宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話はほのぼのをメインで進めて行こうと思います。ほのぼのはかいていて楽しいですからね。90話まではコラボをして行こうと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第87話

 

 

第87話

 

スラッシャーを倒したアルハリムさんの消耗はかなり激しく。出来る事なら白玉楼で休ませて上げたかったが、あそこは現世と冥界の境目らしく、養生には向かないとのことで博麗神社に紫さんに運んでもらった。霊夢さんも妖夢さんと言う故人がネクロに利用される事がなかったので一安心したらしく、今は寝ている。どうも精神的に大分張り詰めていたらしい

 

「……気分はどうですか?」

 

「悪くは無いよ。ただ動きたくは無いかな」

 

ラビリルを膝の上に乗せて座椅子に座っているアルハリムさんはかなり消耗しているように見える、次の世界に移動するのはアルハリムさんの体力と魔力が回復してからですね

 

「……良い天気ですね」

 

「そうだね。あとは私達の予想が当たっていると良いんだけどね」

 

スラッシャーに殺されたこの世界の住人はネクロ化できず、取り込まれていたのでは?と言うのが私とアルハリムさんの考えだ。もしこの考えの通りなら元いた場所に戻っているはずだ

 

「……ヴォルガンドさん達が戻るのを待つしかないですね」

 

私とアルハリムさんとイシュリさん。それとカエデとラビリルとレヴィルだけが博麗神社に残っている

 

「ガウ」

 

「アーウ」

 

カエデが背中の翼でぴこぴこと飛びながらレヴィルを抱えている。レヴィルは身体は大きいがその殆どが毛らしく非常に軽い。まぁある程度は本人(?)の意思で体重もコントロールできるらしく今は軽くなって空中散歩を楽しんでいるようだ

 

「♪」

 

そしてその2匹の後ろを楽しそうに歩いているイシュリさん。最近は良く笑うようになったし、アシラさんがいなくても話をしてくれるようになっている。これは確実に良い変化だろう

 

「リーエ。この世界にはもう1人半ネクロがいる。私はそのネクロに遭遇した」

 

ラビリルの頭を撫でながら呟くアルハリムさん。出会ったというのは恐らく、スラッシャーと共に白玉楼の結界の中に閉じ込められたときだろう

 

「……どんなネクロだったのですか?」

 

「知らないのに知っている。そんな不思議なネクロだった……もしかすると私には何か自分の知らない秘密があるのかもしれない」

 

たしかアルハリムさんが半ネクロになったときの記憶はあやふやで、もしかするとその時に出会っていたネクロなのかもしれない

 

「……探してみますか?」

 

もしそうなら見つけて話を聞くだけでも意味があるはず、今この世界の住人を探してペガサスさん達に連絡しますよ?と尋ねるとアルハリムさんは首を振って

 

「多分もうこの世界にはいないよ。かなり高レベルの幻術と転移術を持っていた、私の予想だが……リーエと同じく自由に平行世界観を移動できるネクロだとおもう」

 

転移能力を持つネクロは少なくは無いが、ある程度転移のコントロールを出来るネクロは稀少だ。大概のネクロがするのはランダム転移なのだから

 

「……という事は向こうはアルハリムさんには会いたくない?」

 

「判らないね。ただ少しアドバイスをされた事を考えると味方なのかもしれないけどね」

 

味方かも知れない半ネクロ。ラプスさんのような半ネクロがいるかもしれない……出来る事なら合流したいけどそうも言ってられないですか

 

「……羊羹きりましょうか?」

 

霊夢さんが食べると良いと用意されていた羊羹を思い出し尋ねる。疲れたときは甘いもの、特に和菓子は貴重だ

 

「貰おうか。お茶もお願いできるかい?」

 

「……判りました、少し待っていてくださいね」

 

私はアルハリムさんにそう声をかけてから、庭に面した部屋を後にしたのだった……

 

 

 

リーエが用意してくれた羊羹と緑茶を飲みながら庭を見つめる

 

「えい」

 

イシュリがボールを使ってカエデとレヴィルと遊んでいる。基本的に逃走を続けている私達にとってこういうのは酷く心が落ち着く

 

「ガーウ♪」

 

頭突きでボールをイシュリに返すカエデ。あの頭突きはその気になれば大木でさえ粉砕するような凶悪な物だが、イシュリ相手と言うことで随分と手加減しているのがわかる

 

「アウッ!」

 

レヴィルはレヴィルで器用に尻尾でボールを打ち返している。最初こそカエデとラビリルを怖がっていたけど、今はそんな素振りもないのでで馴染んでいるのが良く判る

 

「にゃー」

 

弾んでいるボールを見て尻尾を振りうずうずし始めたラビリルを見て

 

「いいよ。行っておいで」

 

「ニャーン」

 

嬉しそうに鳴いてボールを追いかけていくラビリル。分類的には虎のはずなんだけど、最近は随分と猫に似てきたような気がするね

 

「戻った。確かに住人は戻ってきているが、誰もこれも眠っているな。おきるのは随分先になりそうだ」

 

「魔力じゃなくて、妖力っていうのかしら?それが枯渇しているみたい」

 

集落を見て回っていたペガサスとアシラが戻って状況を教えてくれる。どうやらスラッシャーに倒されたこの世界の住人は全員無事なようだが、深い眠りに落ちているらしい

 

(それだけスラッシャーに力を吸い取られたと言う事か)

 

自身を強化するためにこの世界の住人を片っ端から吸収していたスラッシャー。ただ吸収しただけではなく、存在するのにギリギリまでその力を吸い取ったのだろう。おきるのはいつになる事やら

 

「……生きてるだけでも良しとするべきでしょうね」

 

「難しい所だけどね」

 

生きてるから良いとは言っても、目覚めないのでは死んでいることと同じ。霊夢達がどう判断するかだろう

 

「姉上。おかえり」

 

「アウー♪」

 

ボールで遊びつかれたのかレヴィルを背負っておかえりと笑うイシュリ。背中のレヴィルがひれをぴこぴこと振っている

 

「あのアザラシ意外と賢いんじゃないのか?」

 

ペガサスが羊羹を頬張りながら呟く。今日で3日目だけど随分と馴染んでいるのはレヴィルが賢いと言う可能性が高い

 

「イシュリちゃーんただいまーッ!!!」

 

そんなことを考えていると変態が嬉々とした顔でイシュリに飛び掛っていく。私とペガサスが止めようとする前に

 

キーン……

 

妙に甲高い音が響く。イシュリとレヴィルを見ると何故か共鳴しているのか魔力が上昇している。レヴィルとイシュリが見つめあう。イシュリはリュックを下ろし

 

「振りかぶってるな」

 

「振りかぶってるわね」

 

小さい身体をねじって飛び掛ってくるヴィルヘリヤを睨んだイシュリは

 

「れヴぃるはんま~」

 

遠心力を生かしレヴィルをハンマーのようにたたきつけた

 

「へぶうッ!?」

 

バットで打たれたように吹っ飛ぶ吹っ飛ぶヴィルヘリヤ。そしてその勢いでリュックから飛び出したレヴィルが

 

「アウー」

 

「げぼおっ!?」

 

その勢いのまま腹に突撃されたヴィルヘリヤはぴくぴくと痙攣して動かなくなった

 

「アウ!」

 

「レヴィル」

 

跳ねて帰ってきたレヴィルを抱えるイシュリを見ながら

 

「イシュリが良い感じにたくましくなってるね」

 

「そうね。まさかレヴィルを武器にするとは思わなかったわ」

 

アシラも若干驚いているのが判る。今まで引っ込み思案だったイシュリがたくましく成長している事に喜べばいいのか悲しめばいいのか悩むのだった

 

「クエー」

 

「ニャー」

 

「ガウガウ」

 

小動物3匹が砂や草をかぶせてヴィルヘリヤを覆い隠すのを見て。何か複雑な気分になりながら

 

「ジオとヴォルガンドも羊羹を食べるかい?」

 

とりあえずあの馬鹿はほっておいて、今は身体を休めることを優先することにしたのだった

 

「ひ、ひどすぎるわああ……」

 

涙を流しながら嘆いているヴィルヘリヤ。私は心の中で自業自得だよと呟き、羊羹を頬張るのだった……

 

 

 

 

カエデとラビリルにレヴィルが捕獲された湖の底では

 

「こんな物かな……」

 

アルハリム様があのネクロを倒すのを見届けてから、私はこの場所に戻ってきていた。今のアルハリム様が覇の技を使えば暫く動く事が出来ないのは判っている。だからこそ覇の技を使わせた

 

(少しでも時間が欲しかった)

 

アルハリム様は私も見て知らないのに知っているという気持ちになったはずだ。今は記憶が封印されていても、きっとその魂は私を覚えてるからだ

 

「今はまだお会いできないのです」

 

私も会って話をしたいと思っている。だが今はそんな時間がないのだ、黒龍皇は確実に動いている。スラッシャーは間違いなく黒龍皇の眷属なのだから

 

「これくらい情報を残しておけばいいでしょう」

 

結界の中で見ていたがあの白い魚の様なネクロはとても賢い。きっとこの場所のことをアルハリム様に伝えてくれるだろう

 

「では行くとしますか」

 

私はあの闘いの後からずっと眠っていた。現代の情勢も判らなければ今のネクロの侵攻状況もわからない、だが今言えるのは1つだけ、私が目覚めたという事は黒龍皇の目覚めが近いということに他ならない

 

(あの遺跡は大丈夫だろうか)

 

アルハリム様の本来の体と長い時間を掛けて捕獲する事ができたLV5ネクロ。あれがちゃんと無事に保存されているのか?それが不安で仕方ない。私は転移軸を確認して、一番最初にその遺跡が眠る世界へと向かった……

 

「ネクロの進行はなさそうですね」

 

まぁそれは当然ともいえる。これは一番最初にネクロが生まれ、一番激しい戦いのあった世界。魔力は殆ど吸い尽くされ、生きる者もいないネクロが態々侵攻するような世界ではない、茶色一色の荒野の中を進む

 

「開錠」

 

5重の対魔結界を解除し、その中に足を踏み入れる。埃っぽいと思っていたが、その遺跡は私がこの世界を後にしたままの姿をしていた。

 

(微生物も存在していないという事か、どこまでこの世界は滅んでいるのだろうな)

 

自分が思っている以上にこの世界は死んでいるらしい。しかし無理もないとおもう、何故ならこの世界は黒龍皇の生まれた地でもある。LV5達にとっては聖域ともいえる。彼らの創造主が生まれた世界なのだから……ゆっくりとその遺跡の中を進んでいると

 

(馬鹿な!?なぜ生き物の気配がする!)

 

遺跡の半分ほど進んだ所で感じた生きる物の気配。それを感じ警戒しながら遺跡を進み、LV5を捕獲しているフロアに足を踏み入れ

 

「お前は!?なぜお前が……」

 

そこにいたのは本来ここにいてはいけない存在であり。そして……

 

「やはりお前か。もっとも危険な場所に自分の基地を置く。お前らしいな。ライマクス」

 

穏やかな笑みを浮かべ、旧友に会った事に喜ぶ男。私だって本当なら喜びたい、だが……

 

「答えろ!何故お前が……お前が」

 

本来ならば私と同じく黒龍皇の抑止力になるはずの存在あるはずの騎士が

 

「なぜネクロなどになっている!答えろ!レリウスッ!」

 

何故ネクロなどに成り果てていると叫ぶ、レリウスは悲しそうに顔を歪め

 

「全てはあの方の為に俺はその為に人であることを止めた」

 

レリウスもまた私と同じくただ1人の存在を主と認めた。その為に生きていた存在だ……

 

「まさか!?」

 

私の頭を過ぎるのは最悪の結果の1つ。レリウスが主と認めた存在はアルハリム様と同じく黒龍皇を倒すのに尽力した魔道師。

 

「俺にその事を語る事はできん。だが……機会を待ってくれ。今の俺にはそれしか言えん」

 

レリウスはそう呟くと同時に溶けるように消えて行った。ここにいたのは私に今の自分の状況を伝えるために……自分の立ち位置から考えれば危険なはずなのに……

 

「……どうやら予想以上に時間が無い様だな」

 

しかも時間がないだけならまだしも、最悪の状況に進みつつあるらしい……私は深く溜息を吐きながら

 

「急がなければ……」

 

時間がない。少しでも早く戦力を整えなければ、私は焦りを感じながらこれからの事を考え

 

(他の存在を探さなければ)

 

アルハリム様と行動を共にしている聖魔王。残るは3人……そして1人は黒龍皇の元に落ちていると考えていい。残りの2人を早く見つけなければ……

 

第88話に続く

 

 




最後のは後々の伏線になります。どのような結末が待っているのか?そこを楽しみにしていてください!レイブンとライマクス。彼と彼女が何を考えているのか?そこを楽しみにしてくれると嬉しいですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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