第64話
昨日電話でセツナ達が来ると聞いて、家の前で待っているとお母さんが
「もうすぐ来るんだし、家の中で待ってたら?」
「どうせなら出迎えたいからね」
もうっと言って苦笑しているお母さんを見ていると、セツナ達の姿が見えた。
「あ、来た来た。おーいセツナ……え?」
セツナ・ディエチ・ジオ・カエデ・ゲンヤさんは判る。でも、何故かその後ろには紅い髪にフードの少女・黒髪で中学生くらいの少女、くすんだ金髪の美女、炎のような紅い髪をしている少女、私と同じ紫の髪だけどもっと長くて暗い色をしている美女、それと2人の男性が見える
「よっ、久しぶりだな」
いつも通りと言う感じで声をかけてくるセツナに
「うん……あの、セツナいつの間にそんな女の子好きになったの?」
セツナの後ろにいる、見慣れない女性陣を見ながら尋ねると、
「いや、誤解すんなよ!俺はそういうキャラじゃないってルーテシアも知ってるだろ」
若干慌てた様子でいうセツナがおかしくて笑いながら言うと
「……ぷっ、あはは!やだなあ、からかっただけじゃんか」
「お、お前なあ……」
とはいえ、なんだかいつの間にか私の知らない女の子と仲良くなっていたという事実にむかむかした私は
「ごめんね、セツナ♪」
と言って、足を大きく振りかぶりセツナの脛を蹴った。
「ちょ、痛え「まあまあ、ちょっとだけだから」痛いって言ってんだろ! 笑いながら蹴るな、怖いから!」
こうしておけば多少は懲りるかな?ディエチとなら許すけど、他の女の人にまで手を出すなんて許さないよ?と心のなかで呟きながら、連続で脛を蹴り上げたのだった
なんでしょう?とても安心する光景ですね。機動六課で見ていたのだ、エリオさんはルーテシアさんとキャロさんに好かれていて、だけ龍也様の影響かとても女性に優しいので2人に良く嫉妬されて、殴られてたり、関節技を掛けられていた。それを見てとても懐かしい物を感じていると
(あれ、絶対嫉妬してるよね?)
ディエチさんにそう小声で訪ねられてなんと返事をしようかと悩んでしまう。セツナさんとディエチさんが付き合っているのは知っている。これはあれかもしれない、付き合っているゆえの不安……
(そうよお?ほら貴方もアプローチしなさいな?)
ヴィルヘリヤさんが小声でそう言うとディエチさんがセツナさんのほうに行ってしまう。私はヴィルヘリヤさんをジト目で見つめていると
「良いじゃないのよ?恋の手伝いは大人の勤めよ♪」
「それは出歯亀っていうの!」
「痛いッ!!」
アシラさんのローキックがヴィルヘリヤさんの脛を捕らえる。しかしヴィルヘリヤさんに入れ知恵されたディエチさんはセツナさんの手を引いて自分のほうに引き寄せる、それを見たルーテシアさんは蹴る速度を増させる
「痛い!足も腕もいたいっ!俺が何をした!?」
そう絶叫しているセツナさんを見ているとゲンヤさんが
(ここならどうだ?ここら辺しか建築物は無いし、殆どが自然だ。ネクロを誘き寄せるとしたら最適じゃないか?)
確かにそうだろう。生き物はそんなにいないし、建築物も少ない。ネクロと戦っても被害は少ないだろう。しかし
(これだけ自然が多いと火事の可能性が出てくるがな)
(それは仕方ねえ。荒野とかの無人世界は採掘班がいるからな、俺の権限でこれるのはここくらいだ)
とは言え市街戦をするよりかは何倍もリスクは少ない。とりあえず今できるのは……
(要所要所に結界を用意しましょう。ネクロが来たら判るように)
ここでネクロを誘き寄せようとしても直ぐは来ない。準備をする時間がある、それなら万全の準備をしてから誘き寄せれば良い……
「それでまでは普通に遊ぶと良いと思うぞ?温泉とかあるし」
「……無人世界ですよね?」
おかしい、ここは無人世界のはずなのになんで温泉が?私が首を傾げていると
「まぁ良いじゃないか?リーエ。とりあえず荷物を置きにいこうよ」
「ミャオ!」
アルハリムさんとラビリルにそういわれ、私は荷物を置きに行くために今も蹴られ続けているセツナさんの横を通り。大きなコテージの中に足を踏み入れたのだった……
1年に1~2回来るカルナージ。ここは何故か心が休まる……俺は背負っている釣竿と荷物を背負いなおし
(俺がいたのはこんな感じの世界なのかもな)
記憶が無いのでなんとも言えないが、この世界はとても安心する。それは俺だけではなく
「ガウ!ガウ!」
カエデも楽しそうに尻尾を振りながら歩いている。リュックと帽子はそのままなのだが……まぁ良いだろう
「ミャー」
「キュー」
「ガウっ!?」
スザクとラビリルの声と驚いたようなカエデの声に振り返り
「うお!?」
流石の俺も驚いた。なぜなら……
「キュー?」
「ニャア?」
ラビリルをスザクが掴みあげて空を飛んでいた。空飛ぶ猫という余りに奇妙な光景だった
「♪♪」
その後ろを嬉しそうに追いかけてくるのはイシュリだ。俺は無視してカエデの頭を撫でると
「ガーウ?}
「ああ、行っても良いぞ」
「ガウ♪」
「ゴー」
イシュリは空飛ぶ猫とかしたラビリル&スザク、リュックと帽子をかぶったカエデを連れてイシュリは湖のほうに歩いていった……
「なんなんだあれは」
イや別に良いんだが……アレは何をしたかったのだろうか?そんな事を考えながら湖に向かう
「さてと釣れるか……ん?」
「……どうも」
湖にはリーエもいて、既に釣り糸を垂れていた。ウキが付いている所を見る限りウキ釣りなのだろうな、そんな事を考えながら釣竿をセットし、ルアーをつける。ここは大型の魚が多いのでルアーの方が良い。そんな事を考えながらルアーを投げ込むと
「……来ました」
なにい!?リールも何もついてないノベ竿なのに!?リーエはノベ竿を器用に操作し足場を変えながら岸に引き寄せ
「……よいしょ」
足元においてあった網で掬い上げた。岸に引き上げられた魚は直ぐに血抜きをされて。紐で尾を縛り吊るすリーエ、良く見ると
(もう5匹も吊るしてあるぞ……しかもでかい)
リーエはまた餌をつけて湖に投げ入れる。負けてはられないとルアーを動かすが
「……来ました」
「またか!?」
しかも早い。何故だ……リーエはぐいぐいっと竿をあおり、素早く岸に寄せて魚を掬う。俺の竿にも当りがあったが
「小さい……」
リーエノ半分くらいの大きさだ。だが釣り上げた事に変わりはない。岸に刺してあるびくの中に魚を入れてルアーを変える事にする
(リーエのを見る限り虫餌だな。となるとワームだな)
ルアーをミノーからワームに付け替え湖の真ん中を狙って投げ込んだのだった……
「今日も良い天気だね、セツナ」
足を若干引きずっているセツナに声をかける。その足はルーテシアにガンガン蹴られていた足だ
「大丈夫?」
「大丈夫だ」
そうは言ってるけどなんだか疲れてるように見える。私自身ヴィルヘリヤさんに言われて行動に出てしまい、私らしくなかったなあと思いながら、しかしなんて言えば良いのか判らずおどおどしていると
「おっ。ディエチ、あれ見ろよ」
セツナの指差すほうでは、湖の岸でリーエとジオが並んで釣りをしているんだけど
「ジオは全然釣れてないね」
リーエは見ている間も魚を釣り上げているけど、ジオは難しい顔でルアーを付け替えているのが見える
「へたくそだからな。あいつ」
リーエの近くには紐で尾を縛られ吊るされている。風が吹いているから干物にでもするのかな?
「後で釣りするか?」
「いや、良いよ。あんまり得意じゃないし」
それにセツナもあんまり上手じゃないし、と思いながら言うと、それもそうだなと頷いたセツナは
「この辺散歩してから戻るか?」
「そうしよっか。良い天気だしね」
風は適度に吹いていて涼しい。散歩日和と言う感じだ……互いに無言で歩いていると
「ガウー♪」
「ニャー!?ニャニャー!?」
「キュー!キュー!!!!」
途中でカエデがピコピコと翼を羽ばたかせ空を飛んでいる姿が見える。その先にはスザクに掴み上げられ空を飛んでいるラビリルが慌てた様子で前足をピコピコと動かしていた
「ぷっ!なにあれ」
愛らしいともいえる感じだけど、スザクとラビリルが慌ててるのが見えて、思わず噴出してしまう
「何やってんだろうな……」
一生懸命羽ばたいているスザクとそれを追いかけているカエデ。リュックも帽子物そのままなので妙な愛らしさがそこにあった
「あー……ごめんね? さっきはちょっと嫉妬したかも?」
空気が緩んだのを感じて、すかさずセツナに照れながら謝ったら
「まあ、別に怒ってないしな。ちっと変だとは思ったが、それだけ好きでいてくれてるってことだろ?」
セツナが恥ずかしげもなく言うなあ、と思ったら、よく見たらセツナの耳がちょっと赤い。それを見て暖かい気持ちになる
「それより、ちょっと向こうに昼寝にいい場所があるらしいから行かないか」
「お嬢様が言ってたの?」
「ああ、そうだけど」
当然のようにそう答えるセツナ。そんなセツナとお嬢様の間に確かな絆を感じて、やっぱり少しだけ妬けてしまう
「というか、今から昼寝するの?」
「別に、それも楽しみ方の一つだろ?」
否定はしない。そう言うのも楽しいと思う……いやそれよりも
(一緒ならどんな事も楽しいよね?)
私はそんな事を考えながら、セツナと共にゆっくりと歩き出したのだった……
リーエ達に釣りにでも行っておいでと言った後私とヴィルヘリヤ、それにペガサスはゆっくりとこの世界を見て歩いていた。アシラとヴォルガンドは念のためにコテージに残ってもらっている
「今のところは動きは無いわね」
「来て直ぐ反応が出るわけ無いだろう?」
この世界に来ると同時にネクロの力を解放しているが、反応はまだ無い。まぁそれはジオとクラナガンの両方に言えることだけどね……それでヴィルヘリヤも一緒なのは
「このデータは?」
ふらりと戻ってきたヴィルヘリヤが持っていたデータ。詳しく分析されているがあの世界のネクロの事が記されていた
「ん?アークにあって呪いで動きを止めてもらったの♪」
にこにこと笑うヴィルヘリヤ。表情からは読み取れないが嘘ではなさそうだ。ペガサスは
「何故俺達を呼ばなかった?仕留めるチャンスだったろう?」
「街中で派手にどんぱちするわけにはいかないでしょう?1番最善の策を取ったつもりだけど?」
街で戦えば私たちも敵と勘違いされる。それならば動かないほうが安全だったといえるだろう
「まぁ良いよ。結構情報には助かっているからね」
あの世界のネクロの習性と高度パターンと予想レベル。かなり詳しく纏められている。アークはどうやら分析型のネクロでもあったようだ。
「さてとでは結界を張って回るつもりだけど、ペガサスは結界は使えるのか?」
私の問い掛けにペガサスは返事を返すのではなく……
「……サ」
目を逸らす事を返事をした。その態度は子供のようにしか思えず……
「目を逸らすな。子供か」
露骨に目を逸らすペガサス。まぁ多分使えないだろうと思っていたので問題は無いけど……反応が何か子供っぽい気がする
「私はOKよ。結界は得意分野よ」
ヴィルヘリヤの言葉に頷き私はこの世界の地図を見ながら
「私はここから、ここ。ヴィルヘリヤはこっちからここだ。判ったか?」
4点結界。4つのコアを用意して、それを基点に更に細かい結界を作り出す。探知用の結界だ……魔力を遮断してはネクロを誘き寄せる事ができないので敢えて探知用の結界だけにする
「俺は?」
「ペガサスは戦闘しても良さそうな場所の確保と、ネクロの魔力の放出。放出するポイントはここと、ここ。それで時間を置いてこことここだ」
どんな反応をしてくるのか判らないので、時間と場所を変えて反応を見る。早ければ明日の夜には何らかの反応が出てくるとおもう
「判ったでは後でな」
「じゃーねー♪アルハリムも気をつけてね♪」
ペガサスとヴィルヘリヤと別れ山の中を歩いていると
「きゅー……」
「みゃあああああ!?」
「がーうー」
バッシャーンッ!!!!
「スザク、ラビリル、カエデ」
湖の上でカエデ達が湖面に落下するのが見えた。イシュリが驚いた様子で湖に近づくのを見て、驚いて飛び出そうとしたが
「……これに!」
リーエが釣り竿を伸ばし、湖面に顔を出しているスザク達を回収しているのを見て。大丈夫だと判断し私は結界を作るポイントへと歩を進めたのだった……
リーエ達がカルナージでネクロの魔力を開放し始めて半日ほど立った頃
「ア……オアアアアアア」
ランドグリーズとラプスの攻撃で弱っていたヴェルガディオスの空虚な瞳が空を見上げる。その方角はカルナージがある方向だった……ヴェルガデイオスは自身の体内に石碑を取り込み、その巨大な手を地面に叩きつけようにして身体を起こし
「ウ、ウォアルアアアアア」
どす黒い体液を撒き散らしながら、ずりずりと身体を引きずったかと思いきや、その口を大きく開き
「カアアアッ!!!」
強烈な魔力波を放ち空間にひずみを作り出し、その中にと消えて行ったのだった……
第65話に続く
次回は中篇はほのぼの。後編から戦闘回に入っていこうと思います。ジオの正体ももう少しで判ります、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします