとらせてしまって悪かったね」

 

それだけを言うとしのぶは蝶屋敷へと走り出してしまった。

なんだかんだと言って、この1ヶ月誰よりも寂しい思いをしていたのは彼女だったのだ。

夜眠る時にも何か物足りない感覚を抱いた。

修練場や彼女の部屋を見る度にいつもそこにいた彼女の姿を幻視した。

研究をしていても雪那のことを思うと上の空になってしまう。

いつの間にかそこに居るのが当たり前になっていることに気付いて、

次にあった時にどれくらい可愛がろうかとばかり考えていた。

憎悪にばかり囚われていた彼女の心は、いつの間にかあの小さな少女に囚われるようになっていたのだ。

 

(……変わったね、しのぶ)

 

だからこそ、耀哉はそんなしのぶの変化に嬉しくなった。

鬼への憎悪だけに支配されてきた少女が守りたいものを見つけたことで、少しずつその呪縛から抜け出し始めたことを。

 

(……必ず、必ず私の代で鬼舞辻を殺す。子供達が幸せな生活を築けるように、しのぶ達が幸せな未来を掴めるように……絶対に私の代で全てを終わらせて見せる)

 

蝶屋敷の面々を見る度にその身に秘める決意が強くなっていたのは、耀哉もまた同じであったのだ。




鬼滅の刃の本誌を見てて思ったのですが……

しのぶさんと珠代さん、打ち込む薬作ってた時、絶対互いに内心でゲス笑いしながら楽しんでましたよね。珠代様のゲス顔ほんと好きです。

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