宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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第27話

 

 

第27話

 

世界とは数多の姿を持つ。そして時に異なる世界同士が重なる時がある……

 

雲1つない星空に輝く大きな満月に重なるようにして、漆黒の門が開く……

 

そこから金色の右手をした、女性の姿をした異形がゆっくりと姿を現し。ゆっくりと落下していった……

 

 

ごつんッ!!

 

「いでっ!!」

 

突然頭に走った激痛に思わず叫ぶ。なんだよ、せっかく気持ちよく寝てたのに……

右手で頭に当たった何かをつかみ、適当に放り投げる。何があったのかは気になるが、今は睡眠が優先だ。俺は再び目を閉じた……

 

「なんだ。このメモリ?」

 

翌朝。学校に行く準備をしながら、ふと思い出し昨日の夜頭に当たった。何かを探した俺の目に飛び込んできたのは

 

「ガイアメモリ?」

 

唐突だが、俺兵藤 一誠(ひょうどう いっせい)は転生者である。それも特典付き神様転生という二次小説ではテンプレという奴だ。特典の内容はロストドライバー・ダブルドライバー・ガイアメモリ制作能力といえば分かるだろう。仮面ライダーWセットだ。そんなわけで俺は自分でガイアメモリを作れるのだが、机の上に無造作に置かれたガイアメモリはなんというか特別だった

 

(存在感が違う……何なんだこのメモリは?)

 

俺が作るガイアメモリとは本質的に何かが違う。こうして置かれているだけなのに空間を歪めるだけの魔力を放っている紫色のメモリを手にし、刻まれている名前を読み上げる

 

「V Memory? 誰かの記憶って事か? 「アニキー? 早くしないと遅れるぞ?」

 

部屋の外から俺を呼ぶ。義妹のヴァーリの声に我に返り、時計を見る。確かにそろそろ出ないと遅れる時間だ。後で考えればいいと思い俺はそのメモリをポケットに突っ込み、鞄を担いで走り出した

 

 

 

 

「アニキ何をそんなに難しい顔をしてるんだ?」

 

授業を終えて家へと向かっていると、義妹の兵藤ヴァーリが俺の顔を覗き込みながら尋ねて来る。俺はポケットに入れたままのメモリを取り出して

 

「朝起きたらこんなメモリがあってな。これが何か考えているんだ」

 

そう言って振り返るとそこにヴァーリの姿はない

 

「ヴァーリッ!?」

 

姿の見えないヴァーリに驚き。辺りを見回す……そして気付いた。さっきまで聞こえてきた子供の声や車の音が何一つしない無音の世界に

 

(俺が引きずり込まれたのか?)

 

結界か何かに取り込まれたのか? いやそれ以前に

 

(ヴァーリはどうなった!?)

 

俺と同じように別世界に引きずり込まれたのか? それとも元の通学路に残っているのか? と考えていると

 

「キキキッ!!!」

 

「そノメモリをヨコセッ!! 人間」

 

あちこちの影から黒い身体をした異形とボロボロの鎧を身に纏った異形が姿を現す

 

(悪魔じゃない!? 何だこいつらは!?)

 

仮面ライダーの敵でもなければ、ハイスクールD×Dの敵でもない。正真正銘の異形だ……そして言葉を聞く限りやつらの目的は

 

(このメモリか!?)

 

謎の存在感を放つ、Vと刻まれた半透明の紫色のメモリ。これがなんなのかは判らないし、この異形達がなんなのかも判らないが。

このメモリを渡すという選択肢は俺になかった

 

「念のために持ってきておいて良かったぜ」

 

鞄からロストドライバーと「J」と刻まれた、紫色のガイアメモリを取り出す

 

「これがなんだか、判らんが。お前らには渡さん」

 

化け物が求めるメモリ。渡さば何が起きるかなんて考えるまでもない。このメモリは絶対に渡してはいけないものだ

 

【Joker!!】

 

「変身!」

 

俺は腰のロストドライバーへと紫色のガイアメモリを挿入する。すると俺は紫色の風に包まれその姿を変える。仮面ライダーWの世界でロストドライバーを用いて変身される。仮面ライダージョーカーへ

 

「さあ、天龍の裁きを受けろ!!」

 

俺はそう叫ぶと目の前の異形に拳を突き出した

 

「グギッ!?」

 

不気味なうめき声を上げて異形が吹っ飛んでいく。

 

(なんだこいつら、弱い?)

 

数こそ多いが全然弱い。牽制程度の一撃で身体に風穴が開き吹っ飛んでいく黒い身体の異形を見て、心の中でそう呟いた

 

(鎧を着てる亡霊が3体、それに黒い身体は残り4体。これならすぐに倒せる!)

 

そう考え走り出そうとした瞬間。足が何かに掴まれつんのめる、思わず足元を見ると

 

(!? 再生してる!?)

 

俺自身フェニックスとして転生しているし、再生能力を持つ悪魔や堕天使とも戦ってきた。だがこの異形の再生は全く別の物だった

 

「キキ……シネ。ニンゲン!!」

 

身体を失った同士がスライムのように混ざり合い。全く別の姿へとその姿を作り変えている

 

(同属吸収!? なんなんだ! この化け物は!)

 

さまざまな悪魔と戦ってきた俺でも、思わず動揺する。こんな異常な特性を持った悪魔なんか見たことがない

 

「ォおおおッ!!!」

 

亡霊型の1体が剣を振りかざし突進してくる。拳を握り締めかけ止めた

 

(こいつも恐らく同じタイプのはず。下手にダメージを与えるわけには行かない)

 

あの鎧を着ている亡霊はどう見ても、俺の足を押さえている異形の上位種。同じ再生能力を持っていると見て間違いない。

 

(ヴァーリがいたら……)

 

思わず舌打ちする。ヴァーリがいればD×Dになれる、D×Dの火力ならそれこそただの一撃でも倒せるかもしれないが、ジョーカーでは若干の不安が残る。ジョーカーはその名のとおり切り札の記憶を内包したメモリで、強力なメモリだがその範囲は所有者の身体能力の強化だ。再生する相手に格闘戦というのも中々無理がある

 

(これしかない!)

 

腰のマキシマムスロットにジョーカーメモリをセットする

 

【Joker MAXIMUM DRIVE!!】

 

左手に黒いオーラが集まる。俺は振り下ろされた剣を首を傾ける事で回避し

 

「ライダーパンチ!」

 

異形の胴体に向かって拳を繰り出す。マキシマムドライブの一撃は異形の右半身を完全に消し飛ばした、また再生すると俺は思っていたのだが

 

「ぎ、ギアアアアアアッ!!!!」

 

悲鳴を上げながら異形の身体が粒子になって消え始める。さっきの異形は身体の半分を失ったのに再生した、だが目の前の異形は消滅している。その違いは何だ? 消えていく異形の胴体に半分ほど消し飛んだ、赤黒い球状のコアのような物があった、それを見た俺は

 

(あれが心臓って訳か)

 

異形達は、あの球状のコアに蓄えられた魔力を用いて身体を再生しているのだと……それが判れば

 

(いちいちマキシマムドライブをするまでもない)

 

ただの白兵戦でも異形にダメージを与える事が出来る。再生能力を上回るスピードでダメージを与え続けコアを砕けば良い、

 

「はっ! そうと判れば!!」

 

足に絡み付いていた異形を強引に振りほどき、踵落としを叩き込むすると何かを蹴り砕く鈍い感触が足に残り。異形は苦しみながら消滅していった。やはりコアを砕けば終わる。俺は群がってくる異形達に向かって拳を握り締め走り出した……

 

 

 

異形……ネクロと戦うイッセーいやジョーカーを見つめる。真紅の瞳、ビルの縁に腰掛けた男は

 

「中々やるなあの人間……いや、違うか」

 

あの人間から感じる波長は人間のものでも、魔導師のものでもない。詳しくは判らないがこの世界特有の能力者と見ていいだろう

 

「あの人間だけではない、この世界には凄まじいまでの強者達の気配を感じる」

 

あの人間を閉じ込めた結界の外にいる小娘にしろ、教会に2つ存在する強靭な魂にしろ。この世界には様々な種族そして魔力が満ちている

 

「好都合だ。あのメモリ……いや、かつてのダークマスターズを手にすれば俺はより強靭な存在になれる」

 

あの人間が持つ「V」のメモリ。それはかつてのダークマスターズの1柱と同じ魔力を放っている。あれを取り込めば俺はより完成されたネクロへと進化できる。

 

「8分……LV1と2ならあの程度か」

 

あの人間にぶつけたのはネクロの中でも雑兵の最下位と下位だ、最初こそ再生能力に手間取ったようだが。それも最初だけですぐに順応した、見かけよりも相当場数を踏んでいると見ていいだろう

 

「まぁ良い。もう少し様子見をするか」

 

ネクロを倒し終えた人間に駆け寄る小娘。二言三言話すと走り出す2人を見つめながらそう呟き

 

「クロークル。後を追え」

 

「ギーッ!!!」

 

三つ首の使い魔クロークルにそう指示を出し、ゆっくりと立ち上がり

 

「そして同属……いや出来損ないもいるようだしな。この世界は本当に興味深い」

 

俺と同属、いやネクロになれなかった出来損ないの半ネクロの気配が2つ。それに魔導師の気配が1つ昨晩現れた。俺と同じように流れ着いたのか、それとも転移してきたのかは不明だが。たいした問題ではない、半ネクロは半分人間の出来損ないだ。恐れるまでもない

 

「さてと……行くか」

 

2人が向かう先は十中八九、己と同じ能力を持つ人間の元だろう。それならば纏めて戦ったほうが都合が良い、俺はそう呟きその場を転移した

 

 

 

「ふー」

 

公園のベンチに腰掛け溜息を吐くと

 

「アニキ。大丈夫か?」

 

心配そうに尋ねてくるヴァーリに手を振りながら平気だと返事を返す。異形の最後の1体を倒すと結界が砕けすぐにヴァーリが走ってきた。俺はジョーカーの変身をときながら、ヴァーリに

 

「近くの公園に行くぞ。そこにシュラウドとアーシアを呼ぶ」

 

固い口調の俺にヴァーリは何かが起きたのだと悟り。無言で頷いた、それからは辺りを窺いながら公園にやってきた。周囲を警戒しながら来たので若干精神的に疲れたせいで思わず溜息を吐いただけだ。ヴァーリに差し出されたジュースのふたを開けて中身を一気に飲み干すと同時に

 

「イッセーさん」

 

「イッセー」

 

シュラウドとアーシアが公園に入ってくる。シュラウドを呼んだのはさっきの異形について検索してもらうためだ。シュラウド・アージェントもまた俺と同じく転生者で。本名は園咲 来人、いやフィリップといえば判る人は判るのではないだろうか? 仮面ライダーWのもう1人の主人公と言えるあの人物だ。転生して女になっているが、地球の本棚にはアクセスできる。俺も一応アクセスできるのだが精度が低い。だからシュラウドを呼んだのだ、俺はポケットから「V」と刻まれたメモリを取り出し

 

「問題が起きた。見たことのないメモリとそして化け物が現れた、やつらの目的はこのメモリだと思うが詳しい目的も、正体もわからない。シュラウド……頼めるか?」

 

俺がそう言うとシュラウドは目を閉じて意識を集中し始める。俺はその仕草を了承と受け取りキーワードを口にした

 

「1つ目のキーワードは黒い身体の異形だ」

 

「……それだと情報が多すぎる。次のキーワードは?」

 

「固体ごとに違う姿と再生能力」

 

しばらく待つとシュラウドは閉じていた目を開き

 

「もう少し何かないか? 大分絞り込めたんだが……まだ情報が足りない」

 

「そうだ。赤黒い球状のコアだ。それを砕くとやつらは死んだ」

 

俺がそう言うとシュラウドは再度目を閉じ、すぐに目を開いた

 

「判ったよ。イッセーが戦ったと言う異形は「ネクロ」と言う悪性の魔道生物だ。人の魂や亡骸、時には生きた人間や動物を素体として作り出せれる。殺戮と破壊を好む悪魔だ」

 

それは思っていたより遥かに重い情報だった。ヴァーリが

 

「だけど、私はそんな悪魔知らないよ」

 

ヴァーリがそう呟くとシュラウドは頭を振りながら

 

「当然さ。「我らはこことは異なる世界で生まれ、様々な世界にその手を伸ばしている。貴様が知らんのは当然だ」何者だ!?」

 

シュラウドの声を遮った男の声に振り返ると、いつの間にか俺達の後ろに腕を組んだ男が立っていた

 

「何者? と問われれば。こう答えようディアボロ。ネクロLV4 ディアボロだ」

 

LV4? それにネクロは黒い身体を持つ異形なのではないのか? 

 

「イッセーさっきの続きだが。ネクロはLV1~4の区分を持つ、そして人型のネクロは極めて強力で超越者と同格かそれ以上かもしれない」

 

「中々に詳しいな小娘。まぁそんなのものは何の意味なさないがな」

 

男がにやりと笑うと甲高いキンッと言う音が響き、世界が隔離される

 

「貴様らは中々優秀な素体になりそうだ。喜ぶが良い我らが同胞となれることをな」

 

ネクロは人間の亡骸を媒介に作られるとシュラウドが言っていた。やつは俺達を殺すつもりだ、だが俺達はフェニックスに転生している。その事を知らないのだろう……

 

「ヴァーリ」

 

「わかってるよ。アーシア、私の体は頼むね」

 

「はい」

 

アーシアがヴァーリを支える体制になったのを確認してから

 

「行くぜ相棒」

 

「ああ、任せろ」

 

「行くよ、アルビオン」

 

「判っている」

 

どこかから飛んできた赤と白の身体を持つ、機械の竜がその姿を「BG」と「DD」と書かれたメモリへと変形し俺とヴァーリの手の中に納まる。俺とヴァーリの隣では

 

「ファング、行くよ」

 

「ギャッ!ギャッ!!」

 

ロストドライバーを腰に巻いた。シュラウドの手に飛び乗ったファングメモリがライブモードからメモリモードにと変形する。

 

【Divine Dividing!!】【Boosted Gear!!】

 

【Fang!!】

 

 俺が赤いUSBメモリのボタンを押すと俺の隣で同じ用にヴァーリが白いUSBメモリのボタンを押す、するとヴァーリの身体が揺らぎゆっくりと倒れこむ。意識の共有をしたのでヴァーリの意識は、己の身体から俺の身体の中にと移ったからだ。地面に倒れる前にアーシアが身体を支え。ゆっくりと後ろに下がる。俺転送された白いメモリと自身の手に持つ赤いメモリをベルトへと差し込んだ。俺の隣ではシュラウドが同じようにメモリをセットしている

 

【Fang!!】

 

【Divine Dividing!!】【Boosted Gear!!】

 

「「変身ッ!」」

 

俺とシュラウドの声が重なり、俺の身体を赤と白の風が包み込み、シュラウドの身体を白銀の風が包み込む。風が吹き飛ぶと俺とシュラウドの姿はそれぞれ、赤と白の身体を持つ仮面ライダーD×Dへ、シュラウドは仮面ライダーファングへとその姿を変えていた。俺とシュラウドは同時に

 

「「俺達/私達は二人で一人の仮面ライダーだ!さあ、天龍の裁きを受けろ!」」

 

「さぁ! お前の罪を数えろ!」

 

そう叫ぶとディアボロはくっくと笑いながら

 

「仮面ライダーか、なるほど。では俺もそのように戦うとしようではないか」

 

ジャララララッ!!!!

 

鎖が音を立ててディアボロの腰を何度も往復する。その光景は見たことがあった

 

(仮面ライダーキバ!? この世界にはキバも混ざっているのか!?)

 

Wとはまた別のライダー。ある種族の王だけが纏う事を許される伝説の鎧、その鎧を召喚するためのベルトと同じ姿にと鎖が変形する

 

「クロークル」

 

「ギャーッ!! ギャーッ!!!」

 

どこかから飛んできた3つ首の龍の様な、蝙蝠のような異様なシルエットをした異形が腰のベルトに収まり。その3つの首をそれぞれベルトの両脇と正面に納める

 

「変身」

 

再び鎖の音が響き渡り、男の身体を覆い隠す……そして鎖が弾け飛んだとき、そこには俺達と似た姿をした異形が立ち塞がっていた。漆黒の身体に、真紅の複眼と龍の角を模した頭部、龍の顎を象った肩当を身につけている。そして空間が歪むほどの魔力を纏った異形は右手を振り上げながら

 

「お前達風に名乗らせてもらおう。仮面ライダー、仮面ライダーダハーカ」

 

異形の周りを漆黒の雷が降り注ぐ中、異形は自信に満ちた声で俺達に向かって

 

「邪龍の裁きを下す、死刑だ!」

 

腰に収めた漆黒のブレードを抜き放ちそう叫んだ……

 

第28話に続く

 

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