宵闇の使者【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回も引き続き遺跡編で進めて行きます、この話のイベントが今後の宵闇に大きく関係するので少し多めに話数をとろうと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第92話

 

 

第92話

 

平原に半分くらい埋もれつつ進むラビリルの後ろを通って平原を進む。大分進んできたけどそれらしい物は見えず

 

(騙された?)

 

おかしい……言われていた距離では、そろそろのはずなのにと思っていると、足に固い感触がする……だけどそれらしい物は見えず。そして先導していたラビリルの姿はない

 

「もしかして……」

 

手を伸ばすと何もない空間に飲み込まれるようにして消えていく、間違いない。高レベルの幻術だ……

 

(平原全体に幻術、一体何が……)

 

思い切って結界の中に飛び込むと、その中にあったのは巨大な剣をモチーフにした台座と石造りのストーンサークル……どことなく

集落にあったものと似ているが、大きさが桁違いだ。それに何か特別な加工を施されているのか清浄な魔力に満ちている

 

(これを模して作ったのね)

 

結界の中に眠る剣の遺跡。それに空気も浄化されていて遺跡よりは神殿と言う雰囲気だ。私は足元で蹲っているラビリルに

 

「嫌だと思うけど我慢しなさい、おいで」

 

ぐったりして尻尾にも力がないラビリルに声をかける。ラビリルは少しだけ顔を上げて

 

「ふぎゃあ」

 

心底嫌そうにするラビリルを抱き抱える。小型のラビリルにはこの空気は耐えれない、私だと若干辛い程度だが……これは純粋に魔力要領の違いだろう。

 

「さてと何があるのかしら?」

 

これだけの結界と幻術。これで何も無かったら冗談がきつい……そんな事を考えながらぐったりしているラビリルを頭の上に乗せて、剣に近づく……台座に埋め込まれる形の石碑を見て

 

「なるほどね……段々見えてきたわよ。アズタミアの真実が」

 

滅んでしまったアズタミア。一説には伝染病や呪いと言われていた、だが真実はその両方だった

 

【あの黒き龍を倒し、国に平和が訪れた――

 

 

【ように見えただけだった。国は私と英雄殿を除き、全て黒き者になってしまった。負傷して動けない私の代わりに、英雄殿が水槍の雨で浄化して下さった……悲痛な表情で、水槍の雨を降らしていた】

 

これが間違いなく、アルハリム。この伝承……いや記録だ。この時生き残ったもう1人……それがこの神殿を作ったんだ……

 

【水槍の雨が止むと同時に、英雄殿は悲しみの余り、泣いてしまった。ああ、そんな顔しないで下され……英雄殿】

 

この記録を作った人物は相当アルハリムを思っていたのだろう、この刻み込まれた言葉から嘆きと悲しみを感じる

 

「さて?隠れてないで出て来たらどうかしらぁ?」

 

「気付いていたのか」

 

空間から現れ出たローブの女。ちょっとずれたわね……まぁ当たっていたから良しとしましょう

 

「さーて?そのローブの下の素顔を見たいわねえ……」

 

声からして女……体格から考えて……私と同じくらいか、リーエより少し年上って所かしら……

 

「断る。まず顔を見せるのは我が君だけだ」

 

浮き上がり私をかわす。私は飛ぶ事が出来ない、この場所に居るだけでも集中力が途切れ、それ所ではない……恐らく山の中の遺跡に潜っているリーエ達も同様だろう。この世界の遺跡はどうもネクロの魔力を分解する効力があるのかもしれない……

 

「ふーOK。顔を見せろとは言わないわ、アルハリムに伝言は?」

 

ぴくっと肩を動かすローブの女……間違いないわね。この女がアズタミアの記録をしていた存在。恐らく幻想郷の前の遺跡で眠っていた張本人。出来る限りの情報を得ようと思ったのだが

 

「今は何もない。ここに来たのは偶然だ……まだ会うつもりはない」

 

現れた時と同じように消えていく……あらら。気難しかったみたいね……

 

「思いでかあ……それとも何かしらね」

 

この場所には何かある。だけどそれは残念ながら私には判らない……アズタミアの人間じゃないとその仕掛けを解除する事ができないのだろう

 

「あーもう少し後で来れば良かった」

 

まが悪かった。せめてもう少しタイミングが遅ければ……巨大な剣の台座に埋め込まれた石碑。その真ん中にある何かを埋め込むような窪み……何かの鍵で開かれる通路なのだろう。そして恐らくアルハリムはこの鍵を持っていないだろうし、あの女も私達がこの世界にいる間は姿を見せることはないだろう

 

「記録だけしていきますか」

 

石碑の言葉を手帳にメモをして、その場を後にする。どうせこれ以上調べても結果は変わらない、あの扉を開けることが出来ないのだから、それにラビリルも弱っているし……これ以上無理にこの場に居る必要はない

 

(さてさてどうしましょうかねえ)

 

会った事を話すべきか、話さないべきか……とりあえず戻ってから考えるとしましょうか……

 

 

 

俺は何故かこの集落の外れの山に足を何度も運んでいた……

 

(ここに何かあるのだろうか)

 

見た所何もない、だけど何故か俺はこの場所に来たくなる……何もない場所なのに……

 

「何をしておられるのですか?」

 

「シリウス」

 

呆然と空を眺めていた俺に声をかけるシリウス。今ならば誰も居ない……懸念していた事を尋ねて見るいい機会かもしれない

 

「いや、ヴォドォンと呼ぶか?」

 

狂信者ヴォドォン。全てを腐らせると言う稀有な能力を持っていたLV4。俺は大分前に死んだから知らないが、もしかするとと思い尋ねると

 

「どちらでもどうぞ」

 

シリウスの返答は肯定だった。空を眺めているシリウスに

 

「何があった」

 

あの狂人がここまでなる、だが守護者が何かしたとは思えない。あの男もまた狂人に含まれるからだ……とてもではないが、こいつを矯正出来るとは思えない

 

「道をね。教えてもらったんですよ、たかだが10年前後しか生きてない少女に……」

 

小さく笑うシリウス。あのIS学園とかにいた人間のうちの誰かか……

 

(誰だ?)

 

色々いた気がするがあんまり覚えていない。なんか馬鹿そうなのが居たが、そいつではないだろう

 

「それで?貴方も死んだはずですが?」

 

「いろいろあってな。今はリーエの子守りをしている」

 

リーエはあの馬鹿と同じ人種だ。止めれる人間が必要だろう

 

「貴方が子守り、面白い冗談だ」

 

楽しそうに笑うシリウス。だが俺からすれば

 

「お前の方がおかしいだろ?」

 

あれだけの殺戮とネクロを神の奇跡と言っていたヴォドォンが集落の長。一体何の冗談だと思った

 

「いえいえ、おかしくないですよ。元々私は神父ですしね」

 

「そう言えばそうだったな」

 

あれだけ狂っていたが元は神父だったと言われれば不思議と納得だ

 

「それで?なぜこの時空の境目に来るのですか?正直言うと危険ですよ」

 

時空の境目……ここがか……俺には転移系のスキルはない。影を使った移動があるが、あれは短距離転移で長距離転移には使えない

 

「見えるのか?境目が」

 

「見えてないで来ていたんですか?」

 

呆れるような口調のシリウスに頷くとシリウスは無言で俺の肩を掴んで

 

「境目が見れない人間をここにおいておくことはできません。どこに跳ばされるか判らないので」

 

強引に俺を引っ張って行ったシリウス、抵抗しようと思ったがその剣幕に何も言うことは出来なかった。そのまま奴の家に連れ込まれて

 

「話をしましょう。いまの貴方はおかしい」

 

かつての俺を知るシリウス、そうだな……こいつには話してもいいかもしれない。一応仲間だったしな……

 

「長い話になるぞ?」

 

「暇ですしいいですよ。リーエも何時戻ってくるか判りませんし」

 

そう笑うシリウスが机の上においた木の実のジュース。酒ではないが……これでも気晴らしになると思い、自分のコップに注ぎながら

 

「まずは……そうだな。あそこからだ、リーエと会った所からだ」

 

旧友と言うには些か血生臭いが、たまにはこういうのも悪くない。俺はそんな事を考えながらゆっくりと話し始めたのだった……

 

 

 

滝の下の通路をゆっくりと進む。滝のせいかミズ苔があって滑りやすいからだ

 

「もう少しだ。気をつけろ。もう少しで普通の通路に出る」

 

先頭を歩いているジオの言葉に小さく頷き、ゆっくり進む。明かりが弱いから足元が見えないが、足元から風を感じるどうも下は吹き抜けのようだ。慎重に進む必要がある

 

「はー抜けた」

 

「……疲れました」

 

精神的に疲れる道を抜けてやっと普通の石床の上に立って深呼吸をする。これでやっと一息つけた

 

「中々長いわね。今何回くらいかしら」

 

大分潜ってきましたが……ドレくらいと言われると判らない。そもそも最下層が何階かも判らないのだから

 

「ここは私が夢で見た所だね。ここからは私が先導しよう」

 

ここは間違いない。私が夢に見た所だ。ここからは私が案内したほうが早いだろうと判断し、ジオと交代する。半ネクロである以上肉体的な疲労は殆どない。まだまだ進んでいける……

 

「ここからは罠も多い。気をつけていこう」

 

夢ではかなりの数の罠が仕掛けられていた。ここから先は更に慎重に進もうと声をかけ、記憶の中の罠の場所を思い出しながら進んでいくのだが……計算外のイレギュラーが待っていた。

 

私・アシラ・ジオ・リーエの順で進んでいたのだが、ジオまでは問題がなかった。だがリーエが広場に足を踏み入れた瞬間

 

ガラッ!!

 

振り返ったときにはもう遅い。あっと言う間に大きな穴となった亀裂。これはそう言う罠だったのだ……

 

「……しまっ!?」

 

リーエの足元が崩れる。夢では3人だった、だけど4人目で発動する罠なんて想像もしてなかった、魔法が使えないので姿が見えなくなるリーエ。伸ばしかけた手を握り締める。間に合わなかった……私もジオもアシラも……そして数秒後に聞こえてきた水の音……これは不味い

 

「くっ!急ぐよ!私の後ろをついてきてくれ」

 

敵がいないのならまだ判るが、この遺跡にはアークが居る。それに聞こえてきた水の音。位置的にアークが流されて行った滝の方向だ、遭遇する可能性は高い

 

「判っている!先導を頼む!」

 

「まさかの罠ね。ロープで体を繋いでおくべきだったわね」

 

ジオとアシラを先導しながら、私は夢の罠と現実の罠の位置を確認しながら地下の階段を探し始めるのだった……

 

(魔力が使えないと言うのはアークも同じだけど、体格が違う。これは急がないと)

 

男と少女。魔力が使えなくても体格と腕力でアークが勝る……急いでリーエを探さないと、私は若干の焦りを感じながらも、冷静になれと自分に言い聞かせながら、複雑に配置された罠を回避して階段を駆け下りるのだった……

 

 

 

遺跡の中の川から突如飛び出してくる黒いカソック姿の青年。アークだ……足を引きずるようにして岸に上がり

 

「ごはあっ!!ぜーぜー……危ない所でした」

 

まさか水の罠から滝壺にシュートされるとは思っても無かった。何故か魔力が使えないので飛ぶことすら出来ない

 

(回復力が若干落ちていますね。これもその影響でしょうか)

 

この場所はどうも魔力が使いにくい、そう言う遺跡なのかもしれない……僅かながらの魔力を使う事ができるので手に魔力を集めて光代わりにして進む

 

(ここは何の遺跡なのか……元々こんなつもりはなかったのですが)

 

体力と魔力を回復させる為に入った遺跡で遭難。正直言って冗談ではない、なんとかして脱出しないと……

 

「「あ」」

 

曲がり角を曲がった所で同じように魔力を光代わりにしているリーエと鉢合わせになり。間抜けな声が私とリーエから発せられる

 

「くっ!アークッ!!」

 

飛びずさり構えるリーエ。まぁこれが普通の反応なんでしょうけど……

 

「やめましょう。今ここで争うのは得策ではありません」

 

両手を上げ降伏の意を示す。こんな魔力も禄に使えない場所で、今にも崩壊しそうな通路で戦う。そんなのは正気の沙汰じゃない

 

「……何を考えている?」

 

警戒心丸出しのリーエ。私は遺跡の壁を見る……何度か見た廃墟の遺跡と同じ作りですねと思いながら

 

「無事に外に出たいだけですよ。転移でこの遺跡に来てしまって迷惑しているんですよ」

 

出ようにも出れないし……魔力は殆ど使えない。最悪の状況だ、かと言って罠もありそうなこの通路を争いながら進むのは得策ではない

 

「リーエはあれでしょう?仲間と一緒でしょう?どうです?この遺跡を抜ける、もしくは仲間と合流するまで停戦と言うのは」

 

疑わしそうに見るリーエ。まぁ今までのことを考えれば警戒するのは当然だが、リーエこのままでは危険だと判断したのか

 

「……判った。一時的に協力しよう」

 

嫌そうな顔をしているが、リーエも自分1人では無理だと判断したのかそう言う

 

「物分りが良くて助かります。先頭は私が行きましょう」

 

まだリーエに死なれては困る。少なくともう少しは他のネクロの注目を引いていただかなければなりませんしね

 

(真実はもう手元まで来ている)

 

私もリーエと同じように遺跡を巡り様々な情報を見てきた。だが私が見てきたのは恐らくリーエ達とは違うもの……

 

(ピースが足りない)

 

情報は揃っている、だけどそれを繋ぐ物がない。もしこの場にそれがあるとするならば……

 

(真実が私の手の中に揃う……)

 

離反するとすればその後で構わない。それまでは従順な振りをしておこう……私は心の中でそう呟きながら、瓦礫を登り

 

「どうぞ。手を」

 

「……」

 

嫌そうな顔をして手を伸ばすリーエの手を握り引き上げる。

 

「さぁ。行きましょう、短い間ですがね」

 

「……ああ。そうだな」

 

少しの間だが共に行動する。それもまた何かの運命なのだろう……敵としてではなく、味方として行動できる時間。それは決して長くはないが……決して意味のない時間ではないと思うから……

 

 

 

遺跡の最深部。2つの石像の間にある強大な扉の前に立つ女性。ラプスではあるが、ラプスではない存在。

 

「これで良いわね」

 

この最深部の封印は既に解除した。ここまで来る事が出来ればエグザディアを手にすることが出来るだろう。ここまで来る事が出来ないのならば、そこまでだったと言うことだ

 

「大分回復してきたわね。それじゃあそろそろ戻るとしましょうか」

 

その女性の雰囲気が変わるとラプスの身体はその場に崩れ落ちる……ラプスはゆっくりと目を開き

 

「ここは……」

 

おかしい、私は遺跡の入り口で眠ったはずなのに……どうしてこんな場所にいるのか判らない……

 

「何かの仕掛けがあった?」

 

あの入り口からこの場所に跳ばす様な仕掛けがあった……その可能性は0じゃない……

 

「行きましょうか。いつまでもの場所にいるわけには行かないし」

 

この石像の扉の中に何があるのか?それは気になるが、私には関係のない物のような気がする。そもそも私にこの遺跡が何か関係があるようには思えない……転移ゲートを作りその場を後にする。大分体力も魔力も回復している。これ以上この場にいる必要はない……時空の境目を作りその場を後にする、近くにリーエの気配を感じるが……魔力の流れが不安定なせいで場所の特定が出来ない……しかし戦闘の気配も無いので無理に合流する必要はないだろう……

 

時空の境目を通り私はこの世界を後にしようとしたのだが……

 

「こ、これは!?」

 

普段と同じようにゲートを作り出したのに何かが違う……

 

(引きずり込まれる!?)

 

本来行こうとしていた世界ではない、全く異なる世界へ通じるゲートが開かれてしまう。しかもその世界が私を引きずり込もうとしている

 

「くっ!仕方ないわね!」

 

このまま逆らっていても魔力と体力を消耗するだけだ……その世界で何が待っているのか判らないが……行くしかないようだ……逆らうのを止め、私はその世界へと向かうのだった……

 

(世界が呼んでいる。私に何をさせたいのかしら)

 

これは間違いない、その世界が私を呼んでいるのだ。そこで何が待っているのか?私はそれを考えながら本来目的としていた世界ではない世界へ足を踏み入れるのだった……

 

第93話に続く

 

 




まさかのリーエとアークのコンビ結成。遺跡を抜けるまでの間ですがね、そしてアークが求める真実とペガサスの不調、そして引き寄せられる世界の境目……謎がどんどん多くなってきましたが、しっかりと全て回収できるように考えていますので大丈夫です。話数は長くなると思いますがね、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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