宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話すこしシリアスで行きたいと思います。状況確認とかをやって行きたいと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第59話

 

 

第59話

 

アークとの戦いで転移してきてしまった世界はクラナガンでしたが、随分と街並みが違うし雰囲気も違っていた。ディエチさんに使って良いと言われた家でTVのニュースを見ていると

 

「……私の世界とは大分時間が進んでいるようですね」

 

4年ほどだけどこの4年は大きいですね。ペガサスさん達も

 

「そのようだな。俺の時代とも違う」

 

「そうね。同じクラナガンでも戦時下とそうじゃないとだと全然違うのね」

 

頷きながら言うアシラさん。私もそれは同じ意見だ、私の居た世界は常にネクロの攻撃と襲撃に備えていた。街の雰囲気もぴりぴりしていたし、街中にも管理局の職員の警備員の姿があった。だけどこの世界にそんな素振りは無く、平和そのものと言う感じだった

 

「アークとシンも気になる。俺達だけが転移してきて、奴等の姿が無いと言うのは考えられない」

 

ヴォルガンドさんの言う通りだ。私達全員がこの世界に来ているのに、アークとシンが来てないと言うのは考えられない

 

「考えられる可能性は何処かに身を潜めてるくらいかしら?」

 

私達も強引に世界を転移した影響でダメージを受けている。シンとアークも同様と考えるのが普通だろう

 

「んー。だけどそう簡単に動くとは思えないけどね」

 

「にゃう!にゃう!!」

 

ヴィルヘリヤさんが猫じゃらしでラビリルと遊びながら言う。私達が真剣な話をしているのに何をしているんだろうと思ったが、行っても無駄と判断した

 

「なにか根拠はあるのか?」

 

ペガサスさんの問い掛けにヴィルヘリヤさんはにこりと笑い。ラビリルの顔の前で猫じゃらしを振りながら

 

「良いかしら?私達は転移するために防御を固めていた。それに対してアークとシンは私達を攻撃するために魔力を貯めていた、つまりほぼ直撃の形で暴発に巻き込まれたのよ?そう簡単に動け「にゃーッ!!!」……痛い」

 

ラビリルの鉄さえ引き裂くつめが命中し涙目のヴィルヘリヤさん。どうも締まらないが言っていることは的を得ているとおもう

 

「私はヴィルヘリヤの意見は一理あるとおもうね、あの2人は暴発の源になっていた碑文に近かった、私達よりダメージを受けているのは当然だと思うよ」

 

「アルハリムの言うとおりだとあたしも思うわね。魔力は大丈夫でも体力のダメージは大きいわ、そう簡単に動き出せるとは思えないわね」

 

魔力ダメージはそんなに大きくないが、身体のダメージは結構深刻だ。恐らく直ぐには動き出さないだろう、だがそれは私達も同じだ。少し休まないと戦闘は愚か転移ですら出来ないだろう

 

「少しの間身体を休めるのもいいだろうな。前の世界では禄に身体を休める時間もないまま戦闘になった。ここらで1度休むべきだな」

 

確かにリッカさんの世界では禄に身体を休めることは出来なかった。1度ここら辺で身体を休めるのもいいだろう

 

「……そうですね。少し身体を休めながら様子を見ましょうか。アーク達とそしてジオと言う半ネクロについて」

 

この世界にいたジオと言う半ネクロ。記憶がないようだけど、だからと言って楽観視するのは危険だろう

 

「それがいいだろうな。何らかのきっかけで記憶を取り戻す可能性もある。半ネクロが全部が全部、善人じゃないからな」

 

ペガサスさんの言う通りだ。半ネクロだって凶暴な人や凶悪な者も居る。様子見は必要だろう

 

「それじゃあお風呂でも入れる?電気・水道・ガス。全部通ってるみたいだし、偶には普通の食事とお風呂も良いとおもうんだけど?」

 

「……ですね。偶にはゆっくりしましょう、お風呂をいれている間にこの家の中をチェックしましょうか」

 

布団が人数分あるかとか、そう言うのを確認した方がいいだろう

 

「そうね。そう言うのはあたしとアルハリム、それにリーエでやりましょうか?イシュリ行くわよ」

 

「判った」

 

アシラさんがイシュリさんを抱っこするのを見ながら、私はジオと言う半ネクロの事を思い出していた

 

(何処かで見たような気がするのは気のせいですかね?)

 

ジオと言う半ネクロを何処かで見た気がする。どこで見た?と言うのは判らないが、何処かで見たような気がする

 

「リーエ?早く確認を済ませてしまおう。さすがに私も少し疲れている」

 

そう声を掛けてくるアルハリムさん。私は考え事を中断し、ソファーに止まっているスザクに

 

「……行きますよ。スザク」

 

「クアー」

 

一鳴きしてソファーから飛び上がったスザクを肩に乗せ家の確認へと向かったのだった……

 

 

 

 

リーエ達の姿が見えなくなったところで俺はヴォルガンドとヴィルヘリヤに

 

「で?お前達は何を隠している?」

 

俺は見逃さなかった。ヴォルガンドとヴィルヘリヤがジオと言うネクロを驚きの目で見ていたのを、俺はこの2人に何か関係がある。それを直感で感じ取り、リーエ達がいなくなった所でそう尋ねると、ヴォルガンドが驚いたように

 

「剣士の感と言うのは恐ろしい。あの一瞬で気付くか?」

 

「逆の立場ならどうだ?」

 

俺が逆にそう尋ねるとヴォルガンドは気付くなとぼやきながら

 

「これは確実な話ではないが、ジオという半ネクロはもしかするとだが、かつて守護者と腕と目を奪い。リーエの居たクラナガンに宣戦布告をした我らの王「ジオガディス」様の可能性がある」

 

守護者の目と腕を……話には聞いていた。ネクロを引きつれパンデモニウムと言う機動要塞を武器に守護者と戦ったネクロの存在を

 

「だがあいつは途中で裏切ったのではないのか?」

 

ベエルゼの話では、ヴェルガディオスと言う神を名乗るネクロと戦う際に守護者と共闘し、そして守護者を庇い死んだと聞いていると言うと

 

「んー?何があったのかしらねえ?ジオガディス様は守護者を殺せ殺せって言ってたけど、私はその前に死んじゃったし。ヴォルガンドは?何か知ってる?」

 

「いや、俺も知らん。俺は宣戦布告が済んだ後、リベンジャーとバラガルトに奇襲を受けて次元の狭間に落とされ、記憶を失って彷徨っていたからな」

 

役に立たないというか、この2人も途中退場者か。俺と似たようなものだなと内心苦笑しながら、ヴォルガンドを見て

 

「確証はあるのか?」

 

ジオがジオガディスである確証があり、敵になる可能性があるのなら早めに手を打って置きたい。

 

「ないわあ?似てるってだけだし?あの黒炎と気配は少し似てたくらいね?」

 

「黒炎は上位ネクロは使える能力だろう?」

 

上位ネクロしか使えない。しかも使えるネクロは少数と希少な技能だが、それを言えばアークもリーエもつかえる。それだけを証拠に動く事はできない。下手をすればこの世界の六課と管理局と事を構えることになってしまう

 

「可能性としてだが、ジオガディス様のクローンの可能性もないわけではない」

 

ネクロは破壊と殺戮を好むがそれ以上に科学力も高い。俺が守護者とあった世界では「IS」と言う兵器を簡単にコピーし量産していた。クローン技術も確立しているのだろう

 

「厄介だな。本人かクローンか判らんと言うのは」

 

クローンだから記憶がないのか、それも半ネクロになったから記憶がないのか?どちらか判らない以上動くわけには行かない

 

「でも、向こうは守護者の名前に反応してたし、あながち本人かもね?ま、判らない以上様子見が良いとおもうけどね」

 

そう笑って立ち上がったヴィルヘリヤは風呂場に向かいながら

 

「ペガサスもヴォルガンドも少しは掃除しておきなさいよ?女性が多いんだからね?」

 

くすくす笑って部屋を出て行くヴィルヘリヤ。俺は壁に立てかけてあった箒とかを見て

 

「掃除するか?」

 

「……仕方ないだろうな」

 

よりによって男2人が掃除、言っちゃ悪いがおれはこういうのは雑ついぞ……俺とヴォルガンドは深く溜息を吐き箒を手に取り埃を掃き始めたのだった……

 

 

 

 

 

 

……声が、聞こえた。

 

……一体何の声だろう?

 

……遠吠え、だろうか。

 

「俺の眠りを邪魔するとは、いい度胸だな。この俺……」

 

そこでふと気づく。……俺は、誰だ?

 

……俺の名前は何だ?俺は一体どういう存在だ?

 

何もかも、まったく思い出せない。だが混乱したからだろうか、意識ははっきりと目覚めてきたので、俺は目を開けて周りを見る。

 

「……森、か」

 

俺は仰向けに森で寝ていた。俺の上に広がる緑色は俺を月光で照らそうとしているかのように大きく穴を開けており、俺の真上に月が浮かんでいる。星は月明かりで見えないが、それでも、俺に判ることが1つあった。

 

「……綺麗な月だな」

 

そうやってしばらく月を眺めているうちに体の痛みが引いてきたので、俺は体を起こす。改めて自分の体を見ると、

 

「何か違う?」

 

何故か違和感を感じたが、違和感の正体などつかめない。それに何故この言葉を発したのかも判らない。

 

「まあいい、なにか探すか」

 

と、立ち上がって移動しようとしたその時、突如として月が隠れ、咆哮が響き渡った。

 

「なんだ……!?」

 

上を見上げると、巨体がこちらに落下してきているのがわかった。まだ多少軋む体を動かし、その巨体から逃れた直後、

 

「ゴアァァァァ!!」

 

という咆哮とともに龍が目の前に落ち、地面が大きく揺れる。そして、それを追うように数匹の黒い影が降りてくる。

 

「キキキ」

 

「ニガサナイ。守護龍ヨ」

 

黒い影のような異形とボロボロの鎧を纏っている異形が、その爪と剣を龍に向ける。おそらくこの龍を狙っているのだろう。

 

「グ、ゴォォォォ」

 

力ない呻きとともに龍は微弱な光を発し、気が付くと小さなドラゴンになっていた。そのドラゴンを仕留めるべく影が近寄ってくる。

 

その影を見ていると、なぜだろう?ほんのわずかの懐かしさ、そして、

 

「……無性に気に食わんな」

 

思わず口をついて出た言葉。その言葉に反応したのか、影は動きを止めてこちらを見た。赤い光を宿した目が俺を見据える、その目は言うまでもなく俺を敵として写していた

 

「ふん、やるのか?」

 

影は何も答えず、突如として俺に襲いかかってくる。だが俺は命の危機を感じることはなかった。なぜなら、

 

「来い」

 

自然と口をついた、その一言。直後、俺の手から黒い炎が発現し、最も近くにいた影を焼き払った。

 

「……!?」

 

影どもが動きを止める。だが、気に食わない相手に容赦をするつもりもない。

 

「悪いが、貴様らは死ね!」

 

と右足を振り上げると、黒炎の輪が目の前の影を一瞬で消滅させる。最後の影は敵わないとさとったのか逃げようとするが、俺は一瞬で飛び上がってその影の頭を掴み

 

「雑魚が!」

 

と叫んで右手に力を込めた。すると影から感じられた力が徐々に失われ、逆に俺の体が回復していった。しばらくそれをするうちに、影は干からびて崩れ去り、俺の傷は八割方回復していた。

 

「……もういないか」

 

俺はそう呟き、小さくなって倒れこんでいるドラゴンの元に近づく。傷だらけで目を閉じていて死んでいるようにも見えたが、気配を感じる事が出来るから生きているのだろうと思い

 

「お前はなぜあいつらに狙われていたんだ」

 

「お前は一体何なんだ」

 

ドラゴンは答えない。しかし、わずかに瞳を開くとこちらを見て舌を出した。指を近づけると、舌で舐められた。

 

「がう……」

 

弱々しく鳴きながらも俺の指を舐めるドラゴン。くすぐったかったが、嫌な気持ちはしない。そんなことを続けているうちにこのドラゴンに対して愛おしさを覚え……

 

「……何も知らず、どうなるかもわからない俺と一緒に来るか?」

 

俺は何も覚えていない。月や星はわかる、だが俺が何者なのか?そして何をしていたのか判らない。こんな人間と一緒に来るか?と尋ねると

 

「がーウ……」

 

痛む身体を起こしながらもこくりと頷くドラゴン。俺はそのドラゴンを抱き抱えながら

 

「そうか……しばらくお前に名前を与えられそうにないが、我慢してくれ」

 

そんな俺達を、月はずっと照らし続けていた……

 

 

 

 

「夢……か」

 

俺はゆっくりと身体を起こそうとして止めた。なぜなら

 

「ガウうう……」

 

カエデが俺の腹の上で眠っていたからだ。ベッドと言う名の篭は用意しているのだが、結構な頻度でカエデは俺の腹で眠っている。

ゆっくりと小さな身体に掴み上げ、篭の中に入れる

 

「久しぶりに見たな」

 

この家に引き取られるまでは良くあの夢を見ていた。この家に来てからは全然見てなかった、それなのにここで見たということは

 

(リーエ達に関係があるのか?)

 

俺と同じで瞳孔が割れた半ネクロと言うらしい。リーエ達は俺と同じらしい、同属とあったことがもしかすると何かのきっかけになっているのかもしれない

 

(あって話をしなければ)

 

昨日は気がついたらリーエ達はいなかった。何をしていたか思い出せないが、別に対したことは無いだろう

 

「おはよう」

 

「おはよ。ジオ」

 

ディエチの姿は無く、スバルが笑いながら手を振ってきているのを無視して椅子に座る

 

「何で無視するの!?」

 

「別に無視してない。挨拶はしたからそれでいいだろう?」

 

そう言って椅子に座り、机の上にトーストに手を伸ばす

 

「あ、おはよう。ジオ」

 

キッチンから出てきておはようと言うディエチにおはようと返事を返し

 

「ゲンヤとギンガは?それにチンク達は?」

 

朝一緒に食べるゲンヤとギンガ。それにディエチの姉妹のチンク達の姿が無くそう尋ねると

 

「なんか、管理局の用事とかで朝からいないよ」

 

なにかあったのだろうか?まぁ合ったとしても強盗とかその程度の事件だろうと思いながら

 

「リーエ達はどこにいるんだ?」

 

てっきりこの家に居ると思っていたのだが、リーエ達の姿が見えずそう尋ねると、ディエチは椅子に座りながら

 

「今日会いに行くから、ジオも一緒に来る?セツナも一緒だけど」

 

「構わない。俺もついていく」

 

リーエ達と話をすることで何か記憶を取り戻すきっかけになるかもしれない。ならば早い内に会いに行くべきだろう

 

「じゃあご飯を食べたら行こうか?」

 

「ああ」

 

俺の失った記憶。それを知る手掛かりが漸く俺の手に届く所に来た。このチャンスを失うわけには行かない

 

「じゃあジオは記憶が戻ったら如何するの?」

 

トーストを齧りながら尋ねてくるスバル。記憶が戻ったら……か。そんなの言うまでもないな

 

「俺は俺だ。それでいい」

 

記憶があろうがなかろうが、俺は俺。それで良い。俺はそう呟き、トーストに苺ジャムを塗るのだった……

 

(しかし性格が変わったりしないといいんだがな)

 

記憶喪失から直ると性格が変わるとかが定番と漫画やアニメで見たが、俺はそうなってくれるなよと心の中で呟きトーストを頬張るのだった……

 

 

 

時間は少し巻き戻る。リーエ達が眠りに落ちていたとき、クラナガンの路地裏では

 

「はぁ!はぁ!……」

 

闇夜の中を必死に走る女性の姿。その顔は恐怖で凍りつき息が切れても走り続けていた。

 

「きゃあ!?」

 

走っている最中に偶然倒れてきた物に驚き転んでしまう女性。その僅かな時間で彼女を追いかけて来ていた何かが女性の前に姿を現す

 

『オオオオ……おアアアアア』

 

どす黒いぶよぶよとした液体を身に纏った。白い身体をした異形がずりずりと身体を引きずりながら姿を見せる。左腕と右足が無く、欠けた頭部からどす黒い体液を流しながら異形は女性に近づく

 

「いや、いやああああ!!!」

 

化け物が近寄ってくる恐怖に飲まれ悲鳴をあげ、足を引きずりながら逃げるがそれよりも早く

 

『お、オアアアアアアアッ!!!!』

 

体液が伸び女性の足に絡みつき。女性を引きずり寄せる

 

「いや、いやあ!誰か!誰かアアアア!!!」

 

女性は泣きながら悲鳴を上げるが誰もこの近くにいない。いやあの化け物によって結界を張られてここに来ることができないのだ

 

『ガバアッ!!!』

 

化け物の胴体が大きく開き女性に迫る。自分に何が起きるのか理解した女性は

 

「い。いやああああああああッ!!!!」

 

バグンッ!!!ゴキョ!メキョ!ボリ!ボリ!!!

 

薄暗い路地に女性の悲鳴と肉と骨を砕くおぞましい音だけが響き渡るのだった……

 

『ああ、ウオオオオ』

 

化け物は食べ残しの右腕と女性の身につけていた鞄を吐き出し、そのまま身体を引きずりながらその場を後にしたのだった……

 

第60話に続く

 

 

 




最後だけは若干グロでしたかね?でもまあこういう終わり方もいいかな?と思ったのでこうしてみました。化け物が何なのか?を楽しみにしてもらえると嬉しいですね。次回は平和なクラナガンを見るリーエ達の話しにしようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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