久しぶりのシリアス会なので多少の不安は残りますがどうかよろしくお願いします
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
第11話
深い闇の中にたたずむ夢……どこに向かおうが光なんて無い無明の世界。
何時しか歩き疲れ膝を着くと闇が形を変える
『何時まで人の真似事をしている?』
闇が形を変えたのは私の姿だった、闇の私はにやりと笑いながら
『さぁ身体をよこせ……それは私の物だ』
闇が私の身体を覆い隠し、もう1人の私がゆっくりと手を伸ばしてくる
『どうせ貴様も化け物だ……この事実からは逃れられん』
違う、違う!! 私は私は……
『化け物だよ……私達はな?』
「ちがうっ!!!!!
そう叫びながら目を覚ます、ひどい汗だ……
「はー……はー……夢か」
大きく息を吐く、私と違う半ネクロを見てから見るようになった悪夢。もしかすると私がなるかもしれないその姿を見てから……
私の中に恐怖が生まれた、いつか私もああなってしまうのではないか? という不安がいつも付きまとう
「……こんなこと相談できませんよね」
タオルで汗を拭い、フードつきのローブを身に纏って私は部屋を後にした……
「あ、リーエおはよー」
「キュー」
「……おはようございます。ヴィヴィオ、ドラきちの散歩ですか?」
そう尋ねるとヴィヴィオは
「うん♪ リーエも一緒に行こ?」
「キューキュー」
尻尾をピコピコ振るドラきちを見て
「……判りました、ご一緒します」
このまま書庫に篭ってもまた色々と考えてしまう。ここはドラきちやヴィヴィオと散歩したほうが気が紛れるだろう……
窓の外を歩くリーエとヴィヴィオ。そしてドラきちを見ながら
(何かあったのだろうか?)
リーエがアザレアのローブを着ているのは知っていた。だがそれは外に出るときだけの話で、今はずっとローブを着込んでフードを被っている。まるで関わらないでくれと言っているかのように思える
(やはりあの時の事が)
LV4に匹敵する力を持つ半ネクロ。アーク、やつの戦い方を見てからローブとフードを常に纏うようになった
(なんらかしらの……いや、悩みの元は判るか)
自分自身を恐れている、だからこそ距離をとろうとしている。かつてのチンク達と同じように……
(こういうときはどうしたものか……)
どうすればいいのか考えていると
「おい」
不機嫌そうな声に振り返ると同時に振り下ろされる拳。その拳を弾きながら
「何をする、ルシルファー「ハーティーンだ」それは失礼」
「ふん、わざとらしい」
ドカっとソファーに座り込む、黒のライダースーツに逆立った金髪の男、ルシルファー・S・ハーティーンに
「案外早かったな」
一応は六課所属だが命令違反の常習犯かつ会議にも出席しない、こいつにしては珍しいと思いながら言うと
「ラグナに叩き起こされた」
「なるほど、案外ラグナは気が強いな」
ルシルファー・G・ラグナ。昨年式を挙げたばかりだが、さっそく尻に敷かれているらしい
「どうも、泣かれると弱い」
「うむ、それはよく判る。泣く女は強いぞ」
泣き落としか。ラグナも大分ハーティーンの扱いに慣れてきたらしいな
「おや? ハーティーンもか?」
「ヴェノムか」
くっくと笑うヴェノムが闇の中から現れる。外見はジェイルだが雰囲気が変わるとこうも印象が変わるものか……
「こいつまで呼んだ理由は?」
さらに不機嫌になったハーティーンを見ながら、デバイスで記録したアークの姿を映すと
「おや? アークではないですか、久しぶりに見ましたね」
「こいつか……」
やはりネクロ側の2人はアークのことを知っていた、私は
「アークはどんなネクロなんだ?」
私がそう尋ねるとヴェノムは
「ええ、最初期の半ネクロの1体ですね。能力自体はLV4は匹敵しますが、半ネクロゆえに冷遇されていたネクロですね」
「こいつがどうした?」
「前にリーエと無人世界に行った時に遭遇したからな、どんなネクロか気になったんだ」
私がそう言うとヴェノムは顎の下に手を置きながら
「私は何度か彼に魔法生物の捕獲を頼みましたよ? デクスシリーズの研究の為に」
「そんなことは聞いていない、というか六課ではやってないだろうな?」
「……ヤッテマセンヨ」
目をそらしながら片言で返事を返すヴェノムに
「今度お前の研究室を調べるからな」
こいつ絶対何かやってる。マッドはどこまで行ってもマッドということか……なお後日ヴェノムノ研究室を捜索すると
どこで捕まえてきたのか判らない、数々の魔法生物がいた。とりあえずヴェノムを叩きのめしてから、管理局が所有する
魔法生物の飼育エリアに預ける事となる
「格闘タイプのネクロだな、荒削りながら戦闘力は高い……後は炎や空間消失系のスキルを所有していたはずだが……討ち損ねたのか?」
「まぁそんな所だ、リーエを庇いながらでは限界があったしな……まぁ良い助かった。情報を集めておかないと他の隊に回せないからな」
ネクロの情報は全ての隊で共有する義務がある。所見ネクロや目撃情報のあるネクロに対しての対処法を得るために決まっている規則だ
「では私が纏めておきましょう。では御機嫌よう」
現れたときと同じように闇の中に消えていくヴェノムを見ていると
「守護者、上に立つ者としての責務を果たせ」
流石元騎士団長か……私は紅茶を飲みながら
「判ってる、言われなくてもな」
「どうだかな……お前は人の上に立つには甘すぎる」
言われなくても判ってる、本来私に大将なんて地位は似合わないと
「が、その甘さ故に人が集う。それもまた人の上に立つ才だ」
「言ってる意味がよく判らないが?」
私がそう言うとハーティーンは
「さぁな。自分で考えろ」
くっくっと笑いながら出て行くハーティーンを見ながら
「やる事は判っているさ」
私はそんな事を考えながら窓の外を見つめた、ちょうど散歩を終えたリーエ達が戻ってきた所だった
ドラきちの散歩を終えても、私のもやもやは何一つ晴れていなかった。私はどうすればいいのか? 何をすればいいのか? 何もかもが判らない
「あ、リーエちゃん、お兄様が呼んでたですよ?」
龍也様が? 私はリィンさんの言葉に頷き、龍也様の部屋に向かった
「お帰り、リーエ」
にこにこと笑う龍也様に
「……何の御用でしょうか?」
私がそう言うと龍也様は座っていた椅子から立ち上がり、私の前にしゃがみこんで
「何か悩んでいるだろ?」
その言葉に一瞬呆けたがすぐに
「……そ、そんなことは?」
「無いと言えるか?」
全てを見通している感じがする蒼い目を前に私は、話せば楽になるかもしれないと思ってゆっくりと口を開いた……
「……実は」
あの半ネクロにあってから見る悪夢。自分がどうすれば良いのかまるで判らない、私もいつかああなってしまうのではないか?
そう思うと怖くて怖くて堪らないと、本来ずっと胸に留めて置こうと思っていた全てを龍也様に打ち明けていた
「そっか」
私の話を聞き終えた龍也様はそう呟くと
「ごめんな、リーエの悩みに気づかなくて」
「……あっ」
優しく抱きしめてくれる龍也様は
「だよな、怖いよな……もっと早く気づいてやれれば良かった」
優しく抱きしめてくれた龍也様に
「わ、私は何なんでしょう……わ、私は人間なんですか? ネクロなんですか? どっちなんですか?」
龍也様にずっと聞きたかった、でも怖くて聞けなかったことを尋ねると龍也様は
「リーエは人間だ、悩んで、涙して、苦しんで……笑って、喜べる人間で良いんだ……な?」
そう笑ってくれる龍也様に
「で、でも私も……あのネクロみたいになってしまうかもしれない……」
私が何よりも恐れているのはあのネクロみたいになってしまうこと……
「大丈夫だ。お前は絶対にあんな風にはならない」
力強く断言した龍也様に思わず私は龍也様を突き飛ばして
「どうしてそんな事が言えるんですか!!! 先のことなんて判らないのに!!!」
今は大丈夫かもしれない。でもこれから先どうなるなんか誰にも判らない、いつかなにか起こって私が私じゃなくなるかもしれない。思わずそう叫ぶと龍也様はゆっくりと身体を起こしながら
「絶対にならないと私は言える。私が引き戻す、何があっても。リーエはリーエで良い、闇に堕ちると言うのなら手を掴む。
闇に呑まれたのならそこから引っ張り出すからだ」
その言葉は何よりも力強く、信用できる響きに満ちていた
「……約束してくれますか?」
「約束する。私だけじゃない、六課の全員でリーエを助ける。だから……な? 何も不安に思うことは無いんだよ、リーエ」
ただの口約束。なのに私は
「……はい」
何よりも、どんな事をされるよりも、その言葉で判った。大丈夫なんだと何も不安に思う事もないと……その後私は龍也様に突き飛ばしたことを謝ってから、部屋の外に出るとそこには
「私も何か言うべきかと思ったが、必要なかったようだな」
アリウムさんが腕組して立っていた。恐ろしいまでに似合っているのが不思議だった
「半ネクロというので悩むのは判るが、私ほどではない。普通に今を楽しめ」
その言葉の意味が判らず首を傾げるとアリウムさんは
「兄上様の目と腕を奪ったのは私だ」
え? その言葉の意味を理解できずに呆けていると
「ジオガディスのデバイスにして、自身の腕を奪った……そんな私を妹として迎え入れ、あまつさえ家族としている。そんな私を比べれば、お前の悩みなど軽いものだ」
くっくと笑ったアリウムさんは
「だからお前はここにいれば良い、ここはお前の居場所だ」
それはいつか龍也様にも言われた言葉
「ではな、これ以上私の話すことは無い」
かくんとアリウムさんの頭が落ちて雰囲気が変わる
「り、リーエ? ?? ここ、どこ?」
きょろきょろと辺りを見回しているアザレアさん。言うことだけ言って逃げた、アリウムさんも中々にずるい人だ
「……? リーエ、なにか、あ、あった? 何かすっきりした顔をしてる……」
「……そうですね、悩みが解決したので気が楽になったという所ですね」
首を傾げているアザレアさんを見て笑っていると
「おーい、リーエ、アザレアー! 遊ぼーぜ!!!」
アギトさんが下から私とアザレアさんを呼ぶ、窓の外を覗き込むと、いつも通りグローブをつけたアギトさんが手を振っていた
「……今行きます、行きましょう、アザレアさん」
「う、うん」
外に出ると皆がいて笑顔で迎えてくれた、こうして皆と笑い合える日々がずっと続けばいいと思った……
だけど私の願いは叶うことなく、別れの日は静かにしかし確実に近づいていた……
第12話に続く
次回の最後からリーエさんの旅を始めようと思っています。ようやく本番というところですね
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします