宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は平和なクラナガンの観光をするリーエ達の話にしようと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第60話

 

 

第60話

 

窓から差し込む朝日で目を覚まし、んんーっと大きく伸びをする

 

「あーなんか久しぶりに寝たって感じね」

 

旅をする間は寝袋とか岩に背中を預けて眠ることが多かった、こうして布団で寝ると身体の疲れも全部取れた気がする。布団から立ち上がりると

 

「うーん……うーん」

 

「むにゃー」

 

寝相がとんでもなく悪いヴィルヘリヤがリーエの上に乗っかっている。あたしは溜息を吐きながらヴィルヘリヤをリーエの上からどかす。イシュリはっと……

 

「すぴーすぴー」

 

イシュリはラビリルを抱き抱えて眠っている。猫は前から好きだったけど、最近はラビリルを随分と気に入ってるみたいね

 

(あれ?アルハリムは?)

 

女性陣と男性陣に分かれて寝たので、当然アルハリムもいるはずなのだが、アルハリムの姿がない。もう起きてるのかしら?と思いながら寝室を後にすると

 

「おや。おはよう、アシラ」

 

「早いのね?」

 

アルハリムはキッチンで朝食の準備をしていた。エプロンは無いのでエプロンはしてないがなんか堂に入っているという感じだった。あたしは髪を縛りながら

 

「手伝うわ。ラビリルとスザクが大量に食べるからね」

 

「それは助かる。材料は色々とあるから色々作ってみようか」

 

ラビリルとスザクは自身の体内に魔力を蓄えるために食事量が多い。普段は木の実とかで我慢して貰っているが偶には普通の食事を食べさせてあげたい。偵察や索敵に意識を向けてくれて1番神経をすり減らしているのは間違いなくあの二匹だから。あたしはそんな事を考えながら包丁を手に取ったのだった

 

 

 

 

 

アシラとアルハリムが朝食の準備をしている頃。ペガサスとヴォルガンドはと言うと、結界を張りその中でかれこれ2時間ほど模擬戦をしていた

 

「むん!!!」

 

「ちっ!やってくれる」

 

ペガサスの胴を切り払おうとヴォルトガングを振るうが、ペガサスは鋭いバックステップでそれを回避する

 

「良い切れだ。今のは捉えたと思ったぞ」

 

「ふん。そう簡単に当たる物か」

 

ペガサスは愛用の2振りの西洋剣を構えている。俺はヴォルトガングを正眼に構えなおしながらペガサスの挙動に意識を集中させた。一撃の威力は低いがあの手数、そして防御をすり抜ける一撃と受けた所から衝撃が走る奇妙な攻撃

 

(どちらも厄介だな)

 

半ネクロ特有の再生能力のおかげで動きには何の問題もないが、連続で喰らうと不味いだろう。だが

 

(連続では当たらんな)

 

下位ネクロや接近戦の心がないネクロならまだしも、俺には当たらない。いや当たるはずが無い

 

「何を考えているかは知らんが、随分と余裕だな!」

 

力強くペガサスが地面を蹴ると姿が消える。超高速移動。このスピードからの一撃は十分な脅威だが

 

「甘い!」

 

「ぬっぐあッ!」

 

死角から繰り出された突きを回避し、ペガサスの腕をつかんでそのまま地面に叩きつける。ネクロだからこの程度では何の問題もない、だからそのままヴォルトガングをペガサスの顔の横に突き立てる

 

「チェックメイトだ」

 

「ぬかったか……」

 

身体を起こしたペガサス。互いに多少の擦り傷はあるが、30分も大人しくしていればすぐに治るだろう

 

「やはり鈍いな」

 

ペガサスの懸念通り、今のペガサスの剣はペガサスには合っていない。慣れるまでは厄介だが、慣れればその違和感に気付き反応できる。俺がペガサスを捉える事が出来たのはこれが大きい

 

「何か探したほうが良いのかも知れないな」

 

そう簡単に見つかる物では無いと判っているが、今のままでは駄目だろう。LV5やそれに準するネクロが出てくるとまずい

 

「ない物ねだりをしても仕方ない」

 

ネクロの力に耐えれる物質は数えるほどしかない、ペガサスの力はかなり強い。ある可能性は殆どないか……

 

「騙し騙しやって行くしかないか」

 

仕方ないと呟くペガサスと俺はリーエ達が居る家へと戻ったのだった……俺は戻りながら1つきになる事があった

 

(昨晩感じたあの魔力は一体)

 

直ぐに消えたが膨大な魔力反応があった。あれは一体……もしかするとこの世界にはアーク達の外にもネクロがいるのかもしれない……

 

 

 

 

アシラさんとアルハリムさんが用意してくれた朝食は、見慣れたハムエッグとかの洋食と見たことのない料理だった。アルハリムさんが言うには自分の国の料理だと教えてくれた、変わった味だが、どこか懐かしいと思える味付けだった。

 

「みゃー」

 

「キュー♪」

 

美味しそうに食べるスザクとラビリルに若干和みながら食事を進め

 

「リーエ。今日は街に出かけてみない?」

 

「……それも良いですね」

 

ヴィルヘリヤさんの提案に頷く、アークのこともあるが魔力反応は無い。向こうも休んでいると考えて間違いない。少し私達も休んでもいいはずだ

 

「それならば一応警戒しながら行けば良いだろう」

 

「服とかも見ておくといいかもしれないね」

 

服は色々あったほうがいいだろうし、食料とかも買って置くと良いかも知れないと皆で話していると

 

ピンポーン

 

チャイムの音が鳴る。ここに来るという事はディエチさんだろうか?私が立ち上がろうとすると

 

「私が行こう。近いしね」

 

アルハリムさんが立ち上がり玄関に向かう。暫くするとアルハリムさんが戻ってきて

 

「ディエチ達が一緒に買い物に行かないか?と誘ってくれているけどどうする?」

 

その言葉に少し考える。ディエチさん達……

 

「……ジオさんは?」

 

「いるね。私は一緒に行動したほうが良いとおもうよ」

 

この街の情報とジオさんについて同時に知ることが出来る。ここは一緒に行動したほうがいいだろう

 

「……私とアルハリムさんは一緒に行きますが、ペガサスさん達はどうしますか?」

 

別に団体行動をする必要はない、各々ネクロについて警戒しておけばそれで十分だろうと思いながら尋ねると

 

「俺は1人で良い。少し見ておきたい物がある」

 

「あたしはイシュリの子供服を見ておきたいから、リーエ達とは目的地が違うからパス」

 

ペガサスさんとアシラさん、それにイシュリさんは別行動ですか

 

「俺は着いて行こう。服を見ておかなければいかんからな」

 

「私もついていくわ、ジオも気になるしね」

 

今ヴォルガンドさんが来ているのは民族衣装。確かに目立つから変えておいたほうがいいだろう。私とアルハリムさんと一緒に行動するのはヴォルガンドさんとヴィルヘリヤさんになった。

 

「……それでは念の為にペガサスさんはスザクを連れて行ってください」

 

アシラさんはイシュリさんと一緒だから。いざとなればイシュリさんが私達に連絡してくれる。だけどペガサスさんは1人なのでスザクを連れて行って下さいと言うと

 

「判った。スザクは借りていく、行くぞ」

 

「キュー」

 

スザクを肩に乗せて出て行くペガサスさんを見ながら私達は玄関に向かい

 

「……お待たせしてすいません。ご一緒させていただきます」

 

「よろしく」

 

玄関で待っててくれたディエチさん達にそう声を掛け、家を後にしたのだった……

 

 

 

 

 

私達の後ろを歩いているリーエ達。すれ違うときに街の人が何の反応もしないので目ってなにかしてるの?と尋ねると

 

「幻術で普通に見えるようにしているよ、面倒事はごめんだからね」

 

中学生くらいの背丈だけど妙にしっかりしているアルハリムがそう教えてくれる、チンク姉と似た感じなのかな?と思いながら

 

「どう?リーエが居たクラナガンとは違う?」

 

「……少し誤差がある程度ですけど、殆ど同じです」

 

誤差?どれくらいの誤差なんだろう?私が首を傾げるとセツナが

 

「どれくらい違うんだ?」

 

「……店の位置とか看板の場所とか程度です。殆ど同じですよ」

 

なるほど。それくらいなら誤差って言う感じだよね。私が納得と頷いていると

 

「ん?なーに?私をじっと見て。恋した?」

 

「死ね」

 

ジオはヴィルヘリヤとそんなやり取りをしている。ヴィルヘリヤと言うのは何を考えているのか全然判らない人だ

 

「服が欲しい、何か良いのはないか?」

 

「動きやすいのがいいのか?それともファッションか?」

 

「動きやすい物で頼む。飾りの服はいらん」

 

ヴォルガンドは硬派な人って感じかな?言葉数は少ないけど、悪い人じゃないと思う

 

「……ディエチさん。今日は随分と管理局の人間を見ますが、何かあったんですか?」

 

「ん~私も気になっているんだけど、判らないかな」

 

リーエに言われた事は私も気になっていた。今日はやけに管理局の人が多い。何かを警戒しているようにも見える

 

「まぁ私達には関係ないでしょう?買い物を楽しもうよ」

 

リーエは無人世界も多く見たといっていた。久しぶりの文明世界を楽しんでよと言うと

 

「……心遣いどうもありがとうございます」

 

嬉しそうに笑うリーエに頷き私は近くのデパートを指差して

 

「あそこが安くて良い服が多いんだよ、行こう」

 

リーエ達を連れてデパートへと足を向けた。女の子同士きっと趣味が合ううこともあるだろうと思いながら

 

「んー。リーエはそのフード付きのローブは脱がないの?」

 

色々とお洒落な服を選んであげたんだけど、最後にフード付きのローブを着込んでしまうのでそれで台無しになってしまっていると思いながら尋ねると

 

「……これは大事な友人に貰った物でお守りなんです。だから脱ぐのは少し」

 

あーそう言うことなら、無理に着替えさせるのは悪いなあ……

 

「んーじゃあもう少し大人しめの色の服を選ぶよ」

 

リーエは服の上に更にローブを着ることを考えて選んだほうが良い、アルハリムは

 

「ふむ。悪くない」

 

「あ、気に入ってくれた?」

 

アルハリムには白をメインにしたワンピースとかスカートとブラウスを選んで見た。悪くないと言ってくれている辺り私の選んだ物は気に入ってくれているようだ

 

「私は白が好きなんだよ。だからこういうのは実にいいね」

 

白の民族衣装を着ているのを見て白が好きだと思ったのは間違いではなかったようだ。じゃあ今度はリーエだね

 

「リーエは好きな色とかある?」

 

「……黒が好きです」

 

さすがに黒のワンピースとかは無い、仮にあったとしてもそれは喪服だ。旅の中喪服を着るなんて縁起が悪い

 

「他には何か好きな色は無い?」

 

「……蒼とか好きです」

 

青かそれならローブの色とも合うよね。じゃあ次は

 

「スカートとかは?」

 

「……丈の長いものが良いです」

 

んーじゃあ。スカートは少し丈の長いのを選んで、上はブラウスかな?私はそんなことを考えながらリーエの服を選び始めた。ヴィルヘリヤは

 

「んー地味。これは……もうちょい露出が欲しいなあ」

 

ヴィルヘリヤはリーエとアルハリムと違い。これは良い、これは駄目といって服を選んでいる、態々私が何かを言う必要は無いと判断して。私はリーエとアルハリムの服を選ぶのを再開したのだった

なおその頃、ヴォルガンドとジオとセツナは

 

「ぬんッ!!!」

 

「うお!?270!?なんて馬鹿力してやがる」

 

「何を言うセツナ。俺は手加減している本気でやると壊してしまうからな」

 

「マジか!?半ネクロって言うのは身体能力も化け物か!」

 

「どけセツナ。俺がやる。ヴォルガンドに出来るのなら俺にも出来るはずだ」

 

服を選び終え、ディエチ達が戻るまで暇なのでゲームセンターのパンチングマシンで遊んでいたりする、なおジオは何回やってもヴォルガンドの270を突破することが出来ず、2000円を次ぎ込んだ所でディエチ達が来て終了となった。後にセツナは語る

 

「あいつはあのままだったら1万まで使っていた」

 

そして勝つ事のできなかったジオはヴォルガンドに何回も腕相撲を挑み、引っ繰り返されていたのだった……

 

そして服を選び終え会計にリーエとアルハリムを送り出した。ディエチは

 

「んーこれはどうかなー」

 

自分用の服を選んでいた、リーエとアルハリムを送り出しなんで自分1人で選んでいるのかと言うと

 

「これを着たらセツナも喜ぶかな?」

 

彼氏の事を考え緩んでいる顔を見られたくなかったからである。恋する乙女の心情はとても複雑なのである

 

 

 

 

平和な街並みだな。俺は一通りクラナガンを歩き回り、最後に六課を見ることの出来る丘の上に来ていた

 

(俺の世界とは違うか……)

 

同じクラナガンでも違う、それは和人の世界で判っていた事だが、どうしても感傷深くなってしまう。恐らくアシラも同じだろう、世界と時間は違えど自分達の暮らした世界だ。懐かしいと思うのは仕方ない

 

(復讐を終え、死んだと思えばこうして3度目の人生。全く不思議な物だ)

 

人間として死に、ネクロして死に、そして今こうして半ネクロとして生きている。全く俺の運命とやらはどうなっているんだ

 

「キュー?」

 

「ふん。気にするな、それよりほら」

 

途中で実っていた木の実を指で弾くと、スザクは器用に舞い上がり木の実を咥える。

 

「あいつらの気配は無しか」

 

俺が単独行動に出たのはアークとシンを誘き寄せるためだったが反応が無い。考えられるのは2つ

 

1つは俺が囮だと勘ぐって身を潜めた

 

もう1つはダメージが大きく動くことが出来ない

 

(どちらも考えられる。やはり向こうも相当考えているな)

 

アークと言うネクロはかなり頭が切れる。俺達の行動を逐一分析し、最善の選択をしているのだろう。魔力の流れを限界まで押さえ人ごみに紛れる。幾ら索敵に優れたヴィルヘリヤでも補足出来ないように、このままこうしていても発見することは出来ないだろう

 

「ん?なんだあの魔力は」

 

残滓程度だが、2箇所からかなりの密度のネクロの魔力を感じる。片方はクラナガン、もう片方は聖王教会か……

 

(だがこの感じはシンでもアークでもない)

 

クラナガンからシンかアークかと思ったが、この感じは違うもっと強大で、纏わり付くような負の気配……何者かは判らないがかなりのレベルを持つネクロがクラナガンに潜んでいるのかもしれない。そして聖王教会方からは

 

(LV5……しかも、この気配は……ランドグリーズ)

 

1度対峙したLV5ネクロ。ランドグリーズの者と良く似ている、しかし確信は無い……

 

(ちっ!これは不味いことになった)

 

強大なネクロの反応が2つ。微弱だが間違いない、仕掛けてくる可能性は十分にある。早急にこの世界を去るのが正解だが、リーエの事だ。はいとは言わないだろう

 

(なんにせよ正体をつかまないと不味いな)

 

スザクを飛ばせるのも危険だ。ネクロに捕まるかも知れない

 

「スザク!戻るぞ!」

 

「キューッ!」

 

どうやらスザクもその気配に気付いたようで鋭い鳴声を上げて俺の肩に停まる。俺はそれを確認してから少しだけ強化魔法を使い、丘を後にし、魔力反応を頼りにリーエ達の方へと向かったのだった……

 

 

 

聖王教会の外れに佇むタキシードの男。ランドグリーズだ。彼はペガサスが先ほどまでいた丘の方を見つめ

 

「ふむ。気付きましたか、仕方ありませんね」

 

高速で遠ざかる気配を感じ取り仕方ないと呟いたランドグリーズは、直ぐに魔力の流れを切り人間態に変化し

 

「さてとシンとアークを見つけたいですが、この感じでは難しいですね」

 

ネクロの最上位レベルのランドグリーズは気付いていた、この世界に潜んでいる化け物の存在に

 

「少し調べて去った方が良いかも知れませんね。見るに耐えない化け物と同類扱いされるのは癪ですからね」

 

くっくっと笑ったランドグリーズはある方角を見つめ

 

「リーエ達が足掻くのを見て楽しむとしますか」

 

この世界に居る化け物はリーエ達では勝てないと確信し、足掻く姿を見て楽しみますかと呟いたランドグリーズは闇に溶ける様にその場を後にしたのだった……

 

第61話に続く

 

 




次回は少しシリアスで行こうと思います。ネクロ陣営とかの話をやりたいと思っています、化け物とかランドグリーズとかアークとがメインになる予定ですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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