宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回はまだ遺跡の捜索には入りません。今回は準備の話になります。後は半ネクロの里のほのぼのを書いていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第90話

 

第90話

 

シリウスさんに使うように言われた家で1度寝て起きてから、リビングに集まり遺跡の捜索の話し合いを始めようとしていると

 

「ただいま」

 

静かに扉を開いて入ってくるイシュリさん。その姿は珍しく汚れている……もしかすると遊んでいたのかもしれない。この集落には子供半ネクロもかなりの人数がいたはずだから。イシュリさんの後ろを楽しそうに鳴きながらカエデ達が姿を見せる

 

「アウーアー!」

 

「ガーウ!」

 

「ミャー!」

 

「ミー!」

 

この集落には危険な場所と言えば、あの遺跡くらいしかない。好きに出歩いて良いとは言っておいたけど、ずいぶんと遊んでいたようだ

 

「その手に持っているのどうしたの?」

 

イシュリさんの手の中には木の樹皮で編んだと思われる鞄があり、その中にはガラス瓶が数本見える

 

「……シリウスがくれた。木の実のジュースとパン。美味しい」

 

アシラさんにバッグを手渡したイシュリさんは大きく欠伸をしながら足元のレヴィルを抱っこする。最近はずっとレヴィルを抱っこしている、よほど気に入ったようだ。もちろんラビリルやカエデも抱っこしている事があるけど、レヴィルが圧倒的に多い。レヴィル自身もイシュリさんが好きなようで非常に大人しくしている

 

「昼寝してくる?」

 

欠伸を繰り返しているイシュリさんとレヴィルにアシラさんが尋ねる。イシュリさんは目を擦りながら

 

「うん」

 

アシラさんの言葉に頷きラビリル達と一緒に奥の部屋に向かうイシュリさん。その後を自然についていこうとするヴィルヘリヤさん

 

「座れ変態」

 

「へぼお!?」

 

ヴォルガンドさんがヴィルヘリヤさんの首を掴んで止める。その止め方はかなり荒っぽいが、口で言っても判らないのなら仕方ない事だろう。

 

「……とりあえず飲んでみましょうか?」

 

シリウスさんから貰ったというジュース。木で出来ているコップを人数分。私・アルハリムさん・ペガサスさん・アシラさん・ヴォルガンドさん・ヴィルヘリヤさん・ジオさんだから7人分のコップを用意して、そのジュースをコップに注ぎ、全員に回してから遺跡についての話し合いを始めるのだった……

 

 

 

イシュリがシリウスから貰ってきた木の実のジュースを1口飲んでみる。甘酸っぱくしかしそれでいてさわやかな風味が良い

 

「うん。美味しいわねこれ」

 

「ああ。美味い」

 

飲んでみると意外なほど美味しかったのかアシラとペガサスがそう呟く。ジオにいたっては無言で2杯目を注いでいる。渋い顔をしているのはヴォルガンドとヴィルヘリヤで

 

「甘い……俺の口には合わん」

 

どうもヴォルガンドは甘い物は苦手のようで眉を顰めている。ヴィルヘリヤは法衣の下に手を伸ばして

 

「これはこのまま飲むよりもお酒で割るべきよね」

 

さも当然と言いたげに酒を入れようとするヴィルヘリヤの手首を掴んで

 

「まずは遺跡を如何するか?の話し合いが優先だ。酒は後にしろ」

 

一応頭脳派のヴィルヘリヤの意見は重要だ。酒でつぶれてもらっては困るので酒の瓶を奪い机の上に置く

 

「えーッ!一杯なら大丈夫よぉ~だからちょーだい」

 

酒の瓶を取り返そうとするヴィルヘリヤ。このままだと話が進まない事を恐れたリーエが

 

「……終わるまで我慢したらお酒のつまみを作ってあげますから」

 

リーエの言葉を聞いたヴィルヘリヤははぁっと溜息を吐いてから

 

「それなら待つ。話し合いを始めましょう?」

 

はぁ……これさえなければ頼りになる参謀なのに……あとロリショタコンじゃなければ更に良かった。

 

「……あの遺跡は見てもらったので判ると思いますが、かなりの高密度の魔力に満ちています。転移で脱出するのはとても難しいと思います。勿論念話による会話も不可能だと推測されます」

 

リーエの話に頷く、あれだけの高密度の魔力を溜め込んでいる遺跡となると相当危険と言うのは言うまでもないだろう。私の夢で見た聖魔王の事もあるし

 

「全滅とまでは行かないが、全員でいくのは止めたほうがいいな。危険すぎる」

 

ペガサスの意見に頷く。全員で行って全員が罠に嵌まって動けなくなるという可能性もある。多少のリスクはあるがメンバーを分けていくのがベストだろう……だけど私の見た夢の事もある

 

「ベストなのは古代ベルカ文字を読めるリーエかアルハリムかヴィルヘリヤは絶対よね。後は戦闘になる事も考えて……あたしかヴォルガンドよね。ペガサスはまだ厳しいよね」

 

アシラの言葉に頷くペガサス。剣の再生はまだ終わってないし、腕も回復している最中だ。今連れ出すのは控えたほうがいいだろう……夢の話をするのはどうかと思うが……只の夢だとは思えないので

 

「私は夢を見た。この遺跡の奥にはジオの剣がある、それにこの遺跡には私の記憶に関係する何かがあると思う。だから私とジオとリーエ。この3人で遺跡に潜りたい」

 

私の言葉にリーエの視線が向けられる。何かを考えている素振りを見せるリーエは

 

「……夢とは言えその信憑性は?」

 

ペガサスが私を見ながら尋ねて来る。夢を根拠にするのは危険だ、だけど普段は夢を見ることがない私が見た夢で何かあるかもしれないと思うのは当然だ。それに私はその光景を知っていた……もしかすると夢ではなく現実に合った事かも知れない。私が忘れている記憶に関係しているかもしれないし

 

「自信があるよ。私にはあの遺跡が私を呼んでいるような気がしてならない」

 

声ではない、だけどどこかから私を呼んでいる気配がするのだというと、木の実のジュースを飲んでいたジオが

 

「俺も感じている」

 

胸に手を置いて真剣な顔をしているジオ。どうも私だけではなくジオにもなにか関係があるのかもしれない

 

「可能性は充分に考えられるわね。リーエ、私はアルハリムの考えに賛成よ。とは言え3人だと危ないから更にもう1人。古代文字を読める私か、浄焔を使えるアシラの4人編成で行くべきね」

 

ヴィルヘリヤの意見は正しい。ヴォルガンドの名を出さなかったのは恐らくこの集落に敵が来る可能性も考慮しているのだろう

 

「……そうですね。それで行きましょうか?私とアルハリムさんとジオさんとアシラさんの4人で遺跡に潜りましょう。ヴォルガンドさんとヴィルヘリヤさん、ペガサスさんは集落で身体を休めていてください」

 

リーエの言葉にペガサスが眉を顰める。生真面目なペガサスはこういう時に同行できない自分を恥じているのだろう

 

「出来るだけ早く身体を回復させる。危険だと思えば直ぐに脱出してくればいい」

 

ペガサスの言葉に頷くリーエ。4人で潜るというのはそれなりに危険だというのは判っている

 

「……とりあえず遺跡に潜る準備をします。色々と道具は必要だと思うので」

 

遺跡の中に潜るメンバーが決まった。次は遺跡を調べる道具の準備が必要だ、それにあれだけ山の中になっていることを考えれば遺跡の中が普通の状態とは思えないのでロープ等も必要だろう、否が応でも緊張感が高まる中

 

「ぷはああー堪らないわー♪」

 

ジュースを酒で割り親父臭いことをしているヴィルヘリヤに全員が脱力した。だけど緊張しているよりかは大分良い

 

「……何か作りましょうかね。色々ありますしね」

 

色んな世界で捕まえた魚や獣肉がある。まずは腹ごしらえをしてから装備の調達をしようと思い。私は机の上のジュースの瓶に手を伸ばし、その中身を煽るのだった……

 

 

リーエやジオ。アルハリム達がこの世界の遺跡に潜る為の準備をしている中。俺は両手をポケットの中にいれ集落の中を歩いていた

。どこか懐かしいと思う……この不思議な集落の存在に眉を顰めながら

 

(変な感じだ)

 

俺の生まれはれっきとした日本であり、こんな風景に懐かしいとおもう要素は何もないはずなのに……知らずにポケットの中で握り拳を作り、眉を顰める

 

(大分時間が経つのにまだ回復しないか)

 

幻想郷で戦ったスラッシャーの攻撃。剣を通して打ち合っただけだが……クラウソラスは砕かれ、俺の腕の傷はまだ再生していない……

 

(何故だ。何故ここまで回復が遅い)

 

普通ならもう回復していてもおかしくはない。俺よりも重傷のアルハリムが既に完治しているのに、それよりもはるかに軽症な俺の傷が回復していない。そこには何か別の要因があるのではないだろうか?

 

「ちっ……考えても判らんか」

 

いや理由は判っている。砕かれた俺のコア、こうして半ネクロとして転生はした。だが体内のコアは完全ではない……

 

(このままでは近いうちに死ぬか……)

 

最初は筋力の低下。次は戦闘時の違和感。そして今は回復しない身体……徐々にボロボロになっているのが判る。リーエには俺のほかにも仲間が増えた。だがそれでもなお、リーエには人間が必要だ。そう……あの馬鹿とリーエはあまりに似過ぎている

 

(少しは人格面のフォローをしておけ、八神龍也)

 

俺は八神龍也とは面識がある。俺の中ではあれほど馬鹿な人間はいない、いや人間と呼んで良いかも疑問が残る。あれはとことん壊れきった存在だ。人間と言えば人間とは言えんし、ネクロと言えばそうじゃない。八神龍也は人であって人ではないそんな異質な存在なのだ。短い間だったが、俺はそう感じていた。リーエは八神龍也を尊敬し、信頼している。知らずの内かリーエは八神龍也を真似している

 

「俺に何をしろと言うんだ」

 

死んだ筈の俺が生きていて半ネクロとしてこうして生きている。そして死ぬ間際に傍にいた八神龍也を尊敬し、再会する事願うリーエと共に旅をしているのは何の因果だろうか?

 

「……まだ死ぬわけにはいかんか」

 

こうして生きている以上なにか理由があるはずだ。それを知るまでは俺は死ねない……そして死ぬわけには行かないのだ。こうして生きている以上死んだ奴らの分まで生き抜いてやると決めたのだから

 

「なんにせよまずは剣の再生を考えなければ」

 

クラウソラスを回復させる事が出来る場所。それは平行世界の海鳴の地しかない、だが八神龍也のいた世界には俺の痕跡は存在しなかった。つまり俺が存在した海鳴の街を見つけること……それが条件なのだが正直かなり厳しいだろう。世界は無数に姿を持つ、その中の俺だけの世界。それを見つけることはどれだけ困難かはリーエを見ていれば判る。

 

「何かお悩み事ですか?話を聞きましょうか?」

 

集落の真ん中に位置している巨大な剣のモミュメントの前で小さな半ネクロの子供達と戯れていたシリウスにそう声を掛けられる。

どうも考え事をしている間に随分と集落の中に入り込んでしまったようだ

 

「いらん」

 

あの胡散臭い笑顔はどうも好かん。八神龍也と同じだ。あいつの笑みもまた俺にとってはあまり気持ちの良い物ではなかった

 

「そうですか、いつでもどうぞ。半ネクロにも祈る神はいますから」

 

そう笑うシリウス。俺は振り返りあそぼー、あそぼーと呟きながらシリウスに纏わりついている子供を見ながら

 

「神がいるならば何故半ネクロなんてものが存在している?」

 

「それもまた何かの運命なのでしょう。神意を人が知ることは不可能なのですよ」

 

……っち、この手の存在は何を言っても無駄だ、自分の信じる道を違える事がないのだから。

 

「ニャーオ」

 

「キュー」

 

「ガウガー」

 

「アウアウアウアウ」

 

「遊びに来た」

 

いつもの護衛軍団を連れて歩いてくるイシュリ。それを見た子供がイシュリのほうに走り出す、この場所はイシュリにとっては良い場所なのかもしれないな。歳の近い半ネクロが多く存在しているから

 

「さて、もう1度聞きますが。話をしませんか?」

 

子供が離れたので立ち上がりながらカソックの埃を払うシリウス。

 

「いらんと言っている」

 

そうですかと呟くシリウスに背を向けて再び集落の中を歩き始める。いや俺の目的地は集落なのではない、なんと言えばいいのか判らないが、何かが俺を呼んでいる気がする。俺はそれを探し、遺跡が存在しない山中に足を踏み入れたのだった……

 

 

 

リーエとアルハリムと話し合いながら道具を集め終え、リュックの中に詰める。遺跡の内部が判らない以上、魔力を使う収納は持ち込まないほうがいいと判断し、リーエのローブも今回は使わない事にした

 

「まぁこれだけあれば大丈夫だろう」

 

幸いにも食料を運んでいるリュックなどは色々な世界で集めているので問題なく、俺とリーエとアルハリムとアシラの分があるから心配はない。

 

「……他にもなにか準備をしておくべきなのでは?」

 

慎重な性格のリーエがそう呟く。未知の遺跡なのだから色々と準備をしたほうが良いとおもうのは当然だが

 

「中が判らないのは確かに不安要素だが、もし中に入って魔力が使えなくなると困る。程ほどにしておくべきだろう」

 

外からでも判る魔力を放つ遺跡。間違いなく何かの仕掛けが生きている。もし中に入って魔力が使えなくなれば、リーエとアルハリムは外見相応の体力と腕力になる。運べなくなる可能性を考えれば必要最低限の装備で大丈夫のはずだ

 

「ジオの意見は最もだね。ロープとナイフとランタン。それと食料と水分。後は地図に磁石に念のための医療道具……まぁこれだけあれば大丈夫だろう」

 

半ネクロの再生力を持てば平気の筈だが、念の為に備えておけば良い。最悪遺跡の中で再生能力が無効化されたとしても、医療道具があれば応急処置程度にはなるはずだ。

 

「……そうですね。その可能性も考えられますよね」

 

こんな寂れた世界で異常な魔力を発生させる遺跡。何が怒るか判らないが、あまりに警戒するのも余計に危険だ。ある程度はその場で考えたほうがいいだろう

 

「まぁこれくらいだろう。後は明日次第だな」

 

考えられる限りの装備は整えた。敵がいる可能性も考えられるが、それを言えば罠があるかもしれないなど考える事は山ほどある。

開き直るわけではないが、なるようになる程度の心構えの方が良い。

 

「少しばかり休んで明朝から遺跡に潜ろう。危険と思えばそく脱出。これでいいね?」

 

確認と言う感じで尋ねて来るアルハリムに頷き。俺は自分の分の鞄を担ぎ

 

「少し部屋で休む。後でな」

 

魔力と体力はある程度回復している。だが何度も言うが未知の遺跡……完全に体力と魔力は回復させておきたい。俺はそう判断し、自分の部屋に向かい木々の生い茂る山を見つめて

 

「蛇がでるか、鬼が出るかか……」

 

俺の剣が眠るという遺跡。そこに何があるのか?アルハリムや黒龍皇に関係する記述があればいいのだか……俺はそんな事を考えながらハンモックに寝転がり目を閉じ眠りに落ちるのだった……

 

 

 

遺跡の中を進む影。アークだ……アークはその手に魔力の光を宿し奥へ奥へと進んでいた

 

「また分かれ道。随分と入り組んでいますね」

 

偶然転移して来たこの世界。何かあるのかもしれないと判断し、遺跡の中を捜索しているのだが丸1日潜っているのが判るのはとんでもなく、この遺跡の中は入り組んでいるという事だった

 

「さてさてどうしますかね」

 

今の所はめぼしい物がないが、もしかすると見つけられていないだけと言う可能性もあるので、そう簡単に引き返すことも出来ない。それにリーエ達の気配もするので出るわけにもいかない

 

「もう少し進んでみますかね」

 

魔力の回復が終わるまでは大分時間が掛かる。それまではこの遺跡にいても良いかも知れないと思い一歩足を踏み出し

 

ガコン

 

「はい?」

 

何かのスイッチを踏んだ気がする。汗がぶわっと噴出すの感じる。何かとんでもなく嫌な予感がする!咄嗟に振り替えると目の前には私を飲み込まんとする大量の水の姿

 

「は?がぼおおおおおおッ!?!?」

 

プロテクションを張る。転移して逃げるなどの考えが浮かぶ前に私は水に呑まれ、強制的に更に奥の階へと流されていくのだった……

 

「何処かの馬鹿が罠に掛かったみたいね。やれやれ」

 

上の階から流れる水の音を聞いた女性は肩を竦め、手にしていた杖に光を宿し更に奥の階へと進んでいくのだった。リーエ達が潜ろうとしている遺跡。そこには2人の先客がいるのだった……片方はリーエ達と同じく、この遺跡を知らないアーク。もう1人はこの遺跡の事を熟知している女性……どうもこの遺跡にはリーエ達も知らない秘密が隠されているようだった……

 

第91話に続く

 

 




次回は遺跡捜索編で行きます。アークや別の人物も捜索している遺跡の内部。ここに何があるのか?ジオの剣だけではありませんよ?別の要因も用意してあります。ただ遺跡捜索を上手くかけるかは不安ですが、頑張ろうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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