同じ頃……と言って良いのだろうか。
玉座の間に移動したモモンガは、
彼女の胸元に
(るし★ふぁーさんが何か仕掛けてたら、絶対に許さないけどな)
アインズ・ウール・ゴウン随一の問題児を思い浮かべ、モモンガは舌打ちしそうになる。
(おっといけない。もう最後なんだから、嫌なことを考えるのはよそう。ん~……)
気晴らし気味に、なんとなくアルベドの設定を覗いてみた。表示されたのは途方もない長文設定で、あまりの長さにモモンガは目が滑る。
「
苦笑しつつスクロールバーを下げていくと、最後の最後で強烈な一文が目に飛び込んできた。
『ちなみにビッチである』
「は? ビッチって、この清楚美人な見た目で? タブラさん、ギャップ萌えとはいえ……これはない。ないですよ~」
他人のNPC設定について文句を言いたくはない。ないが、しかし……目に余るひどさに関しては思うところがあった。
(最後の最後だし。タブラさんも許してくれるよね?)
傍らで浮遊していたスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを呼び寄せ、その機能、権限を用いてコンソールを展開する。これで、設定内容の書き換えが可能となった。
「とりあえずビッチの部分は消しておくか」
キー操作で一文を削除してみたが、どうにも空欄が寂しい。
「何か……書いた方がいいのかな」
つう……っとコンソールに指が伸び、『モモンガを』まで打ち込んだ。それは何気なしの行動であり、好み美女を目にしたモモンガの欲求が反映されたもの。流れるように動く指が続いて『愛している』を入力しようとしたとき。
異変は起こった。
「どぅへっ!?」
ぬるびちゃあ!
珍妙な声と濡れ物の落下音が、玉座を挟んだ……アルベドとは反対側で聞こえたのだ。
慌てて入力確定して画面を閉じたモモンガが振り向くと、そこには先ほど別れたばかりの
「へ、ヘロヘロさん!? ログアウトしたんじゃ!?」
「へっ? あれ? なんで、この身体……」
ヘロヘロは自らの身体を見回していたが、モモンガを視界に入れるやズザザザッと駆け寄ってきた。
「モモンガさん! 良かった! 間に合ったんですね!」
ヘロヘロは円卓の間での態度を詫びる。
数年に亘り、一人でナザリック地下大墳墓を維持し続けたモモンガに対して「まだナザリックがあったんですね」などと、なんという気遣いも配慮も人情もない言いぐさだったか。
一社会人として、床にめり込まんばかりの土下座をしたいほどだ。事実、ヘロヘロの粘体の身体は、妙な感じで前傾し、頭頂部(?)が床につかんばかりとなっている。
ヘロヘロは半泣きの声で、今の思いを蕩々とモモンガに語った。あるいは寝不足が限界でテンションがおかしくなっていたのかもしれない。
あまりの勢いで謝るヘロヘロを見て、モモンガは気圧され気味だったが、やがて肩を揺すり「くくく……」と笑い出す。
「はっははは! かまいませんよ、かまいませんとも!」
確かに、ヘロヘロの言葉に苛立ちを覚えたのは事実だ。しかし、こうも真摯に……いや、渾身の力を込めて謝罪され、申し訳ない気持ちを語られては許さないわけにはいかない。
それに、一度はもう会えないと思った姿を、最後の瞬間にまた見られたのだ。こんなに嬉しいサプライズは滅多にないだろう。
すっかり気を良くしたモモンガは、玉座から腰を上げ、ヘロヘロに向き直った。
「さっきぶりで会えて嬉しいですよ。ヘロヘロさん。っと、そうだ……」
モモンガは、ふと思い出した。
円卓の間でヘロヘロと別れたときに言いそびれた言葉。誰も居ない空席に向けて放った、あの言葉。
『今日が最後の日ですし、お疲れなのは理解できますが。せっかくですから最後まで残っていかれませんか』
今こそ、あれを言うべき時なのだ。
(一言一句同じことを言えたら、俺的に『でかした』感じなんだけど……)
軽く深呼吸し、モモンガはヘロヘロを引き留める必殺の台詞を口に出した。
「き、今日が……最後の日ですし、お疲れなのは理解できますが。せっ、かくですから最後まで残っていかれまひぇんか?」
意識して言ったせいか、一言一句同じは無理だった。だが、それを聞いたヘロヘロは、スライム体の表面をふるふると揺らして頷く。
「ギルド長のお誘いとあれば断ることはできません。喜んで、お付き合いしますよ。……今の声、震えてませんでした?」
「……気のせいですとも」
プイと顔を逸らしたモモンガと、その顔を覗き込むヘロヘロは、数秒おいて噴き出した。そして二人で愉快げに笑い合う。
「そろそろ……ユグドラシルが終わりますね。ヘロヘロさん……」
「ええ。と言うより、まだユグドラシルが続いてるんですかね? 俺は、てっきり終了時間に間に合わなかったかと……」
ヘロヘロの呟きを聞き、モモンガは「は?」と首を傾げる。彼の感覚では、もう一分ぐらいは余裕があったはずで、ギリギリではあったが『サービス終了後』に突入しているつもりはなかった。
慌てて時間を確認したところ……時刻表示の進行が止まっている。秒表示の数字が動かないのだ。
「ちょ、なんですか、これ!?」
「えっ? ええ?」
ヘロヘロもモモンガが見ている時刻表示を見たが、やはり表示は固定されたままだ。
「何かのシステムエラー……なんですかね?」
プログラマー業であるヘロヘロに聞くも、首を横に振るようなジェスチャーが返ってきた。
「わかりません。運営の方で、サーバーを落とせなくなっているとか……。あるいは担当者が過労で倒れたか……。それに、他の皆が来ていないのも気にかかります。俺も前のアバターになってるし……」
「え? 他の皆? それに前のアバターって……」
無視できない発言を耳にし、モモンガはヘロヘロに詰め寄ろうとした。
が、ここで時計表示が動き出す。それと同時に、モモンガに話しかける『女性の声』があった。
「あの、モモンガ様、ヘロヘロ様? どうかされましたか?」
二人して発声源に目を向けると、そこに居るのはアルベド。本来なら発声どころか、自分の意思で考えることも、表情を変えることすらできないNPCだ。なのに、今の彼女は気遣わしげな表情でモモンガの前に立ち、腰の黒翼をパタつかせている。
「……っ」
「……っ」
絶句。直後にモモンガ達はアルベドに背を向け、囁き合った。なお、身長差がありすぎるため、モモンガはしゃがんでいる。
(「へ、ヘロヘロさん! アルベドが喋ってますよっ!?」)
(「表情だって変化ついてます! 俺たちもですけど、どういう技術なんですかね。ひょっとして、サービス終了と同時に、ユグドラシル2でも始まったんでしょうか」)
新ゲームに移行したのかと思ったが、まずもってあり得ない。
そんな話はネットの噂レベルでも聞いたことがないし、そもそも斜陽どころか落日を迎えたユグドラシルを、今更第二期シリーズにして収益が見込めるとは思えない。
(「ユグドラシル2にして客を集めたいなら、もっと宣伝すべきですよね」)
(「こういうのは糞運営ならやりかねませんが。モモンガさんの言うとおり、宣伝も無しだと会社が潰れるんじゃないですかね~」)
チラッとモモンガが肩越しに振り返る。
アルベドは胸の前で手指を組み、キョトンとしていた。パタパタしたままの黒翼が可愛いと言えば可愛い。
(いや、見とれてる場合じゃないよ!)
モモンガはすっくと立ち上がると、アルベドに向き直り見下ろした。
NPCはギルメンの下僕的な設定で、設定がそのまま生きているなら、指図等しても大丈夫なはず。
(と思うんだが、ええい……ままよ!)
モモンガは可能な限り渋く、想像の及ぶ限り上位者っぽい喋り方でアルベドに接した。
「すまないな。少しヘロヘロさんと相談していた。で……だ。幾つか、めいれ……指示したいことがあるのだが、かまわないか?」
初対面でなくとも、会話するのは初めての女性が相手だ。緊張のあまり、命令という言葉を使用できなかったわけだが……言われた側のアルベドは頬を紅潮させ、歓喜とともに承諾する。
「はい! 私どもはモモンガ様にヘロヘロ様、至高の御方の忠実なる下僕。何なりと御命令くださいませ!」
「お、おう」
(し、しこうのおんかたぁ? 何それ? 俺達のことか!? どんだけ上に見てるんだよ!)
内心引く。激しく引く。
そして、これほどの美女に『何なりと御命令』と言われては、不肖童貞歴イコール年齢の
「あ……」
不意に緊張感が霧散し、冷静な思考が戻ってくる。
モモンガは不思議に思いながらも、アルベドを含む、その場に居たセバス以下、
アルベドだけではなく、セバス達にも表情があり、真剣な眼差しでモモンガを見つめ返してくる。
(NPCが動いてる! アルベドだけでなく、全員が!?)
「そ、そうだな。ふむ……。……セバス!」
「はっ!」
渋い声で白髪の執事が返事をした。
ギルメンのたっち・みーが作成したNPCであり、格闘戦を得意とする竜人。ナザリックの一○○レベルNPC、それも階層守護者を基準にすれば、近接戦最強だったとモモンガは記憶している。
「今よりナザリックを出て周辺の調査及び探索に当たれ。周囲一キロ四方を範囲とし、知的生命体が居たならば、可能な限り穏便に連れてくるのだ。その際、相手側の要求は過大なものでなければ受け入れてかまわない」
また、
「ヘロヘロさん。こんな感じでどうですか? 彼らが外に出られるかも試せますし。他に何かあります?」
「ん~……飛べる人を一緒に行かせるのはどうでしょう? 空からの探索ができますよ? 夜目が利くなら、外が夜でも大丈夫でしょうね」
その他だと、セバス側からの連絡用に
「携帯電話とかありませんしね。となると、巻物を使える人を選んだ方がいいですね。セバスは巻物使えましたっけ?」
「おお、いいですね! ナイス、アドバイス! それでいきましょう! 一応、巻物は持たせる方向で!」
異常極まる事態にあって、モモンガは冷静に物事を考えられる自分、そしてヘロヘロに安堵していた。自分に関しては、先ほど感じた妙な『沈静化』もあるが、やはり同じ境遇となりつつあるヘロヘロが共に居るのが非常に大きい。
(相談できる相手が居て良かったよ~。俺一人だったらダメダメだったろうしさ~)
ヘロヘロや他のギルメンに言わせれば「モモンガさんは対応力高いから、一人でもそれなりにやれたんじゃないの?」と思ったことだろう。
「では……」
ヘロヘロの意見を取り入れたモモンガは、セバスに同行させるプレアデスとして、エントマ・ヴァシリッサ・ゼータを指名した。
ギルメン源次郎の制作NPCである彼女は、シニヨンヘアに着物風のメイド服を着用した美少女……に見えるが、その身体は虫の集合体だ。本体に住まわせた虫の能力で飛ぶことができるし、夜目だって利く。戦闘力の面では一○○レベルのセバスに遠く及ばないものの、航空偵察も兼ねての探索となれば彼女が適任だ。
(<
加えて言えば、エントマは巫術スキルで
「残りのプレアデスは九階層に上がり、八階層からの侵入者が来ないか警戒に当たれ。手が足りない場合は警備用のモンスターを使うのだ。おっと、そうだ。それと、ソリュシャン……」
セバスが戦闘メイドらを連れて退室する中、金髪の
彼女の名をハッキリと覚えていなかったのである。
そこへ、ヘロヘロの助け船が出た。
(「ソリュシャン・イプシロンですよ」)
ソリュシャンはヘロヘロが制作したNPCであるから、フルネームを知っていて当然。助言する口調も、どことなく自慢げである。
もっとも、彼と彼女の制作者と制作NPCという間柄を知っているからこそ、モモンガはソリュシャンを呼び止めたのだが。
「ソリュシャン・イプシロン。ここにこうして我が友、そしてお前の創造主であるヘロヘロが戻っているのだ。積もる話もあるだろうから、ここに残るが良い」
「……っ! はい、モモンガ様! ありがとうございます!」
モモンガに向き直っていたソリュシャンは、その暗く淀んだ目を潤ませながら深くお辞儀をした。暫くして頭を上げたとき、その瞳からは涙が伝って落ちるのをモモンガは目撃している。
(すっごい嬉しそうだ。やはり制作者が居ると嬉しいものなのか。親子……みたいなものなのかな。となると俺の場合……)
モモンガの脳裏で、軍服着用の埴輪顔がクルリと振り返り、見事な敬礼をする姿が再生された。
(あいつも動いてるんだろうな~。会いたくないな~)
若かりし頃……と言っても十年前後の昔だが、当時はノリノリで製作したNPCも、今ではすっかり黒歴史。見ただけで顔が赤く染まるのは確定だ。
(俺、骨だから! 赤くなる皮膚とか血管とか無いけどな!)
「あの、モモンガ様?
それまでモモンガの采配を見守っていたアルベドが申し出てくる。居合わせた者達が指示を賜る中、自分だけが何も言われていない。そこを気にしたらしい。
「ふむ……お前は……」
反応しながら、モモンガは尖った顎先に骨の指をあてがう。
このアルベドは、タブラ・スマラグディナの制作NPCである。先ほどのセバスらに対しては、各々の制作者が不在のため、緊急かつやむを得ず指示を出した。
そう考えると、アルベドにも何か指示を出し、この状況を把握させるために行動させるべきなのだろうが……。
(あ、そう言えばGMコール……。駄目か)
念のためとアルベドに聞いてみたが、彼女はGMコールを知らないとのこと。申し訳なさそうにしているのが見ていて心苦しい。
(メールも機能しないな。システム回りのコンソールは一部を除いて使用不能。NPCの所属や状態の表示ぐらいは出るか。……あと運営を動かすための手立てと言えば……真っ先に思い浮かぶのが垢バン行為なんだけど……)
垢バン。いわゆるアカウントBANの略であり、ユグドラシルにおいてはゲーム内の禁則行為をした場合に、運営からアカウントの停止や剥奪をされること言う。
このときモモンガが想定したのは、女性に対する性的な行為だ。これについての運営対応は厳しく、軽口で卑猥なことを言っただけでも、即座に垢バンとなることもあった。女性アバターの身体……胸や尻でも触ろうものなら一発アウト。
そう例えば、今目の前に居るNPCのアルベド。彼女の乳房を鷲づかみにして揉むなどすれば、通常、モモンガは即座に垢バンされ、強制的にゲームから叩き出されることだろう。
(すなわち! 運営が何処まで機能しているか、ある程度の把握ができる。上手くいけばログアウトできるかも知れない! けどな~……)
それをタブラの作ったNPC、しかも今では意思疎通のできるアルベドにして良いものか。おまけに今、この玉座の間にはヘロヘロとソリュシャンが居るのだ。
(か~っ。恥ずかしい! そんなこと童貞の俺にできるわけないだろ!)
「うぉっほん!」
わざとらしく咳払いをしたモモンガは、キッとした視線を顔ごとアルベドに向ける。
「アルベドは、各階層の守護者に連絡を取れ。六階層のアンフィテアトルムまで来るように伝えるのだ。それと、現地の守護者であるマーレとアウラには私から話をするので、連絡はしなくとも良い」
「かしこまりました」
復唱を始めるアルベドの態度は、セバスらと同様、妙に恭しい。何やら『傅かれているような』気分となったモモンガはドギマギしたが、奥歯を噛みしめて平静を装うと先を続けた。
「では、集合時間は今より一時間後とする。行け……」
「承知しました。モモンガ様」
モモンガ本人としては最大限の威厳を込めた締めくくりに、アルベドは一礼してから背を向け、玉座の間から退室して行った。
◇◇◇◇
玉座の間を出たアルベドは、コツコツと通路を歩きながら各階層守護者に
(後は……デミウルゴスに言って、ナザリックの防衛システムの点検……かしらね)
守護者統括として、指示されたことだけをしていれば良いというものではない。与えられた地位や役割からも、自分の頭で考え行動するのは当然のことであった。
そうして一通りの伝達を終えたアルベドは、そのまま第六階層へと向かうこととする。
「くふっ、くふふふ……」
横一文字に結んでいた唇の端。そこから怪しげな笑い声が漏れ出した。
「ヘロヘロ様がお戻りになった。本当に喜ばしいこと。これはナザリックを挙げての宴が必要だわ。モモンガ様に上申しなければ……」
そこには一点の曇りもない、ギルメン……彼女らが言うところの至高の御方帰還に対する喜びがあった。そして、彼女の思考がモモンガへと移ったとき。瞳の輝きが一層艶を増す。
「ああ、愛しいモモンガ様。ずっとずうっとナザリックに留まられた、慈悲深き御方。アルベドは貴方様をお慕いして……愛していますぅ~」
それは、愉悦に染まりきった表情であり、童貞モモンガが見たら身の危険を感じること疑いなしだ。
「私はモモンガ様を……」
不意に言葉が途切れ、彼女は小首を傾げた。
「私は……モモンガ様を、どうしたいのかしら?」
お慕いして愛しているのだから、お嫁さんとして貰ってほしいとは思う。だが、そこに一点、何やら思い浮かぶのだ。
『モモンガを……』
までが思い浮かび、そこから先が思いつかない。
なんとなく消化不良である。本来の自分であれば、「モモンガ様を旦那様にしたいのよ!」となる可能性が高いと自己分析するも、それを決定事項として良いかとなったところで思考が停止する。
「なんだか、すっきりしないわ……」
ナザリック地下大墳墓、守護者統括。そしてサキュバスとして創造されたアルベド。彼女は困り気味の感情を表情に出しつつ、第六階層へと歩いて行く。
「モモンガ様に抱いていただければ解消できるのかしら?」
◇◇◇◇
(何とか切り抜けた~……)
アルベドが去った後、モモンガは額の汗を袖で拭っていた。もちろん、発汗する身体機能は無いため気分の問題である。
(って、何だってこんな企業の社長だか、悪の組織の親分みたいな事やってんだ? 俺は普通のサラリーマンの、普通の営業職だぞ! 大事なことなので普通は二回言いました! あっ……)
キレそうになるも、やはり感情が沈静化された。
さっきは気のせいかと思ったが、どうもおかしい。
(感情の高ぶりが強制的に沈静化される。これってアンデッドの特性!? 俺、マジで
また沈静化された。
驚きや動揺が瞬時に収まるのは良いと思うが、他の感情まで沈静化されるとしたら事だ。
(正直、いい気がしないぞ。メリットは確かに大きいけど、せっかくヘロヘロさんが居るのに喜ぶのも駄目とか? あんまりだ……)
更に言えばアンデッド体、しかも骨の身体では飲食も不可能である。もっとも、このときのモモンガは飲食不可に関し、それ程の不安視はしていない。元々、
その喜びも、ヘロヘロが思うさま飲食している姿を見た際に潰えるのだが……。
さて、アルベドが退室したことで、この場に残るのはモモンガとヘロヘロ。そしてソリュシャン・イプシロンの三名となった。
ここまでセバスやアルベドの相手をするので精一杯であったため、モモンガは二人がどうしていたかはまったく意識していない。では、今はどうしているのか。
「ヘロヘロさん~?」
親子の対面も、そろそろ一段落したのではないか。そう思ってモモンガが声をかけた時、言い終わりに被せるようにしてヘロヘロが駆け寄ってきた。
「モモンガさん! 緊急事態です!」
「ど、どうしました!?」
せっかく場が落ち着いたと言うのに、今度は何が起こったのか。
呼び寄せたスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを両手で握りしめ、モモンガはヘロヘロに問いかけた。魔法や呪文の発動実験はしていないが、もし使えるなら大概の相手は何とかなる。駄目でも逃げるくらいはできるだろう。
(場合によっては宝物殿に逃げて引き籠もる手もあるぞ!
極短い時間。次々と対策を考えていくモモンガであったが、ヘロヘロの口(?)から飛び出た言葉に腰が砕けることとなる。
「ソリュシャンのパンツを見ても垢バンされません!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
<次回予告>
ソリュシャン・イプシロンよ。
ついに、ついに私の創造主、ヘロヘロ様がお戻りに……。
そして、私の支配者として下された御命令、至福だわ……。
ですが、モモンガ様は何やらお怒りの御様子……。
私……何か粗相でもしてしまったのでしょうか?
次回、オーバーロード 集う至高の御方 第4話
モモンガ『ヘロヘロさん、貴方は』
至高の御方方の会話……尊いわ……。
何しとんねん、ヘロヘロさんのコーナーはここですか?
アルベドについて、例の設定改変を『入力途中で確定かけたらどうなるか?』として書き進めています。この先どんな影響が出るかは未定。
『愛してる』入力が無いのに愛してるとか言ってるのは、アウラがモモンガを意識してるのと同じ理由+サキュバスの本能。もう一つあるのですが、そこは後のお話でキャラに説明させます。
<誤字報告>
ハニスコ様、アクルカ様。
誤字指摘ありがとうございます。すっごく助かります。