宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回のコラボは「からすそ様」の作品「東方幻影斬緋閃」とのコラボになります。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第79話

第79話

 

あの世界に飛ばしていた我の分身からの情報から理解した

 

【あの者は記憶を失っている】

 

我を見て気付かないという事は記憶を失っている。力は増していても我の事を覚えていないのでは脅威とはなりえないだろう。だが

 

【手を打っておかねばならん】

 

あの世界で眠っていた騎士は別の世界に飛ばした。本来ならあの者が彼の地に足を踏み入れた時に目覚めるだったのだが、そうはさせんと眠っている内に殺すはずが逃げられた。我が襲ってくる事を危惧していたのかもしれないな。あの者は力ある剣士であると同時に優れた科学者でもあったからな……

 

【魔力の波長は覚えている。追っ手を出すか】

 

あの者と眠っていた騎士の合流はなんとしても避けねばならん。あの騎士は唯一の生き証人……今はまだ我の事を話されては困る。

今の我の力は良くて3割……この状態で戦うのは無謀としか言いようがない

 

【さあ生まれよ。我が眷属よ】

 

7枚の翼の1枚が我の身体から離れ、我の魔力と我が捕えている強靭な魂を素体に作り出されていくネクロ。我の体から分離した翼は繭のように丸くなり、周囲の魔力を吸い上げていくのだが、途中で吸収が止まる

 

【今はまだそのレベルが限界か】

 

我の今の状態では最善の状態での作成は無理と言う事か、繭は真紅に染まると弾け飛ぶ

 

「アヒャヒャヒャッ!!!!我が主君!スラッシャー参上いたしました!!ヒャハハハッ!!!」

 

狂ったように笑う異形のネクロ。人間であり、獣である。獣人と呼ばれる存在だ。スラッシャーの素体は何処かの世界で自分達の種を護る為に戦い続け、英雄とまで祭り上げられたが、その強すぎた能力。そしてその力を恐れた民により処刑された憐れな女。その狂気を見込んで我の僕とする為にその魂を捕えたのだが、こうして見ると我の判断は正しかったのだと判る

 

(この狂気、その絶望……素晴らしい)

 

スラッシャーはまだまだ成長する。それだけの素質を秘めている……

 

【行け、あの者を殺しその魂を喰らえ。そして好きに殺し破壊せよ】

 

ゲートを作り出す、小娘を引きずりこんだ者の気配は覚えている。今ならば追跡転移が出来る

 

「心得ました。我が主君……朗報をお待ちください。アヒャヒャヒャ!!!」

 

狂ったように笑いながら消えていくスラッシャー。今の状態では少しばかり無茶をしたが、問題ない。この程度の魔力消費ならば直ぐに回復する。魔力を使ってもなお、あの者達の合流は防がねばならないのだから

 

(何千年も闇の中で待った。復讐を……我が願いを叶えるために……)

 

この黒い炎だけが今の我を支えている。周囲の魔力を再び取り込みながら目を閉じる。スラッシャーには分身の目をつけておいた、眠っていてもスラッシャーの見た物は我の元へ来る。それにスラッシャーの力ならば何の心配もなく、我の予定通りに力をつけ。その力を研ぎ澄ませて行くだろうからな……

 

 

 

チュン……チュン……

 

「う……こ、ここは……」

 

鳥の囀りの音で目を覚まし立ち上がる。私は草原の上で横たわっていたようで服についている草を払いながら、周囲を確認する

 

「ここはどこなんだろうね?」

 

見渡す限りの森・森・森。自然に溢れた美しい世界だ。しかし今はまだやらねばならないことがある。意識を集中してリーエ達の魔力を探すが……

 

「居ないか……タイミングがずれてしまったようだね」

 

あの空間から私に手を伸ばしてくれていた女性の姿も見えない。完全に転移のミスでばらけた場所に転移をしてしまったようだ

 

「ラビリルが居れば移動が楽なんだけど、多分イシュリと一緒かな?」

 

戦闘力が殆どないイシュリは常にスザクかラビリルのいずれかを連れているようにと言いつけてある。あの遺跡ではスザクをつけていたが、恐らくあの空間に引きずる込まれる前にラビリルがイシュリの傍に行ったのだろう

 

(正しい判断をしたよ。ラビリル)

 

私には影に潜れるシャウトもあるし、空を走ることの出来るレイブン。そして時間制限があるが時間を止める事のできるディアノがある。それに単独行動には慣れているから、リーエ達の魔力を感じるまでは魔力を押さえて行動するのがいいだろう。ゆっくりと山を降りながら周囲を警戒する。山の上から見た景色は綺麗だったが、こうして山の中を歩いているとわかる

 

「酷い場所だね。ここは」

 

どこもかしこも戦闘のあとがあちこちにある。へし折られた木に地面に染み込んでいる黒いしみは恐らく血液だろう……

 

「相当強いネクロのようだね」

 

そして一番目を引くのは既にその魔力を発した人物が居ないにも拘らず、空間に残っているネクロの魔力だ。その魔力に手を伸ばしかけ、直ぐに手を引く。その一瞬で額に浮かび上がった脂汗を拭いながら

 

(とんでもない怨念だ。近づくのはよしたほうがいいね)

 

一瞬体内のネクロの因士が活性化したのを感じた。それほどまで強い怨念を宿している魔力の持ち主……

 

(これは合流を急いだほうがいいかもしれないね)

 

負けはしないだろうが、勝てもしない。相当やばいネクロがこの世界に居る。早くリーエ達と合流したほうが良いと思い、山の中を降りていき見えてきた湖の湖畔に見える人影。紫のドレスに金髪の女性……あの遺跡で私を助けてくれた女性だ。御礼を言うべきだと思い近づくと

 

「すやすや……」

 

寝息が聞こえてきて私は思わず駆け寄って

 

「おきろ!!」

 

命の恩人とも言える女性の頭をパーで叩くのだった。

 

「ごめんなさい。余りに良い天気だったからつい」

 

切り株の上に腰掛け笑う女性。人の良い笑みを浮かべているがどこか胡散臭い

 

「あの遺跡での事は礼を言う。だが寝るのはどうかと思うよ?私を山の上に放置して」

 

もしあの状態でネクロにあっていたらとおもうとぞっとする。殺気に気づいて飛び起きるだろうが、それでも相手の方が有利な状態になるのは当然なのだから

 

「それについては謝るわ。だけどあそこにスキマを作るのは相当難しいの、貴方達を幻想郷に引きずり込むので手一杯だったの」

 

幻想郷?スキマ?どういうことか理解出来ず首を傾げていると、目の前の女性は

 

「私の名前は八雲、八雲紫よ。この世界幻想郷を作った妖怪の1人よ」

 

妖怪と言うのが何か判らないが、この世界を良く知る人物なのは間違いないだろう

 

「アルハリム。アルハリム・アズタミアだ」

 

私が自己紹介すると紫はにこりと笑いながら

 

「そう。私の事は紫でいいわ、アルハリム。私が貴女達をこの世界に呼んだのは……貴女達に助けて欲しいの。今この世界にはとんでもない化け物がいるの……このままだと幻想郷は滅んでしまうわ」

 

沈んだ顔をする紫。その化け物はいうまも出なくあの魔力の持ち主だろう。私は紫の近くに座り

 

「話を聞かせて欲しい。ここで何があったのかを」

 

まずは情報を知らなければ、この世界。「幻想郷」で今何が起こっているのかを……

 

 

 

 

私の前に座るアルハリムを見ながら、ここ数ヶ月の事を思い出す。転生者に荒らされた幻想郷だったが、徐々にもとの活気を取り戻し始めている頃。奴は現れた

 

「紅い髪をした獣人の異形が突如黒い化け物を引き連れて、幻想郷を襲い始めたの」

 

スペルカードはその化け物達に何の効果もなく、被害がでると判ったが本来の力を使って応戦した。だけど

 

「リーダー格の紅いネクロには効果がなかった?」

 

「ええ。私の攻撃を含めて全員の攻撃は一切届かなかったわ」

 

その時始めてあの連中がネクロと言う異形である事を知った。私達とは全く異なる生体を持つネクロに妖怪や神は無力だった

 

「皆殺されて行ったわ。力ある妖怪に神。あの化け物スラッシャーはその骸に何かしようとしたみたいだけど、出来なかったみたいなのよね」

 

私がそう言うとアルハリムが恐らくと前置きしてから

 

「ネクロカさせようとしたのだろう。上位ネクロが殺した存在は高確率でネクロになる、だけど出来なかった……恐らく」

 

「私達の攻撃が効かなかったのと同じ理由よね?」

 

「そうなると思う」

 

ネクロへ私達の攻撃が効かなかったのは生態系が違うから、私達がネクロ化しなかったのも同じ理由だろう

 

「スラッシャーとやらはどこに?」

 

アルハリムの問い掛けに私は首を振り

 

「どこに居るのか判らないの。神出鬼没で突然現れて攻撃するだけして、消えていくの」

 

攻撃が効かないから逃げる事しかできず、隠れたとしても突然現れて追いかけてくる。負傷覚悟で攻撃して逃げる事しか出来ないと説明すると

 

「そうか、瞬間転移系か空間に干渉する能力……どちらにせよ……紫!!!」

 

「え!?」

 

突然アルハリムに腕を捕まれそのまま引っ張られると

 

「ヒャハハハ!!!良い勘してるぜえ?あたしの能力を空間干渉に辺りをつけた当たりなぁ!アヒャヒャヒャッ!!!!」

 

狂った笑い声。この声は何度も聞いた、幻想郷をたった1人で壊滅に追い込んだ

 

「スラッシャー!」

 

「よお?見つけたぜ?てめえの魂……貰うぜ」

 

私を見てにたりと笑うスラッシャーを見たアルハリムは

 

「逃げるぞ!こい!」

 

アルハリムはそう叫ぶとスラッシャーに向けて稲妻を放ち走り出した……

 

 

 

 

スラッシャーとか言うネクロを見て私は理解した。1人では勝てないと

 

「紫!リーエ達はどこだ!合流しないと不味い!」

 

私1人なら逃げる事は容易いが、紫をそのままにしては置けない。私の後ろを走っている紫にそう尋ねると

 

「大分離れてる場所に落としてきちゃったの!直ぐには特定できないわ!」

 

ちいっ!応戦しながら場所を特定して転移するしかないのか

 

「戦えるんじゃないの!?」

 

紫の声に私は一瞬後ろを見て、再度スラッシャーを観察してから

 

「今の私では無理だ。万全なら戦えるけどね」

 

この世界に来たときに何故か魔力が減少していた。今の状態でスラッシャーと戦うのは危険すぎる

 

「ちょろちょろっと鬱陶しいね!!!」

 

魔力刃を乱射してくるスラッシャー。それはやはり高密度に圧縮されていて直撃すれば大怪我は必須だ

 

(なんとか距離を取らないと不味いね)

 

山を駆け下りていると丁度良い広さの湖の前に出る。ここだ!

 

「紫!リーエ達の補足を!足止めは任せて」

 

サイガスではなくヒムドラを構える。スラッシャーに攻撃が効かない理屈は単純だ

 

(あの障壁は並大抵の攻撃じゃ突破できない)

 

魔法障壁・物理障壁に加えて、空間を歪めている。普通の攻撃ではスラッシャーに届く前に威力が殺されてしまう。万全な状態で「覇剣」を使えば話は別だが、今の状態では壊す事に特化したヒムドラを使うしかないのだ

 

「へー?あんたあれでしょ?アルハリム?ヒャハ♪あたしあんたを殺せって言われてるのよね♪アヒャヒャ!ラッキー」

 

狂ったように笑いながらもその目は冷静なスラッシャーを見すえ、ヒムドラを構える

 

(さて掛かってくれるかな)

 

今私はスラッシャーと戦う気はない。一撃離脱、そしてその一撃の威力を高める事だけに集中する

 

「まーいいや!逝けよ!!!」

 

そう言うと剣を手に飛び掛ってきたスラッシャーに私は

 

「残念。逝くのはそっちだよ」

 

「ああ?」

 

スラッシャーが向かって行った私はサイガスとメビウスの複合発動で作り出した幻影。私はスラッシャーの後ろでヒムドラを構え

 

『地を破壊せよ』

 

『砕けえぬ堅さ』

 

『滅砕の釶』『砕けぬもの無し』

 

『砕け、破壊し、潰し、崩壊させよ』

 

『デストロイド・ヒドムラ』

 

スラッシャーの周囲に7つのヒムドラが現われ、その膨大な質量がスラッシャーに一斉に襲い掛かるが

 

「アヒャヒャ!その程度であたしが「止まるなんて思ってないよ!」

 

即座にメビウスに持ち替え詠唱に入る。スラッシャーの障壁を見て理解した、スラッシャーには連続でしかも大威力の攻撃を叩き込まない限り勝機はないと……そして今の私で倒すだけの魔力はない。ならば私に出来るのは、リーエ達と合流するまでスラッシャーの動きを封じる事だ。

 

『終わらない運命』

 

『囚われた人』

 

『断罪なる聖水』『神々の涙』

 

『全てを定め、固定の舞台で苦しみもがけ』

 

『アウトルス・メビウス』

 

無数の氷の矢がスラッシャーに当たりその動きを封じていく、だが私には判る

 

(これは時間稼ぎにしかならない)

 

スラッシャーの魔力はとんでもなく多い。一時的に封じ込めるのが手一杯だろう。だが今はそれで良い

 

「アルハリム!特定出来たわよ!」

 

紫の後ろにスキマが再度開く、それを見たスラッシャーがヒムドラとメビウスを押し返そうとするが、完全に押し込まれているこの状態で押し返せるわけもなく、氷の中に閉じ込められるスラッシャー

 

「今のうちだ!出来るだけ距離を取るんだ」

 

「判ってるわ!」

 

私と紫はスキマの中に飛び込みその場を後にした。あの感じだと抑える事が出来るのは良くて半日。それまでに何とかリーエ達と合流して、身を護る準備をしないと……私はそんな事を考えながらスキマの中に飛び込み、その場を後にしたのだった

 

第80話に続く

 




登場キャラが少ないので少々短めです。次回からはリーエ達も出てくるので少し話の内容にボリュームが出て来ると思います
しかしながら、東方のキャラの扱いは本当に難しい。もう少しリサーチをするべきだったと若干反省しています

それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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