IS~絶望を祓う魔法使い達~   作:海人

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お待たせしました。
今話においてとうとう……



魔法使い降臨

KANZASHI SIDE

 

「……なあ、この組み合わせに作為的な意図を感じるのは俺だけか?」

「ドンマイとしか……」

 

クラス対抗戦当日。

対抗戦が行われるアリーナのビットで私は一夏の疲れきった呟きに励まし?の言葉をかけながら『打鉄 数打』の簡易チェックを終える。

 

「まあ良いか」

 

お互いに苦笑いするが一夏の言葉でそれを消し表情を引き締めてピットからアリーナへと出るゲートへと視線を向ける。

 

「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」

「織斑一夏、『打鉄 数打』出る!!」

 

一夏の叫ぶ声と同時に『打鉄 数打』はアリーナのゲートへと吸い込まれるように飛翔した。

 

 

 

ICHIKA SIDE

 

「…出て来たわね」

 

アリーナに姿を見せた俺への第一声は対戦相手である鈴から発せられた。

 

「…顔を会わせづらいんだよな」

 

……けど後回しには出来ないからな、と言うかしたら不味い。……主に俺に降り注ぐであろう4人の修羅達の猛攻に耐えきれる自信がないしな。

 

「1つ質問がある」

「なによ?」

 

俺の唐突すぎる発言に鈴は訝しげな表情を顔に出して聞き返す。

 

「中1の始めぐらいに言ったアレはそういう意味だったのか?」

「……そうよ、って言ったらどうなのよ?」

 

俺の言葉に鈴は肯定の意を示し続きを言えと無言で促す。

だから口にした……謝罪の言葉と拒絶の言葉を……

 

「気付けなくて悪かった、そして……ごめんな」

 

鈴からそう想われていたのに気付けなかった当時の俺は相当の馬鹿だったに違いない。

……まあ、他にも理由があるのだがそれは置いて……

 

「……それが、アンタの答えね」

「そうだ」

 

低い声で鈴はそう問いかけ俺はそれを肯定する。

何故なら俺は既に答えを出しているのだから。

 

 

 

死が互いを別つまで互いの傍に在ると。

 

 

 

あの時4人と誓ったのだから……

 

「なら分からせてあげる……

 

 

 

……私の本気をね!」

 

―――――試合、開始―――――

 

 

鈴の宣言と対抗戦が始まった事を報せる宣言が同時に響き渡った。

 

「くらえ!」

 

『十束』をガンモードの状態で牽制の射撃を行うが鈴は最低限の動きで回避と接近を繰り返しその手に持つ大型の青龍刀を俺に向け振るう。

 

「遅いわよ」

「そうかい!」

 

『十束』をガンモードからソードモードに変更し振り降ろされた青龍刀を受け止め切り結ぶ。

 

「便利な武装ね!」

「ロウ・ギュール製作の色物武装だからな!」

 

会話の間に右膝に格納されている『縛留』を起動させ連結されていた青龍刀の片方に巻き付け固定させる。

 

「一本貰い!」

 

力任せに引き寄せ鈴のバランスを崩すと同時に『縛留』が絡み付いた青龍刀をソードモードに変更した『十束』で叩き切り使用不可にしバランスの崩れた鈴に止めを刺す為に『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を発動させ急接近する。

 

「逃がすか!!」

「甘いわよ!」

 

その叫びと同時に放たれたナニかが無防備な俺に直撃し地面に墜落しかけた。

 

「…今のは?」

 

ギリギリのタイミングでバランスを取り戻し上を陣取る鈴を見上げる。

 

「今のは軽いジャブよ」

 

鈴は口元に笑みを浮かべてそう言いながら俺を見る。それを見て嫌な感覚を覚え慌ててその場を離れる、と同時に今まで居た場所の地面が軽く窪んだ。

 

「なるほど、大体分かった」

 

視認出来ない類いの攻撃だなと予想し、それなら以前戦闘したファントムの一体との戦闘経験を活かせると歓喜する。実際活かせたからそれから後の攻撃は普通に避ける事が出来た。

 

「見えない攻撃をなんで回避できるのよ!」

「6割勘で4割は経験で判断してるんだ、よッ!」

 

さあ、反撃の時間だ!

 

 

 

RIN SIDE

 

「ちょこまかと!」

「そう言えば今回はコレを積んでたな!」

 

肩部の龍咆(りゅうほう)から放たれる不可視の砲弾を紙一重で避けながら右肩に接続されているシールドの一部分を握り、シールドから分離されたソレを此方めがけて投げつける。

 

「投げた!? けど雑ね」

「問題ねえよ!」

 

投げつけられたモノを余裕を持って回避する事に成功する、挑発をこめて話しかけるが不敵な笑みを浮かべる一夏はその宣言と共に左腕を此方に向け其処に内蔵された先端に穂先が備わったワイヤーが発射され右側肩部の龍砲を貫いた。

 

「よし、片方は壊せた」

「うそで…」

「それと、後ろを注意しな」

 

だが、呟くよりも早く一夏が発した言葉と甲龍から発せられる警告音(アラート)にそれを遮られ、その直後後方から先程一夏が投げたモノが此方めがけて急接近していた。

 

「これってなんなのよ?!」

「ロウ・ギュール制作の色物武装其の6だ!!」

 

 

 

?? SIDE・Ⅰ

 

そこに彼女がいるのは不自然で、そして彼女の顔に宿る表情を見た者が居たならば直ぐに彼女から逃げ出す事だろう。

 

「……良かった、誰も居ない」

 

不自然であったのは彼女が足を進める先が既に1年2組と1年4組のクラス代表の試合が始まっている試合会場へと繋がる通路であった事。

 

「…早く始めナクチャ……」

 

逃げ出すだろうと予想した理由は彼女の顔に宿る狂おしいまでの歓喜の表情を見て恐怖の感情を抱いてしまうから。

 

 

?? SIDE・Ⅱ

 

ソレは空に居た。

 

……やっト…たドリ、つイた

 

その想いが全身を駆け巡るソレの体は末端から既に崩壊を始めていた。

 

「……丁どイ、イ」

 

既に限界である事を把握したソレは体の翼を使い……

 

―――――つギは、オ ま…え だ―――――

 

 

……ソレは僅かずつ削られていくナニかを自覚する事無く目の前の景色が歪んだ場所に居る見えない何かを次の宿主に選び……

 

 

ANOTHER SIDE

 

「鈴、ちょっと待て!」

 

私に気付いたのは4組のクラス代表だった。

 

「なに言って…」

「誰かが会場に入ってきた」

「はっ?」

 

あの女も此方を見ながら私の存在を確認すると少し驚いた顔になった。

 

「1年生だな」

「あれ? あの子って」

「知り合いか?」

 

そしてあの女の口から出てきた言葉に思わず嗤ってしまった。

 

「私の()のクラス代表よ」

「あははハハ……」

 

この女は何を言ってるんだろう?

お前がそうしたのにッ!!

 

《RIPPER》

 

あの時渡された力の源を開放させるために懐から取り出したソレから響く音声に2人は別々の反応を示した。

 

「何よ?」

「……?! 今の、まさか!?」

 

首をかしげる女と驚く男を見ながら私はソレを左の二の腕に押し当て……解き放たれた力を支える為の姿へと変わった。

 

「やっぱり『ガイアメモリ』かよ!!」

「『ガイアメモリ』?」

 

あの女はこれの事を何も知らず頻りに首をかしげている。それと比較して男の方は苦々しい表情を浮かべ私を睨むようにみつめて叫ぶ。

 

「おい、その『ガイアメモリ』を誰から手に入れた!」

『コレが何か分かるノ?』

「物騒極まりない代物だぞ、使い続ければ……」

 

……タダでは済まない。

そう叫ぶ彼は優しい人だと思う。だけど……

 

『もウどうデもイイの』

 

今の私はその女を■す為ならどうなってもいいんだから……

 

「なるほど、大体分かった。お前が狙ってる相手は鈴、だろ」

『そウだよ』

「どう言う事よ?」

「いや、考えりゃ分かるだろ?」

 

私と彼との会話に割り込んできた女の言葉に彼は『なに言ってるんだコイツ?』みたいな表情をしながら女に分からせるように口を開き説明する。

 

「いきなりやって来た奴にほぼ理不尽な形でクラス代表の座を奪われてたんだぞ?」

 

そう、その女がいきなり現れなければ……いや入学当初の時点から居れば何の問題もなかった。

当初は入学の予定が無かったのに転入生として途中の時点で転入した理由が『織斑一夏がIS学園に入学するのが分かったから』だ。

それを知った時に思ったんだ……自分も彼女のように自分自身の感情を素直に出しちゃって行動に移せばいいんだ、と。

 

「反論しても『国家代表候補生』で『専用機持ち』が相手じゃ、な」

『エエ、そうだッタ』

 

クラスの中でISがよく動かせただけ(・・)の自分と『代表候補生』で『専用機持ち』の女。

どちらを選ぶのなんて子供でも分かる事だ……だけど納得なんて出来る筈がなかった。

 

「じゃあ、これだけは言っておく」

『何を言ウつモリ?』

 

大したことじゃない。

そう呟いてから……その言葉を、私に告げた。

 

「お前がやろうとしてる事はな……お前が(この女)と同類になるって事だ」

 

 

 

ICHIKA SIDE

 

「お前がやろうとしてる事はな……お前が(この女)と同類になるって事だ」

『……?!』

「一夏!?」

 

俺の言葉に1人と1体は驚愕し動く事を止めその場に立ち尽くす。

 

「確かに今回の事は鈴の自業自得だろうな」

 

しみじみと思った事を声に発しながら翠色の指輪―――――ハリケーンウィザードリング―――――を左手の中指に通す。

続けて、右手の中指にドライバーオンウィザードリングをはめ、腰にかざす。

 

【ドライバーオン!プリーズ!】

 

その響きと共に待機状態のウィザードライバーが本来の姿に戻り腰に浮かび上がるようにして現れる。

 

「だから俺は綺麗事なんて言わない」

 

バックルの両端に供えられたシフトレバーを操作して、右手側に傾いたハンドオーサーを左手側に傾けながら、言葉を紡ぐ。

 

「お前が『ガイアメモリ』に手を出すに至った要因の1つは確かに(こいつ)だからな」

『……ならどうするの?』

 

俺の言葉に心底不思議そうに尋ねるド―パントに俺は自分の答えを告げた。

 

「止めるさ」

『止める?』

「ああ、お前が越えちゃいけないラインを越えさせない為にな」

 

《シャバドゥビタッチヘーンシーン! シャバドゥビタッチヘーンシーン!》

 

ウィザードライバーから鳴り響く音声を聞きながらハンドオーサーに左手の中指にはめたハリケーンウィザードリングをかざし、尊敬し目指すべき背中の持ち主達が紡ぐ『その言葉』を静かに呟く。

 

「…変身」

《ハリケーン プリーズ・フー・フー・フーフーフーフー♪》

 

上に翳した右手の先に現れた魔方陣は上から下へと通り過ぎ……俺の姿を漆黒のローブに包まれ翠を基本とした体色と仮面を纏う者―――――『指輪の魔法使い』、『仮面ライダーウィザード・ハリケーンスタイル』へと変えた。

 

『その、姿は?』

 

目の前で行われたこの変身(出来事)に驚きを隠しきれないのかド―パントのほんの僅かの戸惑いを含んだ言葉に仮面に隠された口元に少しばかりの笑みを浮かべ答える。

 

「……『仮面ライダーウィザード』…」

 

それはかつて1つの偶然から得た力。

 

 

 

初めは■■■■の■として見られるのを嫌い纏った仮面だった。

 

 

 

……けれど、『あの時』からは少しばかりの決意と約束の証として纏う仮面となった。

 

 

 

そして、数多の出会いを与えてくれたきっかけの名にして……

 

 

 

「この身に人外の怪物を宿す指輪の魔法使いの名前だ、覚えておけ!!」




どうだったでしょうか……
次回は色々と伏線を…

お楽しみに。
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