宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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第33話

第33話

 

手にしている剣……いや。ガイアメモリから信じられない位力を感じる。いやそれだけじゃない……俺が知りえない知識が……戦闘方法が次々と脳裏に浮かぶ

 

「いっけえっ!!!」

 

地面を抉ろうかと言う勢いで剣を振りぬくと

 

バシュッ!!!

 

蒼い魔力で出来た刃が3つ同時に現れダハーカ達に襲い掛かる

 

「ぐっ!? こ。これは!?」

 

ダハーカは剣で刃を弾いて防いだが、イモータルとレヴィアタンは直撃を喰らって吹っ飛ぶ。地面に叩きつけられたイモータルとレヴィアタンは切られた胴と腕を押さえ

 

「がっ!? ぐううッ!!!」

 

「あがが!? ヤケル!? 腕がヤケルううう!?」

 

苦悶の声を上げて悶絶している。おかしい、今のは軽い牽制程度の攻撃だったはずだが……俺が困惑しながら剣を見ているとアシラと

 

「浄化属性ね。まぁ何でそんなの使えるか知らないけど……今がチャンス! ルフェイ! アーシア援護よろしく! シュラウドとヴァーリはあたしについてきて!」

 

浄化属性? 魔力の種類なのか? だがそんな事を言われても余計に混乱するだけだ。俺が考え込んでいると後ろから背中を蹴られる

 

「あだ!? な。なんだよ!?」

 

「戦闘中にぼんやりするな、死にたいのか? それならそれでも構わんがな」

 

ふんっと鼻を鳴らし俺の横を駆けて行くペガサスの背中を見ていると

 

「ペガサスの言うとおりですよ。考え事をするなら下がってやってください」

 

むう……確かにその通りなのでなんとも言えない。だが……

 

「下がって考えるのは俺の性じゃない!!!」

 

いつだって突っ込んでぶちのめす! 手にしている剣を正眼に構えダハーカに突っ込みながら剣を突き出す

 

キンッ!!!

 

「そんなのが当たると思っているのか?」

 

ダハーカはしたからの切り上げで俺の剣を弾き上げるダハーカの声を聞いた瞬間。また脳裏に勝手に俺の知らない知識が浮かび上がる

 

「当たるなんて思ってねえよ!!!」

 

ダンッ!!!

 

力強く踏み込み、それを軸にして身体を半回転させながらの裏拳をダハーカの顔面に叩き込む

 

「がっ!?」

 

直撃を喰らい吹っ飛ぶダハーカを見据えながら。拳を握り締めそれを大きく後方に向かって引き、身体にためを作る……いや違う……

 

(これは俺の意思じゃない……メモリの意思だ)

 

メモリの中の八神龍也の経験が、記憶が、俺に力を貸してくれている。かといって俺を無理やり動かしているのではない

俺の戦い方に最もあった技を俺に教えてくれているのだ……そして今俺が繰り出そうとしている技の名は

 

「玄武剛弾ッ!!!!!」

 

ドッゴーンッ!!!!!

 

「ぐっがはあ!?」

 

大砲が炸裂したような轟音と共に炸裂した自身の右拳を見る。うっすらと蒼い光が灯っている、これは俺がやろうとしてやっているものではない。自然に身体がやっているのだ……

 

(このメモリの力か。とんでもないな)

 

格闘戦や剣術のレベルはそれなりに高いと自負しているが。それを更に底上げしてくれているのはこのメモリの力だ、力の欠片だけでこれだけのパワー……

 

(八神龍也本人はどれだけ強いんだよ……)

 

超越者級なのは間違いない。もしかするとサーゼクスとかに匹敵するだけの能力も持っているのかもしれない。ガラにも無く考え込んでいると

 

「ぼけっとするな! イッセー!」

 

「ぬおっ!?」

 

リーエの首をつかまれ引っ張られる。その直後極大の黒炎が俺のいた所を焼き払っていた……あ、あぶねー。あれを喰らうとフェニックスの回復能力が狂うし、感覚もグダグダになるし

 

「サンキュー。リーエ」

 

「ああ、それよりも集中しろ。メモリから問いかけてくる声を聞き逃すな……きっとあの方はお前に力を貸してくれている」

 

腰のメモリを懐かしい物を見るような目で見てから、ヴァーリ達とレヴィアタンの戦っている方向に駆けて行くリーエの背中を見ていると

 

(気をつけろ。敵が来るぞ)

 

脳裏に囁く様な声がすると思った瞬間。俺は前を向いたまま足を振り上げた

 

ガキーンッ!!!

 

「ちいっ! 中々良い反応だな! 小僧!」

 

ダハーカの舌打ちと感心したような声を聞きながら

 

(俺がやったわけじゃなねえけどな)

 

身体が勝手に動いたのだ。どうも戦闘能力だけではなく感や空間把握まで大幅に上昇しているらしい、そんな事を考えながら剣を持ち直し

 

「はっ!!!」

 

抉るような突きを繰り出すが、それはダハーカの篭手で受け流されダハーカの右手が俺に向けられ

 

「闘魔傀儡掌ッ!!!」

 

「当たるかよッ!!!」

 

さっきの地面に用意されていた電撃の個人用の技だと判断し。横っ飛びで回避し

 

「せやっ!!!」

 

片手をついて身体を反転させると同時に剣を振るい、魔力刃を飛ばす

 

「ぐっ! やってくれる」

 

ダハーカはそれを体を半歩そらすだけで回避し、今度は指を俺に向けて

 

「なら電撃の雨に打たれてみるか!」

 

指が鳴らされるごとに空中に黒い光が走り、そこから稲妻が降って来る

 

「避けるまでもねえ!!!」

 

剣に魔力を通して稲妻を切り飛ばしながらダハーカの方へ走る。イモータル、レヴィアタンどちらも強敵だが。それ以上にダハーカは難敵だ。回復能力に加え、遠近両方に高いスキルを持っている

 

(こいつを倒すのが1番優先すべきことだ!)

 

ヴァーリやアーサーも気になる。普段なら皆の事も考えながら戦うが

 

「ヴァーリ、右から回り込んで! シュラウドは左! ルフェイは遠くから銃撃! リーナ・リーフは状況に応じてあたしとペガサスの援護!」

 

自らも戦いながら矢継ぎ早に指示を出すアシラ。日本刀に炎を纏わせ率先してレヴィアタンに仕掛けている

 

「ぐう! ジャマダ!」

 

「そう言われてはいそうですかってどく馬鹿が居ると思う?」

 

レヴィアタンの能力はあくまで俺達のガイアメモリとルフェイの魔法に対するメタだ。全く別の体系の戦闘技術を持つアシラには通用しない。アシラがレヴィアタンに注意を引きレヴィアタンの注意がアシラに向くと

 

「私を忘れてもらっては困るよ!」

 

「僕もだ!」

 

左右からの同時攻撃でレヴィアタンの背中を攻撃する

 

「くっ! オノレェ! ちょこまかと!!」

 

【Blizzard MAXIMUM DRIVE!!】

 

構えたハルバードから吹雪を作り出そうとするが

 

「させない。スザク!」

 

「キュアーッ!!!」

 

リーエが地面に突き立てた剣からは衝撃波が放たれる、それはスザクが撒き散らした羽を巻き込んで誘爆を繰り返し炎の壁を作り出す。その壁に吹雪は掻き消され消滅する

 

(ほんとバリエーションが豊富だよな)

 

リーエにしてもアシラにしても戦闘方法が本当に多い。状況に応じて技や魔法を自在に組み替え、接近戦も遠距離戦もこなす。こういうのは俺には真似出来ない芸当だ

 

(リーエ達がいるから、俺はダハーカに集中できる!)

 

「おらあああッ!!!!」

 

「はあああッ!!!」

 

俺とダハーカの声が重なる、それと同時に何度も何度も互いの剣をぶつけ合う。ただそれだけなのに辺りには凄まじい衝撃波が何度も放たれる。

 

(ぐっ馬鹿力めッ!!!)

 

だが一見互角に見えるこの打ち合いは実際俺にとって不利だった。筋力はあちらが上、しかも時折放ってくる火球と稲妻で集中力が乱される。それでも必死にダハーカの剣と打ち合っていると

 

「何時までもそんな剣で俺と打ち合えると思うなよ」

 

ドジュウッ!!!!!!!

 

「!? っ!!」

 

金属が溶ける音を聞いた瞬間後方に飛んで距離を取る

 

「逃がすか!!」

 

「しまっ! がああああッ!!!」

 

ほぼ0距離からの稲妻に全身を焼かれながらも、辛うじて体勢を立て直して着地し手の中の剣を見る。中ほどから溶けている

 

(くそったれ! 武器が無くなった!!)

 

ダハーカ相手に無手はきつい。それにアーサーやヴァーリの援護も受けれない

 

(絶体絶命か!?)

 

どう考えても道が無い。レヴィアタンもイモータルも未だ健在。ダメージは与えれているが倒すには至っていない

 

「ふっ! ここまでのようだな! 小僧ッ!!」

 

「ッがはっ!?」

 

防御も何も間に合わず蹴り飛ばされ何度か地面に叩きつけられ。もう剣としての機能を失っている手の名の剣を杖代わりに身体を起こすと同時に脳裏に言葉が浮かび始める。俺の口は俺の意思と反して言葉を紡ぎ始めた……

 

「投影開始……」

 

俺の知らない言葉、俺の知らない術式が組まれ、脳裏に黄金に輝く剣のビジョンが浮かび上がる。それと同時に俺の口はまるで慣れ親しんだ呪文を口にするかのように、滑らかに詠唱を続けた……

 

創造の理念を鑑定し、

 

「消えうせろ!」

 

唸りを上げて迫るイモータルの豪腕を交わしながら詠唱を続ける

 

基本となる骨子を想定し、

 

「この詠唱は!? させんぞ! 小僧!」

 

ダハーカが放った。黒炎のほうに一瞬だけ、視線を向けて真横に飛ぶ。黒炎は俺が先ほど間で居た場所を焼き払っただけだ

 

構成された材質を複製し、

 

手の中の機械的な剣に見たことのない、魔法文字と文様が浮かび上がり始める

 

制作に及ぶ技術を模倣し、

 

「逃がさんぞ、小僧」

 

【Leviathan!!】

 

レヴィアタンが呼び出した水の龍が放つブレスが俺に迫るが

 

「させない!」

 

「させません!」

 

俺の詠唱を邪魔させまいと、ヴァーリとアーシアが攻撃を防ぐ。

 

成長に至る経験に共感し、

 

「邪魔だ! どけ!!」

 

「そう簡単には通しません、イッセーが何をしてるか判りませんが」

 

「お前を通すわけがないだろう?」

 

アーサーやフウトがイモータルの突撃を左右からの一撃防いでくれている、その事に感謝しながら更に詠唱を続ける

 

蓄積された年月を再現し、

 

「なぜ小僧があれを使える!? あの詠唱は!」

 

「余所見をしている暇があるのか? ダハーカ!!!」

 

「ぐうっ!! 出来損ないが!!!」

 

「はっ! 私から見ればお前の方がよっぽど出来損ないだ!!」

 

リーエがダハーカと切り結び、俺からダハーカを遠ざける

 

あらゆる工程を凌駕し尽くし――――

 

「くっ。邪魔だアア!!!」

 

「きゃっ!?」

 

ヴァーリがレヴィアタンに蹴り飛ばされた瞬間

 

「あら? 女の子にそんなことしたら駄目でしょう!!」

 

「ぐあっ!?」

 

アシラが炎を纏った一撃でレヴィアタンを吹き飛ばす

 

「さあ! 何をする気か知らないけど! 時間を稼いであげたんだからしくじるんじゃないわよ!!!」

 

ここに、幻想を結び剣と成す――――!

 

俺の中を炎が走る、それと同時に俺の手の中の剣が黄金の光を放ちながら其の姿を変えていく

 

それは不敗の騎士が持った最強の剣

 

全ての騎士がかつて夢見た光

 

そして星が人に与えた史上最強の聖剣

 

神話に刻まれし其の名は

 

「写・約束されし勝利の剣(エクスカリバーッ)!!!」

 

イリナが持つエクスカリバーとは違う、7つに分かれ鍛えなおされたのではなく神話に伝わり。星が鍛えた最強の神造兵器が俺の手に

 

(いや、違う……貸してくれているんだ)

 

憑依のメモリに眠る、八神龍也の記憶が俺に力を貸してくれているのだと判る

 

「いっくぜええええッ!!!」

 

ダンッ!!!

 

力強く地面を蹴ると信じられないスピードでダハーカにと肉薄する。今までの非ではない位でダハーカの間合いに飛び込み

 

「でりゃああッ!!!」

 

両手持ちのエクスカリバーを片手で掴み横薙ぎを繰り出す。ダハーカは慌てて飛びのいたが、軽く胴に切っ先が当たると

 

「があああッ!?!?」

 

まるで直撃を喰らったような悲鳴を上げて後退する。その鎧に溶けたような跡がある

 

「いけ……「たわけ」あだっ!?」

 

リーエの膝蹴りを喰らい思わずうめくとリーエは呆れたように俺を見て

 

「強い武器を手にしたくらいで調子に乗るな。それはお前が使える武器じゃないんだ、冷静に特性を理解して振るえ、さもなくば……」

 

「さもなくば……?」

 

「ダハーカと同じように約束されし勝利の剣《エクスカリバー》はお前にも牙を剥くぞ」

 

その顔は真剣そのもので、俺は大きく息を吐いて両手で約束されし勝利の剣《エクスカリバー》を持ち直すと

 

「とにかく攻撃を当て続けろ。それだけで奴は自滅する」

 

「……どういうことだ?」

 

「説明は後だ。それに説明してもわからんはずだ」

 

リーエが何を考えているかは判らないが、俺とリーエでダハーカを倒す。それだけは理解できた俺は地面を蹴り、ダハーカにと再度向かっていった……

 

 

 

 

 

「オノレェ! ハク龍コウッ!!!!」

 

私目掛けて振り下ろされたハルバードを横に飛んで回避すると、アシラが

 

「随分と恨まれてるみたいね。なにしたのよ?」

 

「全身の骨を砕いて、モンスターの餌にした」

 

「……そりゃ恨まれもするわね」

 

はぁっと溜息を吐いたアシラは私とシュラウドを見て

 

「あたしが極めるわ。どうせネクロを倒すには純粋な魔力攻撃が必要だから……あたししか倒せないだろうから」

 

確かにさっきルフェイとアーシアがマキシマムをぶつけたのにレヴィアタンはピンピンしている。ここはアシラの言う通りにしたほうが良いかもしれない。シュラウドは真っ先に頷き

 

【Shoulder Fang!!】

 

そう叫んでタクティカルホーンを2度叩き両手に剣を持って走り出す。私もそれを追いながら

 

「出番だよ!」

 

【ADVENT!!】【ADVENT!!】

 

鏡面からドラグブッカー・ドラグレッダーが姿を見せるとレヴィアタンが手に持つハルバードにメモリを入れようとすると

 

「クワーッ!!!!」

 

上空から飛来したスザクがその手からガイアメモリを奪う。あんなに小さいのに……

 

「ナイス! スザク!」

 

「キュウー♪」

 

翼を広げくるくると回転し羽を撒き散らすスザク

 

「アホ龍! 羽を打ち抜けっ!」

 

メモリをマキシマムスロットに嵌めながら、ドラグブッカー達に叫ぶと。一瞬不快そうな顔をした物のその口から2発の火炎弾を放つ。それはスザクの羽を巻き込みながらレヴィアタンに迫る。スザクの羽が炎の中で何度も何度も爆発しその勢いを何倍にも跳ね上げる。

 

「がっ!? グアアアアアアアアッ!!!」

 

天をつくほどの勢いの炎に焼かれ苦悶の声を上げるレヴィアタンを見据えながら。一気に間合いを詰める

 

「シュラウド! アーシア! ルフェイッ!」

 

「言われなくても判ってるよ!」

 

「タイミングを合わせます!」

 

「狙いはあわせてます!」

 

【キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!……】

 

【Fang MAXIMUM DRIVE!!】

 

【Crash!! MAXIMUM DRIVE!!】

 

【BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost……!!】

 

【DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide……!!】

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!!!!」

 

高速の連打をレヴィアタンの全身に叩き込む。一発ごとに骨を砕く感触が手に残る

 

「がっ!? ぐっ!? ああああああああ……ッ!!!」

 

それは奇しくも。前の死に様の再現とも言えた。ただ違うのはドラグブッカー達に貪り食われるのではなく

 

「ファングストランザーッ!!!!」

 

「クラッシュアローッ!!!」

 

「ヒートスラッシュッ!!」

 

完全にオーバーキルと言える3発のマキシマムが追加されたところだ。

 

「ひゅー♪ 完全なオーバーキルね。でもこれで終わりじゃないのよねッ!!!」

 

アシラが棒立ちのレヴィアタンの間合いに飛び込み

 

「焔刃煉瓦ッ!!

 

炎を纏った斬り上げからの振り下ろし。そして一瞬で剣を鞘に収め鋭く抜刀しながら

 

「焔火連閃ッ!!!」

 

2連続の高速抜刀でレヴィアタンのロストドライバーとメモリを両断し変身を解除させる

 

「まっ。相手が悪かったと思って地獄で反省しなさいな!」

 

ドゴッ!!!!

 

完全に意識を失っているであろうコカビエルの顔に鉄の左腕を叩き込み殴り飛ばした……

 

 

 

 

向こうは片付いたようですね。となればこっちも片付けなければ……

 

イモータルを見据えそんな事を考えていると

 

「おい、フート。小僧。俺が走り出したら……俺目掛けてマキシマムを打て」

 

ペガサスの言葉に思わず目が点になる。マキシマムを自分に打て? 何を言っているのか判らない

 

「了解した。支援にリーフとリーナのマキシマムも打ってもらおう、それで良いかね?」

 

「ああ、それで良い。遠慮は入らん全力で打て」

 

勝手に話を進めるペガサスとフートの話を止めさせようとして気付いた。私とフートの違いを……

 

フートは名前呼びで私は小僧。きっと私では説明しても判らないだろうし、信用にも値していないという事……もしくは

 

(足手まといくらいにしか思われていないのかもしれない)

 

ペガサスは私から見ても強い。剣士としての格が違いすぎる……私がもしペガサスのようになろうと思えば10年や20年では足りない。もっとそれこそ40年かかってもあの高みには辿り着けないかもしれない……ならば

 

(言うとおりにしよう。そしてこの凄い剣士の動きをこの目に刻もう)

 

はるか遠くにあるその背中を決して忘れないようにする。そして何時の日かその背中に追いつけば良いのだから

 

「リーフ! リーナ!」

 

フートがそう叫ぶと同時に

 

【Taboo MAXIMUM DRIVE!!】

 

【Claydol MAXIMUM DRIVE!!】

 

赤い球体と重力波がイモータルに向けて放たれるが

 

「ふん! そんなものに当たるか!」

 

【Zone MAXIMUM DRIVE!!】

 

地帯の記憶を持つZoneメモリで瞬間移動しそれを回避するイモータル

 

「タイミングを合わせろよ!」

 

ダンッ!!

 

力強く地面を蹴る音と同時にペガサスの姿が消える。

 

「なっ!? 追いついて来ただと!?」

 

「はっ! この程度で俺から逃げれると思うのか!」

 

瞬間移動を繰り返すイモータルとそれを追いかけるペガサスを見ていると

 

「アーサー。チャンスは1度集中しなさい」

 

「はい」

 

フートの警告に頷きマキシマムドライブの体勢に入る

 

【Arthur MAXIMUM DRIVE!!】

 

【Nasca MAXIMUM DRIVE!!】

 

コールブランドにエネルギーが溜まっていくのを感じながら、しっかりと両手で構えペガサスの背中だけを見る。現れては消えるを繰り返すペガサスとイモータルだが

 

「ふっ! 漸く捕まえたぞ!」

 

「くっ!? なめるな!!」

 

イモータルとペガサスが超高速の打ち合いを始める。それと同時に

 

「コールブランド・ストラッシュッ!!!」

 

「ナスカ・ソニックエッジッ!!!」

 

ペガサスの背中目掛けマキシマムを同時に放つ。それと同時にイモータルが

 

「はっ! 俺と心中でもする気か!」

そしてそれがペガサスの背中に当たる瞬間。ペガサスは

 

「地獄には貴様1人で行け。亡者が」

 

ヒュンッ!!

 

鋭い風切り音と共にその姿が消える。さっきまでの高速移動とは違う、Zoneと同格かそれ以上の瞬間移動

 

「なっ!? なにいッ!!!!」

 

私とフートのマキシマムが命中すると同時にペガサスの姿がイモータルの前に現れる。その腰に収めた2本の小太刀を握り締めながらペガサスはイモータルにと突進し交差すると同時に

 

「奥義之六・薙旋ッ!!!」

 

超高速……いやそんなものすら生ぬるい。目にも映らぬ連続抜刀がイモータルを引き裂き吹き飛ばす、何が起きたか判らない私たちの目の前でペガサスが

 

「ふん。ただのネクロ如きが俺の剣を止められるなどと思うな」

 

小太刀を振るい刀身についた黒い血液を振り飛ばしながらそう呟く。それは剣士としての頂点、未だ私が到達しにえぬ高みのいる者の背中だった……

 

(いつか私もあの高みへ……)

 

剣士としての最高の存在と技を見た。きっとあの瞬間移動は歩法なのだろう、地面に残る焦げたようなあと……超神速の歩法による摩擦で焼け焦げたとしか思えない……そしてそのスピードを維持したままの連続攻撃……今の私では再現することなど出来ない領域の剣技……私はこの目でしっかりと刻んだ……剣を扱うものの最奥を……

 

「ッグアアアアアアアアッ!!!!!!!」

 

ダハーカとイッセーが戦っていた方向からとんでもない雄叫びが上がる……それを聞いた瞬間ペガサスが

 

「行くぞ。不味い事になりそうだ」

 

言うが早く走り出すペガサスの後を追って私とフートもイッセー達がいるであろう方向に向かって走り出した……

 

 

 

イッセーさんと共にダハーカに攻撃を加えながら私は

 

(まだか? まだなのか?)

 

まだ私が待つ勝機は来ない。ダハーカの異常な戦闘力の向上と魔力の増大……もう少しの筈だが

 

「はあっ!!」

 

「舞い散れ! 花散る天幕《ロサ・イクトゥス》ッ!!」

 

エクスカリバーの一撃と私の魔力刃が深くダハーカを引き裂く、そして再生が始まると思った瞬間

 

「ッグアアアアアアアアッ!!!!!!!」

 

再生が始まる前にダハーカが身体を抱えてそう叫ぶ

 

「ぐうっ!!! があああッ!!! き、消える!? 俺が消えるうう!!!」

 

頭を抱えて蹲るダハーカ。やはり私の予想とおりだ……

 

「り、リーエ? 何が起こっているんだ!」

 

訳が判らないという顔をしているイッセーさんに

 

「暴走だ。以下にネクロとは言えあの再生能力は異常すぎる、取り込んでいた者の力を使っていたのだろうが霊格が違いすぎる。無理が出るのは当然だ」

 

ダハーカ自身の格を1とすると取り込んだ2体は5と4だ。どちらが上かなんて考えるまでも無い。能力を使えば使うほど取りこんだ者を刺激する、そしてダメージを受けて弱ってくればそれは如実に現れる

 

「ぐっぐううう!?」

 

吹っ飛んできたコカビエルとか言う悪魔を見たダハーカはにやりと笑うとその首を掴んで持ち上げると

 

ガバアッ!!!

 

両肩の竜の肩当の口が開きコカビエルに喰らいつく

 

「ひっ!? や、やめ! あッ!! ああああああああッ!!!!」

 

ゴキョ! メキョ!! グチャッ!!!

 

おぞましい音を立ててコカビエルの身体が消えていく。

 

「うっ……見るもんじゃねえな」

 

「確かにな」

 

これを狙っていたとは言え少々グロかった……私が眉を顰めていると

 

「コハアアアアアッ!!!」

 

荒々しい呼吸をしながらダハーカが何かを見る。その視線の先にはイモータルの姿が

 

【ウェイクアップッ!!!】

 

「シャアアアアッ!!!」

 

咆哮を上げながら飛び上がり黒炎を纏った飛び蹴りをイモータルに叩き込む

 

「ぐっぐあああああああッ!!!!」

 

イモータルが炎に呑まれ消えていくのを見ていると

 

「やはり暴走したか」

 

「そう見たいね。自身の力を上回るのを使うからああなるのよ」

 

ペガサスさんとアシラさんが駆け寄ってきてそう呟く。ネクロを知る者だけが判る末路だ

 

「それでどうするんだ?」

 

咆哮をあげているダハーカを見ながらそう尋ねてくるイッセーさんに

 

「回復させすぎると本体が出てくる。回復させるまもなく叩き潰す」

 

私がそう言うとイッセーは何を言いたいのか理解したのか頷き

 

「リーフ、リーナ、アーシア頼む!」

 

【Taboo MAXIMUM DRIVE!!】

 

【Claydol MAXIMUM DRIVE!!】

 

【Crash!! MAXIMUM DRIVE!!】

 

3人が同時にマキシマムを発動させるとダハーカがこっちを向き、両手に魔力爪を発生させ走ってくるがもう遅い

 

「タブー・ルナティックエンドッ!」

 

「クレイドール・インパクトッ!」

 

「クラッシュアローッ!!!」

 

放たれた3つのマキシマムがダハーカを飲み込むと同時に

 

「遅れるなよ。フート、小僧!」

 

「ふふ。頑張ってついてきてね!」

 

【Arthur MAXIMUM DRIVE!!】

 

【Nasca MAXIMUM DRIVE!!】

 

ペガサスさんとアシラさんが通り抜けながら一閃。それに続いて

 

「コールブランド・ストラッシュッ!!!」

 

「ナスカ・ソニックエッジッ!!!」

 

更に2発のマキシマムによる斬撃がダハーカを引き裂く

 

「ぐっグルオオッ!!」

 

咆哮をあげて回復をしようとするダハーカに今度は

 

【ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー! ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!……】

 

【Fang MAXIMUM DRIVE!!】

 

【FINAL VENT!!】

 

「ストライク・ウィザードッ!!」

 

「ファングストランザーッ!!」

 

「ドラゴンライダーキックッ!!!」

 

流星の様な3連続の飛び蹴りがダハーカを捉え炎で包み込む

 

「極めるぞ。遅れるなよ」

 

「はっ! お前に言われるまでも無い!」

 

鎌を構え魔力を纏わせ大鎌にしながら

 

「死刑執行モード起動」

 

「約束されし《エクス》……」

 

2人で大きく自身の獲物を振りかぶりながらダハーカを見据える。回復が間に合わないダメージで動きが完全に停止している

 

「勝利の剣《カリバー》ッ!!!!」

 

「消えうせろ!!」

 

黄金の斬撃と黒い魔力刃がダハーカを両断し爆発する。鎌を元のサイズに戻しながら

 

「これで終わり……「グルオオオオッ!!!!」 では無い様だな」

 

爆炎の中からおぞましい咆哮が上がると同時に炎が消し飛びそこから3頭3口6目の巨大な龍が姿を見せる。

 

それは神話に伝わる邪竜「アジ・ダハーカ」その物の姿でただ存在するだけで空間を歪めるだけの膨大な魔力を身に纏っていた

 

「ギシャアアアアアアッ!!!!」

 

その咆哮と共にアジ・ダハーカは私達に襲い掛かってきた……

 

第34話に続く

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