オーバーロード ~集う至高の御方~   作:辰の巣はせが

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第111話

「今日は本当にありがとうございました!」

 

 ネイア・バラハは、高級そうに見える……しかし、全体的に渋めの弓を持って一礼する。

 弓の名は『アメノマ』。その名は日本神話に登場する弓……天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)を元ネタとする。ペロロンチーノのアイテムボックスの中で放置されていた、転移後世界では超性能であっても、ユグドラシル基準では名前負けの微妙武器だ。

 それがネイアに手渡されていた。

 

「聖王国で手に入る武器と比べたら良い物のはずだから! 後は武器の性能に振り回されないように精進してね!」

 

 そう言って手を振ると、ペロロンチーノは去って行く。漆黒のボールガウンに着替えたシャルティアを伴った彼は、街道を進んで小さくなっていき、やがてネイアの視線から消えた。

 この時点で、シャルティアが<転移門(ゲート)>を展開し、二人はナザリック地下大墳墓前に移動しているのだが、そういったことはネイアには解らない。

 ネイアは、ペロロンチーノ達がかつて居た『元の現実(リアル)』での古い漫画に登場するキャラクター……世界一の狙撃屋が照準器を覗くような目つきで、青空を見上げた。

 

「頑張って上達してみせます、ペロンさん! いえ、ペロロンチーノさん!」

 

 訓練の際に見た、シャルティア……深紅の甲冑を身に纏って空を舞う少女の姿は、ネイアにとって衝撃的だった。あのようなアイテムがあり、あのような戦い方があるのかと心底驚いたものだ。

 しかし、ネイアにとって最も注目すべきは、今の自分と同じ弓使い……ペロロンチーノである。弓使いに向いた自身の才能、そこに注目させてくれた上、訓練までつけてくれた。しかも、この手にある神器の如き弓。

 ネイアの背筋を快感にも似た……もとい、快感そのものの震えが走る。

 この日、ネイアには弓使いとしての理想形、そして男性としての理想像が生まれたのだ。

 父親のパベルは嘆くだろうが、恋を知った乙女には些末なこと。

 

「良し! 練習、練習!」

 

 ペロロンチーノと次に会える機会を楽しみにしつつ、ネイアは一人、訓練場へと向かうのだった。

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 このように、ペロロンチーノはシャルティアと共に聖王国で活動していたが、ナザリック地下大墳墓の外で活動するギルメンは他にも居る。

 獣王メコン川とベルリバー。そして、ベルリバーのお供としてエルフ三人娘。

 彼らは現在、請負人(ワーカー)チームのフォーサイトに臨時加入中だ。

 ベルリバーから見て左右前方には、ヘビーマッシャーと竜狩りも居て、目的地……昼なお暗い森の奥にあるオーガーの集落を見ている。

 今回の依頼内容は、街道を襲撃するオーガー……その集落の殲滅だ。

 

「メコさん。ルプスレギナは連れて来なくて良かったのか?」

 

 立ったまま、正面遠くのオーガー集落、そして左右前方で居る他の請負人(ワーカー)チームを見たベルリバー(今は冒険者バリルベとして人化中)が、新調した胸甲をコンコンと叩きながら言う。軽装の魔法剣士として活動する際は、胸甲を主装甲として、他は手甲とすね当てといった出で立ちだ。服装は、平民から見てお高く、貴族の観点で言えば、普通レベルの外出着といった程度の物で、六腕のマルムヴィスト寄りの雰囲気である。もっとも、肩付近まで伸ばした黒髪を左右に分けた顔は気難しそうであり、優男風のマルムヴィストとは雰囲気や方向性が違っていた。

 その彼に付き従うのは、青髪神官のエルフ……デルフィーヌ。金髪ドルイドのエルフ……フェリシタス。茶髪レンジャーのエルフ……スカーレット。タブラ・スマラグディナによって名付けられた三人の女エルフは、かつて請負人(ワーカー)チーム天武の一員として、主のエルヤー・ウズルスに虐げられていた。エルヤーはナザリック地下大墳墓へのダンジョン・アタックの際、逃走中に通路罠にかかって死亡。この主死亡と、ベルリバーの指示で切り落とされた耳が再生されたことによって、デルフィーヌ達はベルリバーに恩義を感じ、彼に忠誠を誓ったのだ。

 以後は、ベルリバー専属の使用人として働いており、今回は冒険者チーム漆黒の一員となってベルリバー達に同行している。その戦闘力は転移後世界の観点で言えば、中堅どころの冒険者が務まる程度。ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のギルメンに随行できるとは言えないが、その辺は鍛えていけばいいだろうということで、ベルリバーは彼女らを連れていた。

 装備はそこそこ良い物を用意したし、いざとなればベルリバーが彼女達を守れば良いだろう。

 

(どっちが随行だか護衛だかわからんな~。けど、留守番してなさいって言ったら、泣くんだよな~……)

 

 押しつけがましい忠誠心など気にすることはない。

 しかし、捨てられる子供のように泣かれたことで、ベルリバーは折れるしかなかったのだ。

 出発間際、エルフ娘三人を連れたベルリバーに向けて、聖王国へ出かける前のペロロンチーノが「ヒューヒュー!」と口で口笛の真似をしていたが、思い出すとイラッとくる。と、そのような考えごとをしている彼の隣で、メコン川が回答した。

 

「ルプーは嫁に出したからな。常々、俺が連れ回していいってもんじゃないさ」

 

 和風甲冑(今回は、装飾品少なめの当世具足。色は赤。)を着たメコン川は、そう言ってニヤリと笑う。理由としては真っ当だ。だが、ベルリバーは目尻をさげると、こちらもニヤリと笑い返し、声をひそめた。

 

(「……アルシェちゃんに、ルプーとの仲を勘ぐられる恐れがあるから……じゃないの?」)

 

(「それもある」)

 

 小さな声で即答だ。

 ベルリバーは、ニヤついていた目を見開いた。

 

(え? アルシェとは、マジな関係なの?)

 

 戦闘メイド(プレアデス)、ルプスレギナ・ベータの容姿を見る限り、制作者であるメコン川の女性の好みは、そこそこ高身長、褐色、赤毛、ナイスバディのはずだ。しかるに、アルシェ・イーブ・リイル・フルトは、どれにも当てはまらない。将来的に身長が伸びたりナイスバディになるかもしれないが、髪は染めるにしても、肌の色は難しいだろう。第一、三十過ぎてるメコン川と、十代中盤ないし後半のアルシェでは年の差が……。

 ベルリバーは暫し考えてから、最大の懸念点を指摘した。

 

(「メコさん。年の差……」)

 

(「現状、そこまでの付き合いじゃないし」)

 

 メコン川が苦笑しながら顔の近くで手を振る。

 

(「アルシェに痛くもない腹を探られたくないとか、そういった事だよ」)

 

 つまり現状、メコン川はアルシェと交際していないらしい。

 だが、今の回答では、アルシェに対し気があると言っているも同然だし、傍目には随分と親しく見えるのだが……。

 

(それにな~……。今回みたく請負人(ワーカー)仕事へ混ざりに来たとき、飯食うときはフォーサイトからアルシェだけ抜けてきて、メコさんと携帯食食ってたりするし!)

 

 恋愛の意味で親しいのか。友人として親しい間柄なのか。アルシェ側で麻疹のように気が向いてるだけなのか。

 ベルリバーとしては、恋愛的な方向で二人が親しいと思うのだが……。

 

(まあ、俺が他人の女関係を勘ぐれた立場じゃないしな……)

 

 肩越しに後方を振り返ると、何やら和気藹々と話していたエルフ三人娘が視線に気づき、笑みを向けてくる。リーダー格のデルフィーヌは元気よく、フェリシタスは左右に分けた金髪を揺らしながらフッと微笑んでいた。二人の妹分であるスカーレットは、恥ずかしげではあるものの、最後にニッコリ微笑んでくる。

 それら三人を、肩越しに向けた左目の端でジトッと見たベルリバーは、無言で正面に向き直った。

 

(俺は俺で、手一杯か……)

 

 エルフ娘らに関しての認識は、『初対面の他人』から『ちょっとした縁で居候することになった女性』に変わっている。ベルリバー自身、悪い気はしていない。だが、デルフィーヌ達に対して恋愛感情があるかと聞かれると、首を傾げざるを得ない。

 

「俺も現状は……だけどな」

 

 

◇◇◇◇

 

 

(俺とアルシェの関係が気になるか……)

 

 ベルリバーからの問いかけに答えたメコン川は、その特徴的な『口の端を持ち上げる笑み』を浮かべた。

 正直なところ、彼自身はアルシェに関し、異性としての魅力を感じている。

 それは、アルシェが家族のために一生懸命であったり、普段から真面目であったりと、そういう所を好ましく思っているからだ。何より、アルシェ側でメコン川に気があるらしく、時折仕掛けてくるモーションが可愛らしい。

 現状で相思相愛っぽいのだが、メコン川が手を出さないのは、ベルリバーが言ったように『年の差』があるからだった。加えてアルシェの容姿が、メコン川好みの年齢層に達していないこともある。

 

(もう少し待つぐらい、なんてこたぁないさ……)

 

 そう自分の中で考えを纏めながら、メコン川は左腕を右に回し、その二の腕を下から右腕で巻き上げ……ストレッチをした。これからフォーサイトの一員として、他の二チームと共にオーガ集落を襲撃するのだが……。

 

(どうも集落の様子がおかしいんだよな……。オーガの数が、ぜんっぜん少ねぇし……。パルパトラの爺様……。いや、もう爺様じゃないけど、あちらさんも気にはなってるみたいだし……)

 

 集落内や、周辺に配置した影の悪魔(シャドウ・デーモン)からは、特に報告がない。

 一緒に連れてきた影の悪魔(シャドウ・デーモン)は一〇体だが、彼らの警戒網をオーガが抜けるのは容易ではないはずだ。

 モモンガからは、雑魚と見なした相手を放置し、それらの警戒網通過を報告すらしなかった事例を聞かされていたが……。ナザリックの(しもべ)らは基本的に有能なので、そう同じ失敗はしないだろうとメコン川は考える。

 

(てことはよ? こりゃ、ひょっとして……)

 

 面白いことになるかも……。

 そう思う一方で、メコン川はベルリバーが連れているエルフ娘達が気になった。

 贔屓目に見て、ヘッケラン達にも及ばない実力。それが彼女ら三人だ。

 

(ベルさんなら間違いはないと思うが……俺の方でも気をつけておくか……。後はアルシェだが……こっちもまあ、大丈夫だろ……)

 

 竜狩りやヘビーマッシャーは近くで行動するが、それでも別のチーム。メコン川達はフォーサイトの一員なのだから、竜狩りらのサポートは無理ではないものの手が回らない可能性がある。一方、アルシェやエルフ娘達はフォーサイトの一員であり、メコン川達とは行動を共にするので目が届きやすいし、距離も近い。

 安全面で言うなら、かなり大丈夫なはずだ。

 

「とはいえ、油断は駄目だよな~……」

 

 慢心も駄目です絶対。

 ぷにっと萌えの声が、早口の幻聴となって脳内を流れていく。

 メコン川は、兜の緒を締めながら頷いた。

 

「そうそう、慢心も駄目。気張って対処しますかね……」 

 

 

◇◇◇◇

 

 

「この規模の集落としては、数がおらんの……」

 

 黒々とした長髪の中年男性が、槍を杖代わり……ではなく肩に載せてぼやく。

 その口調は歯が欠けていた頃と違い、はっきりと聞き取れていた。

 請負人(ワーカー)チーム、竜狩りのパルパトラ・オグリオン。

 少し前までは八〇歳という高齢者だったが、過日、ナザリック地下大墳墓で接待的なダンジョンアタックをした際、若返りのポーションを得て今の姿になったのだ。そんな彼は、現在の肉体年齢が五十歳。冒険者や請負人(ワーカー)として見れば若くないが、若返る前よりは格段に若い。

 今の彼にとって最大の目標は、再度、若返りポーションを入手して二十歳まで若返ることだ。とはいえ、ナザリック地下大墳墓に対するダンジョンアタックは、茶釜姉弟に対する恩に報いるため、モモンガ達が企画した『接待』であり、特例中の特例だった。次は、どうする気なのか。

 実は、若返りポーションの作成者たるタブラ・スマラグディナと、個人的に約束を交わしているのだ。

 先日のダンジョンアタックで、同じ請負人(ワーカー)チームのフォーサイトがモモンガ達と相談している間、竜狩りは通路壁の操作で余計な移動を強いられていた。このことの補填もあって、入手した木箱内にはタブラからのサービス品が含まれており、その中の一品が『若返りポーション』だったのである。

 ただ、タブラとしては手慰み的に作ったポーションであり、薬効に確信が持てるものの、贈答品として渡すには臨床試験の少なさが気になったらしい。ナザリックに敵対する人間が相手なら格好の人体実験となっただろうが、何しろパルパトラは茶釜姉弟の恩人の一人だ。粗雑な対応はできない。

 少し悩んだ結果、「出したばかりで申し訳ないが、安全性について検証が足りないので別の品と交換を……」とタブラが申し出たところ、パルパトラが拝み倒す形で、そのまま入手したのだった。

 この時、パルパトラは「若返れるのなら多少の危険は覚悟の上、人体実験であろうが喜んで引き受ける」とまで言い放ち、感じ入ったタブラによって、『三十歳若返るポーション』服薬後のレポートを定期的に提出することで、『二十歳まで若返るポーション』提供の約束を取り付けている。

 以上の事情により、特にヘマをしなければ二十代への若返りを約束されているパルパトラは、浮かれ気分もあるが、ベテランらしさを損なうことなく請負人(ワーカー)業に勤しんでいるのだった。

 そして、そんな彼の後ろ姿を、請負人(ワーカー)チーム……ヘビーマッシャーとフォーサイトの面々が苦笑しながら見ている。

 

「張り切っている……。いや随分と御機嫌だな、老公は……くくっ」

 

「笑うなよ、グリンガム。二回に分けてとはいえ、八十歳から二十歳まで……六十歳も若返る見込みがあるんだろ? そりゃあ御機嫌よろしいさ」

 

 そう言って肩をすくめるヘッケランだが、その彼とて過日のダンジョンアタックでは、高性能の双剣を入手していた。総オリハルコン製で、ある程度の自己再生能力を持ち、ゴーストなどの非実体モンスターにも攻撃が通る。装備替えする前に使っていた双剣もお気に入りだったが、この剣に対する気に入りぶりは遙か上を行くのだ。それは他のメンバー……イミーナ、ロバーデイク、アルシェも同じだ。それぞれがナザリック地下大墳墓で得た装備によって強化されている。

 フォーサイトは強くなった。これからも強くなることだろう。

 そう確信を持ったヘッケランは、愉快な気分で笑う。

 そして、後ろ手で手を振り、自チームへ戻っていくグリンガムの後ろ姿、それを見やってヘッケランは再度笑った。

 肩で風切る歩き方に、嬉しさが滲み出ているからだ。

 以前と同じ甲冑着用のグリンガム。だが、ナザリック地下大墳墓へのダンジョンアタック後は見た目もさることながら、まず装備の色が違う。

 サーモンピンク主体で、各所に濃い赤の塗装がされた全身鎧。

 やはりナザリック地下大墳墓で入手した物だ。

 ひたすら頑健で、魔法を弾き、増力効果を有する上に自己修復機能も備わっている。

 小柄でガッチリした体格のグリンガムは、以前の甲冑だと、ズッシリとした動きで戦うスタイルだった。しかし、今の甲冑を入手してからは風のように戦闘エリアを駆け回り、これまた新調した斧の威力に物を言わせて、モンスターを屠っている。当人が言うには「俺は赤い流星だ!」だそうだが、得意げに語る姿は、髭面のオッサンであっても実に微笑ましい。

 

「うん?」

 

 歩いて行くグリンガムに、戻って来たパルパトラが合流。そのままグリンガムの向きを変えさせて、ヘッケランの元へ連れ立って歩いてきた。

 

「老公さん、どうかしたんすか?」

 

「いやな……ちいとばかし相談があっての」

 

 若返ったことで発音のハッキリしているパルパトラは、口調は実年齢のままで言い、額を指で掻く。そして、ヘッケランに答えてから一瞬、視線をメコン川達に向けた。

 

「各チームのリーダー同士で相談したいが、ヘッケランの所は……シシマルとバリルベにも入って貰いたいんじゃ」

 

 パルパトラの提案により、各チームのリーダーとメコン川ベルリバーが加わっての相談となる。その、お題は……。

 

「思っていたよりも集落の規模が大きい、これは見てわかるの? しかし、その割りにオーガの数が少ない。マズいと思わんか?」

 

 想定したよりも少ないオーガの数。

 これについては、ヘッケランやグリンガムも気になっていた。

 

「狩りか何かで主だった者が外出……遠出している? と、老公は言いたいのかな?」 

 

「汝もそう思うか、ヘッケラン」

 

 ヘッケランの呟きにグリンガムが反応し、三チームのリーダーは顔を見合わせる。

 彼らは、こう思ったのだ。いずれ戻ってくる遠出組と、集落残留組によって挟み撃ちされるのではないか……と。

 であるならば、予想される事態を漫然と待つわけにはいかない。三人は考えた。

 一、今のうちに数の少ない集落を攻撃してはどうか。

 勝算は高いが、戦っている最中に遠出組のオーガが戻って来たら、挟撃されるのではないか。

 二、このまま様子を見てはどうだろう。

 遠出組と出会す可能性があるし、オーガ達の合流を待つのは愚策。

 三、そもそも想定より集落規模が大きいのだから、諦めて帰るのも一つの手。

 これこそ愚策、仮にオーガが遠出していなくとも、無理をすれば勝てる見込みはある。何もしないで帰ったのでは依頼失敗。各チームの評判が大きく低下する。

 このように案を三つ考えたが、どれを選ぶかとなると一番目だろう。

 

「となると、どれだけ早く集落を落とせるかが重要よな。賭けの要素があるので儂ぁ好かんが……今回、フォーサイトに『強者』がおるのでな……」

 

 そう言ってパルパトラがメコン川達を見ると、ヘッケランとグリンガムも二人を見た。

 三人からの視線を受け、メコン川達は「ああ、なるほど」と理解する。

 

「俺達の力を当てにしたいわけだ?」

 

 メコン川が言ったように、パルパトラ達は当てにしていた。メコン川達……ナザリックの強者としての戦闘力を。

 

「あんたらも、その……ブジンタケミカヅチさんや、アインズ・ウール・ゴウンさんみたいに……ええと、凄いんだろ?」

 

 凄いというのは、単に強さだけを指して言っているのではない。ナザリック地下大墳墓でのダンジョンアタックで見た、死の支配者(オーバーロード)半魔巨人(ネフィリム)。そういった者達の一員であるからには、メコン川達も似た存在ではないのか。そうパルパトラ達は考えていたのである。

 これに対し、メコン川とベルリバーは顔を見合わせ、二人揃ってヘッケランに向けて頷いた。

 

「そうだよ。なあ、バリルベさん?」

 

「まあ、そうだな。シシマルさん」

 

「そ、そうか……」

 

 あっさりと肯定したことで、ヘッケランの笑顔が強張る。

 嫌悪感ではない。あのダンジョンアタックの折に体験した『強者』の凄み、そして強さ。それをメコン川達が有していることを確認し、気圧されたのである。

 

(やっぱりそうだったのか! てことは、かぜっちやペロンも? ニシキだって……)

 

 モモンガと戦って手も足も出なかっただけに、同程度と目される強者と行動を共にしていたのかと思えば、冷や汗を禁じ得ない。まさに、背中に氷柱を差し込まれた気分というやつだ。

 

「あ~……おほん」

 

 ヘッケランの引きつり顔を見たベルリバーが咳払いする。

 

「何やら誤解しているようだが……。ナザリック地下大墳墓に居る仲間や俺達は、人間種だぞ?」

 

「なにっ!? そうなのかぁ!?」 

 

 ヘッケランが声をあげ、パルパトラとグリンガムは顔全体で驚きを表現した。

 が、これは嘘なのだ。

 モモンガ達……ナザリック勢は、聖王国からの亜人討伐依頼で戦うにあたって、大っぴらに異形種化するため『異形種の力を宿して変身する』という言い訳……もとい理由をでっちあげていた。そして、人化状態から異形種へと変身する様は、カルカやレメディオス達に見せて受け入れられている。この実例をもって、人前で異形種化する際の理由ないし言い訳とすることが、ギルメン会議で決定されていたのだ。

 

「とまあ、そんなわけで……一緒に行動している以上、俺達を当てにするのは好きにしてくれていい」

 

 設定好きのタブラによってブラッシュアップされた『説明』を語り、ベルリバーが話を締めくくる。これがメコン川であれば、口の端を持ち上げてニヤッと笑ったのだろうが、ベルリバーはムスッとした表情を崩さなかった。不機嫌なのではない。これが普段の顔つきなのだ。

 さて、こうした説明を受けた以上、ヘッケラン達が気にするのは、メコン川達がどういった姿に変貌するか……である。強さ云々は、ナザリック勢の一員であることから確認せずともわかっている。とにもかくにも『変身後の姿』が気になるのだ。

 

「今、ここで変身してみせろって?」

 

 メコン川が親指で自分の顔を指し示すと、ヘッケラン達は一様に頷く。

 対するメコン川達は顔を見合わせたが、メコン川がニヤリと笑い、ベルリバーが無言で頷いた。

 二人で異形種化を実演するのだ。

 だが、その前に各チームのメンバーを集めて、事前説明を行う。リーダーだけに異形種化した姿を見せて、話を聞いただけの他メンバーが後で驚く。そんな面倒なことは御免被りたい。

 呼び集められたメンバーらは、各リーダーから説明を受けて困惑していたが、その様子を見たメコン川は苦笑している。

 

(今まさに遠出組のオーガ達が戻ってきて、集落のオーガとで挟み撃ちされるかもってのに、悠長なことやってるな。もっとも、挟み撃ちされても問題ないわけだが……)

 

 周囲に影の悪魔(シャドウ・デーモン)が居るとか、ベルリバーがエルフ娘達を連れているとか、そういったことではない。メコン川かベルリバー。どちらか一人居るだけでも、この規模のオーガ集落を容易く殲滅できる。だから、悠長に『変身姿』のお披露目会をしていても問題ないのだ。

 

(ヘッケラン達の変身……異形種化要望も、その辺を見込んでるのかも? いや、穿ちすぎかな?)

 

 ヘッケラン達が一通りの説明を終えると、集まった三つの請負人(ワーカー)チーム、そのメンバーらの視線はメコン川達に集まる。

 

「あ~……ヘッケランから説明があったとおり、俺達が本気で戦うときは異形種に変身する」

 

 メコン川は言った。本番でいきなり見て驚かないよう、今ここで変身してみせると。

 メコン川はアルシェと目が合ったが、アルシェの不安げな表情は、目が合うなりキリッと締まったものになり、小さく頷いてきた。

 

(おほっ! いいね! おじさん、やる気が出ちゃう!)

 

「いくぜ! バリル……ベルリバーさん!」

 

「……承知した。メコン川さん!」

 

 偽名でなく本名で呼びかけたメコン川に、ベルリバーもメコン川の本名で応じてくる。

 メコン川は抜刀すると、胸前で水平にし、次いで顔前にて刀を垂直に立てた。そして切っ先側の峰に掌をあてがうと、擦りつけるように鍔元へ滑らせる。

 異形種化時に必要な動作ではない。これは、アバター作成時に参考にした特撮時代劇……それで見た変身ポーズなのだ。

 

「獣王獅子変化!」

 

 なお、掛け声はタブラと一緒に考えたオリジナルである。

 そうして叫んだ次の瞬間、そこには赤いスーツに黒の胴鎧。黒手袋と黒ブーツ。背で飜るは金裏地の黒マント。それらを着用した……白獅子の獣人が立っていた。

 おおっ……と請負人(ワーカー)達から声があがり、それを聞いたベルリバーが、後ろ手に手を組み、うつむき気味で鼻を鳴らす。

 

「……転身……」

 

 ボソリと呟くや、貴族剣士のような姿が一転、多口四腕の異形に変貌した。

 人型に寄り集まったブドウの粒、その一つ一つに口がある異形ぶりは、まだしも人間種に近い獣人メコン川よりもおぞましい。請負人(ワーカー)達のウケもメコン川の時よりは良くない様子で、「おおっ」だった反応が、ベルリバーの時には「うわぁ」となっていた。

 

「……まあ、そういう反応を期待して種族選択したんだがな」

 

 そう呟くベルリバーの声は平坦だ。表情が解らないので、憮然としているのか苦笑しているのか判別がつかない。しかし、メコン川に近い右側の下腕が一瞬サムズアップしたので、メコン川にはベルリバーの考えていることが理解できた。

 

(ユグドラシルの時と同じか。すまんね、ベルリバーさん……)

 

 ユグドラシル時代、二人はコンビで行動することがあったが、当時は人化などせず異形種姿のままである。ギルド外のプレイヤーと話す際は、まずベルリバーの見た目の異様さが目立ち、メコン川は不必要に警戒されたりすることがなかった。

 メコン川の影が薄くなったと言えばそうかもしれないが、ベルリバーが悪目立ちすることで気が楽だったと言える。また、ベルリバーも、そのことは認識していたので「俺ばかり目立ってすみませんね?」「いやいや、その分、俺の格好良さが際立ちますので」といった会話をメコン川と交わし、二人で笑い合っていたものだ。

 今、請負人(ワーカー)達の前で異形種化した際の観衆反応は、まさにユグドラシル時代を彷彿とさせる。

 

「シシマル?」

 

 いつの間にか進み出ていたアルシェが、杖を抱きしめるようにしてメコン川を見上げ、呼びかけた。怯えの色は見えないものの、戸惑っている様子ではある。メコン川は、白獅子顔でニカッと笑ってみせた。

 

「俺だとも。どうだい? この獣面(けものづら)も、なかなかイカすだろう?」

 

「うん、格好良い……」

 

 そう言うアルシェは、言い終わってからモジモジし出す。

 小便か……などと、デリカシーの無いことを言い出さないか、ベルリバーがハラハラ見守る中、メコン川は獅子顔の鼻を人差し指で擦った。

 

「この姿が格好いいのは自負するところだが、アルシェに言われると照れるな……」

 

「むう……その返しは、私の羞恥心に効くから反則……」

 

 お互い照れ合ってるので、傍目にはイチャイチャしているようにしか見えない。白獅子頭の獣人と、人間種の少女の組み合わせなのに……だ。

 数メートルほど離れて見ていた請負人(ワーカー)の中、フォーサイトの面々がススッと横移動して距離を詰め合う。

 ヘッケランを真ん中に置き、右側にロバーデイク、左側にイミーナの配置だ。

 

(「なぁ? アルシェってやっぱり、シシマルとイイ感じだよな? な?」)

 

(「見たとおりでしょ、ヘッケラン? でも、あの変身した姿を見て、あの顔ができるとか……アルシェもやるわね……」)

 

(「しかし、『変身した姿』ですか……。二人とも、あのシシマルさんとバリルベさん……さっきの会話からすると、本名はメコンガワさんとベルリバーさんのようですが。あの姿、本当に『変身した姿』なんですかね?」)

 

 ロバーデイクの問いかけに、ヘッケランとイミーナが顔を見合わせた。

 ロバーデイクは、こう言いたいのだ。

 『変身した姿』なのではなく『元に戻った姿』ではないのか……と。

 言われてみれば、そういう考え方や見方もある。

 ヘッケランとイミーナは右側のロバーデイクを見返し、ロバーデイクも二人を見続けた。

 もし、ロバーデイクの推察が正しいのであれば、メコン川達は自分達に対して嘘をついていることとなる。

 数秒ほど見つめ合い……。

 

「へっ……」

 

 ヘッケランが鼻で笑った。

 

(「別にイイじゃねぇか、偽名なんて請負人(ワーカー)じゃ珍しくもなんともないだろ? あの獣頭が本当の姿だとしても、一緒に仕事してたら人柄はわかるからな」)

 

 そうヘッケランが持論を述べるとロバーデイク達は納得いったように頷いたが、無論、ヘッケランは人柄だけでメコン川達を判断したわけではない。二人の仲間である、ナザリック勢の存在を考えた上でのことなのだ。

 

(仲間が世話になったってだけで、総オリハルコン製で魔法付与までした剣をくれるとか……)

 

 腰に吊った双剣に目をやる。

 ナザリック地下大墳墓でのダンジョンアタックの際、お土産として貰った物だが、入手してから今日まで何度も助けられた。破格の性能と言って良いだろう。

 ナザリックの者達の強さは身をもって知ったが、その上でこのような剣をポンとくれるのだ。たとえ偽名を使っていたとしても、たとえ人間種でない姿が本性だとしても、それだけで忌避するのは躊躇われる。それに、せっかくナザリック側の心証が良いのだから、これからも良い関係を続けられれば……。

 

(「俺たち、勝ち組って奴になれるのかもな……」)

 

(「え、なに? 今なんて言ったの?」)

 

 イミーナが聞き返してくるが、それを「なんでもねぇよ」と言って誤魔化したヘッケランは、離れたところで何やら話し合うメコン川とアルシェを見て、その目を細めるのだった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

 ヘッケラン達の囁き声は、当然ながらメコン川に聞き取れている。

 人化状態ですら聴覚は強化されており、異形種状態だと更に聴力アップするからだ。

 

(なんだ、上手く誤魔化せたと思ったら、ヘッケラン達の方で合わせてくれてる感じか……。せっかく、それっぽく『獣王獅子変化』とかキメ台詞を考えてきたのにな~)

 

 ギルメンで……主にタブラが……知恵を絞って考えた『設定』が無駄になったというわけだ。いや、相手側で合わせる土台になっているので、全部が無駄というわけではない。

 何より、今のメコン川にとっては目の前のアルシェがどう思っているかが重要だ。

 怖がられていないようだが、アルシェもメコン川の正体に気がついているのだろうか。

 

(気づかれてると思った方がいいな……)

 

 観察するように視線を向けていると、俯いてモジモジしていたアルシェが顔を上げる。このことで二人は目が合ったが、見下ろすメコン川に対し、アルシェは不思議そうな顔をした後……微笑んだ。どちらかと言えば『ニンマリ笑顔』寄りと言える。

 そのアルシェが、人差し指を下向きにクイクイと曲げるので、メコン川は白獅子顔を彼女に寄せた。

 

(「どうかしたか?」)

 

 なにか内緒話でもしたいのか。そんな思いでメコン川は問いかけたが、耳の位置が高いと頭を傾けさせられている。そんなメコン川の下げられた耳に向け、アルシェが口元を両手で覆いながら背伸びをした。

 

(「私……諸々、気にならないから……」)

 

(「……それは、まあ……嬉しいお知らせで……」)

 

 年下の少女に気を遣われているので情けない思いはあったが、嬉しいのも事実。今度、メシでも奢ろうと考えながら、顔を寄せている良い機会なのでアルシェに聞いてみた。それは彼にとって、最も重要な質問だ……。

 

(「俺の何が良かったんだ?」)

 

(「それを手短に説明するのは、私にとって難易度が高い……。でも、強いて言うのであれば……」)

 

 まずは、初めて会ってからの戦いぶりだろう。魔法を使う剣士としてなら、メコン川とバリルベは同程度にアルシェの目を惹いていた。そして、異性として意識するようになったのは、依頼中の戦闘で助けて貰ったのが切っ掛けである。本来、チームを組んでいない請負人(ワーカー)同士が躰を張ってかばうなんて滅多にない。物好きな男だ……と認識してから、アルシェの心は緩やかな恋の坂を、ゆっくり降下していった。トドメになったのは、メコン川がナザリック地下大墳墓の関係者であり、その正体に勘づいたことだろうか。

 メコン川が、モモンガ……フォーサイトと対戦した『アインズ・ウール・ゴウン』と同程度強いとしたら、それはもう英雄を超えた神の如き存在だ。その彼に対して覚えた『憧憬』が、アルシェの心をメコン川に釘付けにしたのである。

 

(「あと、一番大事なこと……シシマルの優しい雰囲気が好きだから……」)

 

(「そ、そうか随分と語ってくれたな……。嬉しい感じの情報量が多すぎて……。何と言って良いやら……」)

 

 白獅子の照れ顔とは、どういったものか。

 メコン川は想像もつかない。刀を抜いて鏡代わりにする手もあるが、そこまでして今確認するものではないだろう。

 

(って、何考えてるんだか……)

 

 メコン川は何となく手を伸ばすと、アルシェの頭に触れて撫でた。

 撫でられた側のアルシェは一瞬驚き、子供扱いされたようで気に入らなかったのか少し唸ったが、すぐに心地よさそうに目を閉じて笑う。満面の笑みだ。

 その笑顔が、異形種化して人から離れたメコン川の心にジワリと染みこんでくる。

 

(ペロロンさんを笑えないけど、まあ……いいか……)

 

 普段からエロエロ言ってなければ、ああはなるまい。

 メコン川は暫し、アルシェの頭を撫で続けるのだった。

 そういった二人をすぐ隣りで見ていたベルリバーは、一息吐くと人化する。着飾った服に、胸甲主体の防具とサーベル。後ろ手に腕を組む彼は、「お熱くて羨ましい限りだ」と呟いた。が、すぐ後ろからの視線に気がつき、左肩越しに振り返ってみる。

 そこではエルフ娘らが三人、グッと握りしめた拳を胸元に上げ、ベルリバーの背へ向けて距離を詰めていた。

 

「ベルリバー様!」

 

 青髪のデルフィーヌが真剣な表情で宣言する。

 

「私達、皆、ベルリバー様をお慕いしていますので!」

 

 金髪のフェリシタスと茶髪のスカーレットが、まったく同意見とばかりに頷いた。その様を見たベルリバーは呆気に取られたが、すぐに表情をムスッとしたものにして正面へ向き直る。

 

「嬉しい……と言っておこう」

 

 ぶっきらぼうな口調だ。しかし、その耳は赤い。

 背後からキャーッと黄色い声が挙がると、ベルリバーは頬の火照りを感じて口をへの字に曲げた。

 

「いい歳してモテ期か? 悪くはないが……」

 

 ウルベルトさんが聞いたら嫌な顔をしそうだ……と思ったが、あっちはあっちで聖王国のケラルト・カストディオと良い雰囲気なので、そう文句は言われないだろう。それに気がついたベルリバーは、一瞬だけ素の笑みを浮かべるのだった。 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 ナザリック地下大墳墓、第九階層……モモンガの私室。

 執務机前の応接セットで、モモンガとアルベドが座っている。膝高のテーブルには、紅茶が用意されていた。

 

「つまり、モモンガ様は女性の体で女性を抱くに当たり……お悩みであると?」

 

 二人きりの時には、『アインズ』ではなく『モモンガ』と呼んで良い。そう言ってあるので、アルベドはモモンガ呼びで会話している。

 

「平たく言えば……そうだ」

 

 表情のない異形種体で相談するのは失礼かと思ったモモンガは、人化して女性となった顔で頷いた。そして内容が内容なだけに、その頬は赤い。

 対するアルベドは「恥ずかしがるモモンガ様。そそるわぁ……」などと考えていたが、精神の停滞化によって、すぐに冷静さを取り戻している。思考対象たるモモンガが女性になったとしても、モモンガによる設定改変の効果に変わりはないようだ。ただ、タブラの見立てによると、この転移後世界に来てから順応することで、アルベドの『元からの性根』と『設定改変による効果』が混ざりつつあるらしい。いずれは、転移前のアルベドと転移後のアルベド、双方の中間くらいの人格に統合されるとタブラはアルベドに語っていた。

 自身の人格が変貌する。

 通常であれば恐怖すべき事態であるが、アルベドは嬉々として受け入れている。

 何故なら、それはモモンガの望みによって生じたものだからだ。

 たとえどのような人格となっても、モモンガを愛する気持ちが揺らぐことはない。そう確信を持つアルベドは、澄まし顔から花咲くような笑顔になってモモンガを見た。

 

「お気にすることなく、これと思った相手を抱けば良いと思います」

 

「そ、そうか……」

 

 戸惑うモモンガに対し、アルベドは持論を展開する。

 ナザリック地下大墳墓に君臨する至高の御方は、すべての頂点に立つ存在だ。だから、ナザリックに所属する女性は、すべて至高の御方の所有物であるし、ナザリック外……転移後世界の女性もすべて同じと思って良い。

 いわゆる『ナザリックの(しもべ)思考』全開の論調だが、大方そういった事を言われるだろうと思っていたモモンガは、少し肩を落としながら呆れ顔になった。

 

「うん、まあ、そう言うだろうな」

 

 納得はしたが、モモンガは少し不満を感じている。アルベドは「自分以外の女であろうと、好きに抱いて良い」と言ったも同然で、モモンガが他の女性と関係を持とうが気にしないということだからだ。

 そのことは、支配者として好都合だが、一男性として一押しの女性から言われるのは面白く感じられなかった。

 故に、モモンガの口から次のような言葉が出る。

 

「でも……本当にいいのか? 個人的に思うところがあるのなら、好きに言ってくれていいんだぞ?」

 

 モモンガは知りたかった。ナザリックの(しもべ)としてではなく、一人の女性としてアルベドがどう思っているのかを。そして、言って欲しかった。正直を言えば、自分は嫌だ……と。

 

(どうせ、良いも悪いもない。俺の命じるままで……とか言うんだろうな)

 

 半ば諦めがちのモモンガであったが、アルベドの返答を聞いて伏し目がちだった顔を上げることとなる。

 

「お許しを得て本心を述べますと……良い気はしませんね」

 




 今回、おおむね1万4千文字となります。
 メコ&ベル、主にメコン川さんのパートに力が入りまして……。

 メコン川さんは、わきまえた人物……という設定にしてますので、アルシェとベッドインするのは数年後となるでしょう。ベルリバーさんとエルフ娘らは数日内ですかね。
 オーガー集落の話は今回で終わりにするか考え中。

 ネイアに関しては、原作のアレな弓じゃなくて、オリジナルの弓を渡しています。
 今回で掲示板リクは、残すところ『モモンガとルプー』の二人で過ごすシーンのみとなりました。
 各リクエスト者様には、御満足いただけると嬉しい限り。

 先のギルメン会議後、1日も経過してない有様ですが。
 可能な限り、ギルメン関係のエピソードを詰めこむ所存です。

 他作家さんのところで読んだ、ギルメン同士の模擬戦とかも、やってみたいですね。


<誤字報告>

D.D.D.さん、tino_ueさん

毎度ありがとうございます。
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