宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回でコラボ回は終わりです、次回はまた謎解きフェイズやネクロの話をやっていこうと思います

そして今回の話は旅の中では、あると思うイベントもやろうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第54話

 

 

第54話

 

バアル・ゼブルとキメイラを退けたのは良かったのですが、私含め全員が体力と魔力の消耗が激しく。世界の消滅が近い世界で休むのも危険だとは思ったのですが、幸い消失のスピードが緩まったのでこの世界で一晩明かすことにしたのですが……

 

「はい、リーエ熱いから気をつけなさいよ」

 

「……ありがとうございます」

 

記憶を取り戻したリッカさんはてきぱきと食事の準備を済ませて、私達に配ってくれました。差し出されたのは

 

(シチューですか)

 

干物にしていた肉で出汁をとると同時に具材にし、薬草を灰汁抜きにして具にする。その手際は手馴れたと言う感じだった

 

「おいしい」

 

にこにこと笑いながらイシュリさんがシチューを啜る。水で出来るパンも幸せそうに食べている

 

「あら?リッカ料理上手なのね」

 

「人並みです」

 

リッカさんの作ってくれたシチューは確かに美味しかった。保存食をベースに作っているとは思えない味だった

 

(これは私も少し工夫をすべきですね)

 

干物や缶詰も使いようによっては、生の食材よりもいい味が出る。下拵えの段階からもう少し気をつけて料理をしよう、そんな事を考えながら食事を進めているとふと気付く

 

(静かですね)

 

いつも騒がしいヴィルヘリヤさんが静かだと思い。辺りを見ると

 

「はー疲れたわねえ」

 

「ペガサス、俺もにもくれ」

 

「あんまり飲むなよ。量が少ないからな」

 

ヴィルヘリヤさん、ヴォルガンドさん、ペガサスさんはどうも月を見ながら月見酒をしているようだ。スザクとラビリルは

 

「キュー?」

 

「みゃー?にゃーう?」

 

互いに食べている果物と肉を交換すると声を掛けているようだ。そんな二匹を見てアルハリムさんが

 

「大丈夫だよ。ほら」

 

「キュー♪」

 

「ニャー♪」

 

アルハリムさんが追加の果物と肉を与えて、ふふふと笑いながら自分の分のシチューを食べている。とりあえず私も食事を済ませて、少し休もう

 

「……ふわ」

 

そんな事を考えていると小さく欠伸をしてしまう。それを見たリッカさんは

 

「流石に眠いわね。早く食べて寝ましょうか」

 

リッカさんの言葉に頷き。味わうのも半分に食事を済ませ、ネクロモードになったラビリルとスザクを布団代わりにして眠りに落ちたのだった……

 

 

 

 

寝たか……俺は飲んでいた日本酒を脇の瓦礫の上におく。するとイシュリを寝かしつけていたアシラがこっちに歩いてきて

 

「で?ペガサス事情を説明してくれるんでしょ?」

 

確認と言う感じで尋ねてくるアシラに頷き。クラウ・ソラスを地面に付きたてる

 

「随分と奇妙な剣だな」

 

西洋剣の鞘を持つのに、日本刀に近いつくりをしている。クラウ・ソラスを興味深そうに見つめるヴォルガンド

 

「元はネクロの時に使っていた剣だ。その時は違和感を感じなかったが、半ネクロになった今こうして握ると良く判る」

 

クラウ・ソラスを抜刀するが、その動きを見たアシラとヴォルガンドが

 

「随分と鈍いな」

 

「そうね。あたしの知ってるあんたの動きじゃないわね」

 

生粋の剣士だからこそわかる。この微弱な動きのぎこちなさに……俺は鞘に納めながら

 

「どうしても違和感を感じてな。自分の物の筈なのにどうしても違和感が消えない」

 

ネクロの時は御神流の奥義の技も使えた、だが今使おうとすると違和感を感じて発動させることが出来ない。身体が覚えているのに使えないというのはどうにも変な話だがなと言うと

 

「じゃあ別の剣を使えばいいじゃない。デバイスとカだって使えるんじゃない?」

 

ワインを煽りながらそう笑うヴィルヘリヤ。ヴィルヘリヤは魔法を使うのでこの意見を出すと判っていた。だが

 

「無理だな。デバイスを使うのは難しい、ネクロの魔力はデバイスにとっても毒。使いたくとも使えないんだろう?」

 

「その通りだ。流石だな」

 

デバイスを使おうと考えなかったわけではない。前にリーエに連れられた世界でデバイスを拾って使おうとしたが、駄目だったのだ。起動と同時に砕けちった……だからこうして違和感を感じても使っているのだ

 

「んー弱いネクロなら良いけど。LV4とか5だと不味いわよね」

 

「ああ、俺もそれが不安なんだ」

 

前に遭遇したランドグリーズ。あれはそう簡単に倒せるネクロじゃない、魔力だけではなく身体能力もある。こんな弱点を抱えた状態で対峙したら、やられるのは俺だ

 

「打ち直すってことは出来ないのかしら?」

 

「不可能ではない。だがクラウ・ソラスに合う材料がない」

 

元々クラウ・ソラスはネクロ化する前に使っていた小太刀だ。それがネクロ化により変化した者だ。そして元の剣は神凪家の家宝の神刀。これと合う金属はそうは存在しないと説明すると

 

「……それは難しい問題だな。どうするつもりだペガサス?」

 

「一応心当たりがないわけではない」

 

俺がそう言うとアシラはえ?っと驚いた顔をしながら

 

「じゃあ何でそれを取りに行かないのよ?」

 

「まだその世界についていない。それにこれは一種の賭けだ」

 

前にリーエと一緒に過去の海鳴に行ったことがある。その時も当然俺はクラウ・ソラスを修理できる素材を探した。だがあの世界に「神凪家」も「不破家」も存在しなかった。俺の心当たりはとは

 

「俺とアシラが生前いた。海鳴の過去の世界かそれに順ずる世界に行き、クラウ・ソラスの元になった神刀を手に入れる」

 

確率はかなり低い。LV5と遭遇する前にその世界に辿り着くかどうかも判らない。だがそれしか手段がないというと

 

「確率は低いな。それでもか?」

 

「それでもだ。リーエと旅をしていれば必然的に過去に行くこともあれば、廃墟に行くこともある。クラウ・ソラスを手に入れることも不可能ではない」

 

これは変化しているが、下になった剣は確かに存在している。入手できない事は無い

 

「なにか目印とかはあるの?それがあれば探しやすいわよね」

 

ヴィルヘリヤの言葉に俺は服の中から、ある物を取り出した

 

「それは?ネクロコアみたいだが?」

 

「そうだ。俺が半ネクロに転生した際に身体に入ったコアの残りだ」

 

俺のコアはクラウ・ソラスの柄に1つずつ収められていた。だがこれは元からクラウ・ソラスの元になったロストロギアのコアだ

 

「同じロストロギアなら反応するし引き合う。これで探す事ができる」

 

「なるほどねえ。引き合うなら探しやすいわよね」

 

納得と言う感じで頷くアシラを見ながらコアを服の中に戻し

 

「そう言うわけだ。あとはLV5に遭遇する前に手に入れれば良いんだがな」

 

俺はそう言うと脇によけてあった日本酒を煽り、

 

「機会があればでいい。協力してくれ」

 

俺はそう言うと瓦礫に背中を預け、大きく欠伸をし

 

「寝る。見張りは頼む」

 

一応ネクロが襲撃してくるかもしれない。ヴォルガンドとヴィルヘリヤは寝ずの番になっている、この話はリーエはしらないが、大人としての責務と言った所だ。俺は目を閉じ腕を組んで眠りに落ちたのだった……

 

 

 

 

「清隆。ジル」

 

枯れない桜の筈なのに、私の目の前の桜は枯れている。多分だがこの世界が死に掛けているせいで存在を維持できないのだろう。目を閉じると清隆とジルの事ばかりを思い出してしまう。そしてバアル・ゼブルの最後の言葉

 

【清隆・ジルって言う小僧共のことは仲間に聞いた。リーエとか言う半ネクロと同じように世界を旅してるそうだぜ?】

 

生きているのなら、再会したい。でも……彼らは知らない。私が化け物になっていることを。そして、私が二人の知っているリッカじゃないことを……その事がどうしてもあたしの頭を離れない。受け入れてもらえないのでは?と言う不安が頭をよぎる

 

「……眠れないのですか?」

 

いつの間にか私の後ろにいたリーエがそう尋ねてくる。私は違うと返事を返し

 

「どうしようかって思ったのよ」

 

あたしはそう言ってから桜の木の下に座り、空を見上げる

 

「ここはあたしの世界だけど、もう近い内に消えてしまうでしょ?これからどうしようかなって。半ネクロであるあたしをこの世界は受け入れてくれないわ」

 

このままこの世界にいて消えようとも思った、だけど清隆とジル生きているのに死ぬのはどうかと思う。2人に会いたい。喜びを分かち合いたい。だけど再会できるかどうかも判らないのなら、この木の下で死ぬのもいいかもしれない。そんな事を考えているとリーエが

 

「……それでしたら。私達と一緒に旅をしませんか?危険な旅ですけど……大勢でいるのは楽しいと思いますよ」

 

リーエが一緒に旅をしないかと誘ってくれる。確かにそれも1つの道だと思う

 

「そうね。一緒に……」

 

旅をすると言おうとした瞬間。清隆とジルの顔が脳裏に浮かぶ、あたしが黙り込んでいると

 

「……何か気がかりなことでも?」

 

「バアル・ゼブルが言っていたんだ。清隆とジル。あたしの友達も生きてるって……」

 

あたしが呟くように言うとリーエは

 

「……それなら。清隆さんとジルさんも一緒に探しましょう。1人で探すよりいいはずですよ」

 

名案だと言う感じで言うリーエにあたしは首を振り

 

「あたしは清隆とジルに会いたい。だけど2人があたしに会いたいと思っているかが判らない。あたしは化け物になってしまった。だから2人に会う資格は「何を言っているんですか!リッカさん!」

 

突然のリーエの怒声に思わず背筋を伸ばす。それだけの迫力があった

 

「清隆さんとジルさんがどんな人かは知りません。だけど会いたいと思っているのでしょう?資格とか化け物になってしまったとか、関係ないんです!リッカさんが会いたいと思っているのなら清隆さん達だって、会いたいと思っているに違いありません!」

 

リーエはあたしを見てそう叫んだ。リーエも会いたい人がいるから旅をしていると言っていた。だから諦めるなと言いたいのだろう。必死に叫ぶリーエの姿を見て何故だか清隆とジルの事を思い出した

 

『諦めないでください!』

 

私の愛する人の言葉が……

 

『リッカ、駄目だよ。信じることをあきらめちゃ、ダメ。絶対、わかりあえるはずだから』

 

私の大切な親友の言葉が……

 

目の前の自分よりも年下の少女の言葉とかぶって聞こえた。彼女も2人と同じように自分に優しい言葉をかけてくれる。なら……もう一度だけ……欲張ってみよう。信じてみよう。その言葉を……あたしは少し考えてから

 

「ごめん。やっぱりあたしは行けない……」

 

「どうしてですか?」

 

直ぐに理由を尋ねてくるリーエにあたしは

 

「あたしがいなると、2人の帰る場所がなくなるじゃない」

 

笑って答えた。意味がわからないと言わんばかりのリーエに私は言葉を繋げる。

 

「私はこの世界で清隆とジルを待つ。私の魔法なら、きっとこの世界の滅びを止めれると思うから。ううん、世界じゃない。あたしが守りたいのは2人の帰る場所。だから、一緒に行けない」

 

世界なんて正直どうでも良いと思える。だけど清隆とジルの帰る場所が無くなるのは耐えられない、でもこの世界の滅びは決まっている。ならあたしだけが使える時の魔法を使えば良い。全ての事象を時として認識する事でそれを巻き戻すことが出来る禁忌の魔法。

 

「あたしはあたしの存在を対価にこの世界の時を巻き戻す。滅びる前の世界に……清隆とジルがこの世界に帰ってきた時に迎え入れることが出来るように」

 

あたしがそう言うと桜の花が一斉に花を開く。あたしの思いを応援してくれているかのように……。ありがとう、もう少しだけ、一緒に頑張ろ。二人が戻るまで。リーエは桜を見てから、あたしのほうを向いて

 

「……リッカさん。存在を対価という言葉の意味をご存知ですか?あなたの存在が失われるとしたら、その力でこの世界を崩壊を止めるとしたら……貴女との記憶を2人が失うかもしれないんですよ?」

 

存在を対価という言葉はそれだけ重い言葉だ。命よりも存在は重い。命を失うだけならば、記憶には残る。されど、存在を対価ということは、大切な人が帰ってきても……記憶に残る保証はない。しかし、リッカは

 

「そうね、それでも、あたしは2人と約束したの。皆の笑顔を守るって。そのための力が私にはあるから」

 

存在と引き換えに皆と過ごした世界を護る。この家を守る。当然、2人の記憶からも消えるつもりはないと言うとリーエは

 

「……私は知っている。皆の為に自分1人が犠牲になることを選んで進み続けた人を……でも周りの人は悲しんでいました。私も私の友達も、清隆さんとジルさんを悲しませることになるのかもしれないですよ?」

 

リーエが思い留まるようにいっているのが判る。だけどあたしはもう決めた

 

「大丈夫。あたしは絶対にあきらめない。もう決めたのよ。後悔するぐらいなら、後悔しないぐらい信じようって。それにもしあたしが……あなたやこの世界から忘れられてもきっと2人なら、私を覚えていてくれるって信じてるから」

 

私の存在を2人ならきっと感じ取ってくれるはず。清隆とジルならあたしを助けてくれると確信している。だから何年だって何百年だって待てる。清隆とジルと再会する事だけを夢見て……

 

「……そうですか。判りました、もう止めません……リッカさん。短い間でしたが楽しかったです。またいずれ何処かの世界でお会いしましょう」

 

もう止めても無駄だと判断したリーエが背を向けて歩き出す。その小さな背中を見て

 

「あ、ちょっと待って」

 

リッカはリーエを呼び止め、魔力を右手にためる。リッカの行動にリーエは疑問を感じたが、すぐにその疑問は解消された。リッカの右手にはいつの間にか和菓子……桜餅が作り出された。

 

「……食べ物を作る魔法ですか?」

 

興味深そうに尋ねてくるリーエに

 

「ううん、違うわ。手から和菓子を出す魔法よ。食べてみて」

 

リッカに差し出された桜餅をリーエはゆっくりと頬張る。馴染みが無いのかおっかなびっくりと言う感じだ

 

「……甘い……おいしい」

 

「でしょ?」

 

リッカは得意げに自慢するように言う。

 

「これは、私の大好きな彼からの最初の贈り物。この魔法は食べた人を少しだけ笑顔にするの。彼が最も愛した魔法よ」

 

「……どうして、私に」

 

「覚えていなさい、リーエ。魔法は守るためのもの。そして、大切な人を笑顔にするもの。決して、傷つけるための道具にしてはいけないし、させてもいけない。覚えておきなさい、この言葉を。カテゴリー5の魔法使いからの最初で最後の特別講義よ」

 

そう言うとあたしはリーエに背を向けて桜に手をかざす。すると、私の体は桜の粒子となり、少しずつ消えていく。

 

「そして、これは友人として。ありがとう!あたしも楽しかった!リーエが早く龍也って人に会えるように祈ってるわ!この世界で、この桜といっしょに!」

 

リーエは振り返らず拳を上げて返事を返した。そして、あたしは桜の中で眠りに落ちた……いつか清隆とジルに再会できる日を夢見て……

 

 

 

翌朝出発前にリッカさんのことを尋ねてきたアシラさん達に

 

「……と言うわけです。リッカさんはこの世界に残るそうです……滅びは収まっているようですしね」

 

滅んでいた世界はゆっくりだが再生し始めている。これで暫く滅びるという事は無いだろうと思いながら言うと

 

「それがリッカの出した答えだったのかい?」

 

「……はい。愛する人が自分達を迎えに来てくれることを待つそうです」

 

私がそう言うとアルハリムさんはぼそりと愛かと呟いてから

 

「それがリッカの選択なら私に出来る事はないね」

 

自分で道を決めた人間の邪魔をすることなんて出来ない。リッカさんにはリッカさんの道があるのだ、私達と同じように

 

「ではいくか。リーエ。追っ手が来ると面倒だからな」

 

「そうね。何時までもここにいると危ないしね」

 

私達はあくまで追われているのだ。何時までもこの世界にいるわけには行かない、それに

 

「リッカの身を護りたいのだろう?」

 

「……そう言うことです。ヴォルガンドさん」

 

リッカさんの眠るこの世界をネクロに知られたくない。だから早くこの世界を去るのだ。最後に満開の桜を見て

 

(リッカさん。私も祈っています。清隆さんとジルさんに再会できる事を)

 

目を閉じて祈る。少ない時間だったがリッカさんは仲間だった。だから祈るのだ、何時の日か清隆さんとジルさんがリッカさんを迎えに来てくれることを……私と同じようにペガサスさんやヴィルヘリヤさんも目を閉じて祈っていてくれた。

 

「……イシュリさん。行きましょうか」

 

「うん……バイバイ。リッカ」

 

桜のほうをむいて手を振るイシュリさんの手を握り。ペガサスさん達の方へ向かい

 

「……行きましょう。次の世界へ……」

 

私は旅を続ける。何時の日にか龍也様達を再会する事を夢見て……私と似ていて私とは違う道を選んだ少女を残して私たちは別の世界へと飛んだのだった……

 

 

 

 

リーエが世界を離れ数年後~

 

「ジルさん、ここって……」

 

「うん、確か私たちの最初にいた世界だよね?」

 

「でも、ここって、確か崩壊するはずだったんじゃ」

 

2組の男女が信じられないという顔をして、緑に溢れた世界を歩く。彼らがこの世界を去ったとき、この世界は死に滅びを待つだけの状態だったから驚くのも当然だ……

 

「でも、驚いたよ。リッカがこの島に戻っているなんて思わなかったし。それで、大きな魔法の反応があったから行ったら清隆君がぼろぼろで倒れてたんだから」

 

「本当に、あのときは助かりました…」

 

2人はそんな昔の話をしながらゆっくりと歩を進める。2人が話しているのは自分達が去る少し前に話だった。そして、2人はある一軒家を見つめる。

 

「あれって……ッ!?」

 

清隆は信じられない言う顔をしたが、直ぐに走り出した。

 

「清隆くん!?」

 

清隆はジルの言葉を無視して、その一軒家に入り込む。ジルも慌ててその後を追うそして、そこの庭には……

 

「あれは……そんな」

 

「枯れた筈なのに……どうして」

 

この世界が死に絶えた時に枯れたはずの桜が満開になっている。その事に驚いた清隆とジルは慌てて桜の木に近づく。

 

「暖かい。ここだけ凄く暖かいね」

 

「うん……それに俺とジルを迎え入れてくれているみたいだ」

 

柔らかな光に包まれながら、2人は桜に近づきそっと手を触れる。すると脳裏に誰かの記憶がよぎる、2人は飛び退くようにはなれ

 

「リッカ……待ってくれてたの?この場所で……」

 

ジルがぼそりと呟く。この世界を再生したのは2人が逃がしたはずのリッカであり、そしてリッカが待っていてくれたことに気付いたのだ

 

「馬鹿だな、リッカさん。俺達が忘れてしまったらどうするつもりだったんですか」

 

独り言のように思わず呟く。リッカさんが使ったのは恐らく禁忌の魔法。それは余りにリスクが高い選択だ

 

『そんなわけないじゃない。あなたが私を忘れるなんて……私は信じてた』

 

リッカの声がする。そんな気がした。俺は桜の木に触れて語り掛けるように

 

「リッカさん……待たせてしまってすみません。もう、1人になんてしませんから」

 

清隆が桜に語り掛けるように言うと。桜はその花を散らしながら砕け散る。そしてそこからリッカがゆっくりと倒れてくる。それを抱きとめた清隆は

 

「頑張りましたね、リッカさん」

 

少しだけ冷たいリッカさんの身体。だけど死んではいない、ほんのりと暖かくそして命の鼓動を感じる

 

『ほんとよ、全く。どれだけ待ったと思っているのよ』

 

呆れたような声がした。愛しい彼女の声だ、だけどリッカは目を閉じ起きる気配が無い。この世界を維持するのに限界まで体力と魔力を消費してしまったからだ、そしてリッカが消えたことで再び崩壊が始まる世界を見たジルは

 

「これからどうするの?清隆君。このままだとこの世界はまた滅びるわよ」

 

ゆっくりと消えていく森林を見ながら、俺はリッカさんの顔に掛かっている髪をはらい

 

「うん。そうだね、だけど大丈夫。だって、今は、最高の魔法使いが3人いるから」

 

眠っているリッカを横抱きで抱き上げた清隆は笑いながら振り返り

 

「俺とジルとリッカさんなら出来るよ。この世界を救える、3人ならなんだって出来るよ」

 

俺1人で駄目なら、ジルの力を借りる。それでも駄目ならリッカさんの力も借りる。1人で駄目なら3人で、3人ならどんなことだって出来ると思う

 

「そうだね、まぁ、お嬢様はまだ夢の世界から帰ってくる気はないみたいだけど」

 

「ですね。でもとても良い顔をしていますよ」

 

穏やかな顔で眠っているリッカさんを抱えたまま、俺とジルはその場を後にした……

 

 

そしてこれから数百年後。枯れない桜を礎にする王国が誕生することになる、3人の魔法使いによって滅びを間逃れた世界は3人を神の化身とし崇め崇拝した。だが彼らは知らない、その3人がただ自分達の思い出の場所を蘇らせる為に、大切な人を守るためにただ一生懸命なっていただけだったことに……そして3人は枯れない桜を護っている神殿の奥で今も平和に暮らしていることを……

 

 

第55話に続く

 

 




次回は謎解きフェイズですが、ネクロが出てきます。私の好きなゲームのキャラをモチーフにしたネクロです。何をモチーフにしているか判るかな?とか考えています。結構マイナーなのでそこだけが不安ですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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