宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回からは暫くのんびりとした話にしていこうと思います。それでは今回の更新もどうか宜しくお願いします


第6話

 

 

第6話

 

流れ星にお願いしてから3日後。私はある場所の前に立っていた

 

「……大きいですね」

 

退院後連れて来られた家の前で私はそう呟いた。TVかなんかじゃないと絶対に見ないような豪邸に、綺麗に整えられた庭はその気になれば野球が出来そうなくらい広い。

 

「どうかしたかね?」

 

立ち止まって呆然としている私を見てそう尋ねてくる龍也様に

 

「……いえ。なんでも……「家の大きさに驚いたって所かね?」……まぁ普通は驚くかと」

 

龍也様は呆れた顔をしながら

 

「いやな。私もそう思うんだが……カリムがうるさくてな」

 

聖王教会が龍也様を何とか自分達の方に引き込もうと色々している。という話は結構有名だけど……まさかここまでするとは……

 

「……なんて言えば良いのか判りませんので、聞かなかったことにします」

 

それが良いと笑う龍也様の後を着いて家に足を踏み入れる前に

 

「……お世話になります」

 

そう言って入ろうとすると龍也様の右手に遮られる。

 

「ここが今日からリーエの家になる。言う事が違うんじゃないか?」

 

優しい笑みを浮かべてながらそう言う龍也様を見ながら

 

「……えと。えと……た、ただいまですか?」

 

言っていい物かと思いながらもそう言うと

 

「おかえり。リーエ」

 

私の前を遮っていた手がゆっくり私にと伸ばされる。私は反射的にその手を握り返し

 

「……ただいまです」

 

もう一度ただいまと言って家の中に入って行った……

 

 

 

 

「空き部屋は腐るほどあるが……やはり。リィン達とかの部屋に近い方が良いか?」

 

カリムから無理矢理引越しするように与えられた屋敷は地下室を抜いても2階と、アリサやすずかの家にも引けを取らない豪邸だが。いかんせん住んでる人数が少ないので空き部屋だらけであり、半数は夜勤明けのなのは達が寝泊りする部屋にもなっているが、それでも使っている部屋より空き部屋の数の方が多い。 だが知り合いの居ない階よりもリィン達の部屋に近い方が良いだろうと思い尋ねると

 

「……それで良いです」

 

「判った。とりあえず家具とかは配置してあるから、足りない物とか欲しい物はクレアかシャルナかアイギナに頼むか。私に言ってくれれば良い……すまんな。外に連れて行けたら良いのだが、それには少々時間が掛かる」

 

リーエは半分は人間だが、残りの半分はネクロだ。それにネクロ特有の魔力パターンに人なざる縦に割れた瞳孔。簡単に外に連れて行くわけにはいかない……ジェイルが今ネクロの魔力パターンを隠す機械を作ってくれている。それが終わるまでは家にずっと居てもらうことになると説明すると

 

「……構いません。その代わりにリィンや龍也様が居てくれるのならそう悪い物では無いと思います」

 

にこにこと笑うリーエは私の手を引いて。それで私の部屋は何処なんですか? と笑顔で尋ねてくる。

 

「あ、ああ。 こっちだ」

 

私はリーエの歩幅に合わせゆっくりと手を引き、リーエの部屋にと移動した

 

「……広い部屋ですね」

 

リーエが部屋の中を覗き込みながらそう呟く。大人なら丁度良い広さだが、子供のリーエには少しばかり広く感じるかもしれない

 

「王よ。部屋の準備は整いました」

 

「服の方も一通り準備しておきました」

 

部屋の奥からシャルナとアイギナが顔を出しながらそう報告してくれるのだが

 

「!?!?」

 

見知らぬ2人に驚いたりーエは私の後ろに隠れてしまった。それを見たシャルナとアイギナは

 

「貴女の顔が怖いからですよ。アイギナ」

 

「違う。貴様の邪な考えのせいだ」

 

互いに睨み合うシャルナとアイギナ……な、何をしてるんだ。この2人は……と私が呆れていると

 

「馬鹿な事は止めなさい」

 

クレアの冷静な声と同時にガツン! と強烈な打撃音が響く

 

「「……ッ!?!?」」

 

デバイスで頭を強打されたアイギナとシャルナは非難100%の目でクレアを見ているが。クレアはしれっとした顔で

 

「王の前で見苦しいですよ。それにアイギナは1階の掃除、シャルナは昼食の準備もまだですよね? 遊んでないで仕事をしてください」

 

クレアにそう言われたアイギナとシャルナは慌ててリーエの部屋を出て行った。それを見ていたクレアはやれやれと肩を竦めながら

 

「あの2人はまったく……何時も何時も仕方ないですね」

 

と苦笑しながらリーエの前にしゃがみ

 

「どうもリーエさん。お久しぶりですね」

 

「……は、はい。お久しぶりです」

 

リーエがぺこりと頭を下げるとクレアはその頭をゆっくりと撫でながら

 

「さっきの2人は良い人なんですけど。少々頭が固いだけなんです、何時もはあんな風ではないですから安心してくださいね」

 

と2人のフォローを始める。アイギナとシャルナと癖の強い2人が一応とはチームとして活動しているのは、きっとクレアがいるからだろう。

 

「リーエちゃーんッ!!! 遊びに来たですよーッ!!!」

 

「リーエ元気だったかーッ!!!」

 

ばんっと勢いよく扉が開き。リィンとアギトが部屋に飛び込んでくる

 

「……リィンさん。アギトさん」

 

ぱあっと華が咲くような笑みで2人に答えた。リーエは私の顔をちらちらと見始める、私は

 

「良いよ。行っておいで、リィン・アギト。遊ぶのは良いが、リーエにちゃんと家の中を案内してあげるんだよ」

 

「「はーい!!」」

 

元気よく返事をしたリィンとアギトはリーエの手を引いて。とととっと走って行った……

 

「そう言えば、今日はシャルナが昼食の当番なのか?」

 

「ええ。そうですが……なにか?」

 

「今日は私が昼食を用意しようと思ってな。あとでシャルナと一緒に買出しに行って来る」

 

私がそう言うとクレアはなるほどと頷きながら

 

「何時ものあれを作るんですか?」

 

「ああ。芸はないが、あれが1番良いと思ってな」

 

ユナが家に来た時も、アザレアが来た時も作った料理。今回もそれを作ろうと思っていると言うと

 

「それは良いですね。きっと喜びますよ」

 

「だと良いが……じゃあ。後はアイギナと2人で頼むが……大丈夫か?」

 

「ご心配なく。私とアイギナにお任せください」

 

そう笑うクレアに頷き。私はシャルナと一緒に街に食料を買い足しに行った……

 

 

 

 

 

 

龍也が街に買い物に行ってる頃。機動六課のジェイルの研究室では

 

「む……むむむ」

 

ネクロの魔力パターンを隠すジャミングの作成をしていた。スカリエッティが難しい顔で唸っていた

 

「だー駄目だ!! すぐにジャミングが解除されてしまう」

 

ネクロの魔力は普通の魔力と違って、物質化しやすい性質をしているので上手くジャミングが長く維持できない

 

「どうしたら良いんだ……」

 

天才と自負しているが……今までこんなことはやった事が無く、頭をガリガリと掻いていると

 

(馬鹿ですか? 何故私を頼らないんです?)

 

脳裏に響く私を馬鹿にするような声に

 

「なんだ? 何時も寝てるくせに何のつもりだ、ヴェノム」

 

私のクローンのネクロ化した存在で。最終決戦時に私の中に取り込まれることで姿を消したLV4 ヴェノムにそう尋ねると

 

(半ネクロが六課にいるんでしょう? 何故私に聞かないんです? 私達は半ネクロを知っていますよ?)

 

「どういう事だ?」

 

ネクロが半ネクロを知っている? 同類と言うにはおかしい。半ネクロは半分は人間だ、こいつらが受け入れるわけが……

 

(ええ。ネクロからすれば出来損ないです。ですから都合の良い駒として何年も前から利用していましたよ?)

 

私達が知らないだけだったと言うことか……

 

(魔力量も高く。再生能力もある。 多少酷使しても死なない。LV4の数が少なかった時には重宝してましたよ……と、これは関係なかったですね。ネクロの魔力の波長を隠したいのなら。八神龍也の魔力パターンとミッドとベルカの魔力の扱いに長けた人間の波長を逆転させて組み合わせれば、波長を完全に隠せますよ。まぁ使用時間に制限は掛かりますが……半日は持ちますよ)

 

にやにやと笑っているヴェノムの顔が思い浮かぶようだな。

 

「何のためにそんな事を教える?」

 

(心外ですね? 私は人の温もりと居場所が欲しかった。それを得た今、ネクロに組する理由はありませんよ? ただリーエと言う子供に世界を見せてやろうと思っただけですよ?)

 

ヴェノムは嘘は言わないし。今までも何回も研究を助けてもらっているし……

 

「信用しても良いのか?」

 

(どうぞ。私は冗談は言いますが、時と場合は見極めているつもりですよ。私はまた寝ますので必要なら声をかけてください。では……)

 

そう言うとヴェノムの気配は遠のいて行った。また私のリンカーコアの中で眠りに着いたのだろう

 

「……さてと言われたとおりに作ってみるか」

 

ヴェノムに言われたとおり。魔力の波長を組み合わせると……

 

「おいおい……ネクロの魔力反応所か普通の魔力反応まで消えてるじゃないか」

 

高性能のステルスと呼べるだけの結界発生装置になりそうだが

 

「……コストがひどい事になりそうだ」

 

4つの魔力パターンを発生させるコアに。それだけの魔力に耐えうるフレームとなると……使用出来る素材が限られてくる。

 

「完全なワンオフになりそうだな」

 

量産する事は出来そうに無い。リーエ君専用のアイテムになりそうだ。私はそんな事を考えながらシャーリー君に連絡を取り

 

「あ。シャーリー君? 今から言う材料を買って持って来てくれる? A-119番からD-230番までと、アームド・インテリジェンスのコアの未設定のを4つ。あと廃棄予定のパンデモニウム内の機械のパーツを幾つか本局から貰ってきてくれる? 龍也から許可が降りてるって言えば貰えるから」

 

必要な材料を伝えるとシャーリー君は

 

『ええ!? A-119からD-230番までですか!? それって最高級のデバイスパーツですよね!? 全部そろえたら700万くらい掛かりますよ!?』

 

「うん。知ってる、あと安物は駄目だから。はやて君とかのデバイスパーツを取り扱ってる何時もの店でお願いするね?」

 

『それだと完全に1000万超えますよ!? 予算は足りるんですか!?』

 

驚いているシャーリー君に私は

 

「大丈夫大丈夫。龍也が3000万位までならポケットマネーで出してくれるって言ってるからさ。そうそう買いに行く前に取りに来てくれる? お金渡すからさ」

 

『そんな額をちょっとお使いみたいなノリで渡さないで下さいよ!? それに未設定のコアも1つも安くて300万位ですよね!? それにパンデモニウムの中の機械ってS級の極秘事項ですよね!? 私じゃ受け取れないですよ!?』

 

シャーリー君の絶叫を聞きながら私は

 

「大丈夫ちゃんと私と龍也の連名で本局に話は通してるからさ。行けば出してくれるから、じゃ研究室の前に鞄に入れて置いておくから。夜までに買ってきて持ってきてね、じゃ、よろしく」

 

『ま、待って……』

 

待ってと言うシャーリー君の言葉を無視して電話を切り。龍也から受け取っていたお金を鞄に入れて研究室の外に置いてから

 

「さてとデザインを考えるか」

 

折角色々とお金を使えるんだし、少々凝ったデザインをしよう

 

「おっ。そうだ折角だから剣十字をモチーフにしよう」

 

リーエ君はベルカの地の生まれだし。きっと気に入ってくれるだろう……私はそんな事を考えながらデザインを考え始めた

 

「ふ、普通においてある!? 何を考えてるの!?」

 

研究室の前に無造作に置かれた札束入りの鞄を見て絶叫するシャーリーがいたりするのだが。それはまた別の話である

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルナと買出しを終え。昼食の準備を始める

 

「しかし毎回見て思いますが。王の料理の手際は素晴らしいですね」

 

料理をしている王を見ながらそう言うと

 

「様は馴れだ。馴れ、一体何年私が料理をしていると思っているんだ?」

 

そう笑う王を見ながら。

 

(えーと確か。王は7歳くらいから料理をしてて、作る数もいっつも多いから……)

 

真剣に考え込んでいると王は

 

「そんなに気にしなくて良いよ。これ切って置いてくれるか?」

 

「はい。判りました」

 

王からまわされた野菜を食べやすいサイズに切り始めると王が

 

「ピーマンと人参は小さめに切ってくれ。大きいとリィン達が嫌がるからな」

 

「はい。判りました」

 

ただ料理するのではなく。食べる側の事を考える、それが大事なんだろう……そんな事を考えながら材料を切り揃え王に回すと

 

「良し。じゃあ始めるか」

 

王が大きなフライパンに大量の材料を入れて炒め始めるのをしっかりと見る。私の料理のバリエーションはあくまでベルカの伝統料理ばかり。王に喜ばれるには王のと地の料理を覚える必要がある。だから王が料理をするときは毎回メモを取り作り方を覚えることにしている

 

「材料に火が通ったら。米を入れて強火で一気に炒めて……ケチャップを入れてと」

 

鮮やかな赤色に染まるフライパンの中身を見ていると

 

「この時にケチャップが多すぎても駄目だし。少なすぎても駄目だからな。作るときには気をつけること」

 

「はい。判りました」

 

手にしていたメモにちゃんと記録しておく。

 

「これでチキンライスは完成。次は卵をを薄く焼いてからここにチキンライスを入れて……ほっ!」

 

とんとんとフライパンの手元を叩くとチキンライスがくるんと卵に包まれる

 

「はい。オムライスの完成だ」

 

何時見ても鮮やかとしか言いようが無い手際だ。それを更に移し変え次々とオムライスを作る王を見ながら

 

(前に私も食べましたが、とても優しい味なんですよね)

 

前に1度作ってもらった事があるが。不思議なほど優しい味がする……心まで暖かくなるようなそんな優しい味

 

「良し。出来た順から持っててくれるか?」

 

「はい。判りました」

 

完成したオムライスをリビングに持って行き並べ始めると

 

「ごっはんですー!!!」

 

「お腹空いたよ~ッ!!!」

 

ダダダっと勢い良くリィンとリヒトが駆け込んできて。その後に続いて

 

「何時も騒がしいですね。あの2人は」

 

「元気な証拠だろ?」

 

苦笑しながらアギトとユナが続き。最後に

 

「……ご、ご飯はこっち、です……」

 

「……ありがとう。アザレアさん」

 

アザレアとリーエさんが手を繋いでゆっくりと歩いて来て椅子に腰掛けていく……

 

「リーエも来たか。ほらちゃんと食べるんだぞ?」

 

リーエさんの前にオムライスを置いて、机の真ん中にケチャップソースとデミグラスソースを置きながら

 

「好きな方のソースをかけて食べると良い。お代わりもあるからちゃんと食べるんだよ」

 

「「「はーい! いっただきまーす!!!」」」

 

もう待ち切れないと言う様子でリィンとリヒトがスプーンを手にしてオムライスを頬張る

 

「「んー美味しい♪」」

 

にこにこと笑うリィンとリヒトを見ていたリーエさんは目の前のソースを見て

 

「……どっちが美味しいんですか?」

 

「……こっちのソースのほうが甘くて美味しいです」

 

アザレアがリーエさんの前にデミグラスソースを置く

 

「……なるほど。ではこちらを」

 

ソースをかけてからあむっと頬張ったリーエさんは

 

「……美味しい……凄く優しい味がします」

 

「ははは。そうか? 気に入って貰えて嬉しいよ」

 

王はリーエさんの頭をぐりぐりと撫でるとリーエさんは

 

「……本当に凄く美味しいです」

 

とても嬉しそうに笑うリーエさんを見ながら私は

 

(王が彼女を迎え入れた訳が判りますね)

 

彼女には帰る場所も迎え入れてくれる人もいない。だからこそ王は彼女を引き取る事にしたのだろう……

 

(まだまだ大変な事もあると思いますが。頑張ってくださいね。リーエさん)

 

私はそんな事を考えながらキッチンを後にし。お風呂の準備をし始めながら。リビングから聞こえてきた楽しそうな声に自然と笑みが零れた……

 

 

第7話に続く

 

 




次回はドラきちとリーエのエンカウントとかをやりたいと思っています。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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