宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話はリッカさんとの話になります。滅んだ世界の捜索はイベントしていいかなって思いますので
あと幾つか伏線を用意出来たらなあと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第50話

 

 

第50話

 

バアル・ゼブルというネクロから追われていた半ネクロの少女は転移と同時に意識を失って、今はラビリルを枕にして寝ている

 

「ラビリル。あんまり動いたら駄目だよ?」

 

「グルルル」

 

子猫フォームでは枕所かぬいぐるみ程度の大きさなので、まだネクロモードのままだ

 

「ナデナデ♪」

 

イシュリさんはネクロモードの虎の大きさのラビリルが気に入ったのか背中を撫でている。なおスザクは

 

「キュー」

 

偵察の疲れを取るためかラビリルの頭の上で休んでる。ラビリルは気絶している少女を起こさないようにしつつ、イシュリさんの遊び道具になっていた。賢いラビリルだから何の心配もない、では私達はバアル・ゼブルのことについて考えることにしよう

 

「ヴィルヘリヤにヴォルガンド。君達はあのネクロの事を知っていたようだけど……あのバアル・ゼブルと言うのもダークマスターズだったのかい?」

 

アルハリムさんの問い掛けにヴィルヘリヤさんは

 

「違う違う。ボーヤはもう闘争本能の塊みたいなネクロでね。ヘルズとかの筆頭幹部にも噛み付くし、ジオガディスにも立ち向かっていく位の闘争本能の塊でね。あまりに危険ってことで封印されてたのよ」

 

ヘルズにジオガディス。最後まで龍也様達と戦っていたネクロとネクロの王だ。そんな2人にまで喧嘩を売るなんてどれだけ闘争本能が凄かったのだろうか?

 

「あーリーエとかヴィルヘリヤとかはそれで判ると思うんだけど。ヘルズとかジオガディスとか言われてもあたしはさっぱり判らないんだけど?ペガサスは?」

 

「俺は名前だけだ。良い機会だから1度詳しく説明しておいてくれないか?」

 

そう言えばペガサスさんとアシラさんはジオガディスとヘルズのことを……

 

「あ、私も知らないよ?」

 

訂正。アルハリムさんとアシラさんとペガサスさんは知らないんだ。

 

「……判りました。では簡単にですが説明します。ヘルズはジオガディスの右腕をしていたネクロで空間転移能力に長け、重力形の魔法を使うことの出来るネクロでした。なにか補足はありますか?」

 

私が知っているのは機動六課に収められたデータだ、ネクロ側のヴィルヘリヤさんとヴォルガンドさんなら別の情報もあるのではと思い尋ねるとヴォルガンドさんが

 

「機動六課に所属している。ルシルファー・S・ハーティーンと兄弟だったはずだ」

 

「あーそう言えばそうよねえ?弟は私が殺すとか言ってったけ?」

 

そ、そうだったんだ。知らなかった……そもそも私はハーティーンさんは少し苦手であんまり話したことがなかったんだっけ

 

「戦闘力としてはどれくらいだ?もしお前達のように半ネクロとして転生したとしたら戦力にはなるか?」

 

ペガサスさんの言葉に私達は少し首を傾げてから

 

「無理だな」

 

「無理でしょうねえ?」

 

「……無理だと思います」

 

記録上を見ても多分転生していても、転生させたとしても仲間になってくれるとは思えない

 

「どうして?なにか性格に問題があるの?」

 

アシラさんの問い掛けにヴィルヘリヤさんが

 

「ヘルズはジオガディスの付き人がネクロ化したネクロなのよぉ。しかもネクロ化しても完全に人間のときの意識を保ってたの多分半ネクロになったとしたら勝手に転移してジオガディス探しに行くんじゃない?自分が生きているならってきっとって」

 

まぁ自分が生きていたら、ジオガディスも生きているかもしれないと考えるのは当然かもしれない

 

「……次にジオガディスについてですけども、剣術と呪術に長けていて龍也様も相当苦戦したそうです。ネクロを引き連れてクラナガンに進行してきたのですが、それはジオガディスの本心ではなかったそうです」

 

龍也様やはやてさんが言っていたのですがと前置きしてから

 

「……ヴェルガディオスと言う強力なネクロに悪意を植えつけられ、ありもしない奇跡を起こすために大勢の人間のリンカーコアを欲していたのです」

 

「ありもしない奇跡って?」

 

「……過去を変えようとしていたんです。滅んでしまった自分の国と婚約者を蘇らせようとしていたそうです」

 

だがそれすらもヴェルガディオスが自身の復活の為にリンカーコアを集める為に、ジオガディスの意識に介入していたせいで。最後は龍也様と協力してヴェルガディオスを倒し消失したと告げると

 

「ふーん。そんな結末だったのね。知らなかったわぁ、どうおもう?ヴォルガンド」

 

「俺はどうも思わない。騎士は主君の思うことを気にしない。自身の信じるべき忠義の道を貫くだけだ」

 

アシラさんとペガサスさんは難しい顔をしながら

 

「まぁ判らなくもないわね。それだけ深く婚約者の事を愛していたのなら無理もないのかもしれないわね」

 

「……だな」

 

人の過去を詳しく聞くようなことはしない。私がペガサスさんに会ったときは復讐の為にネクロになったと言っていた、復讐を決意するに至ったには相当な理由があったはずだ……そんなことを態々聞くような趣味はない。それに私の旅に着いて来てくれてるのにそんなことでギクシャクするような火種を作りたくはない。

 

「………」

 

ただアルハリムさんだけは何かを深く考えているかのような顔をして考え込んでいた。その顔が余りに真剣なので声を掛けようとすると

 

「……う、うん?」

 

「グル?」

 

「きゃああ!?トラ!?私は食べても美味しくないわよ!」

 

ラビリルを枕に寝ていた少女が目を覚ましてズザザっ後ずさる。その反動で

 

「キュウ!?}

 

ラビリルの頭の上から落ち掛けるスザクをイシュリさんが抱きかかえて自らの肩の上に乗せて。しょぼーんとしながら子猫モードなったラビリルを抱えてよしよしと頭を撫でていた。その様子を見ながら私は私達を見ている少女に近づいて

 

「……こんにちわ。リーエです、気分はどうですか?」

 

 

 

 

「……こんにちわ。リーエです、気分はどうですか?」

 

そう声を掛けてきた少女はさっき私がバアル・ゼブルに追いかけられている時に助けてくれた。半ネクロの少女だ、だけど

 

(少し雰囲気が違う?)

 

さっきはもう少し凛々しい感じだったけど思い。直ぐにネクロの力を使って攻撃的になっていただけだと理解する。シリウスやメーヤも同じだったから間違いない筈だ

 

「……どこか具合が悪いのですか?」

 

そう言って私の顔を覗きこんでくる。フードのせいで良く見えなかったけど、こうして見るとその左目だけが縦に割れている、私自身もそうだけど半ネクロは両目が割れているのが普通だと思ってたけど違うんだなあと少し感心しながら

 

「大丈夫よ、助けてくれてありがとう」

 

お礼を言いながら立ち上がる。さっきは起きて直ぐ虎の顔があって驚いたが今見てみると

 

(可愛い……)

 

炎を連想させる紅い髪と真紅の瞳を持つ少女が抱えている白い猫。たぶんそれがさっきの白い虎だったのだろう

 

(ネクロだったのね。あの虎は)

 

多分魔力消費を抑えるために猫の姿になっているのだろう。少女の肩の上の紅い鳥も多分同じはずだ

 

「……貴女の名前は?」

 

「リッカよ。よろしくねリーエ」

 

そう返事を返しリーエの後ろにいる人達を見ていると、その視線に気づいたくすんだ金髪の女性が

 

「あたしはアシラ。アシラ・ローウェル、でこの子はイシュリ。ちょっと喋るのが苦手だから身振り手振りだけどいい子だから」

 

「ピコピコ」

 

「にゃー」

 

猫の右手を掴んで振ってるのを見て。友好的って考えればいいのかな?って考えていると

 

「私はアルハリム。アルハリム・アズタミアだ。イシュリが抱えているのは私の猫でラビリルと言うんだ。肩の上の鳥はリーエのパートナーでスザクって言うんだ。名前を呼べば反応するから覚えておいてあげて欲しい」

 

「キュー♪」

 

翼を広げて私を見るスザク。多分挨拶をしてくれているんだと思う

 

「ヴォルガンドだ。そう呼んでくれればいい」

 

「もーう。ヴォルガンドは固いわね?もっとフランクにすればいいのに。私はヴィルヘリヤよ。よろしくね?リッカ」

 

イシュリと違って固い印象を受ける赤い髪のヴォルガンドと紫色の髪に緋色の目をしたヴィルヘリヤ

 

「ペガサス・ナイトアーク。ペガサスで構わない」

 

赤紫色の髪に青紫色の瞳とかなり目立つ様子で鋭い視線が特徴的なペガサス。これで一通りの自己紹介は終わったようね

 

「……リッカさんはどうしてこの世界へ?」

 

「判らないわ。ネクロの里で木の実を取っていたらゲートが開いて、気がついたらここにいたのよ」

 

私がそう言うとリーエは少し驚いた顔をして

 

「……ネクロの里で暮らしていたのですか?シリウスさんは元気ですか?」

 

その言葉に私はシリウスやメーヤが言っていたリーエの事を思い出した。

 

「元気よ。よく貴女の旅の無事を祈っているわ」

 

ネクロに祈る神なんていないってわかっているのだけれど、と呟きながら……それでも祈っていると言うとリーエは

 

「……そうですか。今度時間と機会があれば戻ります」

 

そう言いながらリーエはそういえばと言って私を見て

 

「……魔力をかなり持っているようですが、どうして反撃しなかったのですか?」

 

半ネクロだから魔力はあるはず、それに私自身もかなり魔力が多いことは自覚している、聞かれると思っていた質問だったが、言っていいかか少し悩んでから私は

 

「私は魔力はあっても魔法が使えないネクロなの、ネクロ化したときに記憶とかそう言うのが全部なくなっちゃって……それでも、なんとか飛行とかプロテクションは覚えたのだけれど。攻撃系の魔法はどうしても使えないのよ。使おうとすると、どうにも魔力がまとまらないというか」

 

護身と移動のための魔法は何とか覚えることが出来た。だけど攻撃までは覚えてない、と言うより相性が悪くて覚えることが出来なかったのだと言うと

 

「……そうですか。もしかすると記憶を失っているのが原因かもしれませんね」

 

暫く情報交換をしていたのだが、リーエが私の後ろを見て険しい顔をしたと思った瞬間、そろそろ行きましょうと言う。正直まだ疲れているのでもう少し休みたいと思っていると

 

「休んでいても良いが。死ぬぞ」

 

ぶっきらぼうにそう言って私の後ろを指差してペガサス。後ろに何がと思い振り返り絶句した

 

「な。なによこれ……」

 

私達から離れた所が闇に吸い込まれるようにして消えている。まさかこれもバアル・ゼブルの

 

「いや、違うよ。これは世界が死んでいるんだ」

 

世界が死んでいる……それがどういう意味かはよく判らないがこのままここにいてはいけないという事は判った

 

「じゃあ移動しましょうかね~アシラ。私と一緒に行きましょう?さっきはペガサスとヴォルガンドが安全確認してくれたから今度は私達の番よね?」

 

「判ったわ。じゃああたしとヴィルヘリヤで先行するから、スザクはいける?」

 

アシラがスザクにそう尋ねるとスザクはイシュリの肩の上から飛び降りて、そのまま滑空しつつ上空に舞い上がった

 

「行けるみたいねえ?それじゃあ行きましょうかね」

 

ヴィリヘリヤは空を飛んで、アシラは空中に魔力の道を使ってその上を走って移動し始めた。その背中を見ていると

 

「動ける体力は回復したのか?」

 

甲冑を展開して空に舞い上がりながらヴォルガンドが尋ねてくる。ペガサスは既に宙に浮かんでアシラとヴィルヘリヤの向かって行った方向を見ている。多分だけど敵の方が数が多いから補足されない様にと、仮に見つかった場合。どちらかが素早く合流できるように2人1組で行動しているのだろうと考えながら。手足を動かしてみる、大分反応が鈍い

 

「……正直まだね」

 

ネクロの回復力を持ってもこの短時間では回復しきれていないというとアルハリムが

 

「ラビリル。頼めるかい?」

 

「にゃー」

 

白い子猫のラビリルがそう返事を返してイシュリの腕の中から飛び出す。着地までの数秒で

 

「グルルルッ!!!」

 

元の虎の大きさになり地面に伏せる。イシュリはラビリルの背中に乗ってしがみついて手招きしてくる。一緒に乗れってことなのかな?と思ってみていると

 

「??」

 

不思議そうな顔をして首を傾げるイシュリ。その目は乗らないの?と尋ねてきているような気がして

 

「あ、ああ乗るわよ。ごめんね、ラビリル」

 

そう声を掛けてからラビリルの背中の上に乗る。思ったよりも安定していて乗りやすそうだ

 

「じゃあ行こうかリーエ」

 

「判った」

 

リーエのローブが翼に変化したと思った瞬間その姿は舞い上がりアルハリムと一緒にペガサスとヴォルガンドの後を追っていく

 

「ぺしぺし」

 

「グオーッ!!!」

 

イシュリが2人が出発してから3分位してからラビリルの頭を軽く2回叩くとラビリルは勇ましいと思える雄たけびを上げて走り出した、だがそのスピードは雄叫びの大きさと比べるとかなりゆっくりだった。多分背中の上の私とイシュリを気遣っているんだなと思いながら、ゆっくりと流れる景色を見た。知らないはずなの光景なのに何処か懐かしいと思ってしまうのだった

 

 

 

 

アルハリムさんと辺りを警戒しながら移動していると気づいたことがあった

 

「アルハリム。この世界は随分と変わっているな」

 

「リーエもそう思うかい?実は私もなんだよ」

 

どこがおかしいとは言えないのだが妙な違和感がある。景色も風の流れも平坦なのに何処かおかしい

 

(まるで別々の世界が融合しているようなそんな違和感だ)

 

流れる景色、見ている景色。その全てがどこかちぐはぐに感じる。だがその違和感の正体が判らない、そんな違和感を感じながら移動しているとペガサスさん達の姿を見つける。アシラさん達もいてある一点を見つめている、何を見ているのだろうと思い視線を動かして見るが、私の視界にはアシラさん達が見ている光景が見えないすると私よりも低い位置を飛んでいたアルハリムさんが

 

「な!?ここは本当にどうなっているんだい!?」

 

アルハリムさんが私よりも先に気付いた様で驚きの声を上げる。冷静なアルハリムさんがこんな大きな声を出すなんてと驚きながら高度を少し下げてアルハリムさんと同じ視界に移動して私も驚いた

 

「な!?本当にこの世界はなんなんですか!?」

 

私達の視線の先には今まで見た滅んだ世界とは全く違った世界が広がっていた……

 

「街?しかも海鳴に似ている……」

 

クラナガンやミッドチルダ。今まで見たどの世界にも似ていない、しいて言うのなら龍也様やはやてさん達の生まれ故郷である。海鳴と同じ印象を受ける街並みがそこにあった、しかし完全に海鳴と言うわけではなく、遺跡のような石造りの街も混じっている。ちぐはくで趣味の悪いパズルのような光景がそこには広がっていた。しかもその遺跡の作りに見覚えがあり、まさかと思いアルハリムさんを見るとアルハリムさんは遺跡と街が融合した不思議な場所を見ながら

 

「リーエの予想通りだよ。この遺跡はアズタミアだ、どうもこの世界に跳ばされて来たようだね……」

 

アルハリムさんの王国であるアズタミアと滅んだ世界には相応しくない平和な街並み。今まで色んな世界を見てきた私でも驚いて言葉を失ってしまうのだった……

 

第51話に続く

 

 




今回は繋ぎの話なので少し短めです。次回は滅んだ世界にあった文明の名残りと遺跡の捜索をしたいと思います。戦闘はその次の話になると思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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