宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は宵闇メインの謎解き編になる予定です。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第25話

 

第25話

 

「う、ううう」

 

頬に当たる冷たい雫で目を覚ます。あたりはさっきまで俺達がいた世界とはまるで違う。石造りの何処かの遺跡のような世界だ

 

「リーエ!アシラー!居るかー!!」

 

一緒にいたはずの2人の名を叫ぶとかなり離れた所から炸裂音が響き炎が上がるのが見える

 

「スザクか。本当にあいつは芸達者だな!」

 

その爆発と魔力の波長をたどり複雑に入り組んだ通路を駆け抜けると

 

「……あ、無事でしたか。ペガサスさん」

 

「やっほ、ペガサス」

 

「随分と寛ぎモードだな?おい?」

 

広場のような場所で焚き火をしているリーエとアシラが居た。2人の間にはスザクの羽で作った焚き火の周りには串に刺された魚と肉が見える。俺を探さず料理していたのか?と視線で訴えると

 

「……動きたくても動けないもので」

 

リーエがローブのすそから足を出す。深い裂傷がありとても歩けるようには思えない。それに魔力も残ってないので飛行も困難だろう。まぁ半ネクロの回復力なら半日も休めば回復するだろうがな

 

「まぁ、良いがな。俺も貰うぞ」

 

座りながら焼いてあった肉を取り齧る。ただの塩焼きだが空腹だと余計美味く感じるな

 

「で?辺りはどんな感じなんだ?」

 

俺がそう尋ねるとスザクが

 

「クワー、クワワー。キュークアッ!!」

 

俺の方を向いて鳴いて、翼を広げて羽ばたき。くるっと回転してもう1度翼を広げて鳴いた

 

「リーエ翻訳」

 

スザクの鳴き声と踊りでは何も判らないのでそう言うと

 

「……近くに崩れ晴れた王宮のようなものがあるそうです。ネクロの気配も生命反応も感じないとスザクは言っています」

 

「キュイー!」

 

正解と言いたげに鳴くスザク。こいつ本当に賢いな

 

「まぁ調べたいけど今は回復に専念しましょう。あたしもへとへとよ」

 

アシラの言うとおりだ。先ほどまでの乱戦で体力も魔力も限界だ……俺は食べるだけ食べて遺跡の壁に背中を預けそのまま目を閉じた。アシラはリーエを抱きかかえるように眠り。リーエもそれに抵抗せず目を閉じていた

 

(まぁさっきの乱戦が功を制したか)

 

リーエが俺やアシラに向ける遠慮が少し減った。これは良い傾向だと思いながら俺は眠りに落ちていった……

 

 

 

 

 

「ぐっ。あの女ぁ……今度見つけたら殺してやる」

 

私は魔力の爆発に飲み込まれ世界から弾き飛ばされ、そこで数人の人間を殺し魂を吸収することで何とか転移するだけの魔力を回復させて戻ってきた。だが身体の傷は殆ど修復できておらず通路をふらふらと歩き謁見の間に行くと

 

「ふっ。侮るからだ馬鹿者」

 

「ヘルヴォル!」

 

私を見て鼻を鳴らすヘルヴォルを睨みつけると

 

「まぁ良いではないか。数少ないLV5が無事に戻ってきたのだから」

 

ヘルヴォルの後ろのカーテンの陰から盟主の声がする

 

「申し訳ございません。盟主より頂いたこの身体を傷つけた事をお許しください」

 

膝を付き深く頭を下げる。すると盟主はくすくすと笑いながら

 

「いや。構わないよ。まだ始まったばかりだからね。それよりも死ななくて良かったよ、ランドグリーズ」

 

盟主は楽しそうに笑う。盟主は部下思いと言うわけではない、ただ自身の愉しみを満足させてくれる者に対しては寛大なだけだ

 

「それにしてもヘルヴォル。お前の報告は大変興味深かった、神王の血筋がまだこの時代の残っているとは思わなかったよ」

 

「は。しかし当人はその称号を良しとは思っていないようです」

 

神王。守護者の異名を取る八神龍也のことだ。なぜ私の前に顔を出したヘルヴォルが盟主にその事を報告できるのかと思っていると

 

「なに、ヘルヴォルには僕が目覚めた事を伝えに行って貰ったんだ。それからはクラナガンとかにいってもらってたんだよ」

 

ふふふと笑った盟主は

 

「この時代は面白いねぇ。天雷の書に夜天の書。数多の融合騎に戦闘機人。どれも僕を楽しませてくれるよ。さてと僕はもう少し眠るから好きにしていて構わないけど。神王の息子は殺さないでね。彼は僕が貰うからね」

 

そう言うと盟主の気配は消えて行った。また眠りにつくようだ

 

「使え」

 

放り投げられたリンカーコアを受け取りながら

 

「よろしいのですか?」

 

いくら前に盟主が目覚めたときに大量にリンカーコアを奪ってきたからと言って、いきなり使って良いものかと思い尋ねると

 

「構わん。盟主の命だ。とっとと回復して今の騎士達の戦闘能力の測定とネクロの素体集めの任にもどれ」

 

そう言うと盟主の部屋に続く扉の前に陣取るヘルヴォルを見ながら。私は謁見の間を後にした

 

「スペクター。アークとか言う半ネクロに指示を出してクラナガンに来るように伝えなさい。守護者の居る世界ですよ。あとスペクター貴方はあの時現れた3人の半ネクロについても調べなさい」

 

「畏まりました。では失礼を」

 

闇に紛れ消えていくスペクターを見ながら私は

 

(雷甲。それにあの杖……どうもただの半ネクロではないようですしね)

 

あの2つはずっと前に見たことがある。どちらも永久に失われたはずだが確かに存在していた……どうやら

 

(そう簡単にことは進みそうにありませんね)

 

まだ何かある。そんな気がしてならない。だが今は

 

(指示に従うとしますか。今はね)

 

出された指示に従うまで私はネクロ化を解除して人間態に戻りクラナガンにと転移した……

 

 

 

 

 

「……この街並み。ペガサスさん判りますか?」

 

「ああ。かなり作りは古いがベルカの物だな」

 

睡眠をとった後。3人で探索していると気付いた。この街並みはかなり古いがベルカのものだ

 

「……かなり古い作りですね、何時の時代でしょうか?」

 

辺りを見回しながら進み。スザクが見つけた王宮へと向かう。王宮は街の中心にあり小高い丘となっていた。そこに登り辺りを見ると

 

「これはまたかなり凄いわね」

 

アシラさんが呟くのも無理はない。この世界は何かに切り取られたかのように歪な街になっていた

 

「こっちもだな。見たくれは立派だが。中身はスカスカだ。どうも空間ごと抹消された都市の様だな」

 

空間ごと。よほど強力なネクロだったのだろうか?

 

「……とりあえず王宮の中を調べましょう」

 

「まて。これは王宮じゃない。何かの言い伝えを残す図書館のようなものだ。あたり一面壁画で一杯だ」

 

ペガサスさんの言葉を聞きながら遺跡の壁を見る

 

「……ん?え?ちょっと待って!?」

 

少し見てみたがここに記された歴史は明らかにおかしい

 

「……ジオガディスはネクロマンシーの開祖じゃない!別の人の術って書いてある!」

 

ずっとネクロマンシーはジオガディスノ術だと思っていた。だけど違う!?それところか今までのネクロの知識が全て間違っているかのような記述がちらほらと見て取れる。

 

「……ある者を監視するために作られたのがこの術。高い魔力と再生能力を持った……アシラさん!ペガサスさん片っ端から遺跡の文字をメモしてください!後で纏めます!」

 

ここに記されているのは今まで常識だと思っていたことを覆す数多の事実。全てを知る必要がある

 

「リーエ。メモしたのここに置くわよ」

 

「……ありがとうございます」

 

ペガサスさん。アシラさんに交互に渡されるメモをひたすら纏め、1つの文にしていく。そして日が落ちたころ

 

「……続きは!?」

 

受け取っていたメモの山がなくなったのでそう尋ねると

 

「もう無いわよ?ねえ?」

 

「その言い方は正しくないな。あったはずだが削り取られ存在してないというべきだ。で?なんて書いてあるんだ?俺は現代のベルカの言葉は判るが。過去のはそこまで判らん説明してくれ」

 

その言葉に頷き私は書いた文を読み上げ始めた。

 

「黒龍皇の憎悪は消えない。忘れるなやつは必ず蘇る。備えよ大罪の皇に1度我らが土地を完全に消し去った、悪鬼の名を忘れるな。かの者の名は黒龍皇。忌々しき悪の皇なり。……ここからここの翻訳がこれです。それでこっちが」

 

別の石碑を指差して私はメモを読み上げ始めた

 

「高き魔力と不死の身体を持つ兵士。いつか目覚める黒龍皇を倒すのは同じく不死の力を持つものだけ。魔道賢者が作りし転生の秘術は神王。聖魔王の2人の王の血筋にと預けられたとあります。これは可能性ですが……ネクロは私達が失敗作と言っていましたが本当は逆なんじゃ?」

 

ネクロが間違っていて。半ネクロが正しい存在……その可能性が出てきた。別の石碑を指差しながら

 

「人の身を失うが。心までは失わぬ高潔な魂を持つ者だけがその存在になる事が出来る。逆に魂が穢れたものは悪鬼となりて破壊を繰り返すだろう。ネクロ化の事ですよね?これ」

 

私がそう尋ねるとペガサスさんは

 

「ベルカの空白の歴史のことを覚えているか?」

 

「……ええ。神王の前の時代の600年が無いってやつですよね?」

 

ベルカの教会にも記されていない空白の時代。神王……つまり龍也様のお父様のお父様。おじい様の時代はどこの教会にも残されていない

 

「なるほどね。随分と違う記録が伝わってきてるのね」

 

「……多分。伝えるように言われた方が恐れたのでしょうね。黒龍皇と呼ばれる存在を、だから少しずつ歴史を書き換えて行ったんでしょうね」

 

長い時が経つに連れて黒龍皇の恐怖を知るものもいなくなった。だから別の記録に差し替えた。ネクロマンシーはジオガディスが作り出した術となり。黒龍皇の存在は歴史から消えた

 

「だがこれで少し判ったぞ。ネクロにはまだ何か秘密がある、増え続けるネクロにLV5……その黒龍皇とやらの復活が近いんじゃないだろうか?」

 

ネクロの活性化とここで知った黒龍皇の存在。無関係とは思いにくい

 

「……旅の方針が決まりましたね」

 

「この遺跡の残りを探すのか?」

 

「……ええ。復活する前に黒龍皇。ネクロの秘密を探して龍也様に伝えなければ」

 

私が旅をしているのはもしかしたらこの為なのかも知れない。龍也様を助ける手伝いをすることが……

 

「……あと1日ここで休んだら次の世界に行きましょう。そして旅を続ければいずれは全てが判る筈ですから」

 

判らないことが多すぎる、今までは状況に流されてきたがそうも言ってられない。知らなければならないことがわかったのだから、遺跡から出て少し前の広場で簡単な食事をしてから眠りに落ちたのだが

 

「……うん?」

 

どこから囁くような声がして目を覚ます。アシラさんはごろりと寝転がった毛布を被ってるし、ペガサスさんは膝を立てて眠っているスザクは

 

「すぴーすぴー」

 

焚き火の近くで丸まって眠っている。炎属性のネクロだから炎の近くが安心するのかもしれない。私はそんな事を考えながら体を起こして声のするほうに向かっていった。そこには湖とまではいかないが澄んだ泉があり、その近くに腰掛ける女性が歌を歌っていた。その女性は何度か私を助けてくれた銀が混じった亜麻色の髪をしたどことなくなのはさんに似た人だった。歌っていた人は私に気付くと

 

「こうして顔を見合わせるのは初めてね。こんばんは」

 

にこりと微笑むその人に思わず、顔も知らないお母さんのようなものを感じて。私は硬直してしまった

 

 

 

 

「……こんばんわ」

 

「そんなに警戒しなくても良いでしょう?別にとって食おうってわけじゃないんだから」

 

肩を竦めながらいうとリーエは

 

「……そういう訳ではないんです。あの2回も助けていただきどうもありがとうございます」

 

深く頭を下げるリーエに

 

「別に見てられなかっただけよ。貴女が未熟すぎてね」

 

「……そうですか」

 

私の顔色を窺おうとしているリーエ。まだ幼さが残るが十分に綺麗だし可愛いと思う

 

(私の娘も……生きてたらこんな感じだったのかな)

 

私がリーエを見つけたのは50年ほど前。まだ子供なのに半ネクロとなり悲しみながらも旅を続けているその姿に、護れなかった娘の姿が重なりずっと見てきた。こうして顔を見合わせて話すのは初めてだけどイメージ通りの子だった

 

「……貴女も半ネクロなんですよね?」

 

「まぁね。見れば判るでしょ?」

 

縦に割れた瞳孔と魔導師とネクロの魔力が混じった気配。これを半ネクロといわず何と言うの?と尋ねると

 

「……貴女の気配を何回か感じたことがありました。ずっと見ててくれたんですか?」

 

意外と鋭い子ね。驚いたわ……でも内心動揺を見せずに

 

「偶然でしょ?私には私の目的があって旅をしている。別に貴女を見ていたわけじゃないから」

 

なんか思った以上に勘の鋭い子だ。やっぱり顔を見せたのは失敗だったと思いながら立ち上がり、リーエの前から移動すると

 

「……待っ……ふべっ!?」

 

思いっきり転ぶリーエに立ち去るにも立ち去れず

 

「もう何してるのよ」

 

はあっと深い溜息を吐きながら手を貸して立ち上がらせると

 

「……ありがとうございます」

 

被っていたフードが取れ美しい蒼目を見せているリーエの気恥ずかしそうな笑みに、どうしても娘の姿が重なって見えて

 

「はぁもう!見てられないわね!」

 

ポケットから取り出したりボンをリーエの髪に結びつける。無論これはただのリボンではない、身に着けているものが生命の危機に陥ったとき転移軸を私に教えてくれるアイテムだ。リボンを結ばれ困惑してるリーエ

 

「ちゃんと身に着けておきなさい。良いわね」

 

「……え?」

 

「い・い・わ・ねっ!」

 

強い口調で言うとリーエは誰かを思い出したのか少し身震いしてから頷いた

 

「そう。聞き分けの良い子は好きよ。じゃあね、また何処か出会いましょう」

 

そういってリーエの前から歩きさろうとするとリーエが私の背中に向かって

 

「……私リーエです!貴女の名前はなんですか!」

 

「ラプス。ラプス・ハイタウン」

 

振り返らずそう呟いて私はリーエの前から転移してこの世界を後にした

 

 

 

 

 

翌朝

 

「あれ?リーエ。リボンしてた?」

 

リーエの髪にリボンが結ばれている事に気付き。そう尋ねると

 

「……女の子ですから。身だしなみは整えるべきですよね」

 

にこりと微笑むリーエにあたしは

 

「ふーん。そう言うのは大事よ、今度の世界が人がいる世界なら髪も少し切ったほうが良いかもね」

 

伸ばしっぱなしの髪を見ながら言うとリーエは

 

「……そうですね。少し切りましょうか……それに龍也様に会えた時に伸ばしっぱなしッて言うのも恥ずかしいですし」

 

やっぱり龍也様か……このこの判断基準は龍也様だけなのかしらと思っていると

 

「水を汲んできた。そろそろ出発しよう」

 

リーエが見つけたという泉で水を汲んでいたペガサスが戻ってくる。こういうのは男の仕事だからと言って無理に押し付けたのだ

 

「……ですね。行きましょう」

 

ペガサスが汲んできた水を水筒に入れてローブにしまうリーエ。なんでもあのローブは色々と保管できてしかも鮮度を維持するとか

 

(どういうローブよ)

 

思わずそんな感想を抱くが、あたし自身も不死生命体だし深いことは聴かないことにする

 

「……では行きましょう。また別の世界に」

 

「クワーッ!!!!!」

 

リーエの言葉にスザクが力強く鳴きながら肩に止まる。リーエはスザクの頭を軽く撫でてから指を鳴らす。すると漆黒のゲートが開くリーエはあたしとペガサスを見て笑いながら

 

「……もう途中で降りるなんて許しませんからね♪」

 

そういって真っ先にゲートに向かって飛び込んだ

 

「だとさ。どうする?アシラ?」

 

「言うまでもないでしょ!」

 

「だな!」

 

リーエの後を追ってあたしとペガサスもゲートの中に飛び込んだ。

 

 

こうしてあたし「アシラ・ローウェル」と「ペガサス・ナイトアーク」そして「リーエ」と「スザク」

 

3人と1匹の奇妙な旅が幕を開けたのだった……

 

 

 

 

小高い丘の上で時空の狭間に消えていく3人を見つめる少女の姿。あの乱戦のときリーエを護っていた少女だ

 

「結局ヒュぺリオン。貴女は私に何をさせたかったの?」

 

手の中の剣に問いかけるが剣は何も言わない。少女は肩を竦め

 

「まただんまり?もう」

 

こうなるとヒュぺリオンは何も言わないと判断し、ヒュぺリオンを自身の影に沈めて収納すると

 

「懐かしい街並みだね。昔の私の国みたいだよ」

 

その言い方はまるで自身が一国を治めていたかのような口ぶりだった。少女は儚げな笑みを浮かべて

 

「さてと、私も行こうかな。またヒュぺリオンの主を探して」

 

私の作り出した剣だけどヒュぺリオンは私以外の主を求めている。ならば創造者としてそれを叶えてやるというものが親心と言うものだろう。

 

「じゃあ行こうかな」

 

丘の上から飛び降りた少女は空中に現れたゲートに飛び込むように姿を消したのだった

 

 

 

謎の盟主

 

LV5ネクロ

 

失われた次代の伝承

 

正体不明の半ネクロ

 

そしてリーエ

 

 

様々な思惑が重なる中。物語の幕はゆっくりと上がり始めたのだった……

 

第26話に続く

 

 




次回からはコラボ編になります。色々な世界に現れるリーエさん一行と仲間になる。夜天で登場したネクロ達そして明かされていく謎を書いていきたいと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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