どうも混沌の魔法使いです。今回の宵闇はリーエさんが書いている日記の話です。会話文は殆ど無しでいきたいと思います、長いことやろうと思っていたのですが、龍也さんでは面白味がないので今回はリーエさんにやってもらおうと思います
それでは今回の更新もどうか宜しくお願いします
第10話
○月某日 機動六課 晴れ
今日はスバルさんやエリオさんの訓練の様子を見学することになりました。その理由としてはヴェノム、そしてスカリエッティ博士がまだ魔力を使うのは考えたほうがいいと龍也様に言ったらしく、それで今日は見学となったのですが……
あの2人は本当に人間ですよね? 私と同じ半ネクロとかじゃないですよね? 龍也様に思いっきり殴り飛ばされて数十メートル吹っ飛んでいるのに、ピンピンしながら反撃するって……
人間の耐久力としてどうなんでしょう? 恐らく10人が10人死んだと断言するレベルの吹っ飛び方をしているのにも拘らず。即復活し龍也様に再び突っ込んで行き、再び投げ飛ばされるOR殴り飛ばされる
1回宙を舞うスバルさんと目が合った……半泣き状態だった。それが痛みによるものなのか、それともただの体術で5M~8Mも投げ飛ばされたことによる恐怖なのか。私には判りませんでした
いつかは私もあんな訓練をされるのかと怯えていると、ノーヴェさんが笑いながら私の肩を叩いて
「大丈夫。最初はあんなのしないから」
私を安心させようとしての言葉だとは判っています。しかし最初の言葉が気になり、全然安心出来ませんでした……そんな事を考えていると
「……」
再び投げ飛ばされてきたスバルさんと目が合いました。今度は普通に泣いてました……訓練ってあんなに怖いのかな?
機動六課で受ける訓練に対して少しばかりの恐怖心を覚えました……
○月某日 曇り 龍也様の家
今日は龍也様の家でお留守番です。なんでもレジアス中将との話し合いがあるとの事で、今日は家で待っているように言われたので大人しく本を読んで過ごす事にしました
龍也様の書庫は凄いです。古代ベルカの書物や、高度な魔法教導書など見て為になる本が非常に多いです。静かに興味のある本を読んで過ごすのは好きなのですが
キューッ!!
走れー! ドラきち!!
どたどたと走り回る足音と楽しげな声……そして
静かにしなさい! リヒトーッ!!!
へもっ!?
ユナさんの怒声とリヒトさんの奇声、またユナさんに怒られたのだろう。まぁいつもの事なので気にしない、前は確かドラきちの頭に噛み付いて(お腹が空いたという理由から)ユナさんに5連続辞書アタックを喰らいKOされていた……
半年近く居て理解したが、龍也様の妹達のヒエラルキーのトップはユナさんで、次いでアギトさん、アザレアさんと続き、リィンさんとリヒトさんと続き、ごく稀というか最近知ったのですが……アザレアさんは二重人格でアリウムさんと言う方もいるそうで、偶に出てきた時はユナさんよりも怖いと、リヒトさんも悪ふざけをしません。私は数回話をしただけなのですが、良い人だと思うんですけどね
そんな事を考えていると下からアギトさんが
おやつだぞー! 来ないとリヒトが食っちまうぞー!
酷い!? 私はそんなに食いしん坊じゃ
否定できますか?
食いしん坊バンザーイッ!!!
認めちゃったですぅ……
その楽しそうなやり取りに思わず笑みが零れる。私は読んでいた本に栞を挟んで本棚に戻しました。読んでいたのは「見れずの英雄」と言う、古い、古いベルカの伝承の本。丁度良いところなので出来ればそこだけは見たいけど。
常に飢えているリヒトさんが私のおやつを食べてしまう可能性もあるので、ここは1度下りることにしましょう……
騒がしいけど楽しい毎日。こんな日がずっと続けばいいんですけどね
○月某日 晴れ どこかの無人世界
日記をつけ始めて2ヶ月となった日の朝。 その日は朝から管理内世界の無人世界に来ていました、前回中断してしまった、サバイバル等の知識を龍也様が実戦形式で教えてくれています。
応急処置に役立つ野草や飲める水と飲めない水の見極め方。
半分ネクロとの事で魔力量や治癒能力は普通の人より優れているが、基本的な部分は普通の人と変わらないので、もしこういう世界に来てしまった時の知識として覚えておいて損は無い
あとは無人世界となると危険な魔法生物とうが生息しているかもしれないので、そういった場所の歩き方や気配の殺し方。これは実際に3メートルはある巨大な虎の様な生き物を前にした時に実践することになりました。まぁ……正直馴れるまでは相当時間が掛かりそうです……
覚えるべき知識として魚釣りの仕方を教えて貰い、その魚を使った保存食の作り方も教えていていただきました。だけど魚の捌き方はまだまだ勉強しないと難しそうです。
休憩の時教わったことを全て持ち歩いている手帳にメモしていると、何時の間にか
にゃーにゃーッ♪
くーくーッ♪
ガウガウッ♪
あう、あう♪
龍也様の周りには猫っぽい生き物から、なにこれ? と聞きたくなるような生き物までありとあらゆる生き物が集まってきています。中にはドラゴンっぽい生き物もいます。龍也様に近寄ってきたのかな? と思ってみていると
龍也様は足元の明るい毛並みの犬っぽい生き物と、水色の身体をした2枚の翼を持つ小型のドラゴンをじっと見つめています。この時ふと六課を後にする時に言われた言葉を思い出しました
「兄ちゃんがじっと生き物見てたら、要注意や」
「連れて帰るとか言い始めるから、絶対駄目って言うんだぞ?」
はやてさんとヴィータさんに言われたことを思い出したとき、龍也様は
「これ、連れて帰ろう思うんだが、どうおもう?」
ぬいぐるみの様に犬とドラゴンを抱っこしながら振り返りそう尋ねてくるので
「……はやてさんに怒られますよ?」
むうっと呻いた龍也様は、抱えていた犬を下ろして
「じゃあ、ドラゴンだけに」
「……あの、生き物を持って帰ったら駄目なんですよね?」
法律でその世界の生き物は正規の手続きを取らないと持ち帰れないはずだというと
「そっか……じゃあまた今度、掴まえに来よう」
残念そうにドラゴンを手放す龍也様は絶対今度は連れて帰ろうと言っていた。もしかして生き物とかが好きなのだろうか? 私はそんな事を考えながら龍也様によるサバイバル知識の講習に意識を集中した
○月某日 曇り デパートにて
なのはさんやフェイトさんにミッド式の魔法の基礎を教わっていると、突然龍也様が今日は買い物に行くと言って私を六課から連れ出しました。いつも持ち歩くように言われていた、眼帯とブレスレットを身に付けどこに行くんだろうと思い付いて行くと
そこはクラナガンでも有数のデパートでした、どうしてですか? と尋ねると私の服を買いに来たと事も無げに言う龍也様に慌ててそういうのはいいです。と断ったのですが龍也様は気にするなと笑って私の手を引いて歩き出しました。
これは六課に居る時にもう何回も感じた。何を言っても駄目なパターンだと感じた、六課の人は基本的に良い人が多いのですが……皆さん押しが強いので何を言っても駄目となる事が多いのです。
「しかし連れて来てなんだが」
服が並んだショーウィンドウの前でうーんと唸る龍也様。もしかして財布を忘れた……
「リーエってどんな服が好きなんだ?」
あ、そっちですか……服とかが判らないから唸っていたんですね。
「という訳だから、好きなのを選ぶといい」
からから笑う龍也様にじゃあ良いですと言おうと思ったら
「いらないは無しだからな」
そう甘くは無いですか、私はもう断れる雰囲気では無いと判っていたので。龍也様から離れて色々服を見始めたのですが……私自身もどんな服を着てみたいと言われても何も判りません。ただうろうろと店内を歩き服を見ていると
一着の黒いワンピースが目に止まりました。刺繍や飾りが付けられた見た目も綺麗なワンピースを見ていると
「それにするのか?」
龍也様は私の見ていたワンピースをひょいっと持って歩いていってしまった。ど、どうしよう? あれ0が5個くらい付いてたんだけど……私がそんな事を考えていると龍也様は支払いを済ませ
「他にほしいものは?」
そう尋ねてくる龍也様にもう無いですと返事を返し、龍也様がまた何かを思いつく前にと歩き出して。私は龍也様のバイクの所に向かった……
買ってもらったワンピースをどうしようかと悩んでいる(それは10万近くする物をそう簡単に着る事は出来ませんから)こんこんとノック音の後に入ってきたのはアザレアさんでした。
にこにこと笑いながら差し出してきたのは、アザレアさんがいつも着ているフード付きのローブ。前に私が欲しいと言っていたのを覚えていてくれたようだ、目を隠すのに丁度いいし、私も人見知りが激しいのであのフードつきのローブは凄くいい物に思えたのだ。欲しいとは思っていたが、それをいざ差し出されると貰っていいものなのか悩んでしまう
「……あげる」
にこっと笑い差し出されたローブを受け取るとアザレアさんは
「……友達」
そう笑いながら呟くととととっと駆け足で出て行ってしまった。渡されたローブよりもアザレアさんが最後に言ってくれた友達の一言が凄く嬉しかったです
○月某日 雨 スターズとライトニングの訓練施設にて
今日はライトニングとスターズの訓練施設に保管されている、龍也様の戦闘データを集めたデータディスクと、各隊長から見た戦闘データのまとめのファイルを見る事にしました。
今まではここに見に来る事はなかったのです、ここに保管されているのは主に格闘データを集めた物なので、私の参考にはならないと思っていたのですが先日、ヴェノムがふらりとやって来て。私に教えてくれたのですが、ネクロ特有の魔力の物質化なのだが、鎧や全身に纏うタイプの物質化はただでさえネクロの因子を活性化させているのに、その上に更にネクロの魔力を纏うので馴れるまでは、ネクロの魔力に引っ張られ易く狂いやすいので避けた方が良いと言うのは前にいいましたよね?
ですが武具の類……例えばレイピアや槍といった類の物質化ならば比較的負担も軽いとの事で、今度からは近接の訓練も取り入れると言われたので、その前に何か参考になる物は無いかと思い、見に来たのですが……高度すぎてまるで理解できません
なんなんですかね? 魔力を纏って全身が光ってるのは?
なんなんでしょうね? 魔法陣を殴って魔法を打ち出すとか
なぜ出来るんでしょう? 高速移動で残像を作るとか……見た限り魔法には思えないんですけど……
極めつけは
あれだけ次々出てくる武器なんですか?
しかも爆発するって、普通に打ち合ってた筈ですよね?
何で打ち合ってる最中に爆発しないんでしょう?
槍が投げられると無数に枝分かれするのってどういう原理なんでしょう?
色々と規格外な人なのは知ってるつもりだったんですけど、ここまで規格外とは思いませんでした
「あれ~リーエちゃん? 何してるの?」
首にタオルを巻いて資料室に入ってきたスバルさんは、私の見ている画像を見て
「あーそれね? それねーなんか龍也さんの魔導書の能力なんだって」
何かのDVDを探しながらスバルさんはあった、あったと笑いながら。私の前に2枚のDVDを置いて
「そっちより。こっちのほうが参考になると思うよ? そっちの白いラベルが剣とか槍とかの戦闘データ。こっちの青いのが徒手空拳の戦闘データね。
同じラベルの1とか2の数字は後ろのほうが難しい技法が保存されてるから、まずは1から見ていくと良いよ」
のほほんと笑うスバルさんは自分は8と書かれたDVDを手に資料室を出て行こうとして
「そうそう、今度から近接訓練に参加するんでしょ? その時は宜しくねリーエちゃん」
そう笑うスバルさんに頷き、私は渡されたDVDを見始めた……今度のはさっきのと違って、大分判り易い物で自分でも出来そうな物を重点的に繰り返し見て
なのはさん達が分析したファイルから、それと同じ物を探し。自分の手帳に書き写し、いずれは出来るかもしれないと言う物も書き出しておいた
今度からの訓練では出来そうな物から、少しずつ龍也様に教わっていこう……
○月某日 曇り 龍也様の書庫にて
その日珍しく、龍也様の書庫には先客が居た。柔和そうな笑みを浮かべた20歳前後の青年だった、私が首をかしげていると
「あ、ごめんね? 龍也に聞いてたけど……君がリーエちゃんかな?」
見れずの英雄の物語を手にそう尋ねてくる青年に頷くと
「初めまして、僕はユーノ、ユーノ・スクライア。無限書庫の司書で考古学の研究家みたいなことをしてる」
そう笑うユーノさんの手の中の本を見ていると
「見れずの英雄に興味があるのかい?」
こくんと頷くとユーノさんは
「そうなんだ、今ね僕の研究のテーマもスクライア一族の開祖と言われる。見れずの英雄なんだ」
スクライア一族の開祖? 私が首を傾げていると
「スクライアの一族には見れずの英雄が所有したといわれる武器の銅像とそれに纏わる伝承が伝わってるんだ。でもねどうしても1部分だけ欠けててね。龍也の書庫にないかなって思ったんだ」
見れずの英雄はさまざまな武具を所有しており、それらが全て特殊な能力を持っていた。今で言うとロストロギアに匹敵するらしい
「……覇剣ですか?」
そう尋ねるとユーノさんは
「そう! そうなんだよ! 見れずの英雄が持ったと言われる最強の剣、覇剣それに伝わる伝承が残った一族の村が滅んじゃってるから、伝承が判らないんだよ……僕の村は「蒼槍」だったし……後の村も「岩斧」「風扇」だったし……」
蒼槍? 岩斧? 風扇?
聞き覚えのない単語に首をかしげていると
「これさ」
ユーノさんが差し出してくれたのは、錆びてボロボロの武具を模した銅像の数々だった
「これは見れずの英雄が所有したといわれる武具のレプリカ、真作は「覇剣」「空脚」「虚影」「時輪」の4つなんだ」
そうなんだ、いろんな武具を持っているとは知ってたけどこんなにあるんだ……
「興味があるなら教えてあげようか?」
にこにこと笑うユーノさんに頷くと
「じゃあ、まずはレプリカからね」
研究家と言うだけあってユーノさんの話はとても理解しやすく。面白かった……
「さてと、じゃあ僕はもう行くから」
2時間位話をするとユーノさんは立ち上がりながらそう言った
「……どこへ?」
「んー? 前に見つけた無人世界の遺跡にね、スクライア一族の紋章があったから調査に行くのさ」
「……大丈夫なんですか?」
「あははは、大丈夫大丈夫。僕は司書だけど龍也に鍛えて貰ってるからね。なんとか逃げ切るくらいなら出来るさ」
そう笑って出て行くユーノさんを見ながら、私は教えてもらった武具の名前を手帳に記した
日剣
蒼槍
雷甲
岩斧
風扇
月鐡
「……これで良し」
今日の分の日記をつけ終え、ぐぐーと大きく背を伸ばす。日記は大事だからちゃんと記録するようにと言われてから、ずっと記録している手帳のページは半分ほど埋まっている。今度新しいのを買いなおさないといけないかもしれない、私がそんな事を考えていると
「やっ、リーエ君」
扉を叩いてから入ってきたのはスカリエッティ博士で、その手にはローブが
「……出来たんですか?」
「うん。元は龍也のコートの原理と同じだし、とは言え龍也のと違って重さは無いけどね?」
からから笑うスカリエッティ博士からローブを受け取り、早速着てみる。着てみた感じはアザレアさんから貰った物と同じだ
「ローブの中は色々と弄ってあるから、収納とかに使えるよ」
龍也様のコートと同じ物が欲しいと頼んだら、アザレアさんから貰ったローブをベースに改造してくれるとの事で、お願いしたのだ。
「それじゃあね、リーエ君」
私の頭を軽く撫でてから、部屋を出て行った。私は作って貰ったローブをハンガーに掛けてクローゼットに戻し
「……明日は訓練の日」
予定では魔法ではなく、体術訓練の日だから早めに寝ておこう。私はごそごそとベッドに潜り込み、眠りに落ちた
第11話に続く
次回はリーエさんの闇をメインにした話にしようと思います。その次の最後からリーエさんの旅を始めようと思います、だから第12話からが宵闇の本番になりますね
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします