宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は戦闘回ですが、比較的あっさり目で行きたいと思います、それとネクロについての話をもやっていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第63話

 

 

第63話

 

本局に呼び出されたせいで、昼間のうちに会いに行くつもりが夜になっちまった……

 

(流石に夜に行くのは失礼か)

 

ディエチに聞いた話では女性が多いと聞いていた。夜に行くのは流石に失礼だろうと思い引き返そうとした時

 

「!なんだ!?」

 

キンッと甲高い音がしたと思った瞬間。俺の前に透明な壁が現れ祖の中に閉じ込められる。こんこんと触れてみて

 

「結界か……なんでこんな所に」

 

そこまで呟いた所で脳裏に過ぎるのは連続魔導師殺人事件の事。もしかして今まで目撃情報がなかったのはこの結界のせいで!?

 

「不味いな。なんも持ってないぞ」

 

武器になるような物は持ってないし、それに連絡に使えるはずの端末はザーっと言う音だけ……どうした物かと思った瞬間

 

「あぶねえ!」

 

首筋にちりちり来る殺気に咄嗟に飛びのき、手をついて身体を反転させ襲撃者を見る。そこには

 

「なるほど……てめえらが殺人鬼ってわけか」

 

俺の視線の先には数体の見たことも無い化け物の姿

 

「グルルルルルルッ!!!」

 

「キキキ……」

 

四つん這いで狼のような頭部を持った異形と、黒い影が形になったかのような化け物が俺を睨んでいる

 

(くそったれ、どうしろっていうんだよ!)

 

俺は魔法は使えないのによ……立ち上がり、化け物を睨みながらジリジリと後退する……なんとかしてこの結果胃の中から逃げて連絡を取らないと

 

「グオオオオオッ!!!」

 

「ち!今は逃げるしか出来ねえな!!!」

 

雄叫びと共に追いかけてくる獣の牙を飛びのいて回避する……とりあえず息が続く限り逃げるしかねえ!俺はそう判断し襲ってくる化け物から逃げる為に全力で走り出した……

 

(くそっ見た目通りってか!)

 

獣の外見のほうは見た目通りの素早さを持ち、影のほうは伸縮自在の手を伸ばして俺を追いかけてきている

 

(どうしろっていうんだよ!)

 

武器もない。連絡も取れない。これでどうしろっていうんだよ!心の中でそう叫んだ瞬間

 

「うおおお!?」

 

「キキ!!」

 

影から飛び出した異形に足をつかまれ吊り上げられる。そして

 

「ルルオオオオオッ!!!」

 

大きく口を開き俺の噛み付こうと飛び掛ってくる!やばいやられ……

 

「ギャンッ!?」

 

「え?」

 

犬が蹴り飛ばされたような声を出して吹っ飛ばされる。そして俺の前には

 

「大丈夫か?ゲンヤ」

 

キラキラと輝く紅い髪をした少女がその手に鎌を持ち、俺の前に佇んでいた。その顔は間違いなくディエチに聞いていたリーエの特徴と瓜二つなのだった……

 

 

 

 

(嫌な予感がしたから出てきたんだが……間に合ってよかった)

 

トーデス・シュトラーフェを構えてくるりと回転させながら、影から這い出てくるネクロを見つめる

 

(1……2……3。かなりの少数ですね)

 

下位レベルは集団行動を常としている。しかしデクスタイプが2体居るとは言え、LV1が3体だけで行動するとは思えない……

 

(何かある。これは速攻だ)

 

何か裏があると考えて間違いない。私は即座にフラッシュムーブに入り、すれ違いざまにLV1を両断し。その勢いを利用して回し蹴りを繰り出しデクスを蹴り飛ばし。トーデス・シュトラーフェを組み替え、両手にフェアシュテルケンを作り出し、同時に飛び掛

ってきたネクロの攻撃を受け止めて気付いた

 

(なんだ?魔力が殆ど無い……)

 

ネクロは魔力で身体を構成する生き物だ。そんなネクロから魔力を感じない?その事に違和感を感じながらもその場で回転しネクロを斬り飛ばす

 

「終わりだ!」

 

宙に浮いているネクロに接近し、炎を纏った一撃で両断と同時に焼き尽くし消滅させる。私は周囲を暫く警戒しネクロの気配が無いことを確認してから

 

「……大丈夫でしょうか?ゲンヤさん?」

 

「ん?ああ……あー喋り方違わないか?」

 

首を傾げながら尋ね返してくるゲンヤさんに私は苦笑しながら

 

「……魔力を使うとああなるのです。お怪我がなくて何よりです」

 

私がそう言うとゲンヤさんはああっと軽く返事を返してから

 

「あの化け物はなんだ?お前さんは何か知ってるんじゃないのか?」

 

「……知っています。アレが何なのかはとても良く知っています」

 

私がそう返事を返すとゲンヤさんは思案顔になる。暫く考えてから

 

「ここ数日魔導師の連続殺人事件が起きている。それはあれが関わっていると俺は踏んでいる。可能なら話を聞かせてもらいたい」

 

「……構いません。しかしここで話をするわけにもいかないので着いて来て貰えますか?」

 

ゲンヤさんが頷いてくれたのを確認してから私はその場を転移したのだった……

 

カチ……カチ……

 

時計だけの音が響く中。ゲンヤさんは手にしていたコップの中身をあおり

 

「魔力で成長する悪性の魔法生物ね……道理で魔導師だけが狙われるわけだ」

 

時間にして1時間とちょっとネクロについて説明をした。黙って聞いているだけだったゲンヤさんは、私が話し終えると同時にそう呟いた

 

「それで半ネクロって言うのはネクロと人間の中間で……瞳孔が縦に割れてるのが特徴と……」

 

「そうよお?ふふふ」

 

ヴィルヘリヤさんが流し目でゲンヤさんを見るとゲンヤさんはそれを完全に無視して

 

「今ウチに預かっているジオって言うのも半ネクロなのか?」

 

「そうだ。俺達がこの場に残っているのはそれの監視の意味もあった」

 

ペガサスさんがそう返事を返す。ジオと言う半ネクロは記憶がない、監視をしておいたほうが良いと判断するのは当然だろう

 

「……お前達はあのネクロとは関係ないんだよな?」

 

「ない。もしそうならお前を助ける理由は無い」

 

ヴォルガンドさんの言葉にゲンヤさんは再び考える素振りに入ると

 

「まぁまぁ落ち着いてこれでも飲んだらどうかな?気分が落ち着くよ」

 

アルハリムさんが紅茶を持って部屋に戻ってくる。アシラさんはイシュリさんが1人では寝れないと言う事で付き添って眠っているので今この場にはいない。いくら半分くらい魔法生命体とは言え人間であるアシラさんには睡眠が必要だ。私達はいざとなれば半年くらいは眠らなくても平気だから問題ない

 

「ありがとな。それでそのネクロは進化するのに莫大な魔力を有すると……今のところだと10人殺害されている。それだけで進化するものなのか?」

 

ゲンヤさんの問い掛けに私は暫く考えてから首を振り

 

「……10人では進化は難しいかと、個体差は激しいですが、そう簡単にはネクロは進化出来ないのです」

 

「まだ殺人は続くと……できるなら協力態勢を取ってもらえるとありがたいんだが……」

 

ゲンヤさんの言うことは判るが、この世界ではネクロはいない。それに

 

「どこの世界も上層部は愚かだ。俺達を捕らえようとするのではないか?」

 

ペガサスさんの言う通りだ。この次期に現われ半ネクロ。半分ネクロと言うことで容疑者にされるのは面白くないですしね

 

「それもそうか、だけど……1つ引っかかるんだが……なんで俺が狙われた?俺は魔力無いぞ?」

 

ゲンヤさんの疑問は正しい。ネクロは基本的に魔導師を狙って殺害する……だがそれは

 

「統制する上位レベルがいないからよ。下位ネクロは本能で行動するからね、統制者がいなければ目に付く相手を襲うだけよ」

 

下位ネクロは知性がなく本能だけだ。故に統率が出来る上位レベルと行動を共にするのだ

 

「……無差別殺人となると困るな。なんとかする方法は無いのか?ネクロを一網打尽にする方法とかは?」

 

そうは言われてもネクロは神出鬼没だし……今回ゲンヤさんを助けることが出来たのは運の要素が強い。私達が黙り込んでいると

 

「判った。そう都合の良い話があるとは思ってないからな。しかしジオも半ネクロなのか……瞳孔がたてに割れてるから普通じゃないとは判ってたんだがなあ……俺は息子みたいに思ってたんだが……」

 

頬をかきながら言うゲンヤさん。こういう時の顔は龍也様の世界のゲンヤさんと変わりは無い。しかしネクロをおびき寄せる方法なんて

 

「ない事はないよ。私になら出来る。だけどこの世界では少々難しいかな?」

 

アルハリムさんが自作のカップケーキを頬張りながら言う。ネクロをおびき寄せる手段があるの言葉に私達に視線が集中すると、アルハリムさんはにこりと笑いながら

 

「この世界のネクロは統率者がいない。ならより強いネクロの気配についてくる習性があるはずだ。下位レベルが基本的に上位レベルに逆らわないのはそれが理由さ。私の世界でネクロを集めたのも、私がネクロの気配を全開にして引き寄せたんだ」

 

そう言えばアルハリムさんにあった世界では無数のネクロが1箇所に集められていた。十字架に磔になって……

 

「何処かの無人世界で俺達の魔力を開放すればネクロを呼び寄せることが出来るということか?」

 

「間違いないね。しかしそうなると問題が1つだけある」

 

アルハリムさんがそう呟く。もしかしてその問題と言うのは間違いなく

 

「ジオの事か?どうしてだ?」

 

ゲンヤさんの問い掛けになんと答えたものか悩んだが私は答える事にした

 

「……ジオさんはネクロの気配がとても強いのです。ジオさんがこの世界にいては呼び寄せる事は難しいです。その作戦をするなラジオさんも連れて行かなければ、それにもしそれをすると共鳴現象が起きる可能性もあります」

 

共鳴現象。稀にあるのだが、ネクロとネクロは互いに互いを引き寄せる。そして相手の力が強ければそれに引きずられる事で力が上昇する事がある。もし私達がネクロの力を解放したと考えると

 

「記憶が戻る可能性があるってことか?それならそれで「ジオの元がどんなネクロなのか判らないのよ。もし下手をすれば敵に回る。つまりリスクが大きいのよ」

 

ジオさんの記憶が戻ったと考えて、彼が味方かどうかも判らない。それに彼は黒炎の能力を持つ、戦闘になれば不利なのだ

 

「俺はジオを信じるぞ。ジオは絶対に俺達の敵にならないって……それにあいつは強気だが、記憶が無くて不安に思ってる。頼むジオも連れて行ってくれ」

 

ゲンヤさんに深く頭を下げられる。こういわれると無理だというのも難しい……ちらりとペガサスさん達を見るが無反応。最終的は決定権は私にあるからだろう

 

「……判りました。だけどそれにはもう1つだけ条件があります」

 

ゲンヤさんに最後の条件を口にした。ゲンヤさんがNOと言う可能性もあったが、これはどうしても外せない事だった

 

「……判った。ちゃんと話はしておく」

 

ゲンヤさんが最後の条件に頷いてくれた。ならば私がこれ以上駄々をこねる事はない、ネクロを別の世界に誘き寄せる為の作戦の打ち合わせを始めるのだった……

 

 

 

(おれは夢を見ているのか)

 

不思議と意識はハッキリしているのに判る。これは夢だと……俺が見ていたのは「カエデ」と暮らしクラナガンに来るきっかけとなった夢だった……

 

このドラゴンと過ごし始めて幾日経っただろう。幸いにもこのドラゴンは食料や水の位置に詳しかったため今まで飢えることはなかった。だが、このまま過ごしても何の変化もないだろう。

 

「さて、どうするか」

 

ドラゴンに尋ねるとドラゴンは齧っていた木の実を脇において

 

「ガウ?」

 

「……そろそろ何か変化があってもいいころだと思わないか?」

 

ドラゴンの反応はとりあえず無視して、数日前に気づいたことだが、俺はあの影と何か関係があるのかもしれないと思った。あの影を見た時に抱いた妙な懐かしさ……しかし、それ以降まったく感じない。そうすると、あの影どもが俺に関わっている可能性は否定出来ないだろう。

 

「まあ、俺の前に出てくる影などいないだろうが」

 

あれだけ圧倒的な力を見せた以上。そう簡単には出てこないだろうと思いながら、そう呟きつつふと空を見上げる。

 

(今日も良い天気だな。と言うかこの世界はずっと晴れているような気がするがな)

 

今日もよく晴れている。太陽の光を浴びているとどこか忌々しい気分になるが、暑いからだろうと自己完結した。しかしこの世界は本当に晴れしかないのだろうか?俺の記憶が正しければずっと晴れているとおもうのだが……まぁなんにせよおそらく今日も代わり映えのない一日なのだろう。そんな俺の気分を知ってか知らずか、ドラゴンも同じように空を見上げると、突然ドラゴンは頭を天に向け、そして咆哮した。

 

「!?」

 

俺も思わず驚いてしまう、だが、ドラゴンは構わず私を乗せて一気に巨大化した。ドラゴンが巨大化したことで視点が大きく変わる。

 

「な、このドラゴン……!」

 

「S級危険魔法生物、この世界の守護龍……まだ生きていたの」

 

ドラゴンを見て驚いたのか、空を飛んでいる人間が2人、こちらに杖を向けていた。その内片方と俺の目が合い、その表情が更に驚きに染まる。

 

「え、人が……乗ってる!?」

 

もう1人もその言葉で俺に気づいたのだろう、杖をおろしてこちらをじっと見た。その視線からは観察しているというのが良く判る

 

「……君は、誰だ?何故ここに居る?」

 

警戒する態度を取ったままそう尋ねてくる。そんな事は俺が知りたいんだがなと思いながら

 

「悪いが、先にこちらの問に答えてもらいたい」

 

「どうしたんだ?」

 

「貴様らは、俺とドラゴンに何か用か」

 

目の前の2人はその問を聞いて顔を見合わせると、男のほうが説明を始めた。俺は威嚇しているドラゴンの頭の上、向こうは空に飛んでいるととんでも無い光景だ

 

曰く、この世界は人が本来住んでいなかった世界だということ……

 

曰く、最近このドラゴンの力が急激に減少したので様子を見に来たということ……

 

曰く、人間をこんな場所で見つけたからには保護しなければならないということ……

 

「なるほどな」

 

その男の説明を聞いてから俺がドラゴンの頭に手を置くと、ドラゴンは威嚇を止める。

 

「俺としては構わん。代わり映えのしない風景にも飽きてきたところだ」

 

こんな何も無い世界で暮らすのも正直飽き飽きしていた。丁度良いタイミングだ、すると俺の足元のドラゴンが

 

「グルゥゥゥ……」

 

置いていくのか?と尋ねるような悲しげな声に俺は頭を撫でながら

 

「構わないだろう、ドラゴン。俺とおまえの仲だ、いまさら離れるなどとは言わないだろう」

 

ドラゴンは少し悩んだようであったが、最終的に頷いた。

 

「と、いうわけだ。『保護』してもらえるのであれば俺とドラゴンを連れて行くがいい」

 

「あ、ああ……」

 

男は話がスムーズに行き過ぎて困惑しているようだ。それとも俺の態度か、はたまたドラゴンが問題なのか?もしかすると両方かもしれんなと思っていると

 

「そ、そういえば、君の名前はなんていうの?」

 

女が俺の名前を尋ねてくる。俺は首を傾げながら

 

「さあな。俺の名前が何でどんなモノであるのか、俺自身もわからん」

 

「えっと、それは、記憶喪失?」

 

「それもわからんな」

 

と言った時、俺の頭に一瞬、あの黒い影がフラッシュバックした。胸にこみ上げる懐かしさ、そして、何処かで俺の名を呼ぶ誰かの姿……

 

「……ジオ」

 

「え?」

 

困惑する女を見ながら俺はもう1度

 

「ジオ、だ。おそらく俺の名前だろう」

 

自分で名乗って、違和感を感じない。自然と自分の名前であるかのように口をついた。

 

「ジ、ジオさんね」

 

女の方が慌ててメモを取る。俺はそれを見ながら反対側の男を見て

 

「さて、では連れて行ってもらおう」

 

「えーと、それじゃ、こっちです……」

 

俺とドラゴンはその男に先導され、この世界を後にしたのだった……

 

 

 

 

 

 

「あ。起きたジオ?」

 

「何をしているんだ?」

 

荷物を纏めているディエチにそう尋ねるとディエチは俺に鞄を差し出しながら

 

「今日から少し旅行に出かけるんだって、ジオも荷物をつめて。カエデはもう準備してるよ」

 

ディエチの視線の先を見るとそこには

 

「ガウ?」

 

小さなリュックを背負い。木の実を抱えているカエデがいた。そしてディエチに作ってもらった帽子まで被っている

 

「いやなんでもない」

 

俺はそう返事を返し、ディエチから差し出された鞄を受け取ってから、もう1度自室に引っ込み着替えの準備をするのだった……

 

そして俺とカエデそれにディエチとセツナ、そしてゲンヤはリーエ達の居る家に向かい

 

「待たせたな、行こうぜ」

 

「……はい。行きましょう」

 

リーエの発動させた転移魔法によって俺達はこの世界を後にしたのだった……

 

 

第64話に続く

 

 




次回はほのぼので行きたいと思います。ルーテシアとかも出そうと思います。ここから段々終わりに向けて動いていこうと思います
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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