宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は日常の話になります。メインはラビリルとスザクになる予定です。あんまりメインになる事の無いキャラなので、ここら辺で楽しんでいただこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第62話

 

 

第62話

 

「みゃー」

 

アルハリム様の足元にじゃれ付くとさっと抱き上げられる

 

「ラビリル?かまって欲しいのかい?」

 

「にゃー♪」

 

その問い掛けに頷くとアルハリム様は仕方ないねと呟いて、私を膝の上に乗せて頭を撫でてくれる。目を半分ほど閉じながらアルハリム様の会話に耳を傾ける。今はセツナとディエチそれにジオ。そしてカエデが遊びに来ている。カエデは木の実を抱えてとことこ歩き回り。頭の上に乗せたり、叩いてみたりと落ち着きが無い。そんな事を考えながらカエデを見つめていると

 

「ガウ?(何か用?)」

 

「にゃー(何も無い)」

 

カエデはまた木の実を抱えてとことこ歩き。ジオの足元に伏せて

 

「ハグハグッ♪」

 

抱えていた木の実を前足で押さえてかぶりついている。本当にこいつは何がしたいんだ?と思いながら膝の上からアルハリム様を見上げる

 

「しかしこうして遊びに来てくれるのは嬉しいね。お菓子を焼いておいた意味があるというものだよ」

 

アルハリム様のお菓子は凄く美味しい。アルハリム様は料理が上手なのだ

 

「このチーズケーキ。美味しい……何かコツとかはあるの?」

 

「あるよ。いろいろとね、この世界にいる間なら教えてあげるよ」

 

「本当!嬉しいなあ」

 

ディエチと楽しそうに話をしているアルハリム様の声を聞いていると、私も嬉しい。かつてアルハリム様は見れずの英雄と歌われ。会話も人とのふれあいもなかった。今こうしてアルハリム様と共にいてくれる人間がいるのは私としてもとても嬉しい

 

「……チェック」

 

「むぐう!?ぬぬぬぬ……」

 

「……盤を引っ繰り返すのは駄目ですよ。ジオさん」

 

リーエはジオとチェスをしているのだが、猪突猛進なジオでは戦略に長けたリーエには勝てないだろう。悔しそうな顔をしているジオだったが、しばらくすると参ったと告げた

 

「……もう少し、2手先3手先を見れるようになると良いですね」

 

「俺は頭を使うのはどうもな」

 

そう苦笑しているジオ。だがそれは私の時代では命に関わる。無数の侵略者達がいた……常に最悪の展開と伏兵の存在を考えて戦わなければならなかったのだから。そんな事を考えながら目を閉じようとすると、突然家が大きく揺れる

 

「フーッ!!!!」

 

その余りに大きな音にネクロの襲撃が合ったのかと、毛を逆立てて威嚇の声を上げるが、直ぐにアルハリム様に頭を撫でられ

 

「大丈夫だよ。ラビリル、今セツナとヴォルガンドが組み稽古をしてるんだ」

 

「折角遊びに来たのにね。まさかいきなり組み手をするとは思わなかったよ」

 

「……たまにはいいんじゃないですかね?違う相手と組み手をするのは良い経験になると思いますし」

 

どうも敵襲ではなかったようだ。またアルハリム様の膝の上に丸くなりうつらうつらしていると

 

「少し出てくる。夜までには戻る……」

 

ペガサスがそう言って出て行く。彼はこの世界に来てから何回もこうして単独行動をしている。1体何の目的があってこうして行動しているのかは判らないが

 

(ペガサスだから大丈夫か)

 

いくつもの世界を一緒に渡り、戦ってきた。敵ではないのは確実だからそうきにすることも無いだろう

 

「じゃあ~私も出かけてくるわね~」

 

「「「変態行為をするなよ」」」

 

「しくしく……」

 

そしていつも問題を起こすヴィルヘリヤに対する。アルハリム様たちの対応は辛辣だったが、普段の行動を見ればこの対応は正しいと思わざるを得ない。年端も行かない少女・少年を愛でるというこの女はとても危険だ。私の爪や牙。そしてスザクの嘴と鉤爪が繰り出された数を考えると、懲りないのもこの女の特徴だろう

 

「……逮捕されるようなことはしないでくださいね?」

 

「迎えに行くの嫌だからね?自分で逃げてきなさいよ」

 

リーエとアシラにそう言われ、ヴィルヘリヤは業とらしくよよよっと呟き、家を出て行った。私はアルハリム様の服の裾にわずかに爪を立てヴィルヘリヤのほうを見た。監視しろというならついて行くと視線で言うと

 

「かまわないよ。ラビリル、ゆっくりしてるといい」

 

優しく頭を撫でられながら言われ、私は爪を引っ込めて丸くなり今度こそ目を閉じて眠りに落ちるのだった……

 

 

 

 

カフェテリアでサンドイッチと紅茶を頼み。周囲に結界を張り、偵察に出していた使い魔からの報告を聞きながら、地図に印をつけていく

 

「ふむ。移動範囲が大分広がっていますね」

 

ヴェルガディオスの行動範囲の分析をしているのだが、主にベルカ……それも守護者の世界でパンデモニウムが落ちた場所を拠点にし、ベルカの住民地域。そして隣接しているクラナガンの土地に現れているようだが、昨日の地図と比べると

 

「かなり行動範囲が広がっていますね。この感じだと近いうちにクラナガンの中心まで来ますね」

 

最初はゆっくりだったが、今はかなりの広範囲を移動している。そして今は不完全だから夜しか行動して無いが

 

(その内に昼間にも行動を始めるな)

 

シンと私の使い魔が監視しているが、その回復のスピードは異常の一言に尽きる。近いうち、そう数日の内に昼間にも行動をするようになるだろう。いやその前に

 

(分裂体を生み出すようになるか……不味いな)

 

ヴェルガディオスは下位レベルのネクロを生み出すキャリアとしての能力もある。ネクロがいない世界だからそこまで多くのネクロを生み出すことは出来ないだろうが、ネクロの脅威を知らないこの世界では十分な脅威になる

 

(進化態が生まれるかもしれないですね)

 

ネクロを知らないから楽に倒せると挑み。片っ端から殺され吸収されて下位レベルが上位レベルに進化する可能性がある。そうなると私とシンが自由に行動するのも難しくなる

 

(そろそろ潮時ですか。ネクロの本隊と合流しますかね)

 

注文していたサンドイッチに手を伸ばし齧る。普段は魚や獣肉の焼いて食べるだけなのでこれはこれで良い物だ。ちゃんとした食事なんていつ振りだろうか?と考えていると

 

「合い席良いかしらぁ?」

 

突然聞こえてきた声に驚く、結界がはってあるのになぜ!?慌てて顔を上げるとそこには

 

「ヴィルヘリヤ……」

 

「はぁーい。アークだっけ?探したわよぉ?」

 

にやにやと笑い私の真向かいに座るヴィルヘリヤに

 

「座って良いとは言ってませんが?」

 

「空いてるんだから良いでしょう?結界で人も来ないし、良いわよねえ」

 

この女何を考えている?ヴィルヘリヤの顔を見ていると

 

「ん?なに?そんなにジーとみて?惚れた?」

 

「死んだらどうですかね?」

 

「あ、判ったロリコンなんだ、リーエ追いかけてるし」

 

「断固違います。そして死んでくれないですかね?」

 

「ははは。ネクロは死ににくいからねえ?そう簡単には死ねないかな?」

 

「それもそう……はっ!?違います。何のために私に話しかけてきたのですか?」

 

いつの間にかヴィルヘリヤのペースに巻き込まれていたことに気付き、咳払いしてから尋ねると

 

「んー色々聞きたい事があったからかなぁ?本気で攻撃してないこととかさ?」

 

魔力の刃を作り出し放とうとするとするとヴィルヘリヤは

 

「おやめなさい」

 

「!私に何をした……」

 

ヴィルヘリヤの目が光ったと思った瞬間。私の体から力が抜ける、ヴィルヘリヤを睨むと

 

「忘れたのかしらぁ?私は妖艶将ヴィルヘリヤよお?ネクロの支配は私の仕事♪」

 

ちっ……あの会話は私に支配を掛けるための時間稼ぎだったのか。己の失策に舌打ちし

 

「で?貴方の目的はなんなのかしらぁ?リーエを生かさず殺さず、追い回すその目的はなーに?」

 

「答える義理は無いですよ?それよりも早くこれを解除してくれませんかね?」

 

身体を締め付ける嫌な感覚と心を覗かれる様な不快な気持ちを感じながら言うとヴィルヘリヤは

 

「良いわよ。目的は果たしたし?」

 

ぱちんと指を鳴らし自分が注文した紅茶を飲み干してから

 

「全ての始まりは「八神龍也」さてさて、貴方もリーエも良く似てるわね?」

 

「貴様!見たな」

 

飛びかかろうとした瞬間。腕を捕まれそれを基点に投げ飛ばされる。これは……合気ですか

 

「ふふふ。どうせ答えてくれないだろうしねえ?すこーしだけ見せてもらっただけよお?はい。これは代金ね」

 

私の分と自分の分の代金を置いて、背を向けて歩き去るヴィルヘリヤ。攻撃できるチャンスだと思い、両手に魔力陣を作り出そうとした時

 

「私はねえ?貴方みたいな人割と好きよぉ?いつかは私達の道と貴方の道が重なると良いわねえ」

 

思い出したように振り返り、ふふふと小さく笑いながら私を見て

 

「はっ?」

 

突然のことに驚き魔力の収束が止まり、両手からぽひゅっとみっともない音がする。暫く思考が停止し、再起動と同時に机の上の地図とメモを握り締め

 

「ヴィルヘリヤ!今回だけです!早々にこの世界を去りなさい!」

 

それを投げつけるとヴィルヘリヤはそれを受け取り。手をヒラヒラと歩き去った……私は思わず片手で顔を押さえ

 

「らしくない」

 

そう呟き、あんな一言で動じてしまった自分を恥じるのだった……。その後戻ってきたシンに地図とメモはどうした?と尋ねられ、私はなんと答えるべきか真剣に悩むことになるのだった……

 

 

 

 

 

これは何と言う試練だ。アルハリム様の膝の上で昼寝を終えて家の中を歩いていると、イシュリに呼ばれて部屋に行くと

 

「ずい……」

 

差し出されたのは見るからに硬いであろう木の実。私の隣でスザクでも困ったように木の実を見ている

 

「ガウッ!」

 

がつん!カエデはその頭突きで木の実を割ってはぐはぐっと木の実を齧っている。中は赤い果肉をしていて、美味しそうだが

 

「……割って?」

 

無理を言う。私は猫だし、スザクは鳥だ。とても割れるとは思えない。イシュリの顔を見上げるとその目はキラキラと輝いている。カエデはハグハグと木の実を齧りながら、私とスザクを見て

 

「ガウ?」

 

どうしたの?と言わんばかりに首を傾げているカエデ。貴様が割れと思った物の、この期待に答えない訳には行かない。イシュリが持ち上げた木の実を見る、光沢が凄まじく見るからに硬そうだ。

 

「クー(無理っぽい)

 

「にゃーにゃー(だがかといって逃げるわけには行かぬ)」

 

あの期待に込められた瞳を前に逃げるわけは行かない。木の実の下に座り

 

「にゃー」

 

それを了承と受け取ったイシュリは嬉しそうに笑いしながら

 

「♪」

 

ぽいっと上に投げられた木の実の下にスタンバイする

 

「クエー!?(無理だよ!?)

 

「みゃーみゃー!(配下にはは引けない状況がある、今がそうだ)」

 

落ちてくる木の実を見据え頭突きを叩き込んだ

 

ごつッ!!!

 

とんでもない激痛が頭に感じた瞬間。私は息の続く限り

 

「ふぎゃあああああああああッ……」

 

全身に走る激痛の余りそう絶叫した。別の部屋から慌ててこっちに向かってくる足音が聞こえる。アリハリム様……もうし……わけありません……

 

 

 

木の実に頭突きして、ピクピクと痙攣しているラビリルの近くから木の実を拾い上げて

 

「ずい」

 

痙攣しているラビリルを見ているスザクのほうに突き出す

 

「クー」

 

弱々しい鳴声ながら、頷くスザク。私は少し思い木の実を両手で持って

 

「えいっ!」

 

スザクの頭の上で木の実を投げる。スザクはラビリルと同じように木の実に頭突きして

 

「クギュううううううッ……」

 

そう悲鳴を上げて動かなくなってしまった。ピクピクと痙攣しているスザクとラビリルを抱えて、近くの枕の上に寝かせ。2匹でも割れなかった木の実をカエデのそばに置く

 

「ガウ?」

 

なーに?と言う感じで首を傾げるカエデ。私は木の実を撫でながら

 

「割って?」

 

私がそう言うとカエデはがーうっと鳴いて、自分が食べていた木の実を置いて

 

「ガウーッ!!!」

 

雄雄しい雄叫びを上げて木の実に頭突きを叩き込んだ

 

ごつん!!!パカッ!

 

「ありがとう」

 

「ガーウ!」

 

音を立てて割れた木の実を抱えて、かえでの隣に座って木の実を齧っていると

 

「……今何か凄い悲鳴がしましたが、大丈夫ですか!?」

 

慌てた様子で部屋に来るリーエ。確かにさっきの悲鳴を聞くと驚いて身に来るのが普通と思いながら、枕の上の2匹を指差すと

 

「……ひ、昼寝してるだけですか?怖い夢でも見たのかな?」

 

本当は昼寝じゃなくて気絶してるんだけどと思っていると

 

「がう?」

 

「シー」

 

「ガウ♪」

 

カエデの頭を撫でながらカエデが割ってくれた木の実の半分だけ食べる。残り半分は頑張って割ろうとしてくれたスザクとラビリルの分だから。私はカエデの隣に座って、枕の上で気絶している2匹に小さくゴメンネと呟いて目を閉じたのだった

 

 

 

 

リーエ達が話をしながら俺はヴォルガンドと組み稽古をしていたのだが

 

「ぬんっ!!!」

 

「うおおお!?」

 

その気になればダイヤモンドも砕けるという拳を必死にかわす。本来は槍と剣を使うと言っていたが

 

(素手でも十分過ぎるぞ!この野郎)

 

素早いシフトウエイトに1つの挙動が2つ3つと連動している。どれか1つでも見逃せば、そこから叩き込まれてしまう

 

「どうしたセツナ?避けてばかりでは意味が無いぞ?少しは攻めて来たらどうだ」

 

「それだけ連続で攻撃してきて何を言ってやがる」

 

俺に攻撃する隙所か、反撃する隙も与えないくせに何を言っている?と尋ねると

 

「己で隙を見出せ。俺の稽古はそれだ、一から教える気などない。実践の中で見出せ」

 

「簡単に言ってくれやがる」

 

とは言え、実戦と考えるのならこれほど良い相手はいない。自分よりも格上と戦える機会は早々無いからだ……

 

「今度は俺から行くぜ」

 

「見せてみろ。お前の炎をな」

 

右拳を突き出し、斜に構えるヴォルガンド。前に突き出された右拳が厄介だな、懐が遠くに見える

 

(あの右拳が厄介なんだよな)

 

突き出すだけで鋭いジャブになり、それを戻す勢いを利用して即座に繰り出される左フック。しかもその左フックは耳の後ろを狙っている。ダメージを与えるだけではなく、三半規管を揺らして平衡感覚を狂わせる事を目的にしている。

 

(ヒット&アウェイしかないか)

 

素早い出入りと、鋭く切れのある拳打撃。そして魔法による目晦まし、その全てを有効に使わないと、有効打を取るのは難しそうだ

 

「行くぜぇッ!!!」

 

力強く地面を踏み込むと同時に右拳を振るい、地面を走る火炎を繰り出す

 

(あれは牽制。本命はこっちだ!)

 

炎で視界を塞ぎ、間合いを詰めて強力な一撃を叩き込むッ!走り出し、間合いを詰めた瞬間

 

「たわけが!炎属性のネクロに炎が効くと思っているのか!!!」

 

俺の炎は完全に消し飛ばす、青い炎に包まれたヴォルガンドが姿を見せる。あいつも炎使いだったのか!?と驚いたのは一瞬で、次の瞬間には視界が逆さになっていた……

 

「う、うおおおッ!?!?」

 

繰り出した拳を受け止められ、そのまま投げ飛ばされる。恐ろしいのは投げられたと気付いたのが、視界が反転してから。一瞬俺は何がおきたのか判らなかった。しかもそれだけではなく

 

「少し頭を冷やすんだな」

 

「がはっ!?」

 

2連蹴りで池に叩き落され。俺は文字通り頭を冷やすことになるのだった……

 

 

第63話に続く

 

 




次回は戦闘回で行きたいと思います。ネクロがこの世界で動き出します、主にヴェルガディオスがですけどね?それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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