宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話からはリーエ・ジオ・アルハリム・アシラの遺跡編とペガサス・ヴォルガンド・ヴィルヘリヤ・イシュリ・マスコット軍団の集落編の2つのサイドで進めて行こうと思います。シリアスとほのぼのを上手く書き分けることが出来ればいいなあと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第91話

 

 

第91話

 

たっぷりと休養を取った翌日、日が昇る前に私達は遺跡の前に来ていた。見送りに来たのはヴォルガンドとヴィルヘリヤ、ペガサスは昨晩から家に戻ってないが、危険はないので多分大丈夫だろうと判断している

 

「気をつけてな。危険だと感じたら引き返して来い」

 

「そうよお?命あって物だからね?」

 

ヴォルガンドとヴィルヘリヤに見送られ遺跡の中に足を踏み入れる。私達はそれぞれ普段は背負わないリュックを背負い、それぞれ水やロープを持って来ている。その理由は

 

「やっぱりだね。大分きつい……」

 

遺跡の内部は魔力のコントロールが出来ないようにするためか、それともエグザディアのせいなのか?それとも両方か?何が理由かは判らないけど、魔力がかなり不安定になってしまう

 

「……あ」

 

バシュっと空気が抜けたような音と共にリーエのローブがその形状を待機状態にする。どうも維持に使う魔力が殆ど0でも強制的に解除されてしまうようだ

 

「アシラ。お前はどこか違和感は?」

 

ジオが自分の身体の動きを確認しながら尋ねる。私も軽く手足を動かして確認する

 

(特に違和感はなし……魔力の収束が難しいだけみたいだね)

 

戦闘は無理そうだけど、普通に身体強化と魔力を明かりにする程度なら問題なく使えそうだ

 

「あたしはどこも異常なし。むしろ調子が出てきた感じね」

 

アシラは言葉の通り元気そうだ。どうも半ネクロである私達だけが感じている違和感のようだ

 

「……私は大分しんどいですね」

 

リーエは声に元気がない。私とジオとリーエの違い……考えられるのは

 

(魔力の適応化かな?)

 

リーエは細かい魔力調整が上手くできていないのだろう。だけどこればっかりは自分で覚えるしかないので

 

「ゆっくりこの遺跡の空気に合わせて行けば良いよ。ゆっくり進んでいこう」

 

リーエを先頭にするのは危険だし、元々そんなつもりはなかったので

 

「ジオ先頭を頼むよ」

 

「任せておけ」

 

左手に魔力の光を作り出し、ゆっくりと進んでいくジオの後ろに私とリーエと続き、最後尾にアシラの順番で進む

 

「暫くは一本道のようだ。地下に進めばいいのか?」

 

先頭を進んでいるジオの声に少し考える。夢で見たとは言え、途切れ途切れにしか見ていない。

 

「……多分それでいいはず」

 

考えてみても判らないのでそう言うと最後尾のアシラが

 

「大丈夫なの?」

 

不安そうに言われても困る。私だって正直不安なのだから

 

「大丈夫とおもうしかない。とりあえず地下だ、地下に向かって進んでいこう」

 

夢で見た場所まで来れば少しは方向性が判る。まずは地下に進む階段、それを見つけることが最優先目標だ

 

「……敵の気配はないですから、焦らないで進みましょう」

 

リーエの言葉に頷き、私達はゆっくりと暗い石造りの通路を歩き出したのだった……

 

 

 

リーエ達が遺跡に潜ったのを確認してから私とヴォルガンドは、今借りている家へと向かい歩き出した

 

「1回で捜索が終わると思うか?」

 

歩きながら尋ねて来るヴォルガンド。私は少しだけ振り返り

 

「……結構な長丁場になるかもしれないわね」

 

索敵タイプの私には判るが、あの遺跡は魔力がかなり不安定になっている。恐らくだが、ある場所では魔力が使えて、ある場所では魔力が使いにくいという現象が起こるはずだ。魔力を使える場所で転移の魔法軸を刻むとして

 

「早くて3日くらいかしらぁ?」

 

あの山全体が遺跡なのだから、恐らくそれくらいは時間は掛かるだろう。罠などがあると考えると更に時間が掛かると見ていいだろう

 

「……そうか」

 

溜息を吐きながら呟くヴォルガンド。珍しいわね、こいつが溜息を吐くなんて

 

「どうしたの?そんなにこの集落嫌?」

 

緑に溢れているし、空気も綺麗だし、それになにより可愛い子供がたくさんいる。私にとっては天国のような場所なのだが

 

「お前のような変態をこの場所に存在させる事に不安がある」

 

「それ酷くないかしらぁ?」

 

ロリだろうがショタだろうが、可愛いから愛でようとする事のどこがいけないことなの?と呟くと

 

「それ自体が駄目だ、少しは自重しろ」

 

それは私にとって最も縁のない言葉だと思う。私は自分のやりたいようにやる……と言ってもロリとショタを捕まえることではなく

 

「昨日聞いたんだけど、地表に顔を出している遺跡があるらしいの、私はそれを調べに行くから」

 

どうもシリウスに聞いた話では、この集落の近くには別の遺跡があるらしく、それを調べてみようと思っている

 

「……ラビリルを監視につけるか」

 

ぼそりと呟くヴォルガンド。ラビリルはいっつも私の頭をかむし、引っかくので

 

「スザクの方がまだましなんだけど?」

 

嘴と爆破の1回攻撃の方がまだましだ。1回で済むから、だけどラビリルのは連続攻撃なので辛い

 

「知らん。日ごろの行いの悪さを悔いろ」

 

……なんか最近ヴォルガンドの私への対応が酷い気がする。これは絶対アシラとかペガサスのせいだ……

 

「そう言えば最近ペガサス見ないわね?どうかしたのかしら?」

 

この集落にいるのは判っているんだけど、あんまり家に戻ってこないし……話もしない。元々愛想がいい性格ではないけど、最近それがますます酷くなっている気がする

 

「あいつにはあいつの目的がある。ほっておけ」

 

「何か知ってるんじゃないの?」

 

一瞬目が泳いだヴォルガンドにそう問い詰めるが、ヴォルガンドは

 

「気のせいだ。イシュリを1人にするのは心配だから戻る」

 

そう言って早足で歩き去ってしまう。これは間違いなく何か知っているけど、話す気はないって感じね

 

「さーて。じゃあ行きますか?監視役?」

 

「ミャーオ」

 

私の足元で牙とつめをむき出しにしているラビリルにそう声をかけ、シリウスに聞いた遺跡を探して平野へと足を向けたのだった

 

「運んでくれたりしないの?」

 

見たところ遺跡の姿はない、かなり遠くにあることに気付き、足元のラビリルにそう尋ねる。変化してくれたらかなり移動が楽だと思ったんだけど

 

「……ニャフ」

 

心底嫌と言う感じの鳴き声に私は溜息を吐き、ゆっくりと平野の中を歩き出したのだった……

 

 

 

1・2階は殆ど一本道で進んでいるうちに階段を見つけて地下へと進む事ができたけど……

 

「大分入り組んできたね。どっちだと思う?」

 

手にしている紙に地図を書き込んでいるアルハリムの問い掛けにあたしは周囲を見て

 

「かなり難しいわね」

 

今あたし達がいるのは広間のような場所で東西南北にそれぞれ通路がある。ジオは周囲を見て、苛々とした感じで足踏みしながら

 

「別れて進むのは「ちょっと静かにしてようね?」……はい」

 

とりあえずこのアホの子を放置するのは危険なのでそう声をかけておく、下手をすると1人で突撃しかねない

 

(頭はいい筈なのに……不思議ね)

 

一応王子として教育を受けているらしく、意外と頭がいいし知識もあるのに。何故かアホの子だ……一体何故なのだろうか?

 

「……北の通路に進みましょう。たぶんこっちです」

 

注意深く通路を見ていたリーエが振り返りながらそう言う。アルハリムは地図を書きながら

 

「根拠は?」

 

リーエはにっこりと笑い天井を指差しながら

 

「……天井です。当時はまだデバイスが普及してなかったのではないでしょうか?だから松明で進んでいた。そう考えると天井に煤がついているのも納得できるのではないですか?」

 

そう言われて天井を見ると北の通路の天井だけ煤がついている。

 

「凄いわね。どうしてそんなの知ってたの?」

 

あたしも魔力を使うのに大分なれているので天井の煤なんて気にも留めなかった。リーエも恐らく同じはずなのにと思い尋ねると

 

「……龍也様です。遺跡とかを調べるときは天井を見ろと」

 

……1回あたしも龍也って人に会いたくなったわ。こんな子供に一体何を教えているのだろうか?

 

「なるほど、納得だ。あの男はどこかずれていたからな」

 

お前もだ……ジオ。お前も充分ずれていると言いたかったが、それをあえて言わず

 

「それじゃあ上を見て進んでみましょうか?」

 

松明の煤を目印に暗い通路を進んでいく、ジオの魔力光のおかげで普通に見えるのがありがたい

 

「ほんとこうして見ていると道に迷わないわね」

 

煤は迷う事無く1つの道を進んでいる。どうもこの遺跡を作った人物は何回もこの場所に足を運んでいたようだ

 

「……ジオさん。エグザディアと言う剣に付いて何か知らないんですか?」

 

アルハリムが夢で見たジオの剣。名前はエグザディアと言うらしいがそれしか知らない。ジオに関係する剣なら何か知っているかもしれないと思ったのかリーエがそう尋ねる。ジオは前を見て進みながら

 

「混属剣と言う剣の銘がエグザディアなら知っている。元々俺の家系は闇と光と2つの属性を宿す一族だったらしい、その力ゆえに疎まれていたらしいが……」

 

相反する2つの力を使う事のできる一族。確かに疎まれ、危険視されても仕方ないないことだろう

 

「まぁ私からすれば愚かとしか言いようがないね。元々は魔皇を言われていた家系だけど、聖王と共闘してから聖の文字を称号としていただき、聖魔王と名乗るようになったんだっけ?」

 

聖魔王……たいそうな2つ名を貰ったようだ。ジオはああっと小さく返事を返し

 

「代々伝わっているのは相反する二つを1つにする宝剣があり、その所有者が初代聖魔王と言う事だけだ。しかし伝説の物で存在しているとは思ってなかったが……」

 

初代が使った剣……威力ゆえに封印されたか、使いこなせないから封印されたか?そのどちらかだと思う

 

「……先が少し明るくなってきましたね」

 

リーエの言葉に天井ではなく正面を見ると確かに明るくなってきている。それに

 

「水の匂いがするわね、それにこの音は滝かしら?」

 

ドドドっと凄まじい水の音が聞こえる。遺跡の中に滝?と思いながら通路を進み

 

「そのまさかですか」

 

道は途切れて、目の前には滝と木々が見えている。上を見ると日の光が入ってきてる

 

「変わった作りの遺跡だね。日の光を入れている理由はなんだろうね」

 

そんなのあたしが知りたい。何を考えて作ったのだろうか?

 

「しかし行き止まりだぞ?道を間違えたのか?」

 

「うーん。隠し通路とかかな?」

 

松明の煤を辿ってきたのだから道としてはこれであっているはず。となると隠し通路、もしくは

 

「下かな?」

 

途切れている道をみるとかなりの高さがあるのが判る。魔力が使えればリーエ達は空を飛んで、私はマギマテリアルで通路を作り進む事が出来るが、残念ながらここはまだ魔力を使う事ができないのでそれも不可能だ

 

「……ロープですね。ゆっくり下って行きましょう」

 

丈夫そうな柱にロープを結んで体重の軽い、リーエ・アルハリム・あたし・ジオの順番でロッククライミングの要領で降りていく

 

「下は結構広いのね」

 

先に下りて待っていたリーエとアルハリムにそう声をかける。滝の下には通路が広がっていて、まだまだ先が長いように見える

 

「そうみたいだね。これは本当に長丁場になりそうだよ」

 

やれやれと肩を竦めるアルハリム。そして最後に降りてきたジオと合流し、捜索を再開しようとして

 

「……アシラさん。私は今とても見たくないものを見ています」

 

リーエの心底嫌だという声に振り返り、視線の先を見ると

 

「うわ……」

 

思わずあたしもそんな声が出た。あたしとリーエノ視線の先では何度か見たカソックの青年が仰向けで流れてきていた

 

「アークだね。しかも気絶してる」

 

手を伸ばせる距離でもないし、かと言って助けるような仲でもない。むしろ敵だ……ゆっくりと流れていくアークはそのまま滝壺のほうへと流されて行った

 

「あれで死んでいると良いな」

 

滝壺に堕ちていくアークを見てジオがそう呟く。かなり人でなしなことを言っているが、敵だから仕方ない。アルハリムはアルハリムで

 

「無理じゃないかな?」

 

半ネクロの生命力は並ではない、多分あの程度では死なないだろう。もしかすると頭を打って記憶喪失くらいはあるかもしれないが……

 

「……とりあえず進みましょう」

 

流れて行ったアークは見なかったことにして、あたし達は再び暗い通路を進み始めたのだった……

 

 

 

 

リーエ達が遺跡の内部で衝撃的な出会いをしている頃。集落では

 

「アウ~」

 

池でプカプカと浮いているレヴィルを見ているイシュリと2人の少女

 

「可愛い……」

 

背中に翼と短い角を持つ半ネクロの少女、「みー」は始めているアザラシに完全に魅了されていて

 

「ガウ!」

 

「くれるのですか?ありがとう」

 

近くの切り株に座り本を読んでいた、鳥の翼を持つ半ネクロの少女「メーヤ」はカエデから差し出された木の実を受け取っていた

 

「ぐるぐる」

 

「アウ!」

 

イシュリの言葉で池の中をゆっくりと泳ぎながら回転するレヴィル。それを見てぱちぱちと拍手をするみー

 

「かわいい。抱っこしたい」

 

池から少しだけ顔を出しているレヴィルを見て呟くみー。だがイシュリは少しだけ困ったような顔をして

 

「……濡れてるよ?」

 

イシュリの言葉の通り、レヴィルは水の中なのでびしょびしょだ。今は抱っこできないだろう

 

「メーヤ」

 

みーに声をかけられたメーヤは鞄からタオルを取り出し、イシュリにそれを差し出して

 

「これで拭いて上げてください。どうしても抱っこしたいみたいなので」

 

うずうずしているみーを見たイシュリはおいでとレヴィルに声をかけて、渡されたタオルでレヴィルを拭く

 

「あふ」

 

撫でられているのが気持ちいいのか目を細めるレヴィル。イシュリは綺麗に水気を取ったレヴィルを抱き上げて

 

「はい」

 

「ありがとう♪」

 

みーはレヴィルを抱っこして頬ずりしている。レヴィルは慣れた様子で尻尾を振り前足を振っている

 

「いいの?イシュリの友達なんでしょ?」

 

足元で丸まっているカエデと木の上で近くを見ているスザクを見ながら、メーヤがそう尋ねる。イシュリはみーとレヴィルを見て

 

「みーも友達。友達だから……良いの」

 

イシュリは小さく笑いながら言う、今まで姉と言える存在はいたかもしれない、だけど友達はいなかった。だからイシュリはこの集落で出来た初めての友達がとてもうれしかったのだ

 

「そう。ありがとうね。イシュリ」

 

「うん」

 

そしてみーもまた同年代の半ネクロはあまり存在せず。メーヤと言う姉はいたが、友達はいなかった。イシュリにとってもみーにとっても互いは初めて出来た友達だった。

 

「イシュリもあそぼー」

 

「うん」

 

みーに呼ばれて歩いていくイシュリ。これも以前からは信じられないといえる。人見知りが激しくて、喋る事もあんまりしなかったイシュリがこうして話をしている。アシラが見れば相当驚くだろう、メーヤはそれを知らないので、面倒見の良い子と言う認識をしていた

 

「ガウ」

 

「なーに?遊んで欲しいの?」

 

「ガウガウ」

 

膝の上に頭を乗せてきたカエデを見てメーヤは仕方ないわねと苦笑して、読んでいた本を閉じてカエデを自身の膝の上に乗せて頭を撫で始めた。メーヤの視線の先ではボールを使ってレヴィルと遊んでいるイシュリとみーの姿があり

 

「平和ねえ」

 

楽しそうに笑うメーヤ。半ネクロと言う特性上変化がない村に起きた変化。それが良い変化だったのが嬉しいのだろう

 

「ガウガー」

 

短い手足を振っているカエデに苦笑しながら、楽しそうに遊んでいるイシュリとみーを微笑ましそうに見つめるのだった……

 

「イシュリー、みー♪」

 

木の実を抱えて走ってきたセイも加わり、明るい日差しの下。穏やかな時を過ごしているのだった……

 

第92話に続く

 

 




次回も遺跡編を続けて行きます。滝に流されていたアークは当然生きているので心配しないでください。むしろ半ネクロなのでその程度では死にませんので、多少のダメージはあると思いますがね。次回は単独行動をしているペガサスの視点から入っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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