何時もリーエ視点では面白みに欠けると思うので。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
第47話
リーエにまた仲間が増えたようですね。右肩の上の使い魔を魔力に返し、やれやれと肩を竦めながら眼前の世界を去る。つい数分前にリーエの反応を補足して転移してきたがどうも入れ違いになったようだ。
「しかしヴィルヘリヤに加えてヴォルガンド。随分と厄介なネクロを仲間にしてくれますね」
ヴィルヘリヤは全てを腐敗させる右手が武器の後方支援型のネクロで、その特殊能力で闘争本能の高すぎるネクロやデクスを支配し手駒にしていたLV4ネクロだ。腐敗の手は失っているようだが、それでも脅威なのは間違いない。
そしてヴォルガンドはヴィルヘリヤと違い近接特化のLV4だ。たしか空間破壊が行われた際に反応が無くなり死んだとされていたが、まさかロストロギアになっているとは夢にも思うまい。
「これでまた手が出しにくくなりましたね」
浄化属性の炎を扱う「アシラ」二刀流剣士の「ペガサス」何を考えているのか判らない「アルハリム」そしてヴォルガンドとヴィルヘリヤ。単体で仕掛けられる戦力ではなくなってきている。
「転移にラグがあるのが問題ですね」
時間軸に世界間。それらの要素が重なると思うように転移できない、しかし追わないともっと強力な仲間を増やすかもしれない。どうにかそれは阻止したいですが、それも上手くいかない。さてどうしたものかと考えていると
「随分となやんでるじゃねえか?アーク」
突然聞こえてきた声に振り返ると、そこにはジーンズに黒のジャケットを着込んだ、半ネクロがりんごを片手に立っていた。
「相変わらず趣味の悪い刺青ですね」
「うっせえ!ネクロになったら勝手に浮かび上がってきたんだよ!陰険野郎!!!」
「そんなに怒鳴らなくても聞こえてますよ。シン」
私と同じ半ネクロのシン。やっていることも殆ど同じで面識があった。互いににらみ合いながら念話で
(監視は居ない。いつもの場所で待っている)
(判りました。では私は先に行きますね)
半ネクロと言うだけで半端物扱い。しかも監視下に置かれている事が多いだがこうして会えた以上情報交換はしておきたい。短く念話で会話し私は転移で隠れ家にしている遺跡へと跳んだのだった。
カチャカチャ
折角だからとティーポットに紅茶の茶葉をいれティータイムの準備し、適当に街で買った茶菓子の準備をしていると
「遅れてすまない」
「構いませんよ。シン」
分かれてから1時間。それくらい時間を空けておいたほうが怪しまれなくて楽だ。
「……砂糖とミルクは?」
「あるとお思いですか?」
紅茶を見て眉を顰めているシン。見た目18歳前後だが、中身もそれくらいでストレートで紅茶を飲めないのでどうした物かと悩んでいるようだ。
「シフォンケーキが甘いので我慢しなさい」
ランドグリーズについてミッドチルダでネクロの素体探しをしているときに買った。シフォンケーキを机の上に置きながら言うと
「判った」
もそもそとシフォンケーキを食べ始めたシン。シフォンケーキ9、紅茶1の割合だ。いい茶葉なのに勿体無いと思いながら
「大変ですね。ネクロのふりをすると言うのは」
「馴れた。お前みたいに自意識を強く出して警戒されるのはごめんだからな」
さっきまでのシンの口調はネクロに怪しまれないための演技だ。そうでもしないと私のように監視や色々と厄介ごとを押し付けられるとシンは知っている。
「そうだ。リーエと言うのを見たぞ」
あの世界にいたということはリーエを見ていたということになる。私はカップを机の上において
「どうでした?」
「なんか不思議な感じがしたって感じだな」
私と同じ意見のようですね。リーエは口で説明するのは難しいが、なにか不思議な雰囲気を持っている。どこと無くだが守護者に似ていなくもない。人をひきつけるカリスマを持っていると言ってもいいのかもしれない。
「俺にも追走任務が出た。なんでもリーエはネクロに関する遺跡を渡り歩いているらしくてな、ランドグリーズやフリストがやたら警戒している」
「ネクロに関する遺跡?初耳ですね?」
どうも意図的に情報を隠されていたようだ。まあ私は半ネクロの中でも取り分け警戒されているから、当然といえば当然なのかもしれない。
「だから俺は次に現れるであろう遺跡に先回りする予定だ」
「随分と酷使されているようですね。前のロストロギアの回収は済んだのですか?」
シンの最も得意とするのがロストロギアの回収任務。そういったものを内蔵したデクスシリーズを作るためにロストロギアを集めさせているのだ。シンは回収率100%、その任務だけは信用度が高いので良く転移で異世界を飛び回っている。
「当たり前だ。俺の能力を忘れたか?」
「いいえ?忘れておりませんよ?ただ余り乱用して目をつけられないように気をつけて」
シンの能力は半ネクロの中でもかなり特殊だ。その危険性を知られると自分の立場が危うくなると知っているシンは苦笑し
「そうだな。気をつけておく」
そう笑ったシンは机の上にシフォンケーキを何気ない様子でポケットにしまい立ち上がった。どうせ私は甘いものを食べないから問題ない。
「じゃあな。アーク、お前も気をつけろよ。下手を打って怪しまれるようなことはしないようにな」
「お気遣いどうも。貴方をもお気をつけて」
転移して消えていくシンの背中を見つめながら深く溜息を吐く。普通半ネクロは上位ネクロの洗脳を受けて従順な駒と化す。私も最初はそうだったが守護者にその洗脳を解除された。シンは自身の特殊能力でその洗脳を自力で解除した。
「さてさて、どうしましょうかね?」
リーエの反応は今までと比べてかなり明確に確認できている。今からでも転移すれば十分に追いつくことが出来る。だが私の目的のためには、いや私達の目的の為にはもう少し泳いでいてもらわないとまずい。そしてもっと力をつけてもらわなくてはならない。
「おやこれは……」
どうするか考え込んでいるとシンが魔力で文字を描いていたことに気づき。そのメッセージを見て
「なるほど、それならば少しは余裕があるというわけですね」
そこに書かれていたのはLV5達の動向についてだった。内容はシンプルで
『LV5は暫く盟主のために動く。俺達の警戒は下がる』
盟主が何者なのか。末端の私達は知るよしもないが、LV5が崇拝し王と崇めている存在と言うことだけは知っている。そしてその盟主のために動いているというのなら暫く活動をすることはないだろう、ならば今のうちに戦力を整えて1度仕掛ける準備をした方がいい
「自分が倒されたら、何の意味もありませんからね」
あの面子と1人で戦えば下手をすればこちらがやられる危険性がある、勝たないにしても負けないだけの戦力が必要だ。それに場所も重要になる。無人世界ならば向こうも手加減無しで攻撃できる、それをさせないためには
「人の居る世界で、なおかつネクロが現れてない世界が良いですね」
ネクロの危険性を知らない世界ならば動きやすくリーエ達の動揺も誘える。だがネクロはかなりの数の世界に手を伸ばしている、そうそう都合のいい世界があるとは思えない
「まぁなんにせよ戦力を集める事を考えますか」
紅茶のカップを片付け帽子を被りながら私はその世界を後にした。珍しくリーエの反応はしっかりと感知出来ている。仮に転移されたとしても追いかけることが可能だ。ならば急いで仕掛ける必要もない、私はそんなことを考えながら別の世界に放たれているデクスの仲から戦力になりそうなデクスを探して世界を渡り始めたのだった……
和人さんと別れて次に訪れた世界を見てアシラさん達が各々感想を呟いていた
「これはまた随分と変わった世界ね」
「だな。どんな分明だったんだ?」
アシラさんとペガサスさんが呆れ半分で呟き眼前を見下ろす
「こんな世界もあるのか、俺の生前からは信じれんな」
「そうよねーあれ?もしかして私とヴォルガンドって年寄り臭い?」
「知らん。そう思うならそうだろう?」
「ひっどーい♪こんなツルツルぴっちぴっちの肌なのにい」
ヴォルガンドさんの脇腹に肘を叩き込んで笑っているヴィルヘリヤさん
「すごいね。リーエ、ここは一体何の世界だろうね?」
「……私は1度ここに似たような世界に来たことあります。ペガサスさんと会う前にですけどね」
辺りを見回しながら呟く。そこは崩れ果てた都市それならば特に違和感は無いが、この世界には目立つものが多数合った
「ロボットだな。こんな世界もあったのか?」
20Mくらいの巨人の残骸があちこちにある、だが前の世界と比べてその数が大分多いような気がする
「激戦区だったようだが、ネクロの気配は無いな」
「もう撤退した後ってことね。どうする?リーエ?直ぐ別の世界に跳ぶ?」
イシュリさんをおんぶしながら尋ねてくるアシラさん。少し考えてから
「……一応調査しましょう。それにここまで発達した文明ならいい保存食があるかもしれないですし」
私がそう言うとアルハリムさんがあれっと言ってから
「和人に貰ったのにかい?」
不思議そうな顔をするアルハリムさんに私は空を見ながら
「……前に1度半年近く人里に出なくてですね。空腹で死に掛けたんですよ」
半ネクロだから死ねないが、ひもじいし夜寝れないし、しかもこういう時に限って荒野だけの世界が続いた。もう2度とあんな思いは嫌だというと
「そ。そうかでは調べてみるか」
なんとなく気まずい感じでそう言うペガサスさんに頷き。アシラさんに
「……イシュリさんが起きるまでここに待機していてくださいね。いいですよね?護衛にラビリルを置いていっても?」
アルハリムさんにそう尋ねるとアルハリムさんは腕の中のラビリルの頭を撫でて
「構わないよ。ラビリル、あの2人を守るんだ。判ったかい?」
「うっニャアアアアアッ!!!!」
気合満々の鳴き声を上げて、アルハリムさんの腕から飛び出したラビリルは尻尾をぴーんと張り気合を表している
「……スザクいこうか?」
「キュウッ!!
いざと言うときの連絡役としてスザクを肩に乗せて、ペガサスさん達の方に行くと
「団体行動するのか?それなら俺はヴィルヘリヤとは組まんぞ」
「……いいえ。単独行動で行きましょう。ネクロの気配も無いようですし」
ネクロの気配どころかデクスの残骸も無い。恐らくこの世界は戦争で滅びたのだろうと判る。だから単独行動でと言うと
「判った。何かあったら念話か空中に魔力弾でいいな?」
「OK。じゃあまた後でね~♪」
言うが早くヴィルヘリヤさんは空中に踊りだし、そのまま降下して行った
「あの馬鹿。まぁ良いがな。ではリーエ、ペガサス。また後でな」
「何かましな物があればいいんだがな」
ペガサスさんとヴォルガンドさんもそれぞれ廃墟のほうに向かっていく
「一緒にいくかい?」
「……ですね」
私は木の実を探すつもりだった。途中まで一緒に逝くのも悪くない。アルハリムさんと一緒に森の中に入り。途中で分かれて木の実を探していると
「……これは?」
巨大な神木とも見える木に寄りかかるように翼を持ったロボットがいた。メタリックな光沢を持つ黒の機体色、所々には灰色のピンポイントが入っている。Vの角は赤、目の部分は蒼。そして翼を持ったロボットだ。このロボットだけは他のロボットと違い完全な姿のままだ。
「……コックピットが開いてる」
開かれたままのコックピットに手を伸ばし中に乗り込んだ瞬間
ドクンッ!!!
心臓が急に跳ね上がったような感じがした。そして私の意識は何処かへと跳ばされて行くのだった
「リーエ?」
ロボットのコックピットの中で目を閉じているリーエヲ見つけて声を掛けると
「……ツー」
リーエの蒼い瞳から静かに涙が零れ落ちた。思わずその涙を拭ってやり
「どうかしたのかい?」
「……とても懐かしい人に会えました」
そう笑ってコックピットから出てきたリーエ。私もそれに続くようにコックピットから降りる、すると
ズズズズッ……
さっきまで完全な姿をしていた翼つきは、見ている間にどんどん色が剥げ落ち、装甲に赤茶色の錆が浮かび上がる。そしてパキンッ!と言う何かが砕ける音がしたと思った瞬間。その巨体は崩れ落ちるようにしてその身を残骸へと変えた
「何か伝言でも残っていたのかい?」
あの消滅の仕方。魔法で無理やり存在を維持していたに違いないと想い、尋ねるとリーエはにこりと笑い
「……旅を諦めることしかできなかった私の想いを受け取りました。それと龍也様にもお会いすることが出来ました」
そう笑うリーエに私はもしかしてと思いながら
「別の世界の自分の記憶かな?」
そう尋ねるとリーエははいっと言って頷き。砕け散ったロボットに深く頭を下げていた。スザクも同様だその姿を見て私は
(リーエが今抱いている感情が私が知りたいものなのか?)
長い時を生きた。それでも判らないものがある知りたいと願うものがある。それをリーエが持っているのだろうか?ふとそんなことを考えて頭を振ってその考えを飛ばす。私が知りたいと願うものは自分で理解してこその物だと判っているから
「じゃあ探索に戻ろう。木の実が好きだろう?スザク」
「キュー♪」
元気良く鳴いて飛び立つスザクの姿を見て笑いながら
「ここで出来るだけ保存の聞く食べ物を集めて行こう。次の世界へ」
「……はい。私の旅はまだこれからなのですから」
そう笑って歩き出すリーエの隣を歩く、何時の日かリーエが龍也と言う人に再会する頃にはきっと私の求めているものも見つけることが出来るのかもしれない……
第48話に続く
次回からはまたコラボ回の予定です。どの作者様とコラボするかはどうぞお楽しみに!それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
それとリーエの意識が遠のいたのは別世界をスザクと共に旅をしているからです。そのたびの内容は「ピクシブ」にて「堕落天使様」が連載中の「とある家族の異世界冒険記:コラボ編2」にて龍也さんとはやてさん達と一緒に共闘しています
アドレス:http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=3180891
面白いので1度見てみてくださいね