宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はバリバリの戦闘回です。激しい戦いにしようと思いますので、楽しみにしていてください
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第56話

 

第56話

 

ヴィルヘリヤと一緒に対峙している。シンと言う半ネクロは爪を俺に向けてゆっくりと間合いを計っている。黒の上下と近代的な服装なのだが、顔に入っている刺青が特徴的な男だ……外見を観察しながらどう出てくるか見ていて気付く

 

(このネクロ。出来る)

 

俺が装備している盾は攻撃を防ぐだけではなく、打撃武器としても使える。だがシンはサークリングしつつも盾のほうには近寄ってこない。いや近づいては来るのだが、打撃の有効範囲には決して入ってこない

 

(あの半ネクロ。厄介ね、戦い方を理解してる)

 

ヴィルヘリヤが俺の後ろでフォローしようとしているのだが、それも受けないように間合いを常に変えている。こいつは1対多の戦い方になれている。厄介な相手だ

 

「おらぁッ!!!」

 

腕を突然振るってくるシン、その軌道にそって炎の刃が飛んでくる

 

(属性攻撃!?いや違う!?)

 

「おおおっ!!!」

 

炎の刃を目くらましに突っ込んできたシンの一撃を盾で弾く

 

(重い!体重移動が上手いのか)

 

体格では俺よりも小さい、だが魔力とスピードを調節し破壊力を何倍にもしている。

 

(これでは駄目だ)

 

盾で弾き戦うと言う待ちの戦いでは駄目だ。構えていた盾を投げ捨て、バルムンクを背中にマウントし。腰のヴォルトガングを抜き放つ

 

「おらあ!!」

 

「むん!!!」

 

魔力で爪を作り出し、振り下ろしてくるシンの一撃を弾き。代わりに拳を叩き込もうとするが

 

「甘いんだよ!」

 

シンが力強く足踏みするとそこを基点に氷の刃が発生する。それは石畳を砕きながら俺に迫ってくる

 

「させない「邪魔だッ!!」っ!どれだけ能力持ってるのよ!」

 

ヴィルヘリヤが魔力弾でシンを攻撃しようとした瞬間。稲妻がヴィルヘリヤの足元を打ち抜く。舌打ちしながら間合いを放したヴィルヘリヤ。俺は自身に迫ってくる刃を素手で砕き、同じように間合いを離す

 

(炎・氷・雷。恐らくは風も使えるだろうな)

 

初見の相手と戦うときは状況分析が何より重要だ。どんな攻撃にも対応できるように警戒。これが定石なのだが

 

「あめえんだよ!」

 

シンの手に半透明の剣が現れ、それが振るわれた瞬間。魔力の刃が飛び出してくる。回避が間に合わず直撃を喰らってしまったのだが

 

(なんだこの能力はッ!?)

 

ただの魔力刃じゃない。魔力と体力が同時に削り取られた。物理属性でもある魔力攻撃だと!?

 

「こいつはおまけだ!」

 

「ぐうっ!?」

 

左右の拳から放たれた風の弾丸と火球の直撃を喰らい。更に弾き飛ばされる。何とか手を突き態勢を立て直そうとしていると

 

「おっと、それ以上はさせないわよ!!」

 

「ちっ!鬱陶しいぜ!」

 

追撃に走り出そうとしたシンだったが、ヴィルヘリヤの得意技の呪いが込められた槍をかわす為に間合いを離した。その僅かな間に立ち上がり動きを確認する

 

(同時にダメージを受けたが、そこまで酷いダメージではない。あくまでけん制用の技か)

 

さっきは面を食らったが、こうして確認してみるとそこまで酷いダメージではない。とは言えあえて威力を落として使ってきた可能性もある。楽観的に考える事は出来ない。片手で持っていたヴォルトガングを両手で握りなおし

 

(突っ込む。フォローは任せる)

 

(OK。お任せ♪)

 

どうも簡単に倒せる相手ではない。リーエ達の方はペガサスとアシラもいる。俺はこっちに集中しよう

 

「行くぞッ!!!」

 

「来な!ぶっ潰してやるよ!裏切り者がぁッ!!!」

 

地面を蹴り間合いを詰めながら、火球と稲妻を繰り出してくるシン。乱暴な口調で騙されたが、火球と稲妻は俺とヴィルヘリヤを話すように放たれている。実に理にかなっている……侮ればやられるのはこっちだ。俺は神経を集中させ、シンの動きを見切るのに集中し始めたのだった……

 

 

 

 

随分と飛ばしていますね……ヴォルガンドとヴィルヘリヤの2人を相手にしているシンを見ながら、少し焚き付けすぎたかと後悔する

 

(とは言え。飛ばしているくらいで丁度いいですけどね)

 

私もシンもネクロの中の地位はかなり低い。下手に手加減するような素振りを見せると疑われる。そして疑われれば動きにくくなる。ここは多少派手に動くくらいが丁度良い

 

「はっ!!!」

 

カソックの裾を振るい刃を飛ばす。前衛に出てきている剣士……死んだと思っていたネクロ「ペガサス・ダウンフィルド」だ。

 

「シッ!!!」

 

鋭い一撃で刃を弾き、更に間合いを詰めようとするペガサス。即座にカソックの裾を振りなおし刃の軌道を変えると

 

「それは何回も見た!」

 

リーエがペガサスの後ろから槍を突き出し、刃を上に弾き飛ばす

 

(ふむ。これは何回も見せすぎましたかね)

 

「はっ!!」

 

間合いを詰め連続で繰り出された横薙ぎを後ろに飛んで回避すると

 

「アクアランスッ!」

 

「っとと!危ない危ない」

 

白い虎のネクロの上に乗っていた半ネクロが水で出来た槍を飛ばしてくる

 

(ふむ。少しばかり不利ですかね)

 

近接特化のペガサスに、オールレンジ対応のリーエと名を知らぬ半ネクロ。さっきからこのパターンばかりだ。ペガサスに注意を向ければリーエの放った魔力刃と槍が死角から襲ってくる。そしてそっちに注意を向ければペガサスの鋭い斬撃か、虎で機動力を得ている半ネクロの様々な攻撃が襲ってくる……1人で戦うのは少々不利だ。……そういつもの戦い方では駄目だ

 

(少しばかり戦い方を変えますか)

 

普段は1対1でリーエと戦っていたが、こうなってくると不利になってくる

 

「闇よッ!!!」

 

腕の一振りで4本の三日月状の刃を飛ばす。突っ込んできていたペガサスはそれを横っ飛びで回避し。リーエは槍を剣に持ち替えて刀身で防いでいる

 

「爆ぜろッ!」

 

「きゃっ!?」

 

指を鳴らすと刃が爆発しリーエを弾き飛ばす。それと同時に地面を蹴り虎のうえのネクロへと突っ込み、ギリギリのタイミングで身体をねじると同時に

 

「シッ!!!」

 

反転した勢いを利用し闇と炎の刃を飛ばす。地面を走る刃と中空を飛ぶ炎を見た半ネクロは

 

「ラビリル!アシラ達の護衛に回って!」

 

「ガルう!!」

 

即座にそう判断して虎の上から飛び降り。身につけている手甲で刃と炎を防ぐ

 

「さてこれでイーブン。ここからが勝負ですよ!」

 

普段は使わない黒炎を両手に発生させ構える。それを見たペガサスとリーエが間合いを取る。

 

(さすがにこの炎のことは知ってますか)

 

黒炎。上位のネクロの中でも更に一握りしか扱う事のできない炎。魔力と体力を同時に奪い、ネクロといえど致命傷となりえる炎。勿論ここで倒す気は無いのでフルに使うつもりはないが、こうして見せることで向こうは攻めにくくなる

 

「さぁ!貴方達に耐える事が出来ますか!」

 

黒炎を両手に発生させたままペガサスへと突っ込む。上段から引っかくように腕を振り下ろす、ペガサスが炎の発生している掌じゃなく、腕を押さえようと剣を動かしたと同時に腹を蹴り上げる

 

「ぐっ!やってくれる!」

 

ペガサスはそう言っているが、足に手ごたえはない。衝撃を完全に殺されているのだろう。

 

「褒め言葉として受け取っておきましょう」

 

そんな言葉を素直に受け取るほど私は単純ではない。吹っ飛んでいくペガサス追撃にと間合いを詰め、拳を叩き込もうとすると

 

「いけっ!」

 

地面を走ってくる稲妻。虎の上に乗っていた半ネクロの攻撃だ

 

「甘いですね!」

 

拳を地面に打ちつけ、黒炎を飛ばし稲妻を掻き消すと同時に走り出し

 

「はっ!」

 

「くっ!?速い!?」

 

名を知らない半ネクロの間合いに入り込みながら

 

「お褒めに預かり光栄です。それで貴方はどこのどちら様なんでしょうか?」

 

半ネクロだが、感じる魔力も威圧感も一級品だ。外見の幼さに騙されると痛い目を見るのはこっちだ。それに

 

(もしかするとLV4だったという可能性もありますしね)

 

どういう技を用いているのかは判らないが、リーエにはネクロを半ネクロに変えることが出来るらしい。その可能性がある以上情報収集は必要だ、私がそう尋ねると

 

「自分から名乗らない人間に答える義理はないね!サイガスッ!!!」

 

稲妻を纏った打撃を回避し、リーエとペガサスの位置を確認しながら

 

「それは失礼を、私はアークです。それで貴女の名前はなんですか?お美しいレデイ?」

 

私がそう言うと驚いた顔をしてから

 

「アルハリム。アルハリム・アズタミアだ」

 

名乗ると同時に氷の槍を飛ばして、私の視界を塞ぎペガサスとリーエと合流するアルハリム。だが私は追撃をしようと考えている余裕がなかった

 

(アズタミア!?これはまた厄介な相手を仲間にしてくれたようですね)

 

ランドグリーズが探している遺跡を作った一族の名前がアズタミア。その名を持つ半ネクロ。どう考えてもアズタミアの一族に関係しているネクロだ

 

(さてどうしますかね)

 

ここでリーエを見逃せば、ランドグリーズに何を言われるか判らない。せめて1人くらいは致命傷を与えたといえば名分も立つのですが……魔導師の2人は虎と鳥のネクロに護られているし、女の剣士も相当手強い。リーエは殺すわけには行かないし、ペガサスを倒そうと思えば私も大ダメージを受けるのは必須

 

(やれやれ。どうも不味い流れですね)

 

私は心の中で溜息を吐き、黒炎を翼のように展開する。これで機動力が確保できる……とは言え3対1と言う状況でどこまで機動力を生かせるが心配だが、ないよりましだろう

 

「ここで貴様を倒して追われる身から開放させてもらう」

 

リーエは鋭い目付きで私を睨んでいる。ペガサスとアルハリムもそれぞれバスターソードと冷気を放つ槍を構えている。どう考えても不利すぎる状況に溜息を吐きながら

 

「そう簡単に倒せると思わないでいただきたいですね!」

 

黒炎の翼を羽ばたかせ、リーエ達へと切りかかったのだった……

 

 

 

 

 

 

(アークも苦戦しているか)

 

俺も相当苦戦しているが、アークは俺よりも1人多い。それだけで苦しい戦いのはずだ

 

「どうした?考え事か?」

 

「はっ!どうやってお前を殺すか考えてたんだよ!」

 

ヴォルガンドの剣を足で弾き間合いを放そうとするが……

 

「ちいっ!鬱陶しい!」

 

「あら?そう言わないでもっと付き合いなさいな!」

 

ヴィルヘリヤの能力は相手に関する束縛系の能力と呪い。ネクロを支配する能力は失っているが残りの2つは健在だ。だが呪いは俺には利かない……そして残っている束縛形の能力が俺の天敵だった。ミドルレンジを得意とし、機動力を武器にしている俺にはこれ以上にないほどに厄介な相手だ

 

(不味い。押し込まれる)

 

ヴィルヘリヤが俺の動きを抑え込み、攻撃力の高いヴォルガンドが攻め込んでくる。セオリー通りの戦法だが、2人の連度が高く突き放す隙が見出せない

 

(どうするアーク)

 

この状況で念話で会話するのは危険だと判るが、正直手に余る自体だ。アークに念話で尋ねるとアークは普段の余裕そうな声で無く、焦ったような声で

 

(正直不利な流れですね。離脱する隙はありそうですか?)

 

(あると思うのか?)

 

ヴィルヘリヤの影から伸びた触手を飛んで回避するが、即座にヴォルガンドの横薙ぎが放たれる、浅く腕を切られながらも何とか回避し間合いを取る。アークはペガサスの連続攻撃とリーエとアルハリムの執拗なまでの射撃のせいで、思うように動けていない

 

(シン。こうなれば当初の目的は諦めましょう。離脱することを最優先にしてください)

 

当初の目的。それはリーエの能力を見極めることだった……可能ならリーエが使うというネクロを半ネクロにする術を見ることだった、だがこの状況でそんな事を言っている余裕はなくなってしまった

 

(シン。ヴィルヘリヤに近づけますか?)

 

ヴィルヘリヤはヴォルガンドの斜め後ろに陣取っているが問題ない。

 

(行けるが、いいのか?)

 

アークがそう尋ねてきたという事は俺の能力を使えということだ。確かに俺の能力を使えば、この状況を切り抜けることも可能だ。アークは小さく頷く、俺はそれを合図にヴォルガンドの後ろにいるヴィルヘリヤへと突っ込む

 

「ヴィルヘリヤ。行ったぞ!」

 

ヴォルガンドの警戒の声を聞いたヴィルヘリヤが構えを取る

 

「迎え撃つから大丈夫!フォローよろしく」

 

俺を迎撃してヴォルガンドに任せるというヴィルヘリヤ。その判断は正しいだろう

 

(俺が普通のネクロならな!)

 

俺はヴィルヘリヤの手刀を回避し、左の掌をヴィリヘリヤの腹に押し付ける

 

「えっ!?」

 

キンッ!と鋭い音が響きヴィルヘリヤの身体から、一瞬黒い鎖が飛び出す。それを掴み大きく跳びずさり

 

「もらったぜ。お前の力!!!」

 

拳を地面に打ちつける。すると俺の影から黒い鎖が飛び出し、ヴォルガンドとヴィルヘリヤの身体を鎖で縛り上げる

 

「な!?これは私の!?」

 

「馬鹿な!?何故だ!?」

 

自身を縛り上げる鎖を見て、混乱しているヴォルガンドとヴィルヘリヤ。だがリーエ達は混乱せず素早く次の行動に出ていた

 

「ヴィルヘリヤ!ヴォルガンド!」

 

リーエが短剣を投げて鎖を破壊し、2人を解放し距離を取る。それに続き

 

「リーエ。距離を取るぞ!あのネクロなにか嫌な予感がする!アシラ、イシュリを連れてこっちに来い!」

 

ペガサスの指示を聞いた女は頷き。自分の傍に居た少女を抱えて

 

「判ってる!イシュリ動いちゃ駄目よ!ラビリルとスザクも来なさい!」

 

「こくっ!」

 

「キュー!」

 

「ニャーッ!」

 

飛びのくアシラに続いて2匹の動物のネクロも距離を取る。そして最後にアルハリムが俺とアークに水の槍を飛ばしてから

 

「だね!距離を取ったほうがいい、もしかするとヤバイ能力を持っているかもしれない!」

 

そう叫んで間合いを放す。一気に隊列が変わったおかげでアークと合流することが出来たが、別の問題が出来てしまった

 

(さてこれからどうする?)

 

俺の能力を警戒して近づいてくる気配は無い上に、アシラとか言う女の周りに集まり警戒している。完全に防戦の陣形を取っている

俺とアークはこれ以上深入りする気は無いのだが、俺達から撤退すると何を言われるか判らない。ここは向こうから撤退してくれるとありがたいんだが……その気配は無い。

 

(致し方ありません。ラグナロクを使う振りをして撤退してもらいましょう)

 

周囲の物を分解して消滅させる魔法。アークを知っているリーエなら詠唱が始まれば撤退するだろう

 

「遊びはここまで、ここで消えて貰いましょうか。死者に与えられる物は無い……ただ等しく闇に消えるが唯1つ死者が持ちえる物……光さえ届かぬ煉獄の底で己が罪を悔いろ」

 

アークが詠唱に入る、それを見たリーエが慌てて

 

「転移します!強制消滅魔法だ!」

 

術式を組み上げるリーエ。アークの魔法とリーエの転移魔法によって発生した膨大な魔力が周囲に満ちる

 

(ん?なんだあれは)

 

目に光が入り、その方向を見ると遺跡の中央の石碑に埋め込まれた何かが強い光を放っている。そう思った瞬間このフロアの壁に突然魔方陣が浮かび上がる

 

「ま、魔力が吸い取られる!?」

 

「ぐっ!?何が起こっているんですか!?」

 

突然展開された魔方陣。そして次の瞬間膨大な魔力が開放され、目の前が白一色に染まったと思った瞬間

 

「「「「うわああああッ!!!」」」」

 

その強烈な光が消えた時。遺跡の碑文とリーエ達の姿は遺跡の中から消えていたのだった……

 

第57話に続く

 

 




次回からまたコラボ回の予定です。今度のコラボは重要なイベントを多くやるつもりです。そして凄いキャラが1人仲間になる予定です。誰が仲間になるかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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