宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はネクロの強襲の話をしたいと思います。そして前回の最後で出た「失われし時代の欠片」と言うのも重要なフラグとなっていますので、このキーワードは忘れないで欲しいです。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第23話

 

第23話

 

アシラが使っているシェルターを出て2時間ほど経った所で、そろそろ良いだろうと思いシェルターに戻ると

 

「おかえり。ペガサス、スザク」

 

リーエの頭を右手で撫でながら、アシラがにこりと笑う。俺は眠っているリーエを見ながら

 

「泣き疲れたようだな」

 

アシラに抱きついて眠る。リーエは歳相応の子供のような寝顔をしている、普段の大人びた感じはなくただの少女と言う印象を受ける

 

「まぁね、1時間も泣いてれば疲れもするでしょう」

 

ゆっくりとリーエの頭を撫でていたアシラは

 

「あたし、決めた」

 

その強い意志の光を宿す翡翠色の瞳を見て。俺は大体何を言い出すか理解できた

 

「リーエの旅に着いてく。この子は1人にしたら駄目だから」

 

予想通りの言葉に苦笑しながら、近くのソファーに腰掛け

 

「そうしてやってくれると助かる。俺には何をしてやれば良いかなんて丸で判らんからな」

 

「そう言うのは同性の仕事よ。あんたにはあんたの出来る事をしなさい」

 

どうせ戦う事くらいしかできないんでしょ? と言うアシラによく判ってると返事を返していると

 

「キュー」

 

スザクがゆっくりとリーエの近くに着地し羽を畳んで目を閉じる

 

「この子もこの子なりにリーエのフォローをしてるのね」

 

小動物は荒んだ心を癒す効果があるという。ならばスザクは自身の役割を全うしてるのだろう

 

「所でアシラ。パートナーはどうした?」

 

アシラには融合騎の様なパートナーがいた筈だ。常にアシラの後をついて歩いていた奴のことを尋ねると

 

「ネクロ事変の時の空間崩壊ではぐれちゃったの……この世界にはいないみたいなのよね」

 

もしいれば直ぐにアシラの元に戻ってくるはず。それが居ないという事は本当にはぐれてたのだろう

 

「そうか。リーエの旅に付き添いながら探すつもりか?」

 

「そう言うこと♪ それにリーエにも良い友達になってくれると思うからね」

 

にこにこと笑うアシラ。そんなに上手く行くものかと思いながら。これ以上こんな話をしている時間はないと感じながら

 

「それよりもだ、気付いてるか? アシラ」

 

2時間の散策と周囲の警戒をしていて気付いた。その事をアシラも気付いているのだろうかと思い尋ねると

 

「馬鹿にしないでよね。何年この世界にいると思ってるの?」

 

まぁ判ってて当然か、俺はソファーに寝転がりながら

 

「少し寝る。恐らく朝に仕掛けてくるぞ」

 

「判ってるわよ。それより布団とってよ」

 

アシラには、リーエがしがみついているので動けない。俺はもう1度身体を起こし近くに畳んであった布団をアシラにと投げ渡してから。再度目を閉じた……どうも思ってたよりも早く追っ手はこの世界に来ていたようだ

 

 

 

 

んー暖かい……久しぶりに感じる自分ではない誰かの暖かさ。それが心地よくてもう一度眠ろうとして

 

(! ネクロの気配!?)

 

あちこちに感じるネクロの気配を感じ、一気に意識が覚醒する。

 

「ん? 起きたリーエ」

 

目を開くと真っ先に視界に飛び込んできたのは、優しい笑みを浮かべたアシラさんの顔で。私の両手はしっかりとアシラさんの上着を掴んでいた。その事を認識したところで唐突に思い出す、散々泣き叫び終いにはアシラさんにしがみついて眠ってしまった事を

 

「……すいませんでした」

 

「何が?」

 

全然気にしてない様子で笑いながらアシラさんは私の頭を撫でて

 

「良いの。言ったでしょ? あたしはリーエの味方。 だからそんなのは気にしなくても良いの」

 

私の頭をゆっくりと撫でてくれるアシラさん。今までずっと1人だったからこの温もりがとても安心出来る……だが今はそんな事をしてる場合ではない

 

「……ネクロですか?」

 

「そう見たいね。昨日リーエが眠ってから、ちらほらと現れ始めたの……逃げるしかないけど、暫くは戦わないと無理そうね」

 

よいしょっと言いながら立ち上がった、アシラさんがBJを展開しながら

 

「じゃあ、行くわよ」

 

「……え?」

 

どこへと尋ねるまでもない、アシラさんは私とペガサスさんと一緒に旅をすると言っていると

 

「行きましょう、リーエ。貴女が会いたいと願う人にもう1度会う為に……そのためにあたしは貴女に力を貸すわ」

 

もう決めたから。危ないとか駄目って言うのは聞かないわよ? とウィンクするアシラさんに

 

「……ありがとうございます」

 

フードを脱いで魔力を開放する、それと同時にローブが甲冑にと変化する

 

「行こう。アシラ」

 

「ふーん、魔力を使うと性格が変わるのね? まぁ良いわ、それも含めてリーエだからね」

 

アシラさんと部屋を出ると、外に続く階段の所で甲冑を展開し、壁に背中を預けているペガサスさんと

 

「クワーッ!!!」

 

翼を大きく広げるスザクの声。そうだった……今までがどうだったかなんて関係ない。今の私には仲間が居る、1人で何もかも背負う必要は無いんだ……そんな事を考えているとシェルターの天井が大きく揺れる。私達の魔力に気付いたネクロが攻撃を始めたのだろう

 

「このままでは生き埋めになるな。そろそろ出るか」

 

「そうね、とりあえず片っ端から切り裂く方針で行きましょう」

 

ペガサスさんとアシラさんの声に思わず苦笑する。何もかも違うが、どこか六課の雰囲気に通じる物を感じてとても安心できた

私はフェアシュテルケンを構築し、ペガサスさんとアシラさんの後を追って外へと飛び出した……

 

 

 

 

 

「邪魔ッ!!」

 

飛び掛ってきたLV1を頭から両断し、周囲を窺う。

 

「虎切ッ!」

 

ザンッ!!!

 

鋭い斬撃音と共に2体のLV2が両断され消滅する。

 

(しばらく見ないうちに随分と腕を上げたのね)

 

記憶の中のペガサスの動きと今の動きは別人と言って良いほど、違っていた。やはりあたしと同じように長い時を生きる間に技能がより洗礼されたのだろう

 

「人間如きがっ!!!」

 

獣型の牙をむいて飛び掛ってくる。あたしは直ぐに退魔刀を鞘に納め

 

「はっ!!!」

 

炎熱の変換素質を利用した。高速抜刀術「絶空」神速の抜刀により空気を切り裂き炎を伴った。一撃を放つカウンター専門の技だ

 

「がっあああああ!?」

 

全身を炎に焼かれた上に大きく開いた。口から両断され消滅していくネクロを見ながら

 

「人間って言って馬鹿にしないで欲しいわね」

 

あたしだって、この世界で長い事生きてきた。LV4ならいざ知らず、LV3の1体や2体わけない

 

(しかしそれにしても……リーエは芸達者ね)

 

「花散る天幕《ロサ・イクトゥス》ッ!!!」

 

魔力刃を展開した、西洋剣で一閃。更に展開してた魔力刃を炸裂させての2段階攻撃は一撃でLV3を両断し消滅させる

 

「キキーッ!!!!」

 

廃墟の影から無数のLV1が一斉に飛び掛ると、リーエは手にしてた西洋剣を横に構え

 

「燃え盛る聖者の泉《トレ・フォンターネ・アーデント》ッ!」

 

紅いプロテクションが発生し、それにLV1の爪が当たると同時に。魔力刃が飛び出しLV1を両断する。リーエの戦い方は我流と言うには洗練されていて。更に剣や槍に鎌と言った扱える武器の種類も豊富だ

 

(1人で旅を続けてきたって言うだけはあるわね)

 

飛び掛ってきたネクロを横一文字に引き裂きながら、素直にリーエの技術に感心していると

 

「はっ!!!」

 

「ッ……とっ!」

 

気合と同時に上空から飛んできた、魔力刃を飛び退いて回避する。その魔力刃が飛んできた方向を見て、あたしは舌打ちした

 

(LV4……しかもただのLV4じゃない)

 

普通のLV4と比べて明らかに魔力量も気魄も違う。どう考えても最上位クラスに位置しているだろう

 

「我は剣鬼 スペクター。名を聞こう女」

 

影を利用した転移であたしの前に現れたネクロの身体は、漆黒の甲冑と腕の鎧と一体化した2振りのブレード。それに鬼面を思わせる盾がそれぞれ右肩と左肩に浮かんでいた。

 

「悪いけど……ネクロに名乗る名前はないのよ!」

 

あたしのレアスキル「アクセルシングルタスク」は単体では強力なスキルではない。一つ一つの思考処理を高速で終える能力、これを用いれば一息で複数の身体強化を同時に発動させれる。視力と身体能力を強化し踏み込みながらの一撃を放つが

 

「遅いな」

 

キンッ!

 

乾いた金属音を立ててあたしの刀が弾かれる。

 

「まだまだ!」

 

左腕に魔力を通すと、左腕が淡い光を放ち魔力刃を生成し突き出すが

 

「舐めるなよ! 女ぁ!!」

 

魔力刃を素手で掴んだスぺクターはそのままあたしの身体を引き寄せて

 

「むんっ!!!」

 

「くあっ!?」

 

何とかガードしたが、その凄まじい破壊力にガードごと殴り飛ばされ。2、3度地面に跳ねて廃墟に背中からぶつかり掛けたとき

 

「アシラ!」

 

ペガサスがあたしの腕を掴んで、ギリギリのタイミングで助けてくれる

 

「おっそいわよ!」

 

助けるのが襲いと文句を言うと

 

「文句言うな! LV3を何体相手にしてると思うんだ!!」

 

逆切れされてしまった。確かにさっきからLV1、2はその数を減らしてLV3が目立ってきている。それに目の前のスペクターに加えて。下位のLV4もちらほらと姿を見せ始めている、こっちは3人と1匹だ、徐々に戦力差が目立ち初めて来た

 

「あのスペクターとか言うのは俺がやる。LV3は任せた」

 

「はいはいっとお任せ」

 

リーエも気がかりだが、今この状況で背を向けるのは余りに危険すぎる。倒せないまでにしてもダメージを与えないと合流ところではない

 

 

 

「どうも。お久しぶりですね、リーエ」

 

久しぶりに対峙したリーエにそう声を掛けると

 

「私は貴様になんて会いたくなかった」

 

忌々しいと言いたげな表情で返事を返す、リーエは両手に西洋剣構える。それを見ながら私も拳を構えたのだが、内心は

 

(よりによってこの世界に来てしまうとは、リーエ貴女もついてない)

 

この世界は数多ある平行世界の中でも、とりわけ異質な世界だ。私も詳しい事は知らないが、最も強力な3体のネクロの監視下にある世界だ。

 

(手を抜くわけにも行きません。少々本気で行きますか)

 

手抜きをしていると判断されて、処罰されては困る。まだまだ私の目的は半分も達成していないのだから

 

「闇よッ!!!」

 

両腕を振り上げ三日月形の魔力刃を2発動時に飛ばし。それに合わせて強く地面を蹴り間合いを一気につめる

 

「ふっ!」

 

リーエは両手の西洋剣で私の魔力刃を弾き飛ばし、私と同じように間合いを詰めてくる

 

(私相手にインファイトとは甘く見られた物です)

 

魔力量ではリーエが上だが、私は光と闇の複合属性の上に幻術等の心得もある。そんな私相手にインファイトを仕掛けてくるなど無謀としか言いようがない。そう思いにやりと笑いながら拳を繰り出した瞬間

 

シュ!

 

(な。なに!?)

 

リーエの姿を一瞬見失う。慌てて下を見るとスライディングしてきたリーエと目が合う

 

「水流爪牙ッ!!!」

 

「ぐっ!?」

 

勢い良く身体を跳ね上げ強烈な膝蹴りを叩き込んでくる。予想外の角度そして信じられないパワーに一瞬身体が浮く

 

「三散華ッ!!!」

 

いつの間にかリーエが手にしていた。長い槍による連続突きが両肩と右足を捕らえ。

 

「はっ!」

 

気合と共に繰り出された腹への刺突で思いっきり吹き飛ばされる

 

(こ、これは!? 守護者の体術!?)

 

少々形が違うが間違いない、守護者が好んで使う技だ

 

「大振りはあんまり好きじゃないんだが、致し方ない!」

 

リーエは槍を消し再び西洋剣を作り出し、その刀身に魔力を纏わせバスターソードのような形にすると

 

「童女謳う華の帝政(ラウス・セント・クラウディウス)ッ!!!」

 

跳躍し回転しながらの一撃を叩き込んできた

 

「甘いですよ!!」

 

両手に魔力を集中させ、魔力刃の中程を打ち抜く。それと同時に魔力刃が消滅する。そして

 

(なんと言うミスを!?)

 

己の失態を知った。リーエは今の魔力刃を捨て駒にしていたのだ、リーエの両足には螺旋回転する魔力が発生している。リーエは着地すると同時に足払いで私の足を払う。そして私の身体が再度宙を舞った所で

 

「ふっ!!!」

 

後ろへのバク宙の勢いを利用した2連蹴りで私から間合いを取る

 

「ぐっ!? し、しまっ!?」

 

蹴り飛ばされながら、何とか体制を立て直し着地するが。間髪居れずに放たれる魔力波が既に眼前に迫っている、回避は出来ないタイミングなので腕をクロスしてそれを耐える

 

(くっ!? 中々の魔力を込めた一撃ですね)

 

だがこの程度でノックダウンされるほど、私は弱くは無い。腕をクロスしたまま魔力波を突っ切って間合いを詰める

 

「なっ!?」

 

「甘いんですよ、リーエッ!!!」

 

右手をリーエの腹に押し当て魔力波を放つ。0距離からの一撃にリーエの身体が思いっきり吹っ飛ぶのを見ながら

 

(ダメージは中度。この程度なら直ぐに回復する)

 

猛攻撃だったが、全体的に威力が無かった。恐らくまだ使いこなせていない連携なのだろう。

 

(このままトドメとまでは言いませんが。ある程度は痛めつけさせてもらいます)

 

まだリーエに死なれては色々と困る。私は手抜きをしていると思われないように両手に魔力を纏わせ、リーエに向かって走り出した

 

 

 

 

(掛かった……)

 

私は両手に魔力を集めて走ってくるアークを見て。自分にとって1つしかない勝機を見出した。

 

さっきの玄武剛弾・月詠も水流爪牙・三散華もまだ未完成で私の物になっていない。だけど今から出そうとしている技は違う、

無理を言ってスバルさんやノーヴぇさんに教わり完成させた技。倒せるまでは行かないとしてもしばらくの間アークの動きを封じれる。

 

(その隙にペガサスさんとアシラさんと合流して、転移する。それしかない)

 

どんどんネクロが現れてくる以上、速いうちにこの世界を去らないとより強いネクロが出てくる。その前にこの世界を離れるのが最善の一手だろう。両手に魔力を集め、アークが私の間合いにはいるのを待つ。まだ距離があるもっと引き寄せないと回避される

そしてアークが完全に私の間合いに入ったタイミングで

 

「行けえッ!!!!」

 

両手にためていた魔力を散弾銃のように打ち出す

 

「!? くっ!?」

 

アークは腕をクロスして突っ込んでくる。だがこの防御方法は私の予想のうちだ

 

「はああッ!!!!」

 

「! 舐めないでいただきたい!!」

 

間合いを逆に詰め、フェアシュテルケンによる上段からの斬撃を片手で防いだ、アーク。空いている右手が私の胴に伸ばされるが

 

「甘いッ!!!」

 

それを紙一重で回避し着地と同時にツー・シュトーセンを構築し無数の連続突きを放つ

 

「あぐっ!?」

 

がら空きの胴に槍の切っ先がめり込み、苦悶の声を上げるアークに更に連続突きを叩き込み

 

「はああああッ!!!」

 

渾身の踏み込みからの全力突きを叩き込み弾き飛ばすと同時に、フェアシュテルケンを構築し、吹っ飛んだアークに追いつき回転しながらの連撃を放つ

 

「ぐ、ぐうううッ!?!?」

 

流石のアークもダメージが大きいのか苦悶の呻き声を上げる。

 

「飛べッ!!!!!」

 

渾身の横薙ぎでアークを弾き飛ばし。十分な間合いを確保してから

 

「これでトドメだッ!!!」

 

両手持ちの巨大な鎌トーデス・シュトラーフェを構え。上段からの振り下ろしと同時に魔力刃を飛ばした……これでトドメとまでは行かないが、アークをしばらく戦闘不能に出来ると確信していたが

 

「ふむ、まだ彼には利用価値がある。殺してもらっては困りますね」

 

落ち着いた男性の声がしたと思うと。私の魔力刃は掻き消され、アークの前には黒のタキシードに紅いマントを着込んだ。見たこともないネクロがそこにいた

 

「な、何者だ!?」

 

思わずそう叫ぶ、圧倒的までの魔力を感じ本能的にそう叫んだ。返事は無いものと思っていたが

 

「私ですか? 私はLV5。冥のランドグリーズ、以後お見知り……いえ、次はありませんので忘れていただいても結構ですよ」

 

穏やかな、しかしそれで居てどこまでも冷酷な笑みを浮かべた。ネクロは左手を私に向けると同時に

 

「さようなら、出来損ないのネクロさん」

 

何もかも飲み込むような漆黒の砲撃を放った……

 

 

 

ズドオオオオンッ!!!!

 

まるで爆弾が爆発したような音に、思わず振り返り気付いた

 

(な、何!? あの化け物じみた魔力は!?)

 

今まで感じたことの無い魔力に思わず立ち止まった瞬間

 

ドシャッ!!!

 

鈍い音を立てて近くに何かが落ちてくる、嫌な予感がし振り返るとそこには

 

「う、うう……」

 

「リーエ!?」

 

纏っていた甲冑のほとんどが消滅し、全身に酷い切り傷と魔力による傷を負ったリーエが倒れていた。あたしと対峙していたネクロを両断し駆け寄る

 

「リーエ!? リーエ!? 大丈夫!」

 

抱き上げ声を掛けると、何回目かの声かけでうっすらと目を空けたリーエは

 

「あ、アシラさん……に、逃げて……」

 

そう言うと再び意識を失った、1体何が起きたのか判らず立ち止まっていると

 

「おや? 案外頑丈なのですね? 出来損ないの割には」

 

闇を纏い現れたネクロが残酷な笑みを浮かべてそう呟く。詰め寄ろうとも思ったが

 

(な、何こいつ? 本当にネクロ!?)

 

今まで戦ったどのネクロよりも強い魔力と闇その物と勘違いしそうになる不快なオーラを纏ったネクロは

 

「ふむ。人間にもう1体の半ネクロですか……丁度いいですね」

 

にやりと笑ったネクロはあたしとスペクターと切り結んでいるペガサスを見て

 

「まとめて死んでもらいましょう。まだ私達の存在を守護者に知られるわけには行きませんからね」

 

両手を掲げ漆黒の球体を作り出すネクロ。あたしから見ても判るあの球体には途方も無い魔力が込められていると

 

(に、逃げないと!)

 

アレが放たれれば防ぐ事なんて出来はしない、だけど

 

(逃げられない!)

 

今あたしはリーエを抱き起こしているため。片膝を着いている直ぐに立ち上がって走り出す事なんでできない、ペガサスがこっちに向かってくるのが見えるが。間に合わない

 

「消えなさい」

 

ネクロがにやりと笑いその手を振り下ろそうとした瞬間

 

「クワアアアアアアッ!!!!!」

 

スザクがその翼を大きく羽ばたかせ、自らの翼を大量に振りまく。何をして

 

(アシラ! リーエを抱えて走れ!)

 

ペガサスのその怒声に反射的にリーエを背負い走り出すと

 

ドンッ!! ドン!! ドンッ!!!!!

 

無数の爆発音と共に砂煙が上がりあたし達の姿を隠す。この時気付いた、スザクの羽は起爆性なのだと。そしてその羽を爆破する事で煙幕を作ってくれたのだと

 

「キュー」

 

鳴き声を上げてあたしの肩に止まるスザクに

 

「ありがと、スザク!」

 

「話してる場合か! 少しでも距離をとるぞ!!!」

 

ペガサスの怒声に促され、背負ったリ-エを落とさないように気をつけ、全力で走り出した

 

 

「ふん」

 

腕を振るい浮かび上がっていた砂煙を吹き飛ばす。

 

「ジャミング効果持ちですか、中々厄介なネクロを連れていましたね」

 

砂煙如きで見失うわけが無い、あの鳥のネクロの翼には微弱ながら魔力が込められていて、爆発と同時に周囲の魔素を爆発的に上昇させた。流石の私もあのネクロたちを見失った

 

「ランドグリーズ様、すぐに追走を始めます」

 

私の足元で膝を着くスペクターに

 

「いえ、今はそれよりもシャドウとガイルを呼びなさい」

 

「畏まりました、30分ほどお待ちください」

 

闇の中に消えていくスペクターを見ながら

 

「思ったよりも楽しめそうですね」

 

あの半ネクロは思ったよりも手強い。ならば追い立てて楽しむべきだ

 

「あれだけの重傷を負った半ネクロを連れて、遠くまで逃げれるとは思いません。ゆっくりと楽しませて頂くとしましょう」

 

周囲のLV2と3に捜索指示を出し、私は近くの瓦礫に腰掛け発見報告が来るのを待つことにした……

 

瓦礫に腰掛けるランドグリーズを見つめる1つの視線、余りに距離があるからランドグリーズは気付かなかった。その瞳は強い怒りの色を宿し、ランドグリーズをずっと睨み続けていた……

 

 

第24話に続く

 




リーエ負傷、更にネクロは増援がと言う危機的状況です。次回は逃走編となります、負傷したリーエを連れてペガサスさんとアシラさんが逃げ切れるのか? と言うのを楽しみにしていただけると嬉しいです

それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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