ファイアーエムブレム 風花雪月 異界の戦士達 作:カオスキマイラ
フウル=フォルジュロがちょい役として登場します。ありがとうございました。
ロナート卿の叛乱を鎮圧してから一晩が過ぎた。ロナート卿の死後も彼を慕う民が叛乱を起こそうとしていたが、養子であるアッシュが必死に説得したことが功を奏したのか彼らは矛を収めた。その為、ガスパール領の人々へのおとがめは無しとなった。……それとは別に大司教レアの暗殺計画がロナート卿の屋敷から発見されたため、また叛乱を起こされたら溜まったものではないセイロス騎士団の思惑もあったが……。
そして、アッシュの弟達はガルグ=マク大修道院近隣の教会に引き取られることになった。ロナート卿の死にアッシュは落ち込んではいたものの、弟たちの声援とを受けたことで少しずつ立ち直っていくのであった。
時は少し戻り……
「みんなあつまったな……」
「先生、もしかして今節の課題が決まったのですか?」
「ああ。先日のロナート卿の叛乱で大司教の暗殺計画書が発見されたのは知っているな?」
「……もしかして、今節の課題は大修道院の警備ですか?」
「ああ。セイロス騎士団の人手が足りないらしく他のクラスも動員するようだ。」
「私たちは何をすれば宜しいのですか先生?」
「俺達は暗殺計画に備えて情報収集も頼まれている。」
ロナート卿の一件の後の翌日の朝にベレトは今節の課題をに説明していた。
「……なるほど。だったら、みんな。何かつかんだら俺か先生に報告をしてくれ。」
「分かりました!」
「やれやれ、穏やかに過ごせる雰囲気じゃないですね……。」
「それとは別に今節は武術大会も開催される!」
「そういえば、そんな時期だな……。」
「でも、私たちのクラスの勝利じゃないかしら~?」
ベレトはセイロス騎士団の要請だけに彼らが縛られないために武術大会のことを持ち出して、話の空気を変えた。
「そうですね。セレナ達は参加するのでしょう?」
「悪いけどあたしはパスね。」
「僕も辞退するよ。」
生徒の中では屈指の実力を持つセレナとアズールが不参加を表明したため、
「……実力者であるお前たちは参加しないのか?」
「まあね。あたしはちょっとその日は用があるから出れないわ……」
「僕も用事があるから出ないよ。」
「まっ、用事があるなら仕方ねぇよな……。」
「……仕方ない。剣術に自信がある者は参加してみてくれ!」
「「「はいっ!」」」
「武術大会に集中するのもいいが、情報収集も忘れないように……。では、授業を開始するぞ。」
朝の集いを終えた
今節の課題を言い渡されてから少し経って、青海の節の6日。
「暗殺計画に備え、大修道院の警備に当たる。それが俺たちの今節の課題だったよな。騎士団はレア様の警護で忙しいとのことだが敵の狙いはむしろ、そちらでは……。」
「ああ、俺もそう思う。」
「……意味を、お聞きしても?」
「ロナート卿は暗殺計画の記された密書を始末もせずにわざわざ持っていた。暗殺計画に皆の目を集め、他の何かを狙っている……とは考えられないか?」
「貴重なものといえば……宝物庫ね! 他にも書庫とかハンネマン先生の部屋とか……」
「大修道院には、英雄の遺産に匹敵するような武器がいくつかあったはずだ。」
「ま、狙いが何であれ、修道院の女性たちに被害が及ばないようにしないとな。」
「……修道院内を調べ、敵の狙いを探り当てる……ということでしょうか。」
「そのとおりだ。それに敵との戦闘に備え、訓練にも力を入れておきたい。」
「そういえば、ウード達はどこ行ったんですかね?」
「彼らなら既に個別に動き出している。元傭兵の観点で動くはずだ。」
「でしたら、その情報に期待しましょう!」
ディミトリ達が今節の行動を話し合っているとシャミアが少年を連れてこちらにやってきた。
「顔を突き合わせて悪巧みか、先生。おっと、直接名乗ったことはなかったな。私はシャミアだ。」
「シャミアさんはセイロス騎士団の一員だ。で、こちらの少年が……」
「レアさまの従者で、シャミアさんの弟子の、ツィリルです。」
「シャミアの弟子なのか……。」
「弓とか剣とか、稽古をつけてもらってます。ボクもレアさまを守りたくて……。だから、シャミアさんの弟子に。」
「ツィリルはレアさんが大好きだからな。ま、互いにやれるだけやろう。」
「ああ、よろしく頼む。因みにウード達は一足先に動いている。」
「奴らなら大丈夫だろうよ。さてと、私はもう行くぞ。」
その後は
ディミトリ達がミーティングを終えると武術大会に参加する者や応援する者は訓練場に向かい、それ以外の生徒は個別に動き出した。
ディミトリ達のミーティングから少し経ち…訓練場で武術大会が始まろうとしていた。
参加者は合計で32人の生徒が参加することになった。その中にはウードとシンシアもエントリーしていた。因みに参加者がここまで多いのは、今回の大会にセレナとアズールが不参加であることが大きい。カトリーヌと互角とも言われている実力を持つ二人とは大会では戦いたくなかったためである。
「なるほど……これだけの人数がいるとそこそこかかりそうだな……。」
「まあ、剣術ですし案外早く終わると思いますよ。」
「……それもそうだな。ところでお前も参加するのだよな?シルヴァン?」
「……ええ、殿下とイングリットに言われたら参加するしかないじゃありませんか……」
「……ですが、殿下。シルヴァンはサボり気味なので一回戦負けもあり得ると思いますが……」
「……っておいっ!流石に一回戦で負けないっての!」
「ふぅ……。まあ、取り合えずは結果を出すことだな…。」
「セレナとアズールがいないんだから頑張りなさいよね……。」
「……そんなに実力を疑われてんのかよ……」
ディミトリとイングリットによって強制参加させられることになったシルヴァンは、最近鍛錬をサボっていたことで彼らから実力を疑われていて落ち込んでいた。その一方でフェリクスは神経を研ぎ澄まして、瞑想をしているのであった。
セテスによって武術大会が開催することが宣言されて、審判を務めるイエリッツァの準備が整ったので武術大会 剣術部門が開催された。順番に戦い始めて、次はウードの出番となった。
「……この漆黒のウードの相手は貴様か……。ふっ……相手をしてやろう……」
「……えーっと。これはどう反応したらいいの?」
「時間がない……構えろ。」
ウードの対戦相手は
「……と、とりあえず。勝負ですよ、ウードさん!」
「始めっ!」
開始の宣言と共にフウルはウードに訓練剣で斬りかかってきた。対するウードは自分の訓練剣で受け止めた。その後はしばらくフウルによる猛攻が続いたが、ウードはそれを流れるように受け流した。
「くっ……攻撃が当たらないっ……!?」
「おいおい……フウルの剣筋を完全に見切ってやがるぞあいつ……。」
「……セレナちゃんとアズール君だけだと思っていたけど、彼も相当強いんだねー。」
フウルの剣筋を見切って受け流しているウードの様子をクロードとヒルダは完全に観戦モードで見ていた。
「……せいっ!」
「きゃっ!」
しばらく受け流していたウードはフウルの焦りで生まれた隙をついて、フウルに勝利したのであった。
「うー……負けてしまいました。」
「勝者……
修道士のクラスについて魔法ばかり習っていたウードが実は剣術も強いことを知って、訓練場は驚きの空気に包まれていた。
勝利したウードが退出して、今度はシンシアが壇上に上がった。
そしてイエリッツァによる開始の宣言から数秒でシンシアは相手の訓練剣を叩き落としていた。その様子をクロードは面白そうに見ていた。
「やっぱ、シンシアの奴もやるねぇ~。ウードとシンシア……どっちが勝つか気になってきたわ……。」
「そうだねー。」
クロードとヒルダはウードとシンシアの試合をお菓子を摘まみながら観察していた。
◇◇◇◇◇◇
二回戦は二人共危なげもなく圧勝して突破して、三回戦を迎えた。最初の試合のカスパルがイングリットを破って準決勝に駒を進めた。そして次の試合はウードと
「ふっ……ウード君。今度はこの私、フェルディナント=フォン=エーギルが相手になろう!」
「いいだろう……。我が奥底に潜みし常闇の力を解放してやろう……」
「……始めっ!」
イエリッツァの合図と共にフェルディナントがウード目掛けて突撃してきた。彼はそのまま剣で受け止めて、反撃してきた。それをフェルディナントがかろうじて耐えていたが、最終的にウードに剣を弾き飛ばされてしまいフェルディナントは敗北した。
「くっ……負けてしまったか……」
「先程の剣筋……なかなかのものであったぞ……フェルディナントよ……」
「勝者、
フェルディナントにも圧勝してしまいウードの強さに会場の人々は騒いでいた。そして、ウードが退出して次はシンシアとレオニーの戦いになった。
「さてと……負けないよ…シンシア!」
「意気やよしっ!こっちも全力で行くよー!」
「始めっ!」
「やぁぁぁぁぁっ!」
「ていっ!」
イエリッツァの合図と共にレオニーがシンシアに攻撃してきたが、彼女はそれを受け止めた。受け止めた彼女は一端弾いてからレオニーに攻撃してきた。
「はいっ!」
「ぐっ…!なんてパワー……!」
「まだまだいくよー!そらそらっ!」
「くっ……」
シンシアの猛攻をレオニーは何とか紙一重でかわしていた。シンシアはそんなレオニーに猛攻を仕掛けていったが、段々とシンシアの攻撃が大振りになっていき、レオニーはシンシアの攻撃が大振りになった瞬間を見逃さなかった。
「今だっ!せいやっ!」
「あっ!」
「勝負あり……勝者、
レオニーがシンシアに勝つという大番狂わせが起こり、会場は熱気に包まれた。
「やった!レオニーちゃんが勝ったー!」
「おいおい、大番狂わせじゃねぇか!」
凄まじい実力を見せていたシンシアにレオニーが勝ったことで金鹿の生徒たちは大喜びしていた。一方敗北したシンシアはスッキリとした顔をしていた。
「……負けちゃったよ。でも、久々に熱くなれたからよかったよレオニー!」
「……ふぅ……。セレナの動きをちょっと真似てみたが、うまくいって何よりだよ……。」
「……お前たち、次の試合の邪魔だ。降りろっ!」
「「すみませんっ!」」
レオニーはシンシアと会話をしていたが、イエリッツァに次の試合の邪魔と言われたので速やかに降りた。
◇◇◇◇◇◇
敗北したシンシアと迎えたのはブレディとノワールだった。
「まさか、久しぶりにお前が負けるのを見たな。」
「そ、そうね。私たちやベレト以外でシンシアが負けたのはバリスさんの手合わせ以来かしら……」
「うん、そうだねー。まあ、私のメインウェポンは槍だからここから鍛えなおすだけだよ!」
ウード達とベレト以外との手合わせでシンシアが敗北したのは、かつて共に戦っていた『蒼炎の勇者 アイク』の子孫であるバリス以来であったため、ブレディとノワールは驚いていた。しかし、シンシアはここから鍛えなおそうと気合を入れていた。
「ふっ……我が闇の同胞が地に墜ちてしまうとはな……。だが、漆黒よりいでし我が聖痕がこの場に月光をもたらしてやろう……。」
「……相変わらずウードが何言っているか分からねぇな……。」
「多分、シンシアの代わりに自分が優勝すると言っていると思うわ……」
「……よく分かるな……。」
「……っていうか、あたしを勝手に闇の同胞にしないでよー!」
相変わらずのウードの厨二発言にブレディが困惑しているとノワールが訳した。一方の正義のヒーローを目指すシンシアはウードに闇の同胞扱いされたことを抗議していた。
一方三回戦の最後の戦いはフェリクスがペトラを破って準決勝に勝ち残った。これで、準決勝に進んだのはイングリットを破ったカスパル、フェルディナントを破ったウード、シンシアを破ったレオニー、ペトラを破ったフェリクスの4名となった。
レオニーがシンシアを破るという大番狂わせが起こった三回戦が終了して、いよいよ準決勝なった。準決勝第一試合はレオニーとフェリクスの勝負となった。
「さてと、負けないよ。フェリクス!」
「いいだろう……。来いっ!」
「始めっ!」
イエリッツァの号令と共に同時に攻撃を仕掛けて打ち合っていった。準決勝まで来ただけあって凄まじい剣戟の試合となったが、基礎技術があってかレオニーが段々と劣勢になっていった。
「くっ……シンシアよりも早いっ!」
「当然だ。俺の速度はまだまだ早くなるっ!」
「ちっ……。早すぎて、隙が見つからないね…。」
「隙ありっ!」
「し、しまった。」
フェリクスの隙を探そうとして、逆に隙を付かれてしまったレオニーが敗北した。
「あっちゃー。あたしもまだまだだってことだね……。」
「ふん、いい剣筋だったぞ……。」
試合を終えた二人は互いの健闘を称えて、舞台から降りていった。その様子をヒルダとクロードが見ていた。
「あー、レオニーちゃん負けちゃったね……。」
「まっ、シンシアに勝つという大番狂わせをやったんだ。十分だろ…」
「それもそうだねー。」
レオニーとフェリクスの試合が終わって次はカスパルとウードの試合となった。
「おっしゃー、負けねぇぜっ!ウード!」
「……この熱血ぶりあいつを思い出すな……。さてと……漆黒の剣士の力とくと見よっ!」
「始めっ!」
開始早々ウードとカスパルの二人共に仕掛けてきた。力任せに素早く訓練剣を振るうカスパルに対して、足さばきをうまく利用してテクニカルに動くウードの試合は互角の勝負となっていた。
「やりやがるぜっ!だったら、この連撃はどうだー!」
「ちっ……ジェローム並みの一撃だな……。いや……あいつよりはましだな。」
「この攻撃も受け流すだとっ!すっげぇっ、楽しくなってきたぜっ!」
カスパルの怪力を知っているの面々は受け流しているウードの体捌きに驚いていた。
「……これは驚きね。カスパルの力技をあそこまで受け流すだなんて……」
「くくく……あの男は珍妙な行動をするだけの人間ではなかったということですな。」
カスパルの腕をよく知っているエーデルガルトとヒューベルトはウードの評価を再評価していた。
「おまえやるじゃねぇか!だったら、もっと筋肉の力を見せてやるぜっ!……ふんっ、おらぁっ!」
「……見切った!」
「何っ!?」
「せいっ!」
ウードの実力を認めたカスパルが渾身の一撃を放ったが、大振りになってしまったことでうまく受け流されて敗北した。
「勝負あり……勝者、
イエリッツァの宣言でウードの勝利が確定した。
◇◇◇◇◇◇
青獅子の興奮が続く中、ウードとフェリクスの決勝戦が行われることになった。
「血が騒ぐ……宿命の剣士との決戦……腕が疼くぞ」
「……何を言っている……さっさと構えろ……」
二人が剣を構えると訓練場からは互いを応援する声が響いた。
「始めっ!」
開始早々、フェリクスが神速の動きでウードに連撃を放った。ウードは見事な体捌きで受け流していった。そして、ウードは隙を見つけてはフェリクスに反撃したがフェリクスは素早い動きで防いだ。
「……流石にやるな。……決勝まで来ただけはある。」
「……こいつの剣筋……油断できないな……」
「……あいつ強すぎだよな」
「ああ。魔法に加えて剣も使えるのか……」
「変なことはいうけどな……」
クラスは修道士なのに剣でフェリクスと渡り合うウードに一同驚愕していた。一方のフェリクスは精神を研ぎ澄ませると一気にウードに襲い掛かった。
「くらえっ!」
「くっ……貴様の刃……我が漆黒と渡り合うか……」
フェリクスの凄まじい連撃にウードは段々と押され始めていった。しかし、それでもウードは決定的な隙はフェリクスに見せなかった。
「はあっ!」
「ふん、奥義『流星』!」
「なっ、何っ!?しまった……」
隙を見せないウードの剣筋にフェリクスは未完成であるが『流星』を発動して、ウードの守りをぶち破いたのであった。そして、フェリクスはウードの訓練剣を弾いて剣を首元に当てた。
「そこまで……!勝者、フェリクス。……よって今節の武術大会の優勝はフェリクス!」
決勝戦はウードの守りを破ったフェリクスの勝利となった。青獅子の面々はもちろんのこと、黒鷲や金鹿も互いの健闘を称えて惜しみない拍手を二人に贈っていた。
この後はフェリクスに優勝賞金と優勝賞品の贈呈を行い、2位ウード達にも参加賞が配られるのであった。商品を渡すとイエリッツァはさっさといなくなったので、それによりお開きとなった。
「……ウード、よく頑張ったね。」
「まあ、最近魔法に集中していた割にはよくやった方なんじゃねぇのか?」
「そうだよー。それにしても、未完成とはいえフェリクスが『流星』を放つなんて驚いたねー!」
「蒼穹のアズールが悪しき闇の眷属に放ち、宿命の剣士が傍に戦っていたのだろう。」
「あー、普通に喋ってくんねぇかな……」
「アズールが盗賊との戦いのときに『流星』を放つところを見て、見よう見まねでやったと思うぞ。」
「な、なるほどね。アズールの真似をしたんだね……」
ウード達は宿舎に向かいながら、武術大会のことを話したっていた。当然ことながらフェリクスが『流星』を放ったことに関して話していた。ウードは盗賊討伐の時にアズールが使ったのを見て見よう見まねで未完成ながら習得したのではないかと推測していた。その推測を聞いて3人は納得した表情を見せていた。
宿舎に着いた彼らは一先ず自室に戻って、本業のレアの暗殺計画の調査にそれぞれ赴くのであった。因みにセレナとアズールは夜に戻ってきてベレトに報告した後宿舎に戻っていった。こうして武術大会の日が終了となったのである。
次回は女神再誕の儀です。
捕捉ですが、ウードの剣術は暗夜王国時代は魔導に専念していたおかげかブランクがあります。またバリスに関しましてはテリウス大陸に戻っています。また、ウードがカスパルをみて思い出したのは白夜王国第三王子タクミの部下のヒナタです。
灰狼の学級に関しましては、四人は後に登場させます。此方に関しましては原作を再現するためにウード達は特に参加していません。精々大聖堂の片づけを手伝っただけです。
オリジナルキャラを募集中です。ぜひお願いします。