宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は少し短めの話になります。次回からが本格的に宵闇の使者の始動となります。
それでは今回の更新もどうか宜しくお願いします


第20話

 

 

第20話

 

 

「遅いッ!!!」

 

「ギシャアアアア!?」

 

獣人型のネクロを両断した所で、上空で鳥型ネクロと戦っていたリーエが下りて来て

 

「これで最後だな。中々やるなペガサス」

 

肩に担いでいた鎌を粒子に返しながら、傲岸な態度でそう言ったリーエは、着地するとまたフードを深く被り

 

「……ご苦労様でした。お怪我はありませんか?」

 

フードのせいで口元しか見えないが。軽く微笑みながら尋ねてくるリーエに

 

「大分見慣れたつもりが。何故そこまで口調が違う?」

 

戦闘中は倣岸と言うか強気なのだが、戦闘が終るとまた何時もと同じ、大人しい敬語になるのが気になり尋ねると

 

「……戦いになるとネクロの因子が活性化するので、気が荒くなるんです。あの喋り方は不本意なので聞かないでください」

 

恥かしそうに言うリーエ。これ以上聞くのは良くないと甲冑を解除する。

 

「しかし随分とネクロに頻繁に会うんだな」

 

リーエの旅に同行すると決めて、4日……殆ど毎日ネクロに襲われているのが気になり尋ねると

 

「……魔力を遮断するブレスレットがあるんですが、どうも世界の記憶を見た時にエネルギーを使い切ってしまいまして。完全にゼロになったら全開するまで使えないんですよ。それが使えるようになれば、もう少し楽に旅が出来ます」

 

その言葉にそうかと頷き。辺りを見渡す……崩れ果てたビルの数々。どこにも人の気配はない……その代わり微弱なネクロの魔力を幾つか感じる。この感じだとLV1だろう。魔力差は明らかなので自分から仕掛けてくるということは無さそうだ

 

「それで、これからどうするんだ?すぐに別の世界に移動するのか?」

 

「……ブレスレットのチャージが終るまでは移動するも難しいですし。それに食料とかも減ってきましたし、どこかで缶詰とか集めておきたいですね」

 

そう笑い錆び付いている案内板を見始める。リーエを見ながら

 

(案外逞しいやつだ)

 

見た目こそ18前後だが。随分長い事旅をしてきたリーエは意外と逞しかった。保存食の作成や、よく効く野草を使った傷薬作りなど。意外なほど、サバイバルの知識が豊富だった。1度どうしてそんなに詳しいんだ?と尋ねるとリーエは

 

『……龍也様に生きるための知識として教わりました』

 

笑いながらそう言った、俺は戦闘者としての八神龍也しか知らないが、意外とそう言った野戦の知識も優れていたようだ。別の側面になって初めて判る事実だった……

 

「……ここから2ブロック先にデパートと街外れに軍事施設がありますね。どっちから見に行きます?」

 

そう言われ自身の服を見る。焼け焦げた後や袖とかはボロボロになっている

 

「1つ聞くが、人間がいる世界に出る可能性はどれくらいだ?」

 

「……6割くらいですかね? 人に限らずエルフとか妖精の世界に出ることもありますよ?」

 

ならばこの格好では不味いな。不審者もしくは変質者として逮捕されかねない

 

「服を見たい」

 

「……判りました。では先にデパートに向かいましょう」

 

そう言って歩き出す。リーエの肩に止まるスザクは

 

「キュアー!」

 

「……周りにネクロの姿はなかったんですね?」

 

「クウクウ!!」

 

スザクの鳴き方や身振りで判るらしいが、俺にはさっぱりだ……

 

「……では、私は食べ物を見てくるので。後で1階で合流しましょう」

 

リーエと別れ紳士服売り場に向かう

 

「案外綺麗なもんだ」

 

廃墟の服という事でまともな服になんて期待してなかったが。以外にも綺麗でまともな服が多かった

 

「まぁ何着か見ておくか……おっ。キャリーケースか」

 

旅用の大きな旅行バッグを見つけた。丁度良いからこれに適当に詰めていくか……

 

 

 

 

 

「クワ!」

 

「……また缶詰ですか」

 

スザクが見つけて来てくれたのは。やはり缶詰

 

「……まぁ。廃墟にまともな食品があるとは思ってませんがね」

 

そうは言ったが、意外なくらい種類が豊富だった

 

「……鶏肉・牛肉・豚肉……良いですね。全部持って行きましょう」

 

魚はどこでも獲れるが。豚肉とかの肉類は確保するのが難しい。缶詰だが貴重な動物性たんぱく質だ。ありったけ持っていこう。なお1度野生のウサギを捕まえた事が会ったが、可愛くて……私には動物を卸すことは出来ないと悟ったので、缶詰を集めるようにしている。その他にも色々食品を見て回る。小麦粉とかも見つけたが……

 

「……流石に駄目ですね。残念です」

 

保存状態が良くなかったのか。どうにも駄目そうだ、一応龍也様にパンの焼き方とかも教わっているので、作ってみようと思ったのですが、やはり無人世界で小麦粉を入手するのは難しいようですね

 

「……となると。軍事施設の保存食ですかね」

 

そういう場所なら、水で作る米といった。食品も多くある。確保しておこう

 

「クワ♪クワ♪」

 

翼を大きく広げて楽しそうに飛んでいる。スザク、普段は速度を落として偵察飛行ばかりさせているので。こうしてのんびりと翼を広げて飛べるのは楽しいのだろう、そんな事を考えていると珍しい缶詰を見つけた

 

「……スザク。おいで」

 

「キュー」

 

ゆっくりと降下してきたスザクを肩の上に止めて

 

「……珍しい物ですが、どうぞ」

 

偶然見つけた果物の缶詰の蓋を開けてスザクの口元に持っていくと

 

「キュ♪キュキュッ♪」

 

嬉しそうに果物を食べるスザクを見て

 

(今度何処かのジャングルに出たら。果物とかも確保しておきましょう)

 

どうもスザクは肉や魚よりも果物の方が好きなようだ。一緒に旅をする仲間なのだから好きな物の1つや2つは用意してあげたい

 

(何時も大変な役ばかりさせてしまいますからね。これくらいは)

 

追っ手のネクロに見つからないようにとの、偵察飛行にネクロの陣形を調べたりするのはスザクが全部引き受けてくれている。魔力量も少なくてスピードがあるといえ。負担が大きいのは間違いない、だから少しでもスザクの好きなことはやらせてあげたい

 

「クワー♪」

 

「……美味しかったですか?」

 

肩の上で尻尾を振るスザク。大分気に入ってくれたようだ

 

「……さ、色々と見て回りましょうか? スザクも欲しい物があったら持って来て下さいね?」

 

「キュー」

 

翼を広げ。浮かび上がり私の頭の上を旋回する。スザクとのんびりと食料品売り場を見て回り、必要な物を集め終え1階に向かう

 

「どうだ?何かあったか?」

 

「……ええ。鶏肉とかの缶詰が大分手に入りましたよ」

 

黒の上下にシルバーアクセサリーを身に付け。大きな旅行鞄を脇に置いている、ペガサスさんは私の周りを見てから

 

「その割には何も持ってないようだが?」

 

その質問に私は何時も着ているローブの裾を掴んで。

 

「……このローブ。半魔力体でして無限収納なんです」

 

「色々と不常識は見てきたが。そのローブは大概だな」

 

呆れたように笑うペガサスさんに

 

「……龍也様のコートを再現しただけなんですけどね」

 

「あいつのコート……そんな風になっていたのか?」

 

知らない真実に驚いた表情をするペガサスさんを見ていると、世界間が揺れる独特な魔力の流れと不愉快な魔力の波長が街の真ん中に現れる。

 

「……!奴が来た」

 

大分離れているが……間違いないアークだ……

 

「……ペガサスさん。転移します」

 

「どうした?街の中心に来たネクロの反応はそんなに不味いのか?」

 

ペガサスさんも感じ取ったのか。気配のする方向を見るペガサスさんに

 

「……ええ。私と同じ半ネクロですが、危険な奴なので見つかる前に撤退しましょう」

 

少々魔力は不安定だが仕方ない。転移用のゲートを作り出す

 

「……行きますよ」

 

「ああ」

 

「クワー」

 

ローブの中に潜り込んだ。スザクを抱き抱え私とペガサスさんはこの世界を後にした……

 

 

 

 

 

「逃げられましたか」

 

リーエと2体のネクロの魔力反応を感じ。すぐに来たのだが、既にリーエの姿はない。

 

「どうも新しいネクロは気配探知に優れているようですね。でも……追えます」

 

ついさっきまでこの場にいたのか。まだ濃い魔力反応を感じる、これだけの濃度なら追える……

 

「デコイも全部破壊しましたし。今度は逃がしませんよ……リーエ」

 

私はそう呟き、リーエの魔力反応を頼りにゲートを作りだす

 

「そして、リーエに味方するネクロと言うのも見ておきますか」

 

街中にあった、鋭い斬撃の跡。あれだけの太刀筋を見たのは久しぶりだ。

 

「厄介な相手が加わったかもしれませんね」

 

私はそう呟き。自身が作り出したゲートの中に飛び込んだ……

 

(しかし……あれだけの斬撃を残せるネクロはそうはいないと思うんですが……一体誰が?)

 

ネクロの中で剣に長けた者は多数いるが、そう言うネクロは大半が守護者や六課メンバーによって打ち倒されている。 だがリーエと共に行動しているネクロは最近生まれた物ではない。少なくとも10年前後はネクロとして行動していると見て間違いない。

 

あまり知られてはいないが、進化したばかりのネクロと言うのは、膨大な魔力を扱いきれず細かい技や魔力の操作は出来ない。 街

 

の中の傷は明らかに長い間修練を積んだ剣筋だった。つまり最近LV3や4に進化したネクロではない

 

(しかしあの剣筋どこかで見たような気もしますね)

 

マンションやビルに刻まれた剣筋はどこかで見た気がしてならない

 

(ヴォルガンド……ルキルメス……いや。違うな)

 

剣の扱いに長けたネクロの事を思い出すが違う。

 

(一体……どんなネクロがリーエに着いたと言うんですか……)

 

リーエと同行しているネクロの正体を考えながら。私は世界間を移動した……

 

 

 

 

 

「……また。廃墟ですね」

 

リーエがそう呟くのがどこか遠くに聞こえる……見覚えのある街並みに目を見開き

 

「ちっ……まさかまたここに戻ってくるとは」

 

「……え?」

 

驚いているリーエに俺は

 

「ここは俺の世界だ。俺が全てを失い絶望した世界……また来るとはな」

 

崩れ果てたクラナガンの街並みを見つめていると

 

「……すいません。まさかこんなところに繋がるとは」

 

気まずそうに謝ってくるリーエに

 

「いや、良い1度仲間の墓に墓参りをしておきたかったしな」

 

ハーデスを倒した後にここに来るとは、何かの運命なのかもしれない……俺はそんな事を考えながら

 

「行こう。何時までもここにいても何にもならない」

 

「……そうですね」

 

出来れば戻ってきたくなかった世界であり、何時かは戻りたいと思っていた場所……俺は2度と踏む事は無いと思っていた。故郷の地を歩き出した……

 

「……この魔力……ネクロ?」

 

リーエとペガサスが街の中心に向かって歩き出した頃。遠く離れた場所でリーエとペガサスの魔力を感じ取った何者かは

 

「またこの世界に戻ってきたのね」

 

忌々しそうにそう呟きながら立ち上がり、その長い黄土色に近いくすんだ金髪を器用に片手で結び

 

「上等じゃない……皆の仇取らせて貰うわ」

 

チャイナドレスに似たBJを展開し。その翡翠色の目に強い怒りの炎を宿し宙を舞った……

 

第21話に続く

 

 




前書きにも書きましたが、次回からが宵闇の使者の本格的な始まりになります。そして次回からオリキャラが多く出てくる予定です。
ですので次回もどうか宜しくお願いします。それでは失礼致します
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