第73話
『闇へ消えよ』
「うわあああああッ!!!」
薄暗い通路を歩いていた金髪の人間にカードを向けてその人間をカードの中に封じ込める。
(まだ足りぬ……)
力を回復させるには全然足りない……もっともっと人間の魂が必要だ……ローブを引きずりながら闇夜を歩いていると
「見つけたぞ!お前が連続失踪事件の犯人だな!アンチスキルだ!事情を聞かせてもらうぞ!」
話を聞かせろと言いつつ先手だと言いつつ攻撃を繰り出してくる人間。それをローブで弾きながら
『うるさい人間だ、貴様も闇へ沈め』
「あ、うわあああああ!?」
その人間をカードの中に閉じ込める。
(少しはましか)
今まで取り込んでいた人間よりも強い力を持っている。アンチスキルとか名乗っていたが……どうやら今まで我が取り込んでいたスキルアウトと言う人間らよりもアンチスキルと言う人間を取り込んだ方が糧になる……
『そろそろ夜が明ける……戻るとするか』
闇に沈み込み我はその場を後にした。昼でも活動できない事はないが、今の不完全な状態で動き回るようなリスクがある真似はしたくない……住処にしている闇の中に戻ると同時に我を構成していた魔力が消えていき、我は闇その物となり周囲と一体化するのだった……そしてその闇は徐々に龍の形へと変化していく。それはズィードへと変化したのだった……ズィードは闇を取り込むと
「戻ったか。我よ」
閉じていた目を開く。この世界は我その物……この世界を渡り歩いているあれも我であり、我ではない……だがあれも我である。影である我が取り込んでいた人間を自身の身体に取り込み、我の力を変えると同時に影が手にした情報を読み込むのだが……
「やはりあの小娘の情報はない」
我が主より賜った命令には、この世界にいるはずの半ネクロの存在を探しているが、情報はない。かと言って下手に動き回ればこの世界の人間に見つかる。今はまだそれほど人間を取り込んでないからいいが、取り込みすぎれば集団で行動するようになる
(有象無象共などどうでも良いが。面倒だ……)
あの小娘共に警戒されるのも面倒だ、それに今はまだ完全ではない……リスクは減らすべきだ……
「情報を集める為に……」
この世界に来る途中で取り込んだ物の知識の中にあったカードを作り出す
「行け!心に闇を持つ者を取り込み戻って来い!」
両手に作り出した我の分身とも言えるカードをこの世界へばら撒いたのだった……
ネクロが居るかもしれないと言う事で、リーエと学園都市の捜索を始めて3日目、1日目拠点のある第19学区を調べたが特に何もなく、その次は8・9学区も特に何もなく、怪しい所を見て回るだけだった……そして3日目の今日はリーエの探知能力に頼った捜索を始めていた
「どう?リーエ?ネクロの気配はする?」
エターナル・エクストリームでの行動は目立ちすぎると言うリーエの意見を聞いて二人で歩きながら、ネクロの気配とやらを探してるんだけど……私では判らないのでリーエにそう尋ねる
「……今の所は気配はないですね」
となるとこの周囲は違うと……第19学区に第8・9学区の周囲では居ないらしい。地図にバツを打ち
「リーエの予想だとどこら辺になるの?」
地図を見せながら尋ねるとリーエはうーんと唸りながら
「……学区的に考えると人が少ない場所か、光が当たらない所ですね」
光が当たらない学区かぁ……学園都市の地図を見ながら思いつくのは「第10学区」と言うスキルアウトと言う武装集団が集まっている学区だ。あそこならネクロが居る可能性があるが……
(んー絡まれると面倒だよね)
あそこの連中は鬱陶しい上にしつこい。昼間に行って軟派とかされて喧嘩になってアンチスキルに目をつけられるのも面倒だし
「心当たりはあるけど昼間は行かないほうが良いと思う。夜に行こう?」
私がそう言うとリーエはそうですかと呟き、私の手にしている地図を見て
「それだと人の多い所はどこら辺になりますか?」
しっかり調べたのは第19学区は廃れた地域なのでネクロが居ると踏んだんだけどその姿はない。8の職員等が暮らす住宅街も当然姿はない、伝統工芸から最新工芸まで色々と扱っている第9学区だ。だけど2つともはずれ……
「第7学区かな?人が多いし居住区もあるし。あそこら辺だと思うよ」
地図から得れる情報と私の知識で考えるとやはり第7学区が最有力だと思う
「……行って見ますか。第7学区へ」
「それがいいよ。それに色々あるしね」
居住区だし、色々と施設もある。そう言うところには人が集まる。からネクロの事を聞いた限りだとここら辺に集まると思う。ちょうどバスが来た時間なので、リーエと一緒にバスに乗り込み、第7学区へ向かう。
「……学生が一杯居ますね」
「学生の居住区だしね?人が多いのは当然だよ」
リーエにこの学区の事を説明しがら歩くんだけど……
(随分とアンチスキルが多いけどどうしたんだろう?)
普段の倍近い人数アンチスキルが居る事に不信感を覚えながらゆっくりと歩く
「……気配は感じないですね。しかし……」
言いかけて口を紡ぐリーエに私は
「どうかしたの?」
「……周りから視線を感じます」
それはあれだよ、私とリーエの容姿のせいだよ。得にリーエは紅い髪とローブが目立つから仕方ないよ。と思いながら、私はリーエと一緒に第7学区の捜索を始めたのだった……
遊梨さんと一緒に第7学区の中を歩いていると、やはり気になる事がある。
(随分とピリピリとしてますね、一体如何して?)
異常なまでの緊張感がこの第7学区に満ちている……
(遊梨さん、もしかするともう手遅れだったのかもしれません)
(えっ?どういうこと?)
小声で尋ねてくる遊梨さんに私は
(既にネクロが現れて何かをした可能性もあります。だからここまでピリピリしているのではないでしょうか?それとも普段ともここはこんな感じなのですか?)
遊梨さんは私の言葉に首を振りながら
「普段はもっと和やかな感じをしてるけどね」
「……となると、やはりネクロが動いているのかもしれないですね。学園新聞とかはないんですか?」
これだけ大きい所ならもしかするとかなり念密な調査をして作っている学園新聞とかがあるのでは?と思い尋ねると
「うーん……そう言うのはあんまりないかな?掲示板とかにはあるかも?」
うーん。そう言うのだとしっかりとした情報がもらえないかもしれないですね。私は少し考えて
「……あのパトロールをしているような人達はなんですか?」
さっきから警戒しているような素振りを見せているような人達も見て遊梨さんに尋ねると
「アンチスキルって言うんだけど?」
アンチスキルですか……なるほど……ちょうど1人になった人が居ますね。
「……行きましょう。遊梨さん」
「なにするの?」
不思議そうな顔をしている遊梨さんと一緒に1人になったアンチスキルの人の後ろに周り
「……失礼」
「なっ!ウッ……ドサリ」
首筋に手刀を叩き込み意識を刈り取り、額に手を当てて
「……スキルアウトと言う人たちが30名。アンチスキルが5名ほど行方不明になっているようですね。第10学区だそうですね」
とんとんとアンチスキルの人を起こす
「う、僕は?」
「……大丈夫ですか?倒れておられましたが?」
「あ、そうですか……ありがとうございます」
頭を押さえてふらふらと歩き去っていくアンチスキルの人の背中を見ながら
「……やはり第10学区の……どうかしましたか?」
意外そうな顔をしている遊梨さんにそう尋ねると
「案外そういうのあっさりやるタチなんだね」
「……必要な事ですから。時には強引な事もね」
だけどこれで情報を得る事ができた。やはり第10学区がキーポイントのようだ
「……少し散歩でもしましょうか?夜までは行動できそうにありませんからね」
「うん。それは別に良いよ?行こうか」
こんな光景を見ても当たり前そうにしている遊梨さんと一緒に第7学区を見て周りながら、周囲に結界とサーチャーをセットして回るのだった……こうしておけばネクロのほうも私に気付くだろうから
(……ふーん、こっちからちょっかい出す気か)
リーエが何かを設置しているのを見て、心の中でそう呟いた。リーエは慎重に動くと思ってたから少し意外だ
『らしいな。こっちの皆はいつでも行ける』
心の中から聞こえてくるクライスの声に私は
(あ、みんな使う気ないから)
『えぇ!?』
頭の中に響くクライスの声にそう答える。それに文句を言いだす他の精霊全員……普通なら自分達の出番だと思っているだろうから。だけど私にはちゃんと考えがある
『まさか例のデッキ使う気か?』
クライスの言葉に正解♪っと言いながら身につけている、大半が白紙のデッキのデッキケースを撫でる
(そゆこと。リーエと一緒にいると偶に強い力が漏れてきてるからね)
リーエと一緒にいるとカードが熱を帯びてくる。どうしてか判らないけど、リーエの力と共鳴しているのだと思う。
(だからあえてその可能性に賭けて見ても良いと思うのだ)
多分私の予想は当たっているだろうから、私に予想ではそろそろあのデッキは目覚めるような気がするのだ
『まあ勝手にしろ。だが負けるんじゃねぇぞ』
その位分かってる、私が死ぬ事は私のアンダーワールドにいる皆の死を意味する。それ故に負けられない。負けるわけにはいかない。この命は私1人の物じゃないから……
ゆっくりと闇を使い人間を取り込みその力を回復させ、万全ではないながら動くだけの力を蓄えた所で
ピクン……
闇の中に居ても気づいた。この世界で魔力を使うもの、しかも我と同室の物を使うものがいる……間違いなく、あの小娘だ。身体を分離させもう1人の我を作り出す
「仕掛けてくるまえにカードを回収して来い。力を完全にするために」
『了解した。待っていろ、我よ』
ローブ引きずりながら歩いていく我の分身を見ながら
(名を果たす……我のやるべきことは1つだけ)
あの小娘に勝つ必要はない。そう我がやるべきことは1つだけ
(あの小娘の戦闘記録を取ることだけだ……)
我は影、あの方の影……影は光になる事は叶わず……だがしかしてただ消えるだけの存在ではない
「我を挑発した事を悔いるが良い」
あえて自分の魔力を使い。我の注意を引こうとしている小娘。態々相手の策に乗る事はないが、そろそろ我も仕掛けようと思っていた頃だ。我は両腕を天へをのばしながら
「さあ!我はここだ!恐れぬにならばかかって来い!!!」
魔力を天に向かって放出した。挑発には挑発を……掛かってくるが良い小娘、力の差と言うものを教えてくれる
第74話に続く
次回は戦闘回で行きたいと思います。若干遊戯王の要素を入れて行きたいと思います。前後編で構成したいとも思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします