第83話
「ガウガウ(いいよー)」
「ニャーオ(すまんな)」
私はカエデに林を持ち上げて貰いその隙間を通り進む。今私とカエデは周囲を念入りに確認しながら移動していた。ネクロと戦闘になれば今の私とカエデでは負けはしないが不利になる事は間違いない。戦闘をしないで目的地に向かいたいのだ
「ニャオニャオ(湖は?)」
周囲のネクロの気配がないことを確認し。飛行能力のあるカエデにそう尋ねると
「ガウ(あっち)」
少しだけ浮き上がりある方向を指差すカエデ。私はアルハリム様達のいる方角は理解している。このまま進んでも大丈夫だ……しかし思い出せば出すほどに怒りがこみ上げてくる……
「ニャオニャオ!ニャーニャー!!(お前が木を齧るから、私まで追い出されたではないか)」
寝ているところを霊夢に掴まれたうえに投げられ、カエデと共に結界の外に追い出されてしまった。張替えが終わり暫くしないと帰れないはずだ
「ガウガーガウガウ(甘くて美味しいの!)」
木が甘い?こいつの味覚はどうなっているんだと呆れながらも、私は進む先に湖を見つけ
「ニャウニャ!ミャーニャー!(とりあえずご機嫌を取らないと戻れない、食料を捕まえるぞ)」
アルハリム様は怒っていないだろうが、あの神社の主である霊夢
「ガウガウガー!(がんばる!)」
気合満点と言う表情をしているカエデと並んで私は湖の方に歩き出しながら、神社のほうにいるアルハリム様の事を考えるのだった。恐らく怒っているだろうと思いながら……湖で魚を捕えるために進むのだった、なおその頃アルハリムは
「霊夢。なんで私のラビリルまで投げたの?」
「え、えーとつい」
ペットのラビリルを結界の外に投げ出されたアルハリムは怒り心頭と言う顔をしながら、霊夢を見て
「二匹が戻るまで正座」
畳を指差しながら言うアルハリムに霊夢は不貞腐れた表情で
「なんで私が「石を抱くかい?斬ってきてあげようか?」
目が本気のアルハリムを見た霊夢はしぶしぶ正座しているのだった。それを見ていたリーエ達は
(((アルハリムを怒らせてはいけない)))
心の中でそう誓っているのだった……普段飄々としているヴィルヘリヤと紫の顔も引きつっている所を見る限り、相当な威圧感なのは言うまでもないだろう……
カエデと一緒に湖の前に来たところで私とカエデはある問題に気付いた
「ニャウ?ニャー?(泳げるか?)」
「ガウガウガウ!!!(無理無理無理!!!)」
ぶんぶんと首をフルカエデ、何回も海に落とされ川にシュートされたカエデの水に対する恐怖心は中々の物らしい
「ニャーニャー(スザクがいれば)」
あの爆発する羽で魚を一網打尽に出来るのに、だがスザクはリーエのフードで昼寝していたので、この場にはいないことが惜しまれる
パチャン
「ガウー♪(大きい)」
カエデの言うとおり大きな魚が跳ねるが、私の攻撃範囲外だし下手をすると凍らせて終わりである
(今取れたのは木の実だけか)
カエデの頭突きで落としまくった木の実を大量にカエデのリュックに詰め込んである。カエデは結構器用で両手を使える分私よりも優秀といえるだろう。しかしそれだけでは魚を取る事ができない、どうしたものかと考えていると
「ガウガウー♪(魚!魚♪)」
跳ねている魚を見て嬉しそうなカエデの身体が一瞬放電する。それを見て思いだした、カエデは電撃を使えると
「ニャーニャー!ニャオニャーオ!(威力を調整して湖に電撃を使えば浮いて来るぞ)」
「ガウ(おお)」
今気付いたという顔をしたカエデは尻尾を湖に浸し
「ガウガー!!!!」
気合と共に放電を開始した。一瞬湖の中が光った……威力調整は大丈夫なのだろうか?と一瞬不安に思ったが
プカプカ
次々と浮いて来る巨大な魚を見て成功したと思っていると、急にあぶくが出始め
ざぱあ!
「アウアウアウアウ」
白い何かが湖面から出てきて痙攣している。あれはなんだろうか?湖にいるということは魚。魚と言うことは
「ニャー!ガウー((食料!!))」
魚に飽きていると聞いていた、あれが何かは判らないが肉である事は間違いない。私とカエデは湖から出てきた生き物に襲い掛かるのだった。なお虎のラビリルと龍のカエデが気付くわけがないのだが、湖から這い出てきたのはアザラシであり、当然ながらネクロだったりする
テレテレー♪
野性のネクロが現れた
「ガーウ!」
「ニャア!」
ジオのカエデとアルハリムのラビリルは戦闘態勢に移行した
「アウアウ……」
野生のネクロは痺れて動けない……
カエデ
→戦う 道具
逃げる
→ずつき ほうでん
かみつく 10まんボルト
「ガウー!!!」
「アウ!?」
カエデの渾身の頭突きがネクロを吹き飛ばす。ネクロは2・3度跳ねてべとっと地面に寝転んだまま動かなくなる
「あ、アウうう……」
ネクロは怯んだようで、ぴくぴくと痙攣している
「ニャーオッ!!!」
ラビリル
→戦う 道具
逃げる
→ひっかく かみつく
こおりのきば こごえるかぜ
「ニャー!!」
ラビリルの爪はネクロの皮に弾かれ効果が殆どないようだ。そしてネクロも我に帰ったのかラビリルとカエデ目掛け
「アゥゥ……アウーッ!!!」
ネクロは勢い良く水を吐き出した。それは真っ直ぐに二匹を捕える
「ニャー!?」
「ガウ!?」
水が苦手なラビリルとカエデはその直撃を受けて怯む。そしてネクロは
「アウ!アウ!アウ!!」
必死に湖に戻ろうとしている。どうやら直接の戦闘力は低いらしい、だがカエデとラビリルもネクロを逃がすつもりはない
カエデ
→戦う 道具
逃げる
ずつき ほうでん
かみつく →10まんボルト
「ガウー!!」
カエデの身体が光り電撃が走る、それはネクロに直撃する
「アウウウウ!!!」
痺れているのか、それとも電撃のダメージのせいか?ピクピクと痙攣しているネクロに近づくカエデとラビリル
カエデ&ラビリル
カエデ
ずつき ほうでん
→かみつく 10万ボルト
ラビリル
ひっかく →かみつく
こおりのきば こごえるかぜ
大きく口を開いているカエデとラビリルを見たネクロはもがいて湖に逃げようとするが、カエデに尾を踏まれているので逃げる事ができず
ガブウ×2
「アウウウウウウウッ!?!?」
二匹に同時に噛まれたネクロの絶叫が周囲に響き渡ったのだった……
「アウウウウ……」
風に乗って聞こえてきた何かの絶叫に私達は1度作業の手を止めた。そして全員で顔を見合わせ
「「「今の声何?」」」」
今まで聞いた事のない鳴声にそれぞれがそう尋ねるが、何の鳴声か判らない。もしかしてこの世界特有の?と思い魔理沙さんを見るが
「知らないんだぜ?」
ではあの鳴声はなんだろう?私たちは首を傾げることしか出来ないのだった
「まぁあの鳴声がなんなのかはほっておいて、スラッシャーの攻略を考えましょう?」
アシラさんの言葉に頷き、スラッシャーの攻略の話に戻る。魔力を膨大に消費する三重の複合結界それを破らないと勝機はないのだが、スラッシャー自体も相当強い
「……なにかアイデアはありますか?」
「リーエの砲撃で魔力を使わせるのはどうだ?」
「……外れたらそれで終わりですよ?」
今の私では魔力の最適化が出来ず、必要以上に魔力を消費してアキシオン・スマッシャーを発動している。当たればいいが、外れたら完全に魔力を使いきり終わると言うと
「調整とか出来ないのかだぜ?」
「……難しいですね。あれは元々私の魔法ではないですから」
龍也様の魔法を真似しているので、私でアレンジするのは難しい。もっと知識があれば可能だとおもうんですが
「放ったとしても命中しないだろうな。スラッシャーの機動力は中々高い」
「防御力を過信せず機動力を持つネクロ。武器は近接だが、砲撃系を持っている可能性もあるな」
と言うか十中八九持っていると見て間違いないだろう。しかもこっちは霊夢さん達の護衛とスラッシャーへの対応の2班に分かれなくてはいけない。更にスラッシャーの障壁を突破する方法も見つからない
(八方塞ですね)
あの結界を破壊できる可能性があるのは、私とアシラさん。それとペガサスさんの剣技なんですが……
「俺は今回は力になれんぞ。わるいがな」
ペガサスさんはスラッシャーとの戦いで両腕を負傷した上に、クラウソラスを完全に破壊された。暫くは戦闘不能になっている、ヴィルヘリヤさんの呪いは使う前に倒されるだろうし、ヴォルガンドさんは武器が大きいから素早いスラッシャー相手だと不利
(……残るはジオさんの黒炎を出力全開で使うくらいですか)
しかしそれを使えばジオさんも戦闘不能になる。スラッシャーへの対策はかなり難航していた、今の戦力ではスラッシャーの結界を突破するのは相当厳しい
「ふー。ここら辺で1度休憩にしよう。煮詰まっているしね」
アルハリムさんの言う通りだ。ここは1度休憩しよう……丁度そのタイミングで
「キュー」
スザクが帰ってきて私の肩の上に止まる。どうやら外に出れるようになったようだ。暫くすればカエデとラビリルも帰ってくるはずだ
「ガーウ!」
「ニャー」
ラビリルとカエデが神社に帰ってきたのですが、2匹はそれぞれ魚や木の実を抱えて
「ガウ、ガウガウ」
「え?私に?」
アルハリムさんではなく神社の掃除をしていた霊夢さんの元に行き、頭を下げている。どうやらカエデは悪いことをしたと理解しているようで、霊夢さんに許して貰うために捕まえてきたのだろう
「ジオは良い育て方をしてるんだね」
「当然だ」
その割にはあちこちに齧り倒された木がありますけどね。霊夢さんは足元に置かれた魚と木の実を見て
「ふふ。ありがとう。それとほらあそこ」
「ガウ!?」
霊夢さんの指先には切られた木が並べられていた。この神社の材料と同じ者をヴォルガンドさんと一緒に取りに行っていたのだ。子供ドラゴンにそこまで目くじら立てるのも恥ずかしいとのことでカエデ用のを取って来たらしいのだ
「ガウー♪」
嬉しそうに鳴くカエデが木の方に走ろうとするが
「ニャー」
ドスの利いたラビリルの声に立ち止まり階段のほうに歩き出し
「ガウ!!」
両手で何かを掴む素振りを見せて尻尾を振っている。その様子を見るととても重そうだ……一体何を捕まえてきたんでしょうか?
「見に行くか、落ちたら危ないからな」
ジオさんが庭に下りようとした瞬間
「ガウー!!!!」
カエデの気合満天の声と同時に何かが宙を舞う。思わずその何かに皆の視線が集中する。短い滞空時間を終えたその何かは
「アうッ……」
べとっと音を立てて私達の前に落下した。白いもこもことした毛をしている魚のような生き物だ。胴体にある生々しい歯型は恐らくカエデとラビリルの物だろう
「なんだあの珍妙な生き物は」
「そうねえ?見たことのない生き物よねえ?」
「私も知らないね?」
ヴォルガンドさん達が首を傾げる。恐らくあの生き物はベルカの土地には生息していない筈だからだ
「どこで捕まえてきたんだ?あれ?」
「さあ……普通はこんな所にはいないわよね。魔理沙ここら辺って寒い地方?」」
「違うんだぜ?と言うかあれはなんなんだぜ?」
首を傾げる魔理沙さんを見ながら私はラビリルとカエデを見て
「……そのアザラシ。ネクロですよ?」
「「ガウ!?ニャー!?」」
驚いているカエデとラビリルの足元でアザラシのネクロは弱々しく
「アウ……」
と鳴いていたのだった……とりあえず、攻撃性の低いネクロのようですね。倒すのも可哀想ですし、治療をしてあげましょうか……私が庭に下りるよりも早く
「ギュッ!」
「アウ?」
イシュリさんが大事そうにそのネクロを抱えてイヤイヤと首を振っていた。その様子は龍也様の家で良く見たリィンさん達の姿に良く似ていて、そして何を言いたいのか大体理解できた
「……アシラさん」
「ん。判ってる」
ここは私達ではなくアシラさんの出番だ。だから私達は
「……カエデ達が捕ってきてくれた魚で料理でもしましょうか?」
「私は鍋が食べたいんだぜ」
「私はそうね。煮物かしら?」
食べたい物を言う霊夢さん達に頷きながら、私とアルハリムさんは魚を掴んで台所に向かったのだった……
ネクロを抱き抱えているイシュリの目線にあわせてしゃがみ込み
「イシュリが世話をするの?」
そう尋ねるとイシュリはネクロを抱えたまま頷く。ネクロもネクロで
「アウ♪」
ひれ?前足?どっちか判らないがそれでイシュリの頬をぺちぺち叩いている。攻撃する意図はなく、甘えているとも取れる
(うーん。どうしようかしら?)
イシュリは極端に意思表示が少ない、そんなイシュリが自分から行動するのを見ると成長していると思うんだけど
(ネクロなのよねえ……だけどスザクとかの事もあるしねえ)
リーエのスザクにアルハリムのラビリル。あの二匹もネクロだけど大人しい性格をしている。そのネクロよりも更に大人しそうなアザラシのネクロ……少し考えてから
「ちゃんと世話できる?」
「こくこく!」
何度も頷くイシュリ。その間もしっかりネクロを抱きしめている……情操教育にはいいかもしれないと判断し
「いいわ。イシュリが面倒見なさい」
ネクロだから少しばかりは危険だと思うが、あの様子を見る限りでは戦闘力は殆どないはず。ならイシュリの好きにさせようと思いそう言うと
「うん!」
「アウアウ♪」
嬉しそうに頷くイシュリとそのイシュリの腕の中で鳴くネクロ。あたしは確かにイシュリにネクロの面倒を見させるのは不安だけど……始めてイシュリが自分の意志を出してくれたのだからそれを尊重したい
「じゃあまずは傷の手当ね。噛まれて痛いんでしょう?」
イシュリの腕の中のネクロにそう尋ねると小さくアウっと鳴く。闘争本能が低い上に回復力も低いネクロ
(本当珍しいネクロね)
あたしはそう思わずにはいられなかった、ネクロは闘争本能の塊のはずなのにねと苦笑しながら
「おいでイシュリ。傷薬を出してあげるから」
ネクロを抱えたまま頷き、よろよろと歩いてくるイシュリを見てこれも良い傾向だと思いながら、あたしは神社の中に戻ったのだった……
「動いたら駄目だよ?」
「アウ……」
ぎこちな動きだが、ネクロの傷の手当をしているイシュリに手当ての仕方を教えながら、リーエ達が昼食と呼びに来るまでそのネクロの世話をしているイシュリを見つめているのだった……
第84話に続く
ポケモン風味の戦闘を出してみました。たまにはこういうのもいいですよね、新規ペットネクロはアザラシです。次回命名されますのでお楽しみに。なぜアザラシかと言うと、私が好きだからです。それ以上の理由はありません、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします