第7話
龍也様の家に迎え入れられた次の日。自分の部屋で本を読んでいると
「リーエいるー?」
「……ヴィヴィオ? 何の御用ですか?」
ノックしてから部屋に入ってきたヴィヴィオにそう尋ねると
「あのね? ペットのお散歩をするの。リーエも一緒に来る?」
にこにこと笑いながらそう尋ねてくるヴィヴィオに
(ペット? 犬か何かでしょうか? それなら着いて行っても良いでしょう)
なによりこれからこの家で暮らすのだから。龍也様達が飼ってるペットにも馴れておく必要があるだろう
「……行きます」
「本当? じゃあ行こう!」
ヴィヴィオに手を引かれ。私は自室を後にしペットが待つ部屋にと向かった
「……な、なんなんですか……これは」
ペットの部屋に居たのは……
「きゅう? キュッキュ!!」
尻尾をピコピコと振るグレーの身体をしたちょっと大きめの犬と言う感じの生物だった。これってまさか……ど、ドラゴン!? 本とかでしか見たことのない生き物が目の前にて絶句していると
「ドラゴンのドラきちだよ♪」
やっぱりドラゴン!? でも名前が適当!? ドラきちって何? もっと別の名前なかったの!? 私が驚いていると
「キュー♪」
「ひうっ!?」
ドラきちが足元に擦り寄ってくる。犬とかならまだしもドラゴンをペットにしてるなんて!?
「ドラきちは大人しいから頭撫でてあげてよ」
にこにこと笑うヴィヴィオに頷き。びくびくしながらドラきちの頭に手を伸ばすと
パクッ♪
「ッ~ッ!?!?☆■○△ッ!?!?」
右手がドラきちの口の中に消え。私は思わず絶叫しながらその手を強引に引き抜き。自室に走って戻った
「……こ。こここ……怖かった」
手はちゃんとあるけど間違いなく食われた事が怖くて。私はそれ以降ドラきちに近づく事が出来なくなってしまった……
「第7回 ちびっこ会議を始めます」
ドラきちがリーエさんに噛み付いてから2日後。ちびっ子会議が開催された
「今回の議題は「ドラきち」についてです。2日前ドラきちがリーエさんに噛み付き、リーエさんがドラきちを怖がっている問題についてです」
ドラきちは親愛の証として噛み付く事がある。歯はないので痛くはないのだがかなり驚く、リーエさんにも宜しくと言う意味で噛み付いたのは一目瞭然なのだが、リーエさんには刺激が強すぎたようで。ドラきちが近付くと逃げてしまうのだ
「……ど、ドラきち。会う人にすぐ噛み付いたら……駄目って言ったじゃないですか」
「きゅー? キュキュー」
めっとアザレアに叱られている。ドラきちを見ながら
「ではリーエさんとドラきちが仲直りする方法を思いついた人から挙手でお願いします」
私がそう言うとリィンが手を上げて
「看板にこう書くです!「キュキュ。 僕は悪いドラゴンじゃないよ!!」と書いてドラきちの背中にくっつけるんです」
「定番のスライムのコメントだね♪」
定番といえば定番だが、果たして効果があるのだろうか
「違うな。ここはこれだ「ボクはドラきち。ラブリーなドラゴンさ。よろしくね♪」だな」
「どこのシューティグゲームですか」
「と言うか……そのネタ知ってる人いるの?」
確か10年以上前のアーケードのゲームの豚の台詞だった筈
「「「……アギト……歳?」」」
全員の声が揃う、その言葉を聞いていたアギトは
「失礼な事言うなーッ!!!!!」
炎を発生させてまで怒るアギトにまぁまぁと声を掛け宥める。
「とりあえず、実行してみましょう。では看板を用意してください」
とりあえず行動。それが私達の合言葉だ。動いて見なければ何も判らないからだ、と言うわけで看板を用意し全員でそれに文字を書き始めた
「ヴィヴィオ。絵を描くー♪」
「じゃ、リヒトもー♪」
看板の空いてる所に絵を描き始めるヴィヴィオとリヒトを見ながら。私とリィンは看板に文字を書いてる反対側で
「ドラきち。お座り」
「キュウ?」
「……ど、ドラきち。お、お手」
「キュッ!」
ピコとアザレアの手に前足を乗せる。ドラきちを見て
(い。犬じゃないんですから……お手って)
アギトとアザレアは何故か、ドラきちに犬の芸を教え込んでいるのを見ながら
(リーエさんもドラきちを可愛がってくれると良いんですけど……)
な、なんだあれ……姿の見えないリィン達とリーエを探していた私は目の前の光景に絶句した
『キュキュ~僕は悪いドラゴンじゃないよ!!』
と書かれた看板を背負ったドラきちが、ピコピコと尻尾を振りながらリーエに近付いている。リーエはと言うと
「……うっ……うううう……来ないでー」
ドラきちから背を向けて全力ダッシュで逃げ出してしまった。残されたドラきちは
「キュウーン!?」
がくーんと落ち込んでしまった。ドラきちにアザレア達が駆け寄り
「だ、大丈夫です。ど、ドラきち。次はこれです」
「頑張ってドラきち」
ドラきちの背中の看板を「悪い~」から「ボクはドラきち。ラブリーなドラゴンさ。よろしくね♪」に付け替え。
「がんばろードラきち!」
「ガッツ。ドラきち!!」
次々ドラきちに声を掛けて走って行くリィン達を見ながら
(何をやりたいんだ?)
リィン達が何を考えているのか判らず。私はリィン達の後を追って歩き出した
「キューキュキュッウ!」
尻尾を振り振りながら踊るように跳ねてこてんと首を傾げる。ドラきちと対照的にリーエの顔は青褪めて
「……い、いやあああああ!!!」
さっきの非ではない速度で走り去っていった……一体何があったんだ? がくーんと項垂れるリィンとドラきちを見ながら
「一体何をしているんだ?」
そう尋ねるとヴィヴィオが
「あのね。あのね。ドラきちがリーエの手をぱくんと食べちゃって。リーエ、ドラきち怖いって言って逃げてるから。仲直りしてもらおうって思って」
「でも上手く行かなかったんです」
「むースライム知らないのかな?」
うんうんと唸るリィン達の足元で丸くなり
「キューキュー」
悲しそうに鳴きながら私を見上げるドラきちを見て
「判った。判った。私が話してみるよ」
完全に空回りしているリィン達の頭を撫でてから、リーエの部屋に向かった
「リーエ。今良いか?」
扉をノックすると、すぐに扉が開きリーエが顔を見せる
「……何か御用でしょうか?」
首を傾げ尋ねてくるリーエにそんな所だと言いながら。リーエの部屋に入りコートのポケットから
「これな、前に言ってたネクロの魔力パターンを誤魔化す機械な」
ベルカの紋章の剣十字に似た形に加工したブレスレットを手渡すと
「……剣十字ですね。私これ好きです」
にこにこと笑いそのブレスレットを身に付けるリーエに
「リィン達が何か嘆いて居たが、ドラきちが何かしたのか?」
そう尋ねるとリーエは
「……前に手を噛まれて怖かったんです」
「まぁ行き成り噛まれたら怖いよな」
こくこくと頷くリーエの頭を撫でながら
「まぁそれはドラきちなりの親愛表現だから。許して……ん? どうした?」
目を見開いて驚いているリーエはぽつりと
「……私が半ネクロだから噛まれたと思ってました」
そこを説明しないと駄目じゃないか……私は呆れながら
「ドラきちは魔力で生きてるドラゴンだから。牙や爪は飾りなんだぞ?」
一応牙と爪はあるが、噛んだり引っかいたりはほとんど出来ず。飾り程度の役割しかない
「……し、知りませんでした……」
なるほどリーエはドラきちを肉食だと思ってたから怖かったわけか……
「一緒に行って見るから、頭を撫でてみるか?」
「……本当に肉食じゃないんですよね?」
何回もそう尋ねてくるリーエに
「ああ。肉食なら危ないから飼ってないよ」
そう笑うとリーエは椅子から立ち上がり
「……じゃあ。もう1回だけ頭を撫でてみます」
「良し。じゃあ行こう」
私はリーエの手を握り。ドラきちの部屋に向かった
「キュー、キュー!!」
ボールを突いて遊んでいるドラきちがこちらを向く
「キュウ? キュキュッ!!!」
楽しそうに尻尾を振りながら私の足にじゃれついていたドラきちだが。私の後ろのリーエを見て
「キュー? キュ。キュ」
尻尾を振るのをやめて頭を下げる、ドラきちの前にしゃがみ込んだリーエはびくびくしながらドラきちの頭を撫でた
「キュー? キューン♪」
嬉しそうに尻尾をピコピコを振るドラきちは
パクン♪
「ッ!!」
何時もの癖でリーエの手に噛み付いた、一瞬リーエの顔が引き攣るが
「……あ、痛くない」
「キューきゅー♪」
尻尾を振って愛嬌を振りまいているドラきちを見ながら
「……見た目だけで怖がっちゃ駄目なんですね。ごめんね」
「キューン♪」
楽しそうに鳴くドラきちにリーエは
「……今度は一緒にお散歩に行きましょうね」
「キュウ!!」
そう笑っていた。いろいろ合ったようだがリーエとドラきちが仲直りした事に安心していると
「おお。リーエがドラきちと遊んでる!!」
「リィンも一緒に遊びますー♪」
がやがやとドラきちの部屋に入ってきた、リィン達と入れ違いで私はドラきちの部屋を後にした
~1週間後~
私は入院中に龍也様から頂いた。魔法教本を見ながら
(これも大分読みましたね)
ミッド・ベルカ式の基礎と応用が書かれている本の中身は大分覚えたのだが……
(龍也様は勝手に魔力を使うなと言っていましたし、許可が下りるまでは本を見るだけで我慢しますか)
ネクロの魔力も持ち合わせている私が魔力を使うとどうなるか判らないので。その判断は正しいと思う
「リーエ! ドラきちのお散歩に行こー!!」
「ボールとかグローブも持ってきてるから早く来いよー!!!」
外から私を呼ぶヴィヴィオとアギトさbbの声に、窓を開けて顔を出して
「……はい。今行きます!」
そう返事を返し私は外に出て行った
「キュー♪」
庭を駆け回るドラきち目掛け
「……行きますよ」
ボールを山なりに投げるとドラきちは
「キュウッ♪」
鮮やかにジャンプしダイレクトで口にくわえる
「「「おお~ッ!!!」」」
その見事な技に全員で拍手をする。ドラきちは尻尾をぴんと立てながらこちらに戻ってきて。私達の足元にボールを落とてしゃがみ込む
「偉いですよ~ドラきち」
「おお、偉い偉い」
頭を撫でるとドラきちは嬉しそうに尻尾を左右に振りまた走り出す
「よし。じゃあ次リヒトー」
リヒトさんがボールを拾い大きく振りかぶるのを見て
「……リヒトさん? あんまりおもいっきり投げるのは……」
「ドラきちが怪我しちゃうよ?」
ヴィヴィオと一緒に声を掛けるとリヒトさんは笑いながら
「行くよ! ドラきち! 野茂秀雄だ!!」
の、野茂? って誰ですか!? 聞き覚えのない名前に私が困惑してる間にリヒトさんはボールを投げた
「キュッ!」
さっきと同じ様にジャンプするドラきちの手前で
カクンッ!! ドッ!!!
「きゃうっ!?!?」
「「「ど、ドラきちーッ!?!?」」」
ボールが急に下に落ちてドラきちのお腹を捉える。へ、変化した!?
「リヒトのフォークだー!!! 「何やってるんですか、このど馬鹿!!」 へもっ!?」
どーだ! と胸を張るリヒトさんの頭に振り下ろされる辞書(通称 ユナチョップ)に頭から煙を出し沈黙するリヒトさんを無視して。地面に横たわるドラきちに駆け寄る
「だ、大丈夫ドラきち!?」
「ば、バンソーコ!?」
ドラきちはピクピクと足を痙攣させている。当たりところが相当悪かったのは一目で判る暫く全員でお腹を擦っていると
「きゅー……」
よろよろと立ち上がったドラきちは尻尾を引きずりながら。家に戻っていった……よほど重傷なのか返事をする気力も無かったようだ
「あ……折角遊ぼうと思ってたのに」
「しゃーねー。キャッチボールでもしようか?」
ドラきちはすぐに帰ってしまったのでしょうがないと口々に言いながら。グローブを身に付けキャッチボールを始めようとしていると
「リーエ。少し話がある、私の部屋まで来てくれるか」
「……あ……はい、今行きます。すいません。龍也様に呼ばれているので」
グローブを倒れているリヒトさんの前において。私は龍也様の部屋に向かって歩き出した
「……なんの御用でしょうか?」
部屋に入りそう尋ねると龍也様は手にしていた書類を机の上において
「はやてやなのは達とも話し合ったのだが。そろそろ六課で魔法の勉強を始めないか?」
「……もう良いんですか?」
色々と検査結果が判るまではと言われていたのに? と思いながら尋ねると
「ああ。何の問題もないと私達は判断した。リーエさえ良いのなら、明日からでも始めようと思うがどうだろう?」
「……はい! お願いします」
「良し。じゃあ、明日からな。最初は私と一緒に色々と勉強しような」
ぐりぐりと私の頭を撫でてくれる龍也様の手の暖かさに私は自然と微笑んでいた……
リーエの日記帳 ○月某日
龍也様の家のペット、ドラゴンのドラきちと仲良くなる事が出来ました。最初は噛まれて凄く怖かったですが、今では良く一緒にお散歩に行ったり。日当たりの良い所で日向ぼっこをしています。それに日当たりの良い所で昼寝をしていると、偶に龍也様のコートがかけられてることがあって……それがとても心地よく。
斜線が出鱈目に引かれて。解読不能、4行後から再び日記の内容が始まる
毎日毎日魔法教本を読んでいて、色々と基礎を覚え始めたと自分でも思っていたのですが、今日突然龍也様に呼ばれて明日から六課で勉強をしないかと言われ。2つ返事ですると返答してしまいましたが、正直不安な気持ちでいっぱいです。六課の魔導師はエリート揃いでしかもネクロと何年も戦っているので、経験も豊富。そんな人達がいるところで私がいても良いのだろうか? と正直思いますでもまぁ……その龍也様がいてくれますし。怖いことは無いかと……それに頑張ればリハビリの時みたいに……
※☆■□△……
ここから先は意味不明の文字の羅列が続いており。解析不明……
第8話に続く
次回は六課での魔法の勉強になると思います。そこで色々と今まで判っていなかった問題が判明する予定です
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします