ファイアーエムブレム 風花雪月 異界の戦士達 作:カオスキマイラ
女神再誕の儀襲撃事件から一夜明けた次の日……
偶々教室に向かった青獅子の面々が教室に入るとベレトがいた。そしてその手には聖廟にあった天帝の剣を持っているのであった。
「先生、その剣どうしたんだ?」
「レア様から預かった。正しいことに使うようにという警告は受けたが……」
「すっげぇっ……天帝の剣を継承したのかよ……」
「しかし、その剣は¨解放王¨ネメシスが使っていた武器なんだったな?」
「聖廟のときに赤く光っていたし適合しているんじゃないー?」
「そういえばそうだったな……。」
「まあ、先生ならその剣も扱えるんじゃないかな?」
青獅子の面々はベレトが持ってきた天帝の剣を前に会話が弾んでいた。
「そうそう、一端その剣がどういった物か見せに行ったいいんじゃないか?」
「ウードの言うとおりだ。そいつが役に立つか分からないからな……」
「そういえば、大修道院にある鍛冶屋って結構博識だったな……」
「そうね~。でも、よく武器を壊して怒られているディミトリの姿が浮かぶわね~」
「あ~。そういえば、休日に偶に鍛冶屋から怒号が聞こえてきたわね……。」
「け、結構デカい声だったわね……。よくカスパルが怒られていたけど……」
「確か……ゴジョウだったか……そうだな。行ってみるか……」
「今日は休日だし俺らも行かせてもらうぜ」
「……やれやれ野次馬根性か……」
ベレトは野次馬根性を丸出しの青獅子の面々に呆れていたが、同行を拒否しなかったので彼らはベレトと一緒に鍛冶屋に向かうのであった。
◇◇◇◇◇◇
鍛冶屋に着くと中から怒号が聞こえてきた。
「貴様また武器壊したのか!?わしらをナメとるのかあぁん!?」
「……凄い怒号ね……」
「相変わらず凄い声だ……」
怒号のした店内を覗いてみると見覚えのある人物がハンマーを持った人物に怒られていた。
「……あれは、シルヴァン?」
「見た感じシルヴァンが武器を壊してゴジョウさんに怒られているみたいね…」
「あっ、イングリット!いいところに来たっ、助けてくれー!」
ゴジョウに怒られているシルヴァンがイングリットの姿を見た途端に助けを呼んできた。
「悪いけど…偶には自分で何とかしなさいよシルヴァン……。」
「おいおい、それはないだろうがよ!?」
「ん!?ブレーダット王子か……まさか、貴様も武器を壊したんじゃないだろうな……」
「その節は済まなかったなゴジョウ殿。今回は別件でゴジョウ殿に用があってきた。」
「別件だぁ……ってそこにいるのはジェラルトの倅か……そうか……成程な。天帝の剣について調べに来たってところか……」
「まだ言ってねぇのにそのこと知ってんのかよ……」
ゴジョウはベレトを見た途端に天帝の剣について調べに来たと察してくれた。
「ジェラルトの奴から天帝の剣をレア様から預かったと聞いたからよ。倅が俺のところに来ると来たらそれしかねぇだろう?」
「ジェラルトさんはゴジョウさんに話していたのね……」
ベレトの父であるジェラルトがゴジョウに事情を昨日のうちに説明していたおかげで彼の理解は早かった。
「さてと、改めて名乗ろうか。俺はゴジョウ=フォルジュロ。市場の鍛冶屋店主が引退したところを大司教にスカウトされて、娘と一緒にガルグ=マクに引っ越してきた。宜しく頼むぞ先生。」
「ベレト=アイスナーだ。よろしく頼む。」
「さてと、シルヴァンの馬鹿垂れは置いておいて、」
「……ふぅ……助かった……。」
ベレトが来たお陰でシルヴァンに対するゴジョウの怒りは一端治まったようであり、そのことにシルヴァンはほっとしていた。
「お父さん……?誰か来たの?」
「フウロか、ちょうどベレト先生が来てるぞ。」
「えっ!もしかして、天帝の剣を持ってきているんですか!?」
シルヴァンがほっとしたところで奥から一人の少女が此方にやってきた。
「むっ、貴様は……武術大会に出ていた炎の眷属か……」
「……その変な紹介は止めてほしいな……」
「君は……たしか……」
「あっ、改めて名乗らせていただきますね!それでは、私の名はフウル=フォルジュロです。鍛冶屋 ゴジョウの娘です。」
「……顔は似ていませんね……」
「あっ!私は養女なんです!だから似ていなくて当然ですよ!」
「なるほどね~。養女だったのね~。」
「……その割には怒った時はそっくりだな……」
フウルがゴジョウの養女と知って青獅子の面々は容姿が似ていないことに納得した様子を見せた。しかし、シルヴァンはその割には怒った時がそっくりだと呟くのであった。
「まあ、俺らのことはともかくとしてだ。天帝の剣を貸しな。」
「いきなりだな……」
「今現在俺が知っている情報を教えてやってもいいが、もう少し正確な情報がほしいとは思わんのか?」
「まあ、私たちも詳しい情報がほしいですし……先生、ここは一度預けてみては?」
「ああ。情報をくれるというなら貸し出そう。」
「ありがとうございます。……これが天帝の剣……この手で触れられるなんて、感激です!私、士官学校に入学して良かったです!」
「ほう……随分と変わった作りだな……」
フォルジュロ親子はベレトから天帝の剣を受け取るとそれぞれ調べだした。かなり熱心に調べだしたので青獅子の面々はこれは時間がかかりそうだと思って一端解散した。
天帝の剣を預けてから三時間後食堂で待機していた青獅子の面々はゴジョウに呼ばれて鍛冶屋に戻っていった。しかし、途中で用がある人もいたためか一部は参加しなかった。
「おっ、来やがったな」
「ええ、ゴジョウ殿。それで何かわかりましたか?」
「まあ、ほんの少しだがな。俺はこいつを扱うことはできねぇから限度ってもんがあったがな。」
「それでもかまわない。」
「そんじゃあ、元々俺が知っている情報とあわせて説明していくぞ。」
ゴジョウは天帝の剣を火事場台に置くと説明しだした。
「まずはこいつは゛解放王゛と呼ばれた英雄ネメシスがかつ使用していた剣であることは知っているな?」
「ええ、女神よりその剣を授かって邪神を退けた男ですよね?」
「ああ、だが邪な心に支配されてしまって聖者セイロスに討たれた男だったな?」
「タルティーンの戦いですね?教科書にも載っていることです!」
教科書にも載っているセイロスとネメシスの戦いについて一同はおさらいをした。
「まあ、ネメシスに関してはそれくらいにしておこうか。奴が使っていた天帝の剣の説明に入るぞ。」
「ああ、よろしく頼む。」
「まずこの剣に関してだが、英雄の遺産として……何か足りないと思わんか?」
「そういえば、紋章石がはめ込まれていませんね。」
「紋章石?」
「う~ん、私ではうまく説明できないのでハンネマン先生に聞いたほうがいいと思います。」
「逃げたわね……」
紋章石が何かノワールが疑問を投げかけたが、イングリットはそこまで詳しく知らない様子でハンネマンに聞くように逃げた。
「…まあ、紋章に関してはハンネマンに聞きな。とりあえず、大事なのはその紋章石がないということだ。」
「……もしかしたら、レア様が先生の実力を見極めるために外したのかも……」
「アズール君の推測どおりだと思うよ。ネメシス以来にこの剣に適応する人物が現れた。見極めたいと思うのは当然だよね。」
その後も紋章石がない理由を議論しあったが、レアがベレトを見極めたいと思って外したという結論になった。
「さて、紋章石に関してはこれくらいにして……この剣に関してだが、実際に使ってる場面を見たことがねぇが……鞭のように刃が伸びる仕組みをしているな……」
「つまり、蛇腹剣ということか?」
「ああ、どうやって作られたかは知らんが相当扱いが難しい武器だな……」
「ほかに分かったことはあるか?」
「あとは……この武器はお前さん以外には扱うことはできない。」
蛇腹剣であること意外に変わったことがないかベレトが聞くとゴジョウはこの剣はベレト以外に扱うことはできないと断言した。
「……英雄の遺産はほかの人にもただの武器としてなら使えたと思うが……」
「実は俺は紋章もちでね。蛇腹剣であることが分かった後少し振るってみたんだ。」
「……もしや、蛇腹にならなかったのか?」
「ああ。理由はわからねぇが、紋章をもっている俺でできないのだから先生以外には使えないはずだ。」
「う~ん。いったいどうしてかしらね~」
「そこまでは知らん。」
メルセデスがゴジョウに問いかけたが、彼は知らんとそっけなく答えた。それを見たフウルが補足した。
「す、すみません先生。英雄の遺産を調べるのは鍛冶屋でも難しいことなんです……」
「……つまり分からないということか……」
「すまんな、英雄の遺産は構造などが不明な点が多すぎる……後はお前さんたちで見つけてもらうしかない……」
「いや……レア様が見極めたいというのならば自分で見つけ出すさ」
ゴジョウとフウルが申し訳なさそうにしながら天帝の剣をベレトに返却した。英雄の遺産に関してよく知っている面々以外は微妙な表情をしながら、その場を離れるのであった。その後は休日の最中であったためそれぞれのやることをするために解散するのだった。
◇◇◇◇◇◇
(おまけ アッシュとリアーシア)
ベレト達がゴジョウの元に向かって次の日……
アッシュは大聖堂で祈っていた。西方教会が起こした一件で知り合いが西方教会にいるため、彼女の無事を祈っているのであった。そんな彼に後ろから聞き覚えのある声がした。
「……アッシュ?」
「えっ……リア……?」
「アッシュ!!」
謎の美少女はアッシュに駆け寄ると思いっきり抱きしめた。
「ちょ……リア……落ち着いて……」
「おいおい、アッシュの奴……あんな美人と只ならぬ関係かよ……」
「正直言うと羨ましいね……」
「えっと……ここは……大聖堂ですから……落ち着いて……」
「そうね~。一先ず落ち着いた方がいいと思うわ~」
偶然その様子を見ていたシルヴァンとアズールはにやにやしながらその様子を生暖かい目で見ていた。アッシュと同じようにその様子を見ていたメルセデスと金鹿のマリアンヌは祈りの場で抱き着いている二人を止めようとしていた。
「あっ……ごめんなさい……アッシュ……。」
「いいよ……リア……それにしても、フォドラ語が話せるようになったんだね!」
「ええ、あなたと話したかったから東方教会で頑張っていたのよ!」
「東方教会!?西方教会から移っていたんだ……」
「色々とあってね……あっ、ごめんね。とりあえず食堂で話しましょ!」
「そうだね……既に野次馬もいるけど問題ないかい?」
「……あなたがいれば大丈夫と思うわ……」
生暖かい目で見ているシルヴァンとアズールを始めとした野次馬連中を連れて、二人は食堂に移動した。
食堂に着くなりシルヴァンがアッシュに聞いてきた。
「おいおい、アッシュ。誰だよその美しいお嬢さんは!?」
「詳しく聞かせてもらおうかな!?」
「お、落ち着いて……二人共……」
物凄い勢いで問いかけてきた二人にアッシュはたじたじになっていた。その様子を見た謎の美少女が話し出した。
「アッシュが困っているから止めて……自己紹介くらい私がやるわ!」
「だったらお願いしちゃおうかしら~」
「……私も気になりますわ!」
「……!?フレンさん!?」
「えっ!?いつの間に……」
いつの間にかフレンがアッシュ達のテーブルにやってきていた。よく見ると後ろにはノワールとリシテアも野次馬として来ていた。
「あっ……リシテアさんにノワールさんも……」
「ノワールからお菓子を貰っていたらあんたらがいたから来ただけよ。」
「お菓子のお裾分けをしていたら、ちょっと気になって……」
「これで3人増えたけど……大丈夫かいリア?」
「ええ、問題ないわアッシュ。」
「そ、それじゃあ。私が作ったお茶菓子も置くわね。」
ノワールが話しながら摘まめるようにお茶菓子を置くと謎の美少女は話し出した。
「私はリアーシア、最近大修道院の食堂で働きだしたわ。そして、アッシュの幼馴染よ。」
「すっげぇ美人な幼馴染だな!羨ましいぞコノヤロー!」
「アッシュにこんな知り合いがいたんだね……」
「でも……シルヴァンさんにはイングリットさんがいますよね……」
シルヴァンは美少女であるリアーシアが幼馴染のアッシュに嫉妬していた。アズールは興味深いといった感じであり、マリアンヌはこっそりとシルヴァンにツッコミを入れていた。
「リアは今から10年前に霧の中を彷徨っているところを発見して保護したんだ。それから僕たちは仲良くなって、僕の家族と一緒に暮らしていたんだ。」
「ま、もしかしてあの霧の中を彷徨っていらしたの!?」
「ええ、突然の台風に巻き込まれてテリウス大陸からフォドラに飛ばされてしまったわ……」
「台風に巻き込まれてしまったんですね……」
「そういえば、テリウス大陸って聞いたことないですね。」
「リアが言うには、ここから離れた場所にあるみたいだよ。」
「なんか……最近どこかで聞いたことがある事情ですね……。」
リアーシアの故郷であるテリウス大陸に関しては幼馴染であるアッシュも離れた場所にあることしか知らない様子だった。アッシュの言葉にリシテアは最近何処かで聞いたことがある反応を示した。
「ふむ……テリウス大陸か……」
「そういえば、ウード達はイーリス大陸出身だったわね~」
「そういえば、そんなこと仰っておりましたね。」
「どっかで聞いた話と思ったらアズール達だったか……」
シルヴァン達はウード達と少し似た事情であることを思い出したのであった。
「テリウス大陸……もしかして、勇者アイクの伝承に出てくる大陸のことかな?」
「あ、そういえばそうだったわね。」
「勇者アイクを知っているの!?」
テリウス大陸から勇者アイクのことを思い出したアズールとノワールにリアーシアが少し驚いた様子で声を掛けた。
「僕やノワールはイーリス大陸から来たんだ。」
「アイクさんの子孫であるバリスさんとも知り合いよ……」
「えっ、バリスさんと!?」
「……話についていけねぇな……。」
「仕方ないですよ。私達は知らない大陸ですから。」
「あっ、勇者アイクってシンシアから借りた英雄物語の人物だったね!」
覚醒組とリアーシアの会話にシルヴァン達が付いていけない一方で、アッシュはシンシアから借りた英雄物語にアイクの名前があったことを思い出していた。
「勇者アイク……そんな素晴らしい方がいらしたのですわね……。」
「勇者アイクで思い出したけど、君ってかつてアイクと共に戦ったリアーネ王女に似ているよね?」
「リアーネ様も知っているのね。ええ、私はリアーネ様の子孫よ。」
「よく分からんが、リアーシアはそのリアーネという人物の子孫……ってことか?」
「あっ、ごめん。置いてけぼりにして……うん、そうみたいだね。」
ここでアズール達はシルヴァンに声を掛けられて置いてけぼりにしていたことに気が付いた。
「あ、もしかしてリアーシアは獣石で変身するのかな?」
「ええそうよ。でも今は持っていないから見せられないし見せるつもりはないわ。」
「まあ、アッシュに先に見せたいでしょうから仕方ないですね。」
「ところで……獣石ってなんですの?」
「獣石っていうのは、特別な血を引く種族が戦闘の姿に変身するために必要なアイテムのことだね。僕の知り合いも獣石を使って兎の姿で戦っていたな……。まあ、一人は超絶ビビりだったけどね……」
「兎が戦えるのかよ……」
獣石を知らないフレンの質問にアズールは簡単な説明をした。姿を見たことがないシルヴァンは想像できないといった表情をした。
「因みに私はセリノスの民と呼ばれる白鷺に変身することができる種族の人間よ。呪歌でみんなを助け、翼で作り出す風の渦で敵を倒すことができるわ。」
「だから台風に巻き込まれてフォドラに来たのですね……」
「それにしても、フォドラの外には色んな種族がいるのね~」
リアーシアの話を聞いてメルセデスはまだ見ぬフォドラの外に憧れを抱いた。
「まさか……私やお兄様、レア様やおじ様のような方が他にもいたのですね……」
「フレン?何か言いましたか?」
「いえ、なんでもありませんわ。」
フレンは自分の呟きを誤魔化した。
その後はフレンがリアーシアとアッシュの恋事情などを聞いてきた。二人共顔を真っ赤にして否定していたが、悪乗りしたシルヴァンとリシテアに揶揄われた一面があった。その後もリアーシアのことで話が盛り上がって、セテスがフレンを探しに来たタイミングで解散するのであった。アッシュは幼馴染の無事が分かってほっとした様子を見せているのであった。ロナート卿の叛乱以降暗い顔をしていた彼が久しぶりに明るくなった瞬間であった。
次回はギルベルト登場しますが、ベレト達が灰狼の学級に向かったためまだ話は進みません。
感想やアドバイスを募集しております。ぜひお願いします。
感想欄で返答させていただきましたが、本作品は基本的に原作の流れに沿って進みます。
ですが、バルタザールが紅花ルートでは敵として立ち塞がるなどのオリジナル展開は入れる予定です。