それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
第44話
「えっと………そのなのはさん。すいませんでした」
「あ、うん……私もちゃんと説明してなかったし、お互い様ってことで」
視界の隅で互いに謝り合っているなのはさんとテイアナさんを見て一安心していると
「みぎゃーっ!!!」
ラビリルの奇声に驚きそっちの方を見ると
「すりすり♪ぎゅー♪」
「みぎゃー!みいいいいいいッ!!!」
ラビリルがイシュリさんに抱きしめられて苦しそうに前足をじたばたさせていた。
「イシュリ?そんなに力いっぱい抱きしめたら駄目よ?」
「……?これくらい?」
ぼそぼそと言って、抱きしめている力を緩めたらしいイシュリさん。だけどその一瞬で
「うにゃーっ!!!」
「あ……」
ラビリルはイシュリさんの腕から逃げ出して、机の上を走りアルハリムさんの腕の中に逃げこんだ。
「……じー」
「イシュリがあんまり力いっぱい抱きしめるからよ」
イシュリさんは随分とラビリルを気に入っているみたいだけどラビリルのほうは
「にゃう!にゃうにゃう!!!」
「はいはい。怖かったんだね」
「みゃーお」
アルハリムさんの腕の中から頭の上に上って、いつものようにタレラビリルになっているのを見ていると
「きゅーう♪」
「……おいで」
私の膝の上に着地し伏せたスザクの頭と背中を撫でていると
「ショタゲットー♪」
「うわああああんっ!!!放して!放してよううううう!!!」
「エリオくぅん!?」
「とりあえず離れるよ!なんか私たちも危なそう!」
ヴィルヘリヤさんがエリオさんを抱きかかえ、そのままキャロさんとアリシアさんに突進していた。私とアシラさんがヴィルヘリヤさんを止めようとしたとき、
「たわけ、何してる性犯罪者」
「へぶうっ!!!」
食堂に入ってきたペガサスさんのラリアットが決まり蹲るヴィルヘリヤさん。その隙に逃げ出したエリオさん。
「貴様……何度言わせれば気が済むんだ?この犯罪者がああああッ!!!」
「へぷろぶっ!?」
「てめえ本気で死んでみるか、ああ?」
「落ち着いてください、お父さん!」
「流石にそれはまずいですって、和人さん!」
エリオさんとキャロさんに悪戯しようとした馬鹿は和人さんの帯電した踵落としで沈黙したのだった。和人さんはトドメをさそうとダークリパルサーを展開して振りかぶるが、エリオさんとキャロさんが必死に止める。その感じは少しだけ龍也様の居る機動六課に似ていて思わず笑ってしまった。だけど判って居るここは私の居場所ではない。この世界のネクロを倒せば去らねばならないと……少しだけ哀しい気分になったとき。私が用意していたサーチャーに反応があった。
「……ネクロです。仕掛けてきたようですね」
しかも前のように小出しの攻撃ではなく、ヴァール本人も動いてきたようでクラナガンの外れに強大なネクロの反応がある。
「本気で動きだしたようだな……」
和人さんが部隊長室にいるはやてさんに通信をつなぐ。次の言葉になのはさんたちは驚愕した。
「はやて、部隊長権限で俺とアインスにかかっているリミッターを解除してくれ」
リミッター解除。本来はデバイスにかけるものだが和人さん達のような高ランク魔導師は自身にもリミッターをかけているらしい。
『そこまでせんと勝たれへん相手なんか?』
「出し惜しみをしていては負ける。六課でランクが一番高いのは俺だ。この前の出撃のあとレジアスのおっちゃんには話を通したから俺の分は一回タダで解除できる」
『でも……』
「たまには全力を出しとかないとな。それと陸の部隊には手を出すなと言っといてくれ」
その判断は正しい陸戦の魔導師でネクロと戦うには攻撃力・防御力・機動力が無ければ戦えない。
「お前のリミッターだけを外すという事は、なのはたちは待機か?」
私が気になっていたことをペガサスさんが尋ねてくれる。和人さんは
「六課に待機してもらう。ネクロの進撃が陽動の可能性もあるからな」
定番の一手だが。それでいい、未知の相手と戦うときは定番の一手を撃つほうがいい
「あたし達は全員出たいって言いたいけど。イシュリは六課においていくわ、イシュリは戦闘が得意じゃないから」
イシュリさんは六課に残して、私・アシラさん・ペガサスさん・ヴィルヘリヤさん・和人さんとアインスさんで出撃するのが良いだろう。
「じゃあラビリルとスザクは六課の護衛。出来る?」
「うにゃー!!!」
「キュウー!!!」
くるくると回って気合を表現するラビリルとスザク。愛らしさ100%だ
「あの……護衛って猫と鳥だよ?大丈夫なの?」
アリシアさんの言葉を聞いたスザクとラビリルは心外と言う感じで一鳴きしてから
「グルオオオオッ!!!!!」
「クアアアアアアアッ!!!!」
「「「!?!?!?」」」
吹雪と焔を撒き散らしてスザクとラビリルがマスコット調の姿からネクロ本体の姿に戻る
「グルルルル」
「これでも不安か?とラビリルは言っています」
「クア!」
「……自分は強いってスザクは言っています」
ネクロのランクとしてはLV3だが、戦闘能力は高い。あの骨のネクロなんて一撃で消滅させれるだろう。威風堂々とも取れる2体を見てなのはさん達は
「「「侮ってすいませんでした」」」
頭を下げるなのはさん達を見てまたマスコットフォームに戻り
「うにゃーお!」
「キュウー!」
任せておけと一鳴きするラビリルとスザクの頭を撫でて
「……行きましょうか?和人さん」
いつまでも動かずヴァール達が痺れを切らしてこっちにきても困る。私がそう言うとさっと思考を切り替えた和人さんを見て
「……行きましょう。転移で跳びます、私の近くへ」
和人さん達とペガサスさんたちが私の近くに来たのを確認し、私はヴァールの魔力反応の元へと転移したのだった
「来たか」
街の外れで待つこと数分。いきなりこの場に現れた複数の魔力反応を確認し目を開けると半ネクロ達とこの世界の魔導師が2人が俺との真向かいの位置に現れていた
(前と魔力が違う。リミッターか)
魔導師の大半がつけているというリミッターと言う奴を外したから魔力が上昇しているのだと判断し
(これで少しは楽しめるか)
戦闘の中でこそ俺は俺自身を確かめることが出来る。俺は両腰のブレードを抜き放ち
「さぁ!敵が来たぞ!存分に暴れろ我が同胞よッ!!!」
「「「「シャアアアアッ!!!!」」」
雄たけびを上げて突進していくネクロ達を見ながら誰と戦うかを考える。これだけのネクロと戦えば相手の力量を見極めることが出来る。そして俺に相応しい敵と戦う、弱者との戦いはうんざりだ。心踊り血が沸く死合がしたい……
剣を再度腰の鞘に収め戦いの状況を見る。前の戦いから考えると半ネクロと戦うのが1番楽しめそうだが……
「花散る天幕(ロサ・イクトゥス)ッ!!!」
小柄な女の半ネクロは剣から槍まで色々と使いこなせるようだが。いかんせんパワー不足だな
「次から次へと鬱陶しいな!」
二刀使いのネクロは悪くない。あの闘志と冷静な戦術眼……戦闘者としては素晴らしい
『砕く一撃』
『神雷の速さ』
『捕らえられぬ雷』『固まる事を知らない』
『空間を割き、相手を焼け』
最初の女のネクロと同じくらいの背丈の女は両手に巨大な手甲を作り出し、地面に打ちつける。そこを基点に稲妻の嵐が発生しネクロを一掃していく
(あれは駄目だな)
戦闘者としては良いかもしれないが死合相手と考えると駄目だ。
「うふふふ。死んでくれる?」
(論外だ)
紫色の法衣を纏ったネクロは黒い剣を乱射しネクロを消滅させている。ただの攻撃ではないと判る……誰と戦うか戦況を見ていると
『ターゲットロック!魔力充填完了、和人!』
「OK、乱れ打つぜぇぇぇ!!!!!」
「『ハイマットフルバースト!!!!!』」
最後に戦った魔導師の小僧が全身に武器を展開する。腰には折り畳み式のキャノン砲、両肩には魔力を収束する機能を持ったレールガンに似た形状の砲台。右手には剣と銃の形状を持つ長大のライフル。左手には白いパイルバンカーを持ちネクロの群れを一掃していく。
(ほう……中々やるな)
射撃を終えると同時に剣の切り替えネクロを両断し、バンカーで胴を穿つ。遠距離・近距離どちらも使いこなしている
(あいつをネクロ化するのも良いかもしれないな)
半ネクロは殺すしかないが、魔導師ならばネクロ化する価値がある。ならば……
「俺の相手は貴様だッ!!!」
地面を蹴り空を走り一気に間合いを詰める。俺の動きに気付いた金髪の女が、手にした刀から蒼い炎を伴った魔力刃を放とうとするが
「!!!!!」
げミュートが俺の女の間に割り込み、盾になる。
「くうっ硬いわね!こいつ!!!」
鎧型のネクロ「げミュート」の防御力はネクロの中でも随一だ。そう簡単に貫けるものじゃない
「小僧ッ!!!」
「くっ!?俺を狙ってきたか!」
髪が銀色になり目が紫にっている小僧が、剣にしていたライフルを銃形態にし俺目掛けてはなってくるが
「舐めるな!!」
両の手ブレードを交差させ、それを受け止めると同時に引き裂き間合いを詰め
「ぬんん!!」
「ぐっがはっ!!!」
首を掴んでそのまま地面目掛けて降下する
「くっ!!うおおおおッ!!!」
「!やるな」
ほぼ零距離で己を巻き込むと判っているのにも拘らず砲撃を放った小僧の思い切りの良さ。そこは買いだ
「ふふん。面白い。小僧名を聞いてやろう」
「和人。鑢 和人だ」
「和人か、良いだろうその名覚えておこう」
ブレードを構えなおし、両肩の鬼面から魔力を放ち結界を作り出しながら
「貴様が死ぬまでの僅かな時間だけな!!!」
俺はそう叫ぶと同時に和人へと向かっていったのだった
俺は何がしたかったんだ?
破壊者の癖に何をしようとした?
上下左右の感覚も無い場所でそれだけを考える。死んでいるのか生きているかも判らない中。この考えは如何しても俺の中から消えてはくれない
化け物だったのに……
ずっと騙していたのに……
死ぬ間際に俺の腕を掴んでくれた。弱く愚かな者達の笑顔を如何しても忘れることが出来ない
ああ……
もっと護りたかった……
もっとありがとうと言われたかった……
破壊者でありながら。俺は守護者になりたいと思った
記憶を失い……
本来の使命を忘れ……
平凡の中で安寧を得て……
その安寧を護りたいと……
牙を持たぬものを護りたいと思った……
もう何年もそんなことを考えている俺がまた目を閉じようとしたとき
(なんだ?あの光りは……)
光りと声が俺のいる場所に響く。
誰かは判らないがそれを助けてくれと懇願する声
俺に言っているのか?
いやそんなことは関係ない
俺が救えるのならば……
破壊者の俺がまた護る事ができるのなら
それが誰であろうと関係ない
この俺の破壊する事しかできない手で何かを護る事ができるのなら俺は
(何度だってこの血に濡れた手を伸ばすッ!!!!)
俺はその光に手を伸ばす。光りは段々と強くなり俺の意識は光りの中に消えて行ったのだった。
不味いわね……
ネクロを全て倒したのは良いが、和人とヴァールの一騎打ちは和人が劣勢だ。
(参ったわね。空間断絶系のスキル持ちだったとは)
結界よりも上位の能力。空間ごと自身の魔力で封印する技能。しかも下手に攻撃すると反射される
「リーエ!アシラ、攻撃した駄目よ。跳ね返されるから!」
えって言う顔をする2人を見ながら。軽く右手を振るい魔力弾を放つ。それは何も無い空間に吸い込まれるように消え、私の後ろに跳ばされて来た。それを法衣で弾きながら
「空間断絶。あの空間はヴァールの支配下。私達の攻撃は全部自分に跳ね返ってくる、下手に攻撃すれば自滅よ」
「じゃあどうする!?和人があのままだと死ぬぞ」
ヴァールの2本の刀に追い詰められている和人。ユニゾンしているから何とか致命傷はかわせているがそれも時間の問題だろう
「ヴィルヘリヤ、あれの特徴を知ってるお前なら何とかできるんじゃないのか?」
「無理言わない。あれはLV4でも極めて稀少な能力よ。剣士タイプだから身体強化系って思ったけど当てが外れたわね」
あれに対抗できるのは同じ能力を持つネクロか、術式破壊や、障壁突破のスキルを持つネクロだけ
(あんたまに……!)
突然上空に転移してきた魔力反応に上を見る。私の良く知る魔力だ……良いタイミングで着てくれるじゃない!
「ネクロ?いや半ネクロだね……それにあの甲冑は」
「竜魔将の鎧……どうして」
「ふふ。当然あの鎧はあいつのものなんだから」
濃い灰色の甲冑に藍色のマント。大型の盾と突撃槍を携えた騎士は私達を見ずにその槍の切っ先をヴァールに向ける
「お前。知ってるのか?あのネクロを?」
ペガサスの問いに答えず結界から離れながら
「質問は後!あいつは手加減って言葉を知らない奴だから巻き込まれるわよ!!!」
槍に集まっていく馬鹿げた魔力。そしてうっすらと輝く槍……ヴォルガンドは魔力を破壊する能力を持つネクロだった・それは半ネクロになってもかわらない筈だ
「デモンズ・ディザスターッ!!!!」
裂帛の気合と共に放たれた一撃は、ヴァールが張っていた結界を破壊しそのままヴァールを和人から弾き飛ばした
「お前何者だ!」
自分の戦いに乱入されたヴァールがそう叫ぶ中。ヴォルガンドは開いている右手で和人の襟を掴んで
「ヴィルヘリヤ。治療を頼む」
「オーライ」
私がヴォルガンドをヴォルガンドだとわかるように。向こうも私が私だと判るようだ。投げ渡された和人を受け取ると
「竜魔将ヴォルガンド。貴公に決闘を申し込む」
「竜魔将!……ふ、ふふふははははは!!!!そうか貴様が竜魔将ヴォルガンド。相手にとって不足なし!我が名は妖鬼将ヴァールッ!その決闘受けてたつ!」
蘇った竜魔将と死合を望む鬼の戦いが今幕を開けたのだった
第45話に続く
次回はヴォルガンド対ヴァールをやろうと思います。その次でコラボ回は終わりの予定です。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします