第41話
和人さんに聞いた黒い悪魔(ネクロと言うらしい)を良く知ると言う6人の魔導師が一時的に六課に客賓として招いているというのは昨日メールが知っていたが
「……こんにちは」
「ぶんぶん♪」
「キュイー♪」
どうみても私より年下だし、それに黒いローブの少女の裾を握ってピコピコと腕を振る少女はどう見ても戦闘要員には見えない。
(どうして和人さん達はこんな人達を客賓として迎え入れたんだろう?)
私にはどうしても理解できない。大体管理局が黒い悪魔を知らないのになんでこの人達が知っているのか?適当に言ってるんじゃないかと言う疑惑がどうしても頭の中に浮かぶ、だが上司の命令を疑うというのは許されても、口に出す事は許されない。軽く会釈を返してから私はシュミレータールームに向かって行った
(アグスタでの失敗を取り返すには今よりもっと強くならないといけない。こんな所で立ち止まってなんか居られない)
若干の疲労は残っているが対した問題ではない。私はそんなことを考えながら今日の訓練メニューに加えて自主錬のメニューを組みながら少女達に背を向けてその場を後にした
「……どう思います?アルハリムさん」
「そうだね。愚かしいとだけ言っておこうかな?」
ティアナさんは気付かなかったが、私の後ろにアルハリムさんが居た。程度の低い幻術で訓練生でも判るような粗だらけの幻術にティアナさんが気付かなかった。これは私の居た六課ではありえない。それに
(随分と思いつめていたようですけど……どうしたんでしょうね)
リーエの知るティアナとこの世界のティアナの差は1つだけだった……
リーエの世界のティアナは幼年期に龍也に出会い。自分の進むべき道を知った。そして自分の力を信じ出来ることを増やしていった。それが自信となり、魔導師としても人としても大きく成長していた
だけどこの世界のティアナは兄である。ティーダ・ランスターの再起不能になった事件。その時の上司の心無い言葉は深いトラウマとなり、ティアナの心を蝕んだ。近くにティーダが居ればその心の傷も治ったかもしれないが、魔導師としての再起は諦めたが。管理局を止める事まではしたくない。どうするか悩んでいるときに和人。そしてクロノから次元航行船の艦長に挑戦してみないかと進められ、猛勉強の末。副艦長の地位まで上り詰める事ができたが、そのせいでミッドチルダを離れることが多く。ティーダが気付いた時には遅く。ランスターの弾丸に打ち抜けないものは無い。兄は間違ってなかった事を証明する。その1つの想いに縛られ、それを証明するために無茶な訓練をし、疲労をためる。その疲労のせいでミスが生まれる。その悪循環に完全に捕まっている。同じティアナだったとしてもその差が余りに大きく、リーエの世界のティアナとこの世界のティアナの実力に差をつけていた
「……とは言え。あんまり介入するのは良くないですよね?」
「当然。私たちは本来ここの住人じゃないからね。その世界の問題はその世界の人間で解決すべきだよ」
やはりアルハリムさんを仲間にしたのは正解だった。もし私だけだったら、恩人であるティアナさんの悩みの解決に協力しようとしたと思う。だけどその世界の問題にはその世界の住人が立ち向かうというのが道理だ。私達に出来るのはネクロとたたかう事くらいだろう
「?」
「……大丈夫ですよ。イシュリさん」
心配そうに私の顔を覗きこんでくる、イシュリさんの頭を撫でていると
「お?見つけたぜ、はやてから聞いてる。リーエにアルハリム、それにイシュリだな」
懐かしい声に振り返って少し驚いた。そこにいたのはヴィータさん、ヴィータさんに間違いないのだが
(小さいです……)
私の知るヴィータさんは17~19歳くらいですらっとした美人だったのだが、この世界のヴィータさんは何と言うか美少女って感じの人で少し驚いたが、世界が違うからかな?と納得し
「……なにか御用ですか?」
私がそう尋ねるとヴィータさんはにこりと笑って。
「ネクロだったか?それの対処法を聞かせて欲しいんだよ、ペガサスとアシラは朝から見ないしよ。とりあえず対処法を纏めておきたいんだよ。教えてくれねえか?」
声の感じは少し違うけど喋り方は私の知るヴィータさんと殆ど同じで凄く安心した。私はゆっくりと椅子から立ち上がり肩の上のスザクに
「……少し行って来ます。イシュリさんと一緒に居てくださいね?」
「キュー♪」
一声鳴いてイシュリさんの肩の上に停まったスザク。イシュリさんはその頭を撫でながら
「………待ってる」
「心配しなくていいよリーエ。私も一緒居るから」
そう笑うアルハリムさんによろしくお願いしますと声を掛けてから
「……お待たせしました。行きましょうヴィータさん」
「おう。悪いな手間取らせて」
そう笑うヴィータさんに先導されながら私はロングアーチの部屋に向かって歩き出した
「別の世界で機動六課にいたんだろ?そこの私はどんな感じなんだ?」
……龍也様に近寄るスバルさんとかに起こって毎回機動六課を半壊させているとは言いにくい。
「……面倒見のいい人で皆に慕われています(ユニゾンズとか)」
「そっかーなんか嬉しいな」
……別の世界の自分のことでも褒められると嬉しいらしい。本当のことは心の中に閉じ込めておこう
(はやてさん達にお兄さんが居ないと普通なんですね)
どうも龍也様に関わらないと普通のお姉さんって感じなんだけど、私は病んでて魔王はやてさん達の方が好きかも知れない。私は思わずそんなことを考えて窓の外を見て
(早く皆に会いたいな……)
平行世界の機動六課で里心がついてしまったリーエだった……
訓練の光景を見つめる4つの眼差し。視線の先に居るのはティアナとスバルだが
「全然駄目だな。論外だ」
「確かにねー。あれじゃあ駄目よね」
ペガサスと一緒に訓練光景を見ながらそう呟く。教導官はなのはで、昔あたしの世界の機動六課で見た訓練と良く似ているが、それだけだ。自分の思うことを第一にして部下の事を考えていない。部下は部下で思いつめて無理をして疲れを貯めている。そんな状態でまともな訓練になるわけがないのに
「なのはが気付いていないわねー、自分も追い詰められてるのかしら?」
「さぁな……俺には関係の無いことだ」
腕を組んだまま視線だけで訓練を見つめているペガサス。だけどその視線は悲しみが映っているのが判る。でもそれは合えて口にはしない。あの世界のただ2人の生き残りとして、これは絶対に口にしてはいけないことだと判っているからだ
「ネクロが居なくてよかったな。もしここが守護者の世界ならとっくに死んでいるぞ」
「でしょうねー。ネクロの最優先世界だもんね」
リーエの世界が1番ネクロの攻撃が酷い。魔導師もデバイスも熟練度もどの世界よりも頭1つ所か2つ3つは上だろう
「この世界は甘すぎるってことだな」
「随分ときつい評価だな」
ペガサスの呟きに返事を返したのは和人だった。あたしとペガサスの辛口な評価に黙っていられなかったのだろう
「訓練はちゃんとしているし、錬度も高いと思うが?」
「そう言う問題じゃない。心構えの問題だ、非殺傷に頼りすぎだな。回避も防御も遅れてる。そんな隙をネクロが見逃すと思うか?」
ネクロならその一瞬で寄生して身体を奪いに来るだろう。つまりはこの世界の魔導師の大半は戦力として数えるのが難しい。それがあたしとペガサスの出した結論だった
「耳が痛いな」
「そう思うのならもう少し訓練の密度でも上げるんだな。まぁこの世界の人間が死のうが俺には関係のない話だがな」
そういって出て行く背中を見ながら和人はあたしに
「あのペガサスって言うのは随分と気難しいんだな」
「ペガサスは生粋の剣士だし、気難しいのは当然よ」
まぁあたしからすれば随分丸くなったと思うんだけどねと付け加えると和人は
「昨日は聞きそびれたんだが。アシラはアリサと何か関係があるのか?」
その言葉にあたしは訓練を見ながら。あ、スバルが魔法で吹っ飛ばされた……あのタイミングなら避けれると思うんだけどやっぱり非殺傷に頼っているから反応が鈍いように思える
「まぁ……簡単に言うとネクロに殺されかけて半分魔導生物になったアリサ自身よ?死んだからアリサは名乗れないそう考えるのは当然でしょう?」
絶句してる和人の隣を通りながらあたしは
「あたしの世界では皆死んだ。生き残りはあたしとペガサスだけだった。管理局も聖王教会も、機動六課も全部1体のネクロに壊されて大勢の人間が死んだわ。魔導師も民間人も関係なくね」
それにネクロだけじゃなくて人間同士の醜い同時討ちも滅びの理由になっているけど、それは言わなくてもいいだろう
「ネクロは1体だけで生態系所か世界を滅ぼす危険性を持っているわ。ヴァールはLV4。それだけの力を持っている……あたし達は協力はするわ。だけど自分で自分のみを護れない子供の面倒を見る気はないわ、いいかげん気を引き締めなさい。じゃないと死ぬわよ」
和人達の気が緩んでいるとしか思えない。私たちは確かにネクロの対処法は知っているが、護りながら戦えるほどヴァールハ弱くない。自分たちがターゲットにされるかもしれないという可能性を十分に考慮してもらわないと……あたしは最後にもう1度模擬戦をしているなのは達を見て
(何かまだひと悶着ありそうな気がするわ……)
なのはもティアナも何かを抱えているような気がする。そのうち爆発するような気がして仕方ない……とは言えあたしに出来る事は無い。それはこの世界の問題なのだからそこまで介入する気はないのだから
あちこちでシリアスな空気が漂っている中。食堂では
「ショタゲットーッ!!!!」
「離して!お願いだから……ひいいいッ!!!服の中に手を入れないでエエエええッ!!!!」
んんー♪守護者の世界ではゲット出来なかったショタ(エリオ)を左手で抱き上げ右手を服の間に入れようとするが、身をねじって必死で回避するエリオ
「んー♪可愛い♪もっと苛めたくなる」
「いやああああッ!!!変態!変態がいるうう!!!」
いやいやと暴れるエリオだけど、半ネクロの力は半端じゃない、子供1人片手で抑えるなんて楽勝だ
「え、エリオくーん!?」
「らめえーきちゃ駄目ー!!!」
近寄って来ようとするキャロにそう叫ぶエリオをしっかりと小脇に抱えて
「んふふふ~私はロリも好きなのよぉ?」
「ひいっ!?」
くるりと背を向けて逃げ出そうとするキャロを見ながら
(んふふふーリーエもペガサスも居ない。ここの魔導師じゃ私は止めれない!ここは私の舞台よ!!!)
そんなことを考えながら前に足を踏み出した瞬間
「なんの騒ぎ?」
フェイとそっくりのロリっ子。アリシアを見つけてキャロとアリシアの距離を考えて……近いほうのアリシアに突進した瞬間
「スザク。ごー」
アリシアに手を引かれて歩いてきたイシュリと肩の上のスザクに気付く。そしてイシュリの指示を聞いたスザクは
「キュイイイイイイッ!!!!!」
素早くイシュリの肩から飛び立ち左右の翼を器用に羽ばたかせて
「螺旋回転しながら突っ込んできたあああ!?」
ドスウッ!!と私の額にスザクの嘴が刺さり。そのまま翼を使って回転を始めるスザク、その余りの激痛に手の中のエリオを落とすと同時に
「スザク。ファイヤー」
イシュリの声に頷き私からスザクが距離を取って一鳴きすると
「キュウッ!!!」
ボン!!ボンッ!!!!
「みぎゃあああああッ!!!!」
撒き散らされた羽の爆炎に飲まれて私の意識は闇に沈んだのだった……
なおこの後は2度とエリオもキャロも私の前に現れることは無く。ロリとショタと触れ合う機会を私は失う事になるのだった……
後日。ヴィルヘリヤがキャろを襲いかけたと聞いた和人は親馬鹿を100%発揮し
「最終奥義七花八裂ッ!!(しちかはちれつ)」
手足に魔力を収束し逃げ回るヴィルヘリヤを追い詰め。本気で攻撃を仕掛けた……
まずは拳底・貫手・膝蹴り・浸透勁による強打・両手の掌底・水平手刀・踵落とし。その全てを同時にヴィルヘリヤに叩き込み
「はうっ!?」
「はぐっ!?」
まるで透明な相手に何度も殴られているかのように吹っ飛ばされ続け
「消えうせろ!変態ッ!!!」
「あ、これちょっと不味いかもッ!!!」
最後の踵落としで六課の廊下にめり込んだヴィルヘリヤは半ネクロの強靭な回復量もってしてもまる1日動くことが出来なかったりする……
恐るべし親馬鹿パワー。恐らく龍也でも同じことをしたのは言うまでもないことだろう……
しかし本当に畏れるものは
「エリオくーん。キャロちゃーン遊びましょーッ♪♪」
その攻撃が待っていると判っているのにも拘らず、ロリとショタを追い続けるヴィルヘリヤの存在そのものだったりする
第42話に続く
次回は原作にあったイベントをベースにやってみようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします