IS~絶望を祓う魔法使い達~   作:海人

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今回でかなりの伏線というか?が増えます。
?の大半は原作2巻編で明かされる予定。


風火演舞

ANOTHER SIDE

 

新学期を迎え様々な未来を夢見て入学した1年生が始めて体験する学園行事『クラス対抗戦』……その第一試合、1年2組VS1年4組において『ソレ(・・)』は現れた。

 

「仮面、ライダー? ……」

「ウソ、都市伝説じゃなかったの!?」

 

対抗戦に乱入しその姿を異形と変えた1年生の少女……そして4組のクラス代表が都市伝説として語られている存在―――――『仮面ライダー』―――――にその姿を変えた事に驚き、避難する事も忘れてその光景を見続ける。

 

 

 

 

「……都市伝説なんかじゃないよ」

 

 

 

唐突に小さく、普段なら間違いなく聞き逃していたかもしれないその言葉が私の耳に届いた。

 

「布仏さん?」

 

私と同じ様にその言葉が聞こえた子が言葉を発した子の名前を口にした。

 

「……仮面ライダーはね」

 

そして私はこの日聞いた言葉を忘れる事は生涯無かった。

 

―――――とんでもないお人好しで……大切に思うナニカを見つけようと足掻く探し人で、見つけたナニかを無くすのを怖れる臆病な人達なんだ―――――

 

 

 

ICHIKA SIDE

 

「さて、先ずは…」

 

《コネクト・プリーズ》

 

ドライバーオンウィザードリングを外し右手の人差し指と薬指にはめ変えたウィザードリングの1つ、コネクトウィザードリングを使い呼び出したウィザードソードガン・ガンモードを右手に握り構える。

 

「試させてもらう!」

『ハッ!』

 

引き金を引き銃口から放たれた銀の銃弾はドーバントに吸い込まれる様に命中……はせずにその両腕に纏う鈎爪に切り落とされ地面に落ちる。

 

「切り裂かれる、か」

『アアッ?!』

 

冷静に分析していたところに雄叫びを上げリッパードーバントは両腕の鈎爪で斬りかかるがウィザードソードガンをソードモードに変え切り結び力任せに振り回し弾き飛ばす。

 

「危ねッ?! って嘘だろ?」

 

鈎爪と切り結んだウィザードソードガンの一部が欠け刀身全体に皹がはしり全壊一歩出前に陥っていた。慌ててコネクトウィザードリングをリターンウィザードリングにはめ変えて人差し指にはめたコピーウィザードリングと同時に発動させウィザードソードガンを修復、複製し二刀流の構えをとる。

 

《リターン・プリーズ》

《コピー・プリーズ》

 

「さて、どう…」

 

するか、と呟こうとしたがそれは突如響き渡った轟音と俺とリッパードーバントの中間に降り立ったナニかとそれが降り立った際に発生した砂埃に中断を余儀なくされた。

 

「次はなんだ…よ……」

 

砂埃が少しずつ薄れ、俺とリッパードーバントの中間に降り立った影がその姿を現す………………

 

 

………一目見ただけで異常の一言が思い付く異形のISの姿と、それに絡み付く異物の姿を…

 

 

 

MAYA SIDE

 

この時管制室にいた私と織斑先生は一種のパニック状態となっていました。

人とは明らかに違う異形の姿と化した生徒と都市伝説の1つとして有名な『仮面ライダー』に変身した織斑君。

特に織斑君のお姉さんである織斑先生は変身した一夏君に驚愕の表情を隠しきれない程に動揺しています。

その最中にソレ(・・)は現れました……

 

「……アリーナのシールドが何かに突破されました?!!」

「映像を此方に回せ!」

 

突如管制室に鳴り響いた警報。

それはアリーナに張られたシールドを突き破りナニかが内部に現れた事を報せる物でした。即座に反応した織斑先生の指示によりメインモニターに映し出された内部の映像―――――正体不明のISとそれに絡み付く異様なナニカ―――――に私は息を呑み織斑先生は疑問を覚えたのか呟きながらも外で準備をしている救援部隊に連絡をいれていました。

 

「あれは、……ISなのか?」

『ア…エ、…、コワ…ス!』

 

そう叫ぶ異形(IS)は怪人と戦う織斑君を無視し後方に控えていた鳳さんに右腕を向け、そこから放たれた砲弾を鳳さんは紙一重で避け距離を置きます。

 

「鳳、聞こえているな?」

『はい、何ですか!?』

 

織斑先生が救援部隊到着までの回避を伝えようとした……

だが…

 

「直ぐに増援を送る、それまで「織斑先生!!」 なんだ!」

「アリーナ全体の機器がコントロールが不能になっています! そのせいで増援が!!」

 

私が報せたのはアリーナの制御が不能になり救援部隊の到着時間が現時点で予測不可になっていた事実。

 

「なんだと!」

『織斑先生!』

 

怒鳴り返す織斑先生と同時に織斑君が発進したビットから通信が入ります。

無人の筈のビットから一体誰が? そう2人して考えながら通信相手が映し出されたモニターの一角に視線を向けるとそこに自身の専用機を装着した私のクラスの生徒である更識 簪さんの姿がありました。

そして彼女の姿を見た瞬間、織斑先生の表情がほんの僅かですが歪んだ様に見えました。

 

「…更識妹か、なんのようだ?」

『私は今、アリーナのピットに居ます。此処の隔壁を壊せば直ぐに2人の援護に行けます』

 

何時もとはどこか違う声色で問いかける織斑先生に更識さんがそう答え私は時間稼ぎを頼むべきかを相談しようと……

 

「許可は出来ん」

『「何故ですか!?」』

 

……しましたが織斑先生の拒否の一言でそれは出来ずに更識さんと一緒になってその理由を尋ねました。

 

「お前もお前の父親と同じ様に『失敗』するだろうからな」

『なっ…』

 

織斑先生のその言葉に絶句する更識さんにその姿を見てどこか満足そうな雰囲気が感じられる織斑先生を見た私は……

 

「そうなれば問題が山積みだ、大人しく増援を…」

 

……決断した。

 

「更識さん、先ずは鳳代表候補生を安全圏まで運んで下さい」

「山田先生!!」

 

織斑先生が何か喚いているが今は気にする必要はないと判断し更識さんに動くよう指示を出しました。

 

「許可は私が出します! 早く行動に移りなさい!!」

『了解しました!!』

 

更識さんが私の指示に従う事を伝えた直後にアリーナに衝撃と騒音が伝わりました。

 

 

 

ICHIKA SIDE

 

目の前の状況に軽く舌打ちをしながらどうするかと考える。

 

「ドーパント2体が相手は少しきついな…」

 

正体不明のドーパントの登場はリッパードーパントにとっても予想外だったらしく足を止め此方の様子を伺っている。この姿(ハリケーンスタイル)はスピード重視で攻撃力には若干不満が有るし……

 

「仕方ない、持ち札(カード)1枚出すか……ドラゴン、力を借りるぞ」

 

短期決戦を覚悟しウィザードリングを全て嵌め変え準備を終えて……

 

 

 

 

……フレイムドラゴンウィザードリングをドライバーのハンドオーサーにかざす。

 

 

 

 

《フレイム・ドラゴン・ボー・ボー・ボーボーボー!》

 

鳴り響くと共に俺の周囲を舞うようにドラゴンの形をした炎が飛び回り、やがて俺の姿は姿をハリケーンスタイルから自身の中に宿る異形(ファントムドラゴン)の力をより強く引き出した赤のローブを纏った姿―――――仮面ライダーウィザード・フレイムドラゴン―――――へと変わった。

 

「狙うは正体不明のドーパントだ!」

 

《バインド・プリーズ》

 

発動したバインドの魔法により2体のドーパントの周りに発生した魔方陣から伸びた炎の鎖が四肢に絡まりその動きを拘束する。

 

『ナン、だ…コ、レハ!?!?』

『うごケなイ!?』

 

「これで終わりだ! くたばりやがれ!!」

 

2体のドーパントの動揺する様を横目に必殺技を発動する為のウィザードリングをハンドオーサーにかざす。

 

《チョーイイネ! スペシャル !サイコー!》

 

胸部に現れ具現化したウィザードラゴンの頭部・ドラゴスカルから放たれた強力な火炎放射、ドラゴンブレスは身動きの取れないドーパントに直撃、その反動で辺りを砂ぼこりが覆い視界が極端に悪くなった。

 

「……ヤったか?」

 

確かな手応えを感じながら視界が晴れソコには瓦礫とゴミとなったIS残骸とそれとは別のモノと認識出来るナニカがあった。

 

「それが……?!」

 

本体か? と言う呟きは誰の耳にも届かなかった、何故なら…

 

「合体した?」

 

そう、俺が口にした通り正体不明のドーパントが拘束していたリッパードーパントに纏わりつき一体のドーパントとなったからだ。

 

 

 

 

 

『……織斑一夏、聞こえるかい?』

 

 

 

 

 

驚く俺の耳に唐突に声が響き渡った。

 

「この声フ…」

『……名前はださないでくれ、それより照井竜から依頼された一件に関わりがあるようだから伝えよう』

「……出来るだけお急ぎを」

 

合体したドーパントから発せられる気配の質が変わり始めたのに気付いた俺はフィリップさんに直ぐに話す様に急かせる。

 

『その男が使用したメモリは『パラサイト』…寄生虫の記憶を内包した物だ』

「寄生虫? そうか!」

 

さっきの行動はドーパント同士の合体じゃなくパラサイトドーパントがISからリッパードーパントに宿主を変更したって訳か。

 

『……どうやら理解したみたいだね、だから【急いで】メモリブレイクしてほしい』

「急いで?」

 

フィリップさんのある言葉に違和感を覚えた俺はその言葉を口に出した。

フィリップさんとその相棒である翔太郎さんは『対ガイアメモリ』の仮面ライダーと言い切っても良い存在だ。それがわざわざ【急いで】と口に出したのを疑問に思ったんだ。

その理由は直ぐに説明してくれたが…

 

『寄生された方に限界がきたら手遅れになる』

 

時間制限と言う名の鎖が追加された事に舌打ちし今の状況に適したウィザードリングに嵌め変え魔法を発動。

 

「……チィ…了解。まだ罪を数えさせてませんからね!」

 

《トリック・プリーズ》

 

発動したトリックの効果により現れた俺の分身体3名はそれぞれが手に持つウィザードソードガンを構え宣言する。

 

「「「さあ、ショータイムだ!!」」」

 

 

 

KANZASHI SIDE

 

打鉄弍式の山嵐から放たれる48発のミサイルを一点集中で隔壁に発射、それらはピットとアリーナを分断する隔壁を破壊、私が通れるサイズなのを確認してアリーナに突入する。

 

「今度は何よ!?」

 

いきなりの爆発と現れた私を見て驚く鳳さんだけど今は無視、早く退避させて一夏への負担を減らさなきゃ…

 

「山田先生、アリーナのピットから競技場へ到着しました、これから鳳代表候補生をピット内部に運びます」

『急いで下さい、それとアリーナのコントロールの大半を奪取出来ましたので鳳さんと避難が出来たら一般生徒の避難誘導に加わっ……』

 

山田先生に報告を入れ指示に従おうとしたその時それはおきた。

 

「山田先生?」

「……はい、分かりました」

 

突然山田先生との通信が途切れたのと同時に鳳さんが一夏とドーパント達がにらみあう戦闘区域に乱入した。

 

 

ICHIKA SIDE

 

「一夏!」

「なん、っておい!?」

 

俺を呼ぶ声に意識を反らした隙間を通るように甲龍を装着した鈴が未だに動かないパラサイトドーパント? に突撃した。

 

「何がどうなってるんだ?」

「山田先生、応答して下さい!」

「簪、状況説明!!」

 

ドーパントに突撃する鈴を時間稼ぎとして使う事に決めた俺は簪に状況説明を求める。

 

「山田先生の指示で来たんだけど通信が途切れて鳳さんがいきなり…」

「キャアアアア!!!?」

 

簪は少し早口に焦りぎみで説明しようとするが鈴の悲鳴で中断されてしまった。

 

「うん、そうなる…よ、な…?!」

「うそ…だよ、ね?」

 

俺との試合で武装の一部を破壊されかなりのSEを消費している鈴の甲龍ではパラサイトドーパント? と呼んでいいか考える存在に叶う筈ないと簪同様に思っていたから鈴が装着する甲龍が踏みつけられていた光景は驚くに値しなかった……

 

 

 

 

 

……筈だった。

踏みつけられていた鈴が装着された甲龍が粒子となってパラサイトドーパント? に装着されるまでは……

 

「キマイラみたなドーパントだね」

「ギリシャ神話、だったっけ?」

「そうそう」

 

2人で現実逃避気味の会話をしているが許してほしいと思う。それとあのドーパントはこれからキマイラドーパントと呼ぼう。

 

「レベルアップしたのか?」

 

目の前でおきた現象の正体を考える俺に『打鉄 数打』を通して通信が入った。

 

『織斑、聞こえているか?』

「……ッ?! 聞こえています、織斑先生」

 

予想はしていたが通信相手は俺の実姉でありとおる理由(・・・・・)から疎遠になっている織斑千冬(ブリュンヒルデ)だ。

 

『後少しで救援部隊が到着する、お前達は後ろに下がれ』

「ちょっと待ってください。今の光景見なかったんですか?!」

 

ドーパントがISを装着したんだぞ? 下手したら救援部隊とやらが装着しているISも装着される可能性があるかもしれないのにッ!!

 

『救援部隊はベテランの教師達で編成されている、意味は分かるな?』

 

ベテランの教師達って……この言葉を聞いて頭痛を覚えた俺は悪くない筈だ。

ISの運用はベテランかもしれないけどISで対怪人戦闘なんてしてないのが確実な素人だろうに、と思ってしまった俺は間違っているだろうか?

 

「対抗策はあるんですか?」

『…………あ 』

「一夏、避けて!」

 

俺の詰問に何かを言おうとしたがそれよりも簪の警告を重視した俺は即座に後退、直後に先程まで居た場所の地面が突然沈んだ。

 

「今のって、おい! 甲龍の衝撃砲?」

 

甲龍を装着しているのだから使える、もしくは使ってくる可能性はあった。

だが鈴の時とは違いが合った。

 

「威力は桁違いに今の方が高いぞ?!」

「それ本当?」

 

キマイラド―パントの影響か、それとも何かが……

 

「織斑君、更識さん、下がりなさい!」

「先生達?!」

「後は私達に任せなさい!」

 

驚き考え込む俺達に声をかけながら通り過ぎるIS3機を見逃し慌てて追いかけようとするが通信相手によってその足を止めることになってしまう。

 

「ちょっとま…」

『織斑! さっさと下がれ!!』

「ISでドーバントを相手に戦闘なんて無理だろうが!!」

 

出来たとしても話に聞く『全身黒タイツの変質者(ショッカー戦闘員)』ぐらいだろうな…

 

『そんな事は!』

「現実見やがれッ!! 救援部隊で残ってるのは1人だけだろうが!!」

 

そう、俺達の口論の間に3機居たISの内2機は既に甲龍と同じ末路を辿っていた。

 

「一夏、もう残って……ない」

 

簪の声で先程まで戦闘が行われていたであろう場所に慌てて視線を向け……

 

 

 

……合計4機のISを装着しISを完全に取り込む為かその動きを止めるパラサイトド―パントの姿があった。

 

「改めて聞きます、俺達2人に戦闘許可を下さい」

『……織斑は許可する、だが更識は許可出来ん』

 

ここにきてようやく出しやがったと思ったが俺だけよ!

 

「何故ですか?!」

『更識妹、分からないのか?』

 

簪の尋ねる声に心の底から同意する俺になぜか嫌な何かを含んだ声が耳に届く。

それに苛立つ俺は2人の会話に割り込む。

 

「織斑先生、俺にも理解出来ないので説明をお願い出来ますか?」

『更識のISが今までの様に取り込まれたらどうする?』

 

今更、それかよ!

けどソレに関する対応なら、今までの戦闘を見る限りだと直接ISに接触してから装着されたから遠距離攻撃なら何とか……

 

「遠距離からの援護に徹すれば…」

『危険性が高すぎるな、それに…』

 

その顔に嘲笑を浮かべその言葉を口に、出した。

 

―――――あの男の娘だ、どうせ無様に失敗するだろうさ―――――

 

「千冬姉、あんたは……ッ!」

 

何時まであの時の事に拘ってるんた!!

口から飛び立とうとする罵声を必死に圧し殺して、その過程で今までの会話を振り返り……1つの抜け道を見つけた。

 

「織斑先生…」

『どうした?』

「つまり、簪がISを使用せずに戦闘を行えば問題ないんですね?」

『その通りだが…』

 

俺の確認の言葉に戸惑いながらも肯定する、恐らく簪がISを使用せずにドーパント相手に戦闘を行える手段を所持していると考えていないだろうからな。

 

「言質はとったぞ。簪、使ってくれ!」

「その手があった!!」

 

俺の言葉で察してくれたのか即座に打鉄弐式を待機状態に戻しそれと入れ換える様に制服のポケットから取り出した『ギャレンバックル』にダイヤのカテゴリーAが封印されたプライムベスタのラウズカードを挿入しバックルを腰に添え腹部に固定された。

 

「俺も準備する」

 

リングホルダーから必要なウィザードリングを選びはめ替えてトドメを刺す為の準備を始める。

 

「…変身!」

《TURN UP》

 

その間に簪は固定されたギャレンバックルのレバーを引き、簪の掛け声と同時に現れた長方形型の翡翠の幕は簪を通過すると共に消えて簪の姿を仮面ライダーギャレンへと変えた。

 

「まずは彼処から動かない鈴達から距離をとるぞ」

「了解」

 

《エクステンド・プリーズ》

《BIO》

 

俺はエクステンデッドを、簪はハートの7・プラントバイオを発動、通常ではあり得ない程に伸びた俺の腕と細くしなる鞭の様な木の幹がキマイラドーパントに絡み付く。

 

「「……せーのッ!!」」

《ビルドアップ・プリーズ》

 

掛け声と同時に発動させた《ビルドアップ》で筋力を強化、増幅させキマイラドーパントをアリーナの外壁部分へと叩きこむ。

 

「牽制!」

「了解!」

 

《コピー・プリーズ》

 

《BULLET》

《RAPID》

 

はめ変えたコピーウィザードリングを使い発動させたコピーの魔法で複製したウィザードソードガン・ガンモードを二丁拳銃で構え、発射する銃弾の威力と速度を強化したギャレンラウザーから共に放たれる銃弾の嵐がキマイラドーパントへと吸い込まれるように着弾、火花を散らし苦悶の声をあげる。

 

「簪、使うぞ!」

「良いよ!」

 

ウィザードドライバーにかざすのは簪に宿っていた風の精霊の名を持つ異形より託された力を秘めしウィザードリング。

 

《ハリケーン・エンゲージ》

 

そう響くと共に俺の真下に現れた魔方陣から優しく暖かな風が舞い興りこの身を包む。

 

「簪、これで決める!」

「うん!」

 

現れたのは背中にドラゴンウイングとは違う二対四翼の純白の翼が具現化し翠のローブをその身に纏い、左腕に短剣が手の甲に備わった籠手を装着し周囲を僅かな風が漂うように傍らにある魔法使い

 

 

 

―――――仮面ライダーウィザード・ハリケーンシルフ―――――

 

 

 

現れた姿(ウィザード)を見て言葉を返したギャレンはギャレンラウザーのオープントレイを展開、中に納められているラウズカードを取り……

 

『――――一夏ッ!!!』

 

……その時スピーカーから放たれた叫び声に驚き手を止めてしまった。

 

「えっ?」

「はっ?」

 

いきなりの展開に俺と簪の2人は顔を見合せるがそれを無視するかの如くスピーカーから更に叫び声が響く。

 

 

 

『男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』

 

 

 

「…この状況で言う事なのか!?」

「何やってるの?!」

「……ちょっと待て、よ?」

 

スピーカーからの声援? に思った事がそのまま口から零れ、簪の叫びに心の底から同意しながらも『ある事』に考えが及び季節が春なのに寒気がした。

 

「なあ、放送席って他にも人がいたよな?」

 

確かクラス対抗戦の実況放送を行う放送部の人達とかクラス代表のクラスメイトとか……

 

「……確かめるよ」

 

俺の言葉でその事に気付いた簪は展開されていたオープントレイから1枚のラウズカードを抜き取りギャレンラウザーにラウズす(読み込ませ)る。

 

《SCOPE》

 

ラウズしたカードはダイヤの8《SCOPE》のカードだ。このカードは索敵能力が強化され、標的の位置を正確に把握して狙いを定める「バットスコープ」を発動させる。

 

「倒れてる?!」

「不味い!!」

 

今の迷惑極まりない声援で攻撃対象が切り替わったのか放送席に取り込んだISの武装を向け放たれた。

 

《ディフェンド・プリーズ》

 

「オオオオオオッ!!!!!!!!!!」

 

咄嗟に放送席とキマイラドーパントの間に入りリングホルダーから外し握ったディフェンドウィザードリングを指につけずに直接ハンドオーサーに押し当てディフェンドの魔法を発動させ発生させた翡翠の魔方陣を攻撃方向に翳した。

……がとっさの発動で構成が甘く通常よりも脆いのに気付く。

魔法陣に込める魔力を通常より増大させるが翳した魔方陣に罅が入り始めたのを確認出来た。

 

「く、そ…」

《REFLECT》

 

その時に耳に届いた電子音と共に魔方陣が淡く輝くと共に防いでいた攻撃がキマイラド―パント目掛け跳ね返って行った。

 

「一夏?!」

「助かっ、た…ッ……」

 

慌てて駆け寄ってくる簪と左手に掴まれたハートの8、任意の範囲にバリアを発生させ、相手の攻撃を反射する「モスリフレクト」を見て簪のフォローに感謝する。

だが今ので俺の使用出来る魔力の限界値に近付いた事がはっきりと分かった。

 

「これで、決め…る……」

「…うん」

 

簪の控えめな肯定の返事にリングホルダーから外した翡翠のウィザードリングを翳し、簪はオープントレイから3枚のラウズカードを抜き取りギャレンラウザーにラウズす(読み込ませ)る。

 

《エンゲージ・プリーズ》

《DROP》《FIRE》《GEMINI》

 

重なりあいながら鳴り響く電子音と共に俺の周囲に鋭さを宿した風が集い、簪の周囲を囲む様に現れた3枚のカードが簪に吸い込まれるように消えた。

そして……

 

《BARNNING DIVIDE》

 

「ハアアアアアッ!」

「クタバレエエエエッ!!」

 

空中で2人に分裂したギャレンの強化された踵に灯った炎を叩き込む一撃『バーニングディバンド』、そしてウィザードの周りを翠の風が包みこみ降下するにつれ回転速度をあげる風をその身に叩きつける『ウィザード・スピニングダンス』がキマイラドーパントに叩き込まれ……

 

 

 

……直後に行き場を失ったエネルギーが暴走、叩き込まれたキマイラドーパントを中心に極小規模な爆発が起こり砂ぼこりがキマイラドーパントが居た辺りを覆う。

 

「どうだ?」

「終わったみたい」

 

砂ぼこりが薄れだし其処にはキマイラドーパントに取り込まれた救援部隊の先生達や彼女達が装備していたISの残骸、そしてリッパードーパントだった少女の姿と白髪の老人が地面に倒れている姿があった。

 

「なら、後は……任せ…」

 

魔力を使いすぎたなと考えながら俺の意識は次第に薄れていった。




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