第46話
ヴァール一派のネクロを全て倒したリーエ達はそろそろ次の世界に行くというので見送りを兼ねて夕食会をすることになった。僭越ながら俺が腕を振舞うことになった。自慢ではないが和・洋・中と何でも行けるきっと満足してもらえると思ったのだが………
「食うの早いな!おい!!!」
半ネクロと言うのを甘く見すぎていた。刀削麺を作ろうと思い小麦粉を練っていたのだが、俺含め8人で調理した料理の大半が消滅していることに驚いた。見た目は普通だが食べる量がとんでもなかったのだ
「美味い」
もっしゃもっしゃ。表情に一切変化は出てないが美味い美味いといってもっしゃもっしゃ料理を平らげている。一瞬どこの騎士王だと思ったがその勢いよりかは大分勢いが無いのが救いだ
「はむはむ♪」
「美味しい?イシュリ」
「こくこくこく」
イシュリが思ったより大分食べているが。幸せそうに頬張っているのでまぁ良し。スバルとエリオは通常運転。だが実は1番食べているのが
「みい~♪(ばっくばっく、むっしゃむっしゃ)」
「キュウー♪(むっしゃむっしゃ。がつがつ)」
小動物2匹だった。尻尾フリフリ、競い合うように料理を平らげている。特にスザクは茶碗蒸しが気に入ったようだが
(あれ共食いじゃないのか?)
一応鳥な筈、共食いにならないのかと気になったが、そんなことを考えている場合ではない。早急に刀削麺を仕上げて料理を手伝わないと不味い
「……美味しいですか?」
「きゅー♪」
リーエはエビチリをとってスザクの足元において、自分ももそもそと食事をしている。フードで顔が隠れているから良く判らないが気に入ってもらえているのだろうか?
「スープは熱いから気をつけて」
「にゃー♪」
ふーふーとポトフを冷ませてラビリルの前に置くアルハリム。この2人は自分の食事よりペットを優先しているから、食事のペースは遅いがそれでもかなりの量を食べている。ペガサスは西京焼きと卵焼きやてんぷらを取って持ち込みの日本酒を煽っていた
「あららら♪お酒じゃなーい♪私にも頂戴♪」
そこにヴィルヘリヤIN。ペガサスが嫌そうな顔をしているが一応ヴィルヘリヤの前に酒瓶を置いているあたり意外と気がいいのかもしれない。そんなことを考えながら
(普通に料理をしていたら間に合わない。特にあの猫と鳥のせいで)
スバルとエリオをと比べれば数段劣るが十分驚異的なスピードだ
「あ、ラビリル駄目だよ。北京ダックにかぶりついたら」
「みゃー……」
猫と言うよりあれは虎だったんだよな。丸かじりってすげえなおい。北京ダックに前足を乗せてもふもふ食べているラビリルそして
「美味しい?」
「キュー♪」
リーエだけではなくエリオやキャロからも食事を貰っているスザク。そしてもっしゃもっしゃ喰っているヴォルガンド。
「イシュリ、あーん」
「あーん」
イシュリを膝の上に乗せ食事を与えつつ、自分も食べているアシラ
「おいしいわねえ」
「もらい物だ」
酒飲み2人は……大丈夫だな。刺身とかでチョコチョコやってるだけみたいだし。今の食事状況を確認してから
(こうなれば仕方がない。固有時制御【タイムアルター】……二倍速【ダブルアクセル】!)
時間の流れをコントロールし一気に調理を進める。 刀削麺を素早く削り終え、海老の頭をとりそこから爪楊枝で海老味噌を取り出していく。海老の味噌はかに味噌に匹敵するがいかんせん量が少ない、かなりの数をばらさないと海老味噌は十分な和用意できない。それを固有時制御を駆使して素早く完了させる。刀削麺の茹で終わりを素早く見極め鍋から麺を取り出しお碗に盛っていく。それと同時にフライパンに火をいれ一気にエビチリを仕上げる
「しゃっ!出来たぞ、持って行ってくれ!
呆然としているアシスタントにそう叫び今度はパンに入った蟹を取り出し茹でる。
(これ大変なんだよなあ)
蟹を最も美味しく食べる。それは冷ます前に、そう茹で上がりと同時に解体するのだ、しかも冷やさずにだ。それを可能とするために指先にだけプロテクションを発生させ湯で終わったと同時に鍋の中に手を突っ込み熱々の蟹を解体し小皿に持っていく。
「次!洋食行くぞ!肉の仕込みは終わってるか!」
「はい、筋切りと味付け済んでます!」
アシスタントの言葉を聞き料理を続けながら。
(ちょっと不味かったなあ)
幾ら料理に自身があるとは言え軽はずみなことを言ってしまったことを若干後悔していた。こんなに料理をしなければならないのならどこかのレストランでも貸しきればよかったのではと思ったのだった
「ご馳走様でした」
「……ご馳走様でした」
和人さんが料理が上手だというのでご馳走になりましたが
(龍也様の方が上ですね。味付けも料理の速度も龍也様の方が上でしたね)
良く料理をしてくれていた龍也様と比べると多少劣っている感じがしたが、十分に妥協点だ
「あーづかれだー。しばらくは俺作らんからな………」
机の上でダウンして肩で息をしている和人さんを見ているとアリシアさんが
「明日にはもう出発するの?」
「……ええ。何時までも居ると名残惜しくなるので」
場所は違えど機動六課は私の出発地点を言っていい。だから何時までもここに居ると次の世界に行くのが難しくなる。だからその前にと言うと
「そっか……リーエノ旅はまだ終わらないんだよな?」
ぼそりと呟く和人さんに頷く。私の旅はまだまだ続く、龍也様のいる世界に戻れるその日まで何時までもだ
「……はい。まだ私は立ち止まれませんから」
龍也様にもう1度会いたい。私が旅をする理由なんてそれだけでいい、いつかはきっと龍也様のいる世界に帰れるのだから
「リーエは強いな」
「……ヴォルガンドさん?」
もっしゃもっしゃ食べていたヴォルガンドさんが食事の手を休めてそう言う。スザクは数分前から私の膝の上で寝息を立てている。
「目標があるから立ち止まらないというのは判る。だがその道は何よりも辛く険しいだろう」
別の世界や似ていると思っていたのに違うという落胆は何度も味わった。それに強力なネクロの妨害もだそれでも諦めないで旅を続けてこれたのは龍也様に会いたいという願いがあるからだ
「それでもなお進み続けるお前は「ロリゲットー!」……台無しだ」
ヴォルガンドさんの台詞を遮る、酔っ払ったヴィルヘリヤさんの声にはぁっと溜息を吐くヴォルガンドさん。和人さんがとめようと動く前に
「ラビリルGO-」
「にゃー」
アルハリムさんがラビリルをぽーんと投げると、空中で鮮やかに体制を整えたラビリルはヴィルヘリヤさんの頭の上にのり
「にゃー♪」
キラリ
ラビリルのどすの利いた鳴き声と開かれた口のキバがきらりと光った……そして
ガブッ!!!!
「いたーいっ!!!!!」
ラビリルのキバがヴィルヘリヤさんの頭を穿ち。蹲ったヴィルヘリヤさんの腕からキャロさんは逃亡していた。それを見ていた和人さんが
「ヴォルガンド。あいつはずっとああなのか?」
そう尋ねられたヴォルガンドさんは少し首を傾げて、何かを思い出す素振りを見せてから
「同じだ」
ネクロのときから変わらないのか。私と和人さんは思わずそろって肩を落とした。ラビリルは
「ガジガジ」
「いたいいたい!牙刺さってる!!!あと爪も!!!」
ラビリルはヴィルヘリヤさんの頭に爪を立ててガジガジと頭を齧っていた。いたいいたいと半泣きのヴィルヘリヤさんを見て、少しだけ可愛そうになりラビリルを抱きかかえると
「うにゃー」
するすると私の腕を登ってぺたっと伏せるラビリル。ヴィルヘリヤさんは頭を両手で押さえて
「ずきずきいたいのよお」
半泣きからガチ泣きにシフトとしていた。新しい仲間が増えたのは嬉しいけど、今度から大丈夫だろうかと言うのが激しく不安になるのだった
~翌朝~
「もう行くのか?」
「……昨日も言ったとおり。余り長居をすると揺らいでしまうので」
六課は居心地が良すぎる。だから早いうちに去ることにしたのだ。大分遅くまでお酒を飲んでいたペガサスさんとヴィルヘリヤさんだけど、半ネクロだけあって酔っていると言う感じはしなかった
「すぴーすぴー」
「よいしょっと」
イシュリさんだけは眠りこけていたのでアシラさんがおんぶしていた。暫くはあのままだろう
「いやー楽しかったわよぉ?また今度ここに来たいわねえ」
くすくすと笑うヴィルヘリヤさんに和人さんが
「2度と来るな。ロリショタコンの性犯罪者」
辛辣だが、今までやっている行動を見れば当然の反応かもしれない
「少ししか話せなかったが中々有意義だった。また会おう鑢和人」
「あ、ああ。また今度な」
ヴォルガンドさんに見下ろされ、若干気圧されている和人さんを見ていると
「そろそろなのは達が起きかねない。早く行こう」
ペガサスさんがそう急かす。どうもペガサスさんはあんまりなのはさんには会いたくないようだ。だが詳しく聞くのもなんなので聞かない、前の世界のこともあるし
「……では和人さん。お世話になりました」
ゲートを開き深く頭を下げる。僅かながら懐かしい場所の面影のあるこの場所で過ごせてよかった。また六課に戻りたいという気持ちが強くなったからだ、ペガサスさんを先頭にしてゲートに飛び込んでいく、私もそろそろ行くとしよう
「……またいずれ。何処かでお会いしましょう。和人さん」
「ああ。じゃあなリーエ、早く龍也って人に会えるといいな」
そう笑う和人さんに頷き。私は再び世界を巡るたびへと旅立ったのだった
旅立つリーエを見つめる視線が合った
「あれがリーエか。ふーん中々強そうだな」
ビルの淵に腰掛りんごを齧っている青年は楽しそうに笑いながら立ち上がり
「近いうちに会おうぜ。半ネクロさんよ!」
獰猛な笑みを浮かべてビルの上から飛び降りた青年は落ちていく途中で空気に溶けるように消えていったのだった
それと時を同じくして、昨日ヴァールとヴォルガンドが戦った場所に佇む1人の男の姿があった。白衣に身を包んだその男の名は「ジェイル・スカリエッテイ」リーエの世界では管理局印として活動している男だが、この世界では広域次元犯罪者として指名手配されている存在だった
「随分な荒れようだね。これは」
2体のLV4の追突であたりの魔力派完全に乱れ。地表も荒れ果てていた
「何か落ちてないかと思ったが……うん?あれは」
やれやれと呟いたジェイルの視線の先にはあるものがあった。それは皹が入り半分以上砕け散っていたがまだ存在していた
「これがネクロコア」
ハッキングで手に入れたネクロの情報。その中にあったコアを見つけたジェイルは楽しそうに笑いそれを掴んだ瞬間
オアアアアアアアッ!!!
声にならない不気味な声が響きジェイルを包み込んだが、それは直ぐに消えた
「ふふふ。いい物を見つけた」
そのコアを大事そうに抱えたジェイルはゆっくりと歩き去っていった。だがもしここにナンバーズのうち誰か1人がいれば気づいただろう。その影に纏わりついていた化け物の姿に……
この1つの出来事がリーエが去った後のこの世界で新たな騒動を起こすことになるのだった
第47話に続く
これで凄まじき戦士様とのコラボ回は終わりです。いかがでしたでしょうか?楽しんでもらえたのならいいのですが……
次回からはネクロ回やアーク等の視点の話をやろうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします