宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は逃走編という感じですね。LV5に3体のLV4の追ってここをどう切り抜けるか? を楽しみにしていただけると嬉しいです、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第24話

 

第24話

 

崩れたビルの合間に隠れながら空を見上げ舌打ちした

 

(飛行型ネクロか。数は10ちょっと、こんな状況で無ければな)

 

倒すことはたやすい。だが今の状況では戦いに出るということはリーエの居場所を教える事になる、となれば戦いに出るわけには行かない

 

「リーエは?」

 

「回復はし始めてるけど……治癒の速度が遅いわ。やっぱりダメージが大きいみたい」

 

顔とかの切り傷は回復しているが、それ以外の傷はまだ深そうだ。特に背中と足のダメージは深刻そうだ

 

「どうする? ペガサス?」

 

「地下にもぐる。追っても来にくいだろうし、リーエが目を覚ますまで時間を稼げる」

 

廃墟だがクラナガンだ、地下通路ともまだ残っているはずだ

 

「いいわね、それで行きましょう。ねぇ? もしリーエが自分を置いていけって言ったらどうする?」

 

汗を拭いながら尋ねてくるアシラに俺はにやりと笑いながら

 

「拳骨100発だな」

 

「あら。それはいいわね? じゃああたしもそうしようかしら?」

 

やばい状況なのに、俺とアシラは笑っていた。なんでかは判らないが何とかなる。そんな気がしていた……

 

 

 

 

 

「お久しぶりです。ガイル、シャドウ」

 

遊撃に出していた、部下2人にそう声を掛ける。さきにガイルが頭を上げ

 

「お久しぶりでございます。ランドグリーズ様」

 

濃い紫の身体に、逆立った刃物を思わせる体毛を持つ獣型のLV4ネクロ。それがガイルで

 

「ひゃはははは!!俺を呼ぶって事は殺しか?」

 

黒い身体に両手が剣になっている。異形の騎士がシャドウ。どちらもスペクターと同じく、私に何年も仕えてくれているネクロだ

 

「殺し……と言うよりかはゲームですね。この世界に半ネクロが2体と、魔導師が1人います。それらを追い回す狩です。どうです?面白そうでしょう?」

 

私がそう尋ねるとにやりと獰猛な笑みを浮かべて、勿論ですともと返事を返すスペクター達に

 

「では手駒としてそれぞれLV1と2を10体ずつ貸し与えます。ではスタート」

 

私が手を打ち鳴らすと、一瞬で姿を消すスペクター達を見ながら

 

「傷はいかがですかね?」

 

先ほど半ネクロによって負傷した。アークにそう尋ねると

 

「問題はありません、直ぐに私も追走に出ます」

 

カソックを翻し立ち上がろうとするアークに

 

「いえいえ。アーク、貴方にはすぐにこの世界を去ってもらいます」

 

「はい?」

 

理解できないという表情のアークに私は

 

「特別に貴方がこの世界に居ることを認めましたが、本来この世界に貴方は居て良いネクロじゃない。早々に去りなさい、そして私達のことは決して口にしない事、これを破れば……殺しますよ?」

 

アークは額から汗を流しながら片膝を付き

 

「了解いたしました。直ぐにでも他の任務につきます」

 

そう言って転移して行ったアークを見ていると

 

「良い趣味とはいえんな。ランド」

 

「おや?珍しいですね。ヘルヴォル」

 

いつの間にか私の後ろに居たネクロにそう返事を返す。黒髪に鷹を思わせる鋭い目付きしたネクロで……

 

「裂、貴方が動くとはいかようで?」

 

「……盟主の密命だ。貴様に答える義理は無い」

 

「盟主……ふふ。ふはははははは!!!!!そうですか、そうですか!!くくく、これはめでたい。1500年ぶりに目覚められたのですね?」

 

1500年前から眠り続けていた盟主の目覚め。これは朗報だ

 

「俺は俺で命をこなす。相応不干渉だ、俺はお前を助けないし、お前も俺を助けなくて良い」

 

「ええ。何時も通りで、私達に馴れ合いは不要ですからね」

 

3体しか居ないLV5、だがその実情は互いに互いを蹴落とす事しか考えてない。馴れ合いは不要だ

 

「ではな、かってに死んでもいいが。コアだけは盟主に返還しろ」

 

「その言葉そのまま返さえていただきます。ヘルヴォル」

 

私の言葉に返事を返さず、黒い粒子が混じった黒風と共に消えていくヘルヴォルを見て

 

「さて。面白くなってきましたね」

 

盟主の目覚めにヘルヴォルの単独行動。そしてこの世界に来訪者……

 

「動いてきたようですね、時が……」

 

ジオガディスもヴェルガディオスもただの余興だ。ここからは

 

「私達の舞台です」

 

街中から響いてくる爆音を聞きながら、私はそう呟いた……

 

 

 

 

 

 

「……うっ、ううう……ここは」

 

痛む身体に顔を顰めながら身体を起こすと

 

「よう、起きたか。リーエ」

 

「大丈夫?」

 

ボロボロの甲冑と煤にまみれたBJ姿のアシラさんとペガサスさんを見て

 

「……何が!?うっ!!!」

 

身体に激痛が走りその場に蹲る。その痛みで思い出すLV5を名乗ったネクロのことを

 

「……追われてるのですか?」

 

「ああ、LV2と3が断続的に襲って来ている、中にはLV4も居た。そのたびにスザクの羽で逃げてきたが」

 

ペガサスさんの後ろからスザクが出てきて

 

「くー……」

 

弱々しく鳴きその場に倒れこんだ。魔力が殆ど残ってないのが判る

 

「この子。リーエを護るために羽を撒き散らし続けたの……でももう限界ね」

 

私にスザクを差し出しながら言うアシラさん。スザクを受け取りながら状況を考える

 

アシラさんもペガサスさんも負傷している。私にいたっては魔力も体力も残り僅か。

 

それに対してネクロはLV5とLV4が数体に加え、LV1~3まで現れてきている。迎撃はどう考えても無理

 

(これしかない……)

 

考えて出た結論は1つだけ、私はゆっくり口を開き

 

「……お2人の命を私にください」

 

その言葉に驚いた顔をする、ペガサスさんとアシラさんに

 

「……残りの魔力を全部使って空間転移をします。しかし今の私では術式を形成し跳ぶだけで限界です。戦闘には参加できません、転移の魔力でネクロがやってきます」

 

私がここまで言うとペガサスさんは剣を手に

 

「俺達に壁になれと?」

 

「……はい。逃げるために、生き延びるために……貴方達の命を私にください」

 

私が頭を下げながら言うとアシラさんが私の頭を撫でながら

 

「良いわ。あたしの命、貴女に預ける。どれ位持たせればいいの?」

 

「……30分です」

 

30分。決して長いとはいえないが、短いともいえない時間だ

 

「良いだろう、30分だな、持たせてやる。その代わりミスるなよ?」

 

にやりと笑うペガサスさんを見ながら、痛む身体に顔を顰めながら

 

「……判ってます。必ず成功させます」

 

そう言うとアシラさんはにこりと笑いながら私の頭を撫でて

 

「それでいいのよ、リーエ。あたし達を頼りなさい。30分くらい楽勝よ♪」

 

「ああ、もしおいて逃げろとか戯けた事を抜かせば拳骨をくれてやろうと思っていたんだ」

 

……少しだけ考えなくも無かったのですが、アシラさんとペガサスさんでは転移は出来ない。逃げるには転移しかないのだ

 

「……初めてもよろしいでしょうか?」

 

2人にそう問いかけると、2人は武器を構えて笑った。私はそれを見てから目を閉じて

 

「座標把握開始……」

 

本来はこんなのは必要ではない、だが今の状態では座標から把握を始めないと転移が出来そうに無い。それほどまでに体力も魔力も消耗していた。手順を踏んでいかないと転移できない

 

「時空間干渉開始……」

 

閉じた瞼に世界が浮かんでは消える。ここから転移できる世界が最後に1つだけ残る

 

「転移軸同調開始……」

 

今私が居る座標軸と転移先の座標軸を同調させると、魔力が渦を巻き転移の準備が始まる。

 

そしてネクロがこの魔力に気付きこっちに向かってくる。ペガサスさんとアシラさんが武器を構え戦闘態勢に入るのを見ながら

 

(少しでも早く術式を完成させる)

 

いくら半ネクロと魔法生命体であってもダメージを受けすぎれば死ぬ。そして30分と言う時間は防戦に徹するには長すぎる時間だ、少しでも早く転移の術式を完成させる。私はそれだけを考えて術式を組み上げ始めた……

 

 

 

ちいっ!次から次へと鬱陶しい!!!

 

「キキーッ!!!」

 

「邪魔だ!!!」

 

飛び掛ってきたLV1を両断し、直ぐに体勢を立て直し前を見る

 

(うじゃうじゃとまた呼んで来たな)

 

リーエはビルとビルの間で詠唱をしている。突破するには俺とアシラを倒す必要がある。それに影からの奇襲をしようにも、リーエが用意したライトの光でビルの間に影はなく、奇襲の仕様がない

 

(まだ5分程度か。護る戦いは長く感じるな!)

 

「はぁ!」

 

「ぐう!ナメるな!出来損ない!」

 

踏み込んで来たLV2の戦斧を弾き、何回か打ち合う。視界の隅では

 

「シッ!!」

 

「ぐぎゃあ!?」

 

アシラは居合いに集中して近寄ってくるネクロを片っ端から切り捨てている。しかも1回の抜刀で2体、3体と切り捨てている

 

そんな芸当が出来るのはアシラのレアスキル

 

『加速直列思考(アクセルシングルタスク)』の力が大きい。アシラはマルチタスクが余り得意ではない、それはアクセルシングルタスクのせいだ、1つの術式構築・術式開放・情報処理。ありとあらゆる思考を加速させるこの能力があれば、無理にマルチタスクをする必要がない。

 

「飛炎ッ!!」

 

LV3を炎を纏った一撃で切り裂き、即座に別の術式を組み上げ

 

「焔刃煉瓦ッ!!!」

 

切り下ろした刃を即座に返し、切り上げ、切り下ろしに繋ぎ、LV3を頭から両断する

 

(前よりも洗練されているか)

 

俺がネクロになる前に見たときと足運びも技の繋ぎもより洗練されていた

 

「貰ったアア……え?あがッ!!!?」

 

突っ込んできたネクロの身体がばらばらになりながら進んでくる、俺は逆手に構えていた、クラウソラスを構えなおし

 

「戯けが、たかがLV3が俺の首を取れるなんて思うなよ」

 

俺がそう呟いた瞬間。上空から強烈な殺気と魔力が突如現れ

 

「ではLV4ではどうだ!」

 

「くっ!?貴様は!?」

 

漆黒の甲冑に鬼面を思わせる肩の装甲、さっき襲ってきたLV4スペクターだ。風を裂いて振るわれる2刀を捌く

 

「ほう、やるな。半ネクロ、我の剣をこうも鮮やかに交わすとは……良い腕だ」

 

「はっ!貴様に褒められても嬉しくともなんともない!」

 

クラスソラスを2振りの小太刀に切り替え。両手に構え様子を窺う

 

「ほう、貴様も二刀流か、同じ剣士同士。存分に死合をしようではないか?」

 

「戦闘凶が!」

 

明らかに戦闘を楽しんでいる。こういうタイプが1番厄介だ、ネクロはそう簡単には死なない。だから腕の一本や二本を捨てても戦闘を楽しもうとする。

 

(こういう状況では1番厄介だ)

 

リーエは後20分身動きが取れない。しかも俺はこいつに集中しなければならない。アシラに後の護りを任せるしか

 

「ひゃーははははッ!!!殺してやるぜぇ?女ぁ!?」

 

「くっ!?LV4!?」

 

黒い影のような身体に蝙蝠の翼を持つネクロがその手にした鎌を向ける。そして

 

「小娘!覚悟しろ!!!」

 

狼のようなネクロが俺とアシラの間を抜けてリーエに飛び掛る。リーエは詠唱に集中してるから避けれない!

 

(しまった……)

 

俺とアシラが自分のミスを知った瞬間。

 

「させると思う?」

 

静かな第3者の声が響く。リーエの足元の影から小柄な少女が姿を見せると同時に強烈な回し蹴りを狼の顎に叩き込む

 

「ぐがあ!?貴様何者だ!?」

 

回し蹴りの体性からリーエの前に立ちふさがった少女が前を向く。

 

(半ネクロか!?)

 

涼しげな表情をした少女の両目は縦に割れ、俺とリーエと同じく半ネクロと言う事を示していた

 

「ふん!たかが半ネクロが1体増えたところで!」

 

体勢を立て直した狼が再度キバをリーエと少女に向ける、だが俺とアシラは

 

「くっ!?邪魔をするな!」

 

「死合の最中に他のほうに意識を向ける方が悪い」

 

「速い!?それに間合いが」

 

「ひゃはははーッ!!!俺様の鎌からは逃げられねえぜ!!」

 

2体のLV4に完全に押さえ込まれて、少女の方に向かえない

 

「くたばれ!!」

 

「死ぬのはそっち。雷甲」

 

バチバチ!!!

 

紫電を走らせ少女の腕に大型の手甲が現れる。少女はそれをネクロ目掛けてぶつけた、すると

 

「グガアアアアアアア!!!!!!!」

 

凄まじい雷がネクロを焼く。絶叫しながら離れるネクロ。それを見ながら少女は俺とアシラに

 

「この子は私が護る。そっちはそっちに集中すれば良い」

 

ヒュン! ヒュン!!!

 

冷気を振りまく槍を帯電している手甲を構えそう告げる。何者かは知らないが、味方と考えて良さそうだ

 

(これで不安要素が1つ減った!)

 

リーエの護りはあいつに任せれば良い、何者かは知らないが信用できそうだ。俺はリーエとスペクターに向けていた、意識をスペクターに集中させると同時に

 

「しっ!!!!」

 

「はっ!当たる……ぐう!?」

 

当たるものかとガードしようとした、スペクターの剣をすり抜けその身体に深くめり込む。俺はそのままクラウソラスを横薙ぎに振るい

 

「ここからは本気だ。叩き潰す!」

 

「はっ!出来るものならやってみろ!!!」

 

その目に闘志と喜色の色を浮かべて突進してくるスペクターを見据え。俺は

 

(あと15分!耐え切ってみせる!)

 

敢えて挑発したのはスペクターを俺に引き付けるため、後は耐え切れば俺達の勝ちだ!

 

 

 

 

「ふむ……スペクターの悪い癖が出ましたか」

 

半ネクロが転移の術式を組み始めて、丁度20分。このまま見逃してもいいが、ここまでして逃がすというのは私のプライドに傷がつく

 

「致し方ありません。私が出ますか」

 

マントを翻し、ビルの上から飛び降りようとして

 

「させると思うかしら?」

 

「!?何者です!」

 

冷たい声に振り返るとそこには銀混じりの亜麻色の髪をした女が居た。

 

(私が気付かなかった?何者だ)

 

拳を握り締め間合いを計りながら

 

「何者です?その魔力……半ネクロですね?」

 

縦に割れた瞳孔にこの魔力……半ネクロとしか考えられない。私の問いかけに女は答えず

 

ヒュン!!

 

シャープなデザインの杖を軽く回し砲口を私に向ける。すると砲口から魔力の刀身が現れ槍となる

 

「なるほど、貴女が何者かは知りませんが敵と見ていいのですね」

 

やはり返答はないが、叩きつけられる殺気から私を敵と見ているのは間違いない

 

「良いでしょう、あの小娘を倒す前に貴女を殺してあげましょう」

 

「出来るのならやってみたら?」

 

ダンッ!!!

 

鋭い踏み込みから放たれた槍を身体をねじって回避する。

 

「シッ!!」

 

「おお!中々やりますね」

 

避けられると同時に持ち手を変え、円運動を利用しての薙ぎ払いに切り替えてきた。その判断の早さ、そして動きの切れどれをとっても一流だ。だが私の方が上、空中で体勢を立て直し着地すると同時に駆け出そうとして……

 

「があっ!?」

 

足元から発生した魔法陣から魔力弾が打ち出され弾き飛ばされる。

 

「ぐうう!やってくれますね!「馬鹿じゃないの?私の攻撃がこの程度で終わるわけがないでしょう?」!!!」

 

嘲笑うかのような冷笑と共に私を覆い隠す、魔力球……その数約200

 

「消え去りなさい。あの子には近づけさせないわ」

 

指が鳴らされると同時に魔力球は魔力弾にと変化し、雨霰のように私に向かって降り注ぐ

 

「この程度で私が倒せるとお思いですか?」

 

ズダン!!!

 

右拳を地面に打ちつけ私自身を基点に魔力を開放する。膨大な魔力は私を覆い隠し、命中した魔力弾を跳ね返す

 

「!ふっ!」

 

槍となった杖を回転させ弾き返すが、200発に及ぶ魔力弾を全部跳ね返すなど不可能

 

「自身の魔力で滅びるが良い!!」

 

跳ね返っていく魔力弾を見ながらそう叫ぶと、女は

 

「そんなわけあるわけないでしょう?」

 

馬鹿にするような口調でそう呟くと同時に強力な防護壁が発生し。跳ね返した魔力弾を完全に無力化していく、いつの間にか女の手には2本目の杖が握られていた。それに私は見覚えが会った

 

「ば、馬鹿な!?何故貴様がそれを持っている!?」

 

ありえない、そんなことはありえない。あの杖の所有者はもう何千年も前に死んでいる。それにあの杖、いやあのデバイスは私が粉々に破壊したはず。存在するわけがないのだ

 

「さぁ?答える義理はないわね。今から消え去る存在に」

 

空間がきしむほどの魔力が女から発生する、その魔力は私と同格かそれ以上……それところかどんどん魔力が上昇しているもう防げるレベルではない

 

(こ、これは流石に耐え切れない!?)

 

これはもう耐えるとかどうとか言うレベルではない、射撃軸から逃れないことには避けようがない。ならば!

 

私は地面を蹴り半ネクロ達の方に飛びながら

 

「は!貴女に撃てますかな!」

 

放てば半ネクロ達を巻き込む。それを悟った女が魔力の収束をやめる、その隙に地面に着地し半ネクロに向かって魔力波を放とうとして

 

「あはぁ♪みぃぃつけたぁぁぁぁ!!」

 

邪悪な響きを持った女の声が戦場に響き渡った。それと同時に飛んできた刃に私は弾き飛ばされた……

 

 

 

(ま。また敵!?)

 

LV5が私達の前に現れたと思った瞬間。赤黒い魔力がネクロを飲み込んだ

 

「あははは♪あはははっははは!!!!!」

 

胸元を大きく開いたレオタードに身を包んだ、紫の髪の女は狂ったように笑いながら

 

「あは♪ 殺せるのがいーっぱい♪」

 

近くに居たネクロの首を掴んで地面に叩きつけ、そのまま足で何度も何度も踏みつけ消滅させる

 

「あ?もう死んじゃった?じゃあ次はお前♪」

 

ネクロがコアを踏み砕かれ消滅するのを見た女は

 

「あああ?なめんなよ。小娘」

 

アシラさんと戦っていたネクロとアシラさんに襲い掛かる

 

(なに!?あのネクロ)

 

詠唱の意識を割いているので喋ることも身動きも取れない中、私は完全に混乱しきっていた

 

私を護ってくれている、小柄な少女に。LV5ネクロ、それに今現れた狂人としか思えない半ネクロ

 

(い、一体何が起こってるの!?)

 

もう何がなんだか判らない、それでも転移の準備を進める

 

「あは♪たのしーねー♪」

 

血を変化させた爪を振るい、ネクロやアシラさん達を関係無しに襲いまくるネクロ。その一撃は強烈で

 

「ぐうっ!?何だこの馬鹿力は!?」

 

ペガサスさんは一撃を諸に喰らい弾き飛ばされ

 

「死んじゃえ♪クロウショット!!!」

 

両腕を振りぬき、血を三日月形にして飛ばし、ネクロを吹き飛ばす。その中で倒れている女性型ネクロの首を掴み無理やり立ち上がらせ

 

「あはっ♪」

 

ガブッ!!!!

 

ネクロの首にその牙を突き立てた。その余りに異様な光景に一瞬時間が止まったような印象を受けた

 

「あ、アアアアアあーッ!?!?」

 

ジュル!ジュルジュル!!!!

 

血をすすり上げる音が響き渡る。血を吸われているネクロの顔は恍惚の表情を浮かべている。

 

「あははは。ご馳走様♪」

 

ぽいっとまるでごみのように投げ捨てられたネクロは、しばたく身悶えし消滅して行った

 

(き、吸血鬼!?)

 

それは吸血鬼のようにしか思えず、一瞬集中が途切れかける

 

「待って、揺らいじゃだめ、意識をしっかり持ちなさい」

 

私を護っていてくれた半ネクロの声で我を取り戻し、術式完成に意識と魔力を全部集中させる

 

「……出来た!アシラさん、ペガサスさんこっちへ!!!」

 

重い音を立てて展開された転移魔方陣の中にアシラさんとペガサスさんを呼び寄せると同時に

 

「ぜーんぶ、死んじゃえ♪」

 

魔力によってその形状を変えた血が上空に球状となり滞空する

 

「させません!! ここで死になさい! 半ネクロォ!!!」

 

ランドグリーズがそのマントを翻しながら両手に漆黒の球体を作り出し。砲撃体制に入る

 

「ずいぶんと不躾だね。旅立ちは黙って見送るものだと思うよ」

 

緑色の扇を構えた半ネクロは目を閉じて詠う様に

 

『舞風』

 

閉ざされていた扇を開きながら詠唱を続ける

 

『見えない恐怖』

 

『斬撃の嵐』

 

『切り裂く自然』

 

開かれた扇から凄まじい強風が放たれ始める。

 

『塵になるまで、嵐は止まない』

 

閉ざされていた眼が開かれ、半ネクロは力強く扇を振るいながら

 

『テンペスター・ファルズ』

 

空を裂く風の刃がランドグリーズの放った魔力球とぶつかりあう。私の転移、半ネクロの風の魔法、ランドグリーズの砲撃、謎のネクロの絨毯爆撃。異なる4つの属性の魔力によってそれによって世界がきしみ始めていた……

 

(魔力が複雑に入れ乱れて術式が乱れる!?)

 

転移魔法の術式にまで影響が出てくるほどの魔力の乱れが発生している。転移が始まるより一瞬早くランドグリーズが

 

「魂の欠片さえ残さず消え失せろ!」

 

術式の維持に意識を向けている私に向かって再度漆黒の砲撃が私達に向けて放たれる

 

(だ、駄目転移が間に合わない!?)

 

私がもう駄目だと思った瞬間

 

「邪魔よ!ルシフェリオンバスターッ!!!」

 

その砲撃に割り込んだ人影、それは前にアークに襲われたときに私を助けてくれた人だった。だが魔力と魔力のぶつかり合いによって発生した衝撃で顔が見えない

 

「くう……なんだこれは!」

 

魔力の余波で廃墟が次々と粒子に変わっていく……

 

「リーエ、大丈夫なの!?」

 

アシラさんにそう尋ねられるが私にだって判らない。後は運に任せるしかない

 

「ブラッディ……ハウリングッ!!!!」

 

「全く無粋なやからが多すぎるね!」

 

血の槍が雨のように降り注ぎ、それを防ぐために扇が振るわれ、2つの砲撃がぶつかり合い続ける

 

そしてその拮抗は驚くほど簡単に崩れ、この周囲に満ちていた魔力が出鱈目に暴走し

 

「だ。だめ……術式が……崩される!!」

 

私の作り上げた術式は完全に破壊され、転移魔法が勝手に発動しその円の中に居た、私とアシラさんとペガサスさん。そしてスザクは本来逃れるはずだった世界ではなく、全く異なる世界にと弾き飛ばされた……

 

第25話に続く

 

 




一言で言います、THE・大乱戦!!! ですね。ネクロ・半ネクロ・謎の魔導師・狂人これが宵闇での陣営の全てになりますね
ここから色々と個人の話が入ってくる予定です。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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