この魔王とのエンカウントが悪影響にならないといいんですけどね。それでは今回もどうか宜しくお願いします
第5話
目が見えるようになったので、クレアさんに頼んで買って来て貰った小説を読んでいると
「お、起きてるみたいやな。失礼するでー」
「悪いな。本読んでる時に」
ノック無しで病室に入ってきた2人組みを見て。私は思わず本を取り落としてしまった
(八神はやてさんにヴィータさん!? なんで!? どうしてここに!?)
機動六課と言えばと言われるくらい有名な魔導師2人組みの突然の訪問に驚いていると
「ん? どした? そんなに驚いた顔をして?」
不思議そうに尋ねてくるヴィータさんに、姿勢を正して
「……ど、どうも! リーエでしゅ!?」
思いっきり噛んでしまったので赤面していると
「くすくす……ええやん。子供らしくて可愛いで?」
微笑ましい物でも見るような顔をしているはやてさんは
「なんか飲むか? 淹れたるけど?」
「い、いえ……別に良いです」
そうか? と言いながら私のベットの隣の椅子に腰掛ける、はやてさんとヴィータさんは
「調子はどうだ? リハビリは進んでるのか?」
「え。あ……はい。杖が必要ですけど歩けるようにはなってきます」
リハビリを始めて1週間。まだ走ったりは出来ないが歩けるようにはなってきてると言うと
「そうか良かったなー」
ぐりぐりと私の頭を撫でてくれるはやてさんに
(ちょっとイメージと違うかも……)
八神はやてと言えば。六課で最狂と言われるほどの凶悪さを誇る魔導師と聞いていたが。目の前のはやてさんはやさしい感じのお姉さんと言う感じがして、凄く安心する
「さてと、行き成り来てこんな話をするのはなんなんやけど。ちょっと大事な話なんでちゃんと聞いてや?」
「……はい」
真剣な表情をしているはやてさんの目を見ると
「まずな。リーエは今の所。機動六課あずかりって事になってるんよ。これは兄ちゃんに聞いてるよな?」
確認するように尋ねてくるはやてさんに頷くと
「それでやな。もう普通の学校には通えないってのは言わんでも判るやろ? それで六課の各部署で勉強とか魔法の訓練をして貰う事になるんよ? と言ってもそれはもっとあとの話やから安心してな?」
この話もちゃんと龍也様に聞いていたので大丈夫ですと言いながら頷くと
「あーやっぱ。兄貴だな、ちゃんと話してくれてたのか?」
「……はい。リハビリの合間とかお昼のときに……に聞きました」
そっか。そっかと頷くヴィータさんは
「んで。リハビリが終ったら六課の空き部屋か兄貴の家で暮らしてもらう事になるからな」
「……はい?」
初耳だ……え? 六課か龍也様の家ってどういうこと?
「私的には兄ちゃんの家がオススメやな。ユナとかも居るしクレアさん達もいるし。兄ちゃんが3食美味しいご飯作ってくれるで?」
「六課だとあれだな。まぁ不味くはないけど……兄貴の料理を比べると不味いな」
あ。これあれだ。もう決まってるパターンだ、私が何を言っても聞き入れられない流れだ
「まぁその内。兄ちゃんがどうするか教えてくれるやろ。んじゃこれなお見舞いのクッキーとかな?」
「あ、どうも」
差し出されたクッキーを受け取ると、はやてさんとヴィータさんは仕事があるからと病室を出て行きかけ
「あ。そうそう、言い忘れ取ったわ。これからちょくちょく皆お見舞いに来るって言うてるから、そんな緊張せぇへんでちょっと歳の離れた姉ちゃんと話すような気持ちで居ると良いで」
「そうそう。今日もなのはとか来るって行ってたから。普通に迎えてやってくれよな」
「えっちょっと……ああ。行っちゃった……」
私の話を聞かないで行ってしまった。はやてさんとヴィータさんの後姿を見ながら
「……なんでこんなことに?」
私のこの呟きに返事を返してくれる人は居らず。私はもうなる様になれと諦めの境地に達していた
六課に関わり始めていたリーエは良い意味でも悪い意味でも六課のノリに馴染み始めていた。その役割を担っていたのは
「やっほー遊びに来ましたよー!」
「今日はトランプとか色々持って来たぞ」
「……どうしたの? 何か諦めた顔をしてるけど……」
「♪ クッキー食べて……「止めなさい。このど馬鹿」 へぷっ!? 辞書で頭殴るのやめて~」
それは間違いなくリィン達のせいだったりするのだが
「……今日も来てくれたんですね♪ ありがとうございます♪」
リーエ自身はユナ達が遊びに来てくれるのを喜んでいるので、その事に気付く事はないだろう……
リーエの歩きのリハビリの時間になったので、医務室に向かうと
「……あ、龍也様。こんにちわ」
何時も同じ時間に来ている、だから私は来ると判っていた。リーエは既にベッドサイドに腰掛け準備していた
「調子は大分良さそうだな」
リハビリルームに向かうためにリーエに手を貸そうとして
「……大丈夫です。見ていてください」
リーエは笑いながらそう言って
「……うっ……くっ。よい……しょっ」
ゆっくりと立ち上がるリーエに
「自分で立ち上がれるようになったのか!」
「……立ち上がるだけじゃないです……見ててください」
まだプルプルと足が震えているが、リーエは自力で立ち上がりゆっくりと私の方に歩いてきた
「……くっ……うっ……」
7歩くらい進んだところで立ち止まったリーエは私を見て
「……今は……これが限界です。杖があればもっと歩けますけど……今は……これまでです」
にこりと微笑むリーエだが、これはきっと私の見てないところでもリハビリを頑張った結果だろう
「凄いじゃないか! リーエ! この調子ならきっとすぐ歩けるようになるぞ!」
「……わわ!?」
リーエをリィン達と同じ様に抱き上げて頭を撫でると
「………」
「うん? どうした?」
リーエは真っ赤になって何も言わなくなってしまったので顔を覗き込むと
「……え。あ……いえ! 何でもないです! 降ろしてください」
降ろしてくれと言う。リーエをゆっくり地面に降ろすとリーエはベッドの横に掛けていた杖を手にして
「……そ、それじゃあ早く今日のリハビリを始めましょう」
私の手を引いて歩き出すリーエに
「そうだな。今日も頑張ろうな。リーエ」
軽くリーエの頭を撫でながら言うとリーエは笑いながら
「……はい! 今日も頑張って早く歩けるになりたいです!」
元気よく言うリーエを見て
(やっぱり早く歩けるようになりたいんだな)
まだ9歳なんだ。何時までもベッドの上は嫌なのだろうと思い。私はリーエと一緒にリハビリルームに向かった……
リーエの日記 ○月某日
クレアさんにリハビリに良いと言われ渡された日記帳を今日から書く事にしました。
僅かに覚えている。神王陛……龍也様の事と今私の近くにいる。龍也様は本当に同一人物なのかと思います
記憶の中の龍也様は、冷静で人の上に立ち。時に非常な決断を下す人で、あんまり笑ったりはせずいつも気難しい顔をしていると……雑誌だったかTVで見たのですが、実際は良く笑い冗談とかも言う人で、どこにでもいるお兄さんという感じだと私は思いました。私は家族とかは覚えていないけれど……もし、お兄さんがいるのなら。龍也様の様な……いえ。違います。私は何を書いているのでしょう……ここはなかったことにしましょう。 斜線を引いてと
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~4行後~
今日は龍也様に隠れてリハビリをしていた結果を披露しました。龍也様と居る時は杖とかを使って歩くようにしていたのですが、クレアさんと一緒の時はゆっくりとだが杖無しで歩けるように練習をはじめていた。
その結果。自分の力で立ち上がり、7歩くらいだが。私は自分の足で前に進むことが出来ました。それを見た龍也様は一瞬驚いた顔をしましたが、次の瞬間凄く嬉しそうな顔をして私を抱き上げて頭を……
あ……あああああ。 恥ずかしい! 思い出しただけでも恥ずかしい。でもそんなには
※☆■□△……
ここから先は意味不明の文字の羅列が続いており。解析不明……
龍也さんから聞いていたリーエちゃんのリハビリの時間が終った所で医務室に向かうと
「……こんにちわ」
ベッドに腰掛ける9歳くらいの少女が笑いながらそう声を掛けてきてくれた。長い紅い髪と蒼い目、それと縦に割れた瞳孔の左目。神秘的とも取れる容姿のリーエちゃんは読んでいた本をベッドサイドの机に置いて
「……態々忙しい合間に来てくれてありがとうございます」
ぺこりと頭を下げるリーエちゃんに
「休憩時間だからそんなに気にしなくていいよ。ここ座るね」
「あ、これね。シュークリーム。買って来たからここの冷蔵庫に入れておくね」
ベッドの横の冷蔵庫にシュークリームを入れてから。椅子に腰掛け
「何の本を見てたの?」
「……魔法の教導書です。龍也様がくださいました」
9歳とは思えない丁寧な喋り方をする。リーエちゃんは黙り込んで空を見上げている
(あのさなのは……もしかして私達って嫌われてない?)
(やっぱそう思う? 私もそんな気がするよ)
この拒絶しているようにも見えるリーエちゃんに何を話せば良いのか判らず。困惑しているとリーエちゃんは私達を見て
「……えと、すいません。何を話せば良いのか判らないんです。別に嫌ってるとか……そういうことじゃないんです」
困った様に笑うリーエちゃんに
(あ、この子って最初の時のユナちゃんに似てる)
最初は六課に溶け込めず、困っていたユナちゃんに似てると思った。悪い子ではないのだ、だが人との接し方が判らない不器用な子なだけなんだと
「そっか。じゃあ今度は何か話す事とか考えてくるよ」
「……そうしてくれると助かります。なのはさん」
行き成り来た私達も悪いんだし。今日は退散する事にしよう
「じゃあ仕事もあるから戻るね?」
「……はい。本日は来てくださってどうもありがとうございました」
ベッドに座ったまま深く頭を下げるリーエちゃんに見送られ。私達は医務室を後にした
「やっぱあれかな? 行き成り行くのは不味かったね、なのは」
「だね。今度はちゃんと話すこと考えてから行こうか」
今日は顔見せだったと思えば良い。私はそんな事を考えながらスターズの執務室にと帰って行った
夕食後龍也様から頂いた教本を読んでいると
「いま、良いか?」
そう声を掛けられ。部屋の入り口を見るとそこには銀髪で小柄な女性が居た
(……確か……チンクさん?)
六課の中でも取り分け異質な部隊。戦闘や隠密行動に長けた人材が集まる部署……アサルトに所属する魔導師だったと思う
「忙しいのなら出なおすが?」
「……あ、いえそういうわけじゃないです。どうぞ」
チンクさんは私の返事を聞いてから。私のベッドの隣の椅子に腰掛け
「チンク。チンク・スカリエッティだ。よろしくリーエ」
「……リーエです。こちらこそ宜しくお願いします」
差し出された右手を握って気付いた
(身体の中から機械音?……この人もしかして)
微弱な機械音が聞こえる事に首を傾げると
「ふふ。私もリーエと同じ様な者だ……ネクロの実験で身体の半分が機械なんだ」
なんといえば良いのか判らず困惑していると
「ああ。いや別に責めたいわけじゃない、同じとまでは言えないが私もこの身体で苦労したからな……相談相手くらいにはなれるだろうと思ってきたんだ」
ぎこちない笑みを浮かべるチンクさんに
「……ありがとうございます。チンクさん」
「礼を言われるような事じゃないさ。かつて私が八神に救われたように、君にも手を差し伸べたかっただけだからな」
ふふふと笑うチンクさんは
「報告書を提出した帰りだからもう戻る。早く歩けるようになると良いなリーエ」
私の頭をくしゃくしゃと撫でて医務室を出て行った……
(良い人だ)
話すのが苦手な私にはああ言う感じに接しられたほうが楽だ。私はゆっくりとベッドに寝転び窓の外を見る。もう陽も落ちて星空が見え始めているのを見ながら
(早く普通に歩けるようになりたいな)
リハビリのおかげで力の使い方も判って来たし、歩けるようにもなって来た。まだまだリハビリは続くがもうじき医務室から出れると博士も、龍也様も言ってくれた
「……何時になったら外に出れるかな」
1・2時間外で日向ぼっこなどはしているが、それでも1日大半は部屋の中で過ごしている。流石に気が滅入って来た
「……お星様」
ふと窓の外を見ると流れ星が降っているのが見えた。確かリィンさんが言うには
(流れ星にお願いするとお願いが叶うんですよね)
リィンさんに言われた事を思い出し。身体を起こし流れ星を見ながら
「……早く歩けますうに……早く歩けますように……早く歩けますように……ちゃんと言えた」
流れ星が消える前に3回言えたからきっと叶う、私はそんな事を考えながら
「……私の居場所がどんな所なのかちゃんと見て見たいな」
リィンさん達もなのはさん達も龍也様も来るたびに言ってくれる。六課は私の居場所だと……だからこそ早く歩けるようになって私の居場所を見たい
「……お願いが叶うと良いな」
私は最後にもう1度星空を見てからベッドに潜り込み。眠りに落ちた……
そしてこの日から3日後。私は龍也様のお屋敷でお世話になることになるのだが、もしかするとお星様が叶えてくれたことなのかもしれない私は思った
第6話に続く
次回からは六課編になる予定です。まだまだ宵闇の使者の本編に入るのは時間が掛かりそうですが、やはりこういう思い出の話はちゃんとするべきだと思うので
もうちょっとお待ちください。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします