オーバーロード ~集う至高の御方~   作:辰の巣はせが

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第63話

 昼を過ぎて暫くたったトブの大森林……東部。

 アウラの魔獣らが先行して伐開(ばっかい)した小道を、異形種化したモモンガ達が進んで行く。

 モモンガ達一行の構成は、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の合流済みギルメン全員。そこにアルベド、シャルティア、ルプスレギナ、ソリュシャン、アウラ、マーレ。オマケとしてハムスケが同行していた。なお、茶釜とヘロヘロの会話を聞いていたリザードマン……ゼンベルが同行したがったが、これは拒否している。

 

「おかしくなったブルー・プラネットさんとの接触ですからね。場合によっては異形種化が必要でしょうし。もう暫くは『親切な人間種』で居たいですからねぇ」

 

 そう言ってモモンガが笑うと、先行している弐式が肩越しに振り返り、モモンガの周囲のギルメンが顔を見合わせて苦笑した。親切な人間種。そう、今のところリザードマン達には、モモンガらの真の姿を見せていない。理由としては与える情報を絞っているというもの。だが、本音は別にある。過ぎた忠誠心や信仰心の無いところでノンビリしたい……あるいはノンビリできる場所を確保したいのだ。ナザリックで僕達から寄せられる忠誠は、嫌ではないが少し……いや、大いに息苦しい。忠誠に見合った態度を取る必要があるので、モモンガのような生粋の一般人は気疲れしているし、素のままで行動しているように見える建御雷やペロロンチーノとて、同様に気疲れしているのだ。それを思うと、ザリュースらのリザードマン集落は居心地が良い。ザリュースやシャースーリューは、モモンガ達を親切な人間種……あるいは友人として信頼してくれているが、言ってしまえばそこ止まりだ。恩義は感じているにしても、ことさら敬うようなことはしない。それが実に心地良いのである。

 

「モモンガさんの言うとおりですよ。……カルネ村は……カルネ村も悪くないんですけどね~。最近、俺のことを拝む人が居るんですよね~……ハハハ……」

 

 前に向き直った弐式が、歩きながら肩を落とす。

 協力的かつ親しみを持ってくれるのは良いが、それが信仰の域まで達するのは御免だ。カルネ村には、もっとこう……RPGにおける素朴な一村落で居て欲しかったのである。

 

「無理無理、ストーン・ゴーレムとか格安で貸し出してるんでしょ? そんなことしたら、ありがたがられて当たり前じゃないの」

 

 茶釜のツッコミに肩を落としたのは、モモンガ、そしてヘロヘロと弐式の三人だ。茶釜からは「責任取って、最後まで面倒見なさいよね!」と説教され、揃って力なく返事をしている。

 

「ま、まあ、カルネ村の村民は、俺達の正体を知った人が居る上で、それなりに恐がりもせず接してくれてますから。それはそれで得がたい存在ですよね~……。と、その話は置いておくとして……」

 

 モモンガは前方を見た。その視線は、やや……いや、かなり高い角度だ。そこには途方もなく巨大な樹木があった。直径三〇メートルほど、六本の長大な枝……触手を有し、全高は一〇〇メートルを超える。

 

「デカいな……。あれがザイトルクワエか。うちだと戦略級攻城用ゴーレムの……ええと、ガルガンチュアが一番デカいが、あれで何メートルだっけ? タブラさん?」

 

 右手の平でひさしを作りながら建御雷が言うと、タブラもザイトルクワエを見上げながら口を開いた。

 

「三〇メートルだったかな。取っ組み合いさせたら大迫力で面白そうなんだけど、ガルガンチュアは攻城用だしね~……。ああでも、取っ組み合いはできるのかな?」

 

 茶釜の許可を得て、アウラに強さ等を確認させたところ、ザイトルクワエのレベルは八〇から八五……体力値は測定不能。この転移後世界でモモンガ達が遭遇した存在では、現時点で間違いなく最強であろう。

 

「そこのピニスンが言うには、世界を滅ぼせる存在なんだってな?」

 

 モモンガの左後方に居る弐式が、肩越しに親指でピニスンを指す。名前を出されたドライアード……ピニスンは、近くの木にしがみつきながら何度も頷いた。ここまで道案内及び「君達のことが心配だから!」と、戦力にならないながらも頑張って付いて来ている。だが、自身の木から遠く離れるわけにはいかないので、今居る場所で居るのが精一杯だろう。道中の彼女は非常に騒がしく、モモンガ達が異形種化してからは特に酷くなった。しかし、その都度アルベド達に睨まれ、ハムスケに諭される等して黙らされていた。可哀想な気がしないでもないが、度を超えて五月蠅いのは困る。

 モモンガは苦笑を噛み殺しつつ、弐式を振り返った。

 

「クレマンティーヌでレベル四〇ぐらいですからねぇ。八〇台ともなれば世界を滅ぼしうるんでしょうけど……」

 

 一〇〇レベル揃いのモモンガ達では、まるで相手にならない。そんなことよりも、問題はブルー・プラネットだ。ピニスンの案内どおり歩いて来たが、こちらへ来たと言うならブルー・プラネットはザイトルクワエと遭遇したはず……。

 

「弐式さん。ブルプラさんは見つかりましたか~」

 

 周囲を見回すヘロヘロが問うと、弐式は頭を掻いた。

 

「ん~……実は俺、さっきからセンサーで探ってるんだけどさ。……その辺で倒れてるって様子もないし~……。……あっ、居た……」

 

「えっ!? どこ!? どこですか!?」

 

 自身の最強武器である弓……ゲイ・ボウを持ったペロロンチーノが聞くと、弐式は何故か黙ったままザイトルクワエの頭頂部、枝葉の密集したあたりを指差した。モモンガ達の視線が一斉に上を向く。

 そこに……ブルー・プラネットが居た。

 異形種化しており、身長は一七〇センチ後半、フェドーラ帽に革ジャケット。シャベルを背負い、腰には巻いた鞭を下げている。容姿は黒髪の長髪で、髭面の男性……に見えるゴツゴツした木人だ。大昔の冒険活劇映画で登場する考古学者的な風体は、モモンガ達の知るブルー・プラネットの姿に間違いなかった。

 ただ、遠目に見ても様子がおかしい。

 張り出した枝上で立つ彼は、ピニスンもかくやと言うべき大声で何やらまくし立てているのだ。

 全員で耳を澄ましてみる……。

 

「格好いいぞ! ザイトルクワエ! どんどん木を喰って成長するんだ!」

 

「木を喰って育つ木なんて、最高すぎだろ!」

 

「うひゃほぉおおお! 愛おしすぎるんだぜぇえええ! いぇあああああ!」

 

 まるで、ロックバンドのライブ会場で熱狂する観客のようだ。

 ブルー・プラネットによる魂の叫びを聞いたモモンガは、悲痛な表情(異形種化しているので表情は変わらないが)で首を横に振った。

 

「ブルー・プラネットさん……。本当におかしくなってる……」

 

「てゆうか、木を喰うのが格好良いとか、私の知ってるブルー・プラネットさんなら絶対に言わないわよね~……」

 

 モモンガの呟きを受けて茶釜も頷くが、居合わせたギルメンらの背には冷や汗が流れ落ちていた。

 現実(リアル)から来たユグドラシル・プレイヤーである、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のギルメン達。彼らは総じて真の姿が異形種であり、たまに人化しないと精神が異形種化しきってしまう。その対策として人化があり、人化直後は異形種の時の精神を引きずったりするが、暫くすると人寄りの精神状態になった。

 では、人化したままで居れば良いかとなると、そうでもなく、今度は徐々に異形種ゲージ(弐式による命名)なる精神値が上昇し、精神的ストレスが蓄積される。具体的に何が起こるかと言うと、見た目は人なのに思考形態が異形種のようになったり、他には気疲れを感じたりするのだ。

 これは異形種化し直すことで発散されるが、異形種化したままで居ると精神が異形種寄りに……と、事態は延々とループする。

 しかも、最近発覚したことなのだが更に問題点があって、異形種と人間種、『どちらか一方で居続けられない事によるストレス』というのがあるらしい。このストレスにより発狂ゲージ(こちらはタブラの命名)が上昇……当人が気づかない内に気が変になっていき、最後は発狂状態に到るという現象、あるいは症状があった。

 現時点、その隠し要素的な症状を押さえ込むために、モモンガ達は精神安定系のアイテムを(アンデッドであるモモンガも含めて)全員装備しているが……。

 

「その精神安定系のアイテムなしだと、ああなるのか……。色んな意味で、おっかねぇ……」

 

 建御雷が呟くが、思いは皆同じだ。

 発狂状態と言うから、気が触れる、気がおかしくなる、狂う等……絶対に刃物を持たせてはいけない状態になると思っていたのに、今のブルー・プラネットの状態はあんまりだ。

 

「俺達が想定してた状態になることもあるんでしょうけど、あれが発狂状態の一つの在り方なんですね~……。建御雷さんの言うとおり、恐ろしいですねぇ」

 

 ヘロヘロが粘体の身体をフルフル震わせている。

 自分の愛するものや趣味に関すること。それを基準に、ブルー・プラネットのようになるとしたら……。

 

「やっべぇ……。俺、姉ちゃんに殺されるかも……」

 

 何を想像したのやらヘロヘロの隣に居るペロロンチーノが、ヘロヘロと同様に震えていた。そして、その姿を見て笑うギルメンは誰一人としていない。

 なぜなら、自分が『好きなこと』について理性を無くしたとき。他者に恥じることのない発露ができるかどうか、自信のある者などそうそう居ないからである。

 

「で? どうする? モモンガさん?」

 

「ど、どうするって……建御雷さん……。発狂と言っても、結局は『状態異常』だと思いますし……」

 

 モモンガは、ザイトルクワエの上で「叩け! ロボ!」などと言い出しているブルー・プラネットを見上げた。

 

「うう……ええと、ブルー・プラネットさんを取り押さえて~、<獅子のごとき心(ライオンズ・ハート)>とか精神安定系の魔法を叩き込んで~……それで駄目なら<星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)>も使いますかね? 俺のレベルが下がり……ああ、アイテムがあるから大丈夫か。最終手段としては、一回死んで貰って蘇生させるとか……ありますけど……」

 

 ギルメンを殺害するなど、考えただけで吐き気がする。

 しかし、それも選択しうる有効そうな案なのだ。ブルー・プラネットを元に戻すためには、ありとあらゆる手を尽くすべき。そう考えたモモンガは生唾を飲み込んだが、樹上で大はしゃぎしているブルー・プラネットを見ていると、「あのままで居た方が、本人は幸せではないか?」とも思ってしまう。

 

「モモンガさん。解りますよ。本能のまま生きられて、恥じる心が無いのなら……それは幸せなのかもしれない」

 

「タブラさん……うっ!?」

 

 シリアスな声色で語るタブラを振り返ったモモンガは、一言呻いて硬直した。タブラは、長方形のクリスタルを持ち、樹上のブルー・プラネットを覗き込んで……撮影していたのだ。

 

「う~ん。決まってますね。ブルー・プラネットさん。照れや羞恥のないノリノリの様は……何としても残しておくべき黒歴史! いや、違う! 今後、ギルメンが『発狂』する事態に向けて……対策資料として最適です!」

 

 本音がダダ漏れだが、今のタブラの発言からすると、ブルー・プラネットの言動を参考資料として記録するつもりであるらしい。 

 え? あの姿をギルメン会議でスクリーンに映し出したりするの? 

 なにそれ、怖い……。

 やめて、とめて、ブルー・プラネットさんが可哀想!

 モモンガを始めとしたギルメンは大いに引いたが、やろうとしていること自体は間違ったものでないから、止めさせるのは躊躇(ためら)われた。

 

「はっ!? おい、みんな! 惚けてる場合じゃねぇ! モモンガさん!」

 

 我に返った建御雷がモモンガに訴えかける。

 

「とにかく取り押さえちまおう! 長引くとブルー・プラネットさんの心の傷がデカくなるぞ!」

 

「俺が幹を駆け上がって、ブルプラさんを昏倒させるから! 援護よろ!」

 

 言うなり弐式炎雷が駆け出した。あっという間に根元との距離が詰まるが、ブルー・プラネットも一〇〇レベルのプレイヤーだ。すぐさま察知すると、その視線を弐式に向けた。

 

「うわはははは! 弐式さんじゃないですか! 取り敢えず死ね!」

 

「取り敢えず死ねだぁ!? てか、俺のこと解ってんのかよ!」

 

 残像を残して駆ける弐式は、中身がハーフゴーレムなのだが、気持ちの上では目を剥いた。しかし、その剥いた目に大きな塊が映る。いびつな球形で直径数十センチほどもある物体……木の種子だ。それが数え切れないほどの雨霰となって飛来する。直撃した場合、弐式の防御力では大ダメージは免れないだろう。

 

「けど、俺は避けゲーが大得意!」

 

 あらかじめ着弾点が解ってるかのように、弐式はスルスルと種子を避け続けた。そこにモモンガが発した幾多ものバフ魔法がかかる。筋力増強、防御力増強、視認阻害、そういった効果を持つ魔法群を身に浴び、弐式の戦意は天衝くほどに高くなった。

 

「ひょーっ! こりゃいいや! モモンガさんのバフは最高だぜっ!」

 

 根元に到達した弐式が、ザイトルクワエの幹を駆け上がる。

 

「ぬううう! ザイトルクワエの武器は種子だけじゃありませんよ!」

 

 大げさな身振り手振り。ブルー・プラネットは妙なポーズで動きを止めると、駆け上がってくる弐式を指差した。

 

(ユグドラシルの時のブルプラさんなら、絶対にしないポーズだ……。気の毒に……)

 

 ブルー・プラネットが正気に戻った後で、タブラ撮影による映像を見せられるとしたら……それは、我が身に置き換えれば悶絶ものである。一刻も早く、彼を取り押さえなければならない。

 

「ぬっ?」

 

 ほぼ垂直の幹を駆け上がる弐式は、不意に大きな影の中に入った。ザイトルクワエ頭頂部の枝葉か……と思いきや、さにあらず。六本ある触手のうち、六本すべてが弐式を叩くべく移動していたのだ。列車通過時のような風切り音と共に、最初の一本が振り下ろされる。直撃したら潰されるか、斜め上方からの殴打なので、こそぎ落とされるように地面へ叩きつけられるだろう。

 

「ちっ!」

 

 当たるわけがないと思うものの、移動速度は鈍る。舌打ちする弐式が見たのは、爆炎に包まれる二本の触手、切断された二本の触手、そして……宙を舞う建御雷が二本の触手を切り飛ばす姿だった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「上手くいったようですね」 

 

 最大強化した<現断(リアリティ・スラッシュ)>で触手二本を切断したモモンガは、支援攻撃が成功したことで安堵の息を漏らす。

 爆炎で吹き飛ばした触手二本については、ペロロンチーノとタブラによるものだ。弓……ゲイ・ボウによる遠距離爆撃と、最大強化した爆炎系の魔法。それらの攻撃力の前には、レベル八〇台のモンスター、その身体の一部など一撃で破壊可能なのだ。もっとも、少し時間をかければモモンガだけでも六本の触手を破壊可能である。だが、見ているだけでは面白く……もとい、何をしに来たのかわからない! と、ペロロンチーノや建御雷が主張し、主立った者で攻撃参加したのだった。

 そして残る二本の触手。これは建御雷が担当することになったが、遠距離攻撃が苦手な彼は、同行していたマーレに頼み、ウッドランド・ストライド……対象を転移させる特殊技能(スキル)で弐式の近くまで転移している。アイテムでの飛行も考えたが、飛行速度が遅く、迎撃されることを考慮してボツ案となったのだ。もっとも、飛行アイテムの使用が禁じられたわけではない。

 

「建御雷さん、上手く<飛行(フライ)>のアイテムを使えたようですね! 落下が止まりましたよ!」

 

 構えていたゲイ・ボウを降ろし、ペロロンチーノが言った。とは言え、矢はつがえたままだ。戦力差的に勝てる相手だし、勝ったも同然の状況と言えるものの油断はしていない。普段、おちゃらけている男であるが、こと遠距離戦闘となると勝利を得るための思考がフル回転するのだ。そして、そんなペロロンチーノの恐ろしいところは、そう言った戦闘思考を展開しているのに、表面上は普段とまるで変わらないところである。

 

「アイテムが発動せず、そのまま落ちるようだったら……吹き飛ばし系の特殊技能(スキル)をやりくりして、落下ダメージを減らすつもりだったんですけどね~」

 

 それを数百メートルも離れた、しかも落下中の建御雷に行おうとしたらしい。聞いているモモンガとしては感心することしきりだったが、後は弐式である。モモンガ達からは、弐式の下方……<飛行(フライ)>のアイテムで急制動をかけた建御雷が、上昇に転じているのが見えていた。まもなく弐式に合流できるだろうが、枝間を移り渡る戦いは、建御雷にとって不得手だろう。

 

「そこで! 俺も行きますよ~っ!」

 

 古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)……ヘロヘロが、触腕をフリフリしながら言っている。そう、更なる増援として、ヘロヘロもマーレのウッドランド・ストライドで転移するのだ。もっとも足場の悪さで難儀しそうなのは、前述の建御雷と同じである。

 やはり、この戦いのメインは弐式なのだ。

 

(よってたかってブルー・プラネットさんを引きずり下ろして、ボコボコにするのが楽なんだけど……。弐式さんが一人の方がやりやすいって言うし……)

 

 モモンガは各ギルメンに対してバフ系の魔法を飛ばしながら、道中の弐式の言葉を思い出していた。一対一の形になるのなら、高機動戦闘を得意とする弐式としてはやりやすいかもしれない。しかしだ、弐式がいつも口に出すのは「忍者の本領は気づかれないうちに背後から首をスパッ!」であったり「俺なら、たっちさんと建やんの合間を縫って攻撃を当てるなんて造作もないぜ!」というものだ。そこから考えると、相手が手の内の知れたギルメンとは言え、わざわざ一対一で戦おうとするだろうか。

 

(あるいは弐式さん、ブルー・プラネットさんを大勢で袋叩きにしたくなかったのかな……)

 

 だとしたら、モモンガは大いに同感である。

 手段を選ぶ状況ではないが、それでもしたくない事はあるのだ。

 

「弐式さ……うっ!?」

 

 気がつくと、ザイトルクワエが種子の散弾を放っていた。少しばかり考え事にかまけていたモモンガは、遅ればせながら……しかし、まだ間に合うと睨んで<石壁(ウォール・オブ・ストーン)>を発動しようとする。だが、それよりも先に二つの影が視界に飛び込んできた。

 

「「ウォールズ・オブ・ジェリコ!」」

 

 同じ全体防御特殊技能(スキル)で種子の散弾を防ぎ弾いたのは、専用の三重装甲甲冑……ヘルメス・トリスメギストスを身に纏ったアルベドと、二つの盾を前にかざしたピンクの肉棒……ぶくぶく茶釜だ。

 

「モモンガ様。お怪我はありませんか?」

 

「モモンガさん。油断するとは珍しいわねぇ~」

 

 そう言って二人は振り返るが、彼女らはモモンガの目の前に居るわけではない。後衛として布陣する皆を守るよう立ち回っており、モモンガから幾分離れた前方に居た。そのほか、マーレもドルイド魔法により、樹木を瞬時に生やして種子を防ぐなどしている。

 

「至高の御方に向けて種を飛ばすなんて! 不敬!」

 

「おおっ? やるのか、アウラ! じゃあ、俺も!」

 

 アウラが弓を構えてレインアロー系特殊技能(スキル)を放つと、僅かに遅れてペロロンチーノも同じ特殊技能(スキル)を放つ。特筆すべきは、特殊技能(スキル)発動がアウラより遅かったにもかかわらず、ペロロンチーノの特殊技能(スキル)の方が先に放たれたことだ。それら放たれた矢は、飛来する種子をことごとく撃ち落としていき……中には幹に直撃したりもするのだが、アウラのものよりペロロンチーノの方が威力は上だった。

 

「うわ~……さすがはペロロンチーノ様!」 

 

「ふふふっ、俺の特技は弓矢だからね~」

 

 新たな矢をつがえながら、ペロロンチーノはアウラからの賞賛に笑み崩れる。が、その一幕を面白く思わない者が居た……。

 

「くうう~っ! チビ(アウラ)ったら、ペロロンチーノ様と仲良くして~っ!」

 

 シャルティアが親指の爪を噛みしめ、射貫くような視線でアウラを睨んでいる。ペロロンチーノに付いて来た彼女だが、手持ちの遠距離攻撃が多くないため、今は飛来する種子からタブラを守るぐらいしかすることがない。深紅の甲冑に装備された翼によって飛行可能であるものの、ブルー・プラネットと直接戦うのは至高の御方……ギルメンのみと聞かされたため、眼前の戦いに参加できないでいたのだ。

 そのシャルティアに、一つの種子が飛来するが……。

 

「ふんっ!」

 

 スポイトランスの一振りで種子を打ち返す。それは勢いよく飛んでザイトルクワエの幹に突き刺さり、ザイトルクワエは植物らしからぬ悲鳴をあげた。シャルティアは忌々しそうにザイトルクワエを見たが、その視界にマーレのウッドランド・ストライドによって転移したヘロヘロの姿が飛び込んでくる。今はザイトルクワエの幹に貼り付いているようだが、ここから戦闘に加わるのだろう。

 

「ううう、私も<転移門(ゲート)>で……」

 

 シャルティアならば可能だ。だが、それを勝手に行って良いものか。今周囲に居るアルベドやマーレにアウラは、与えられた役目を忠実にこなしている。至高の御方から指示が無い以上、自分は予備兵力として待機しているべきではないか。

 そういう思いもあったが、最初から後方待機……見学を命じられているナーベラルやソリュシャン、それにルプスレギナを見ると、守護者最強の自分が何もしないで居るのはプライドが許さない。

 

「何か……何かしなくちゃ……」

 

 一人吐く言葉は、尻すぼみに小さくなった。と同時に、シャルティアの目がブルー・プラネットからザイトルクワエに向いていく。

 

「直接戦って駄目な相手は、ブルー・プラネット様だけ……でありんすよねぇ……。そうだわ!」

 

 ひらめいたアイデアを胸に抱き、シャルティアはペロロンチーノに呼びかけた。

 

「ペロロンチーノ様! 妾に名案がありんす!」

 

 

◇◇◇◇

 

 

「弐式ぃぃいいい! すぐに戻るからなーーっ!」

 

 触手二本を斬り飛ばした建御雷が、声だけ残して落下していく。

 

「建やん!?」

 

 小さくなる親友の姿に弐式は慌てたが、建御雷が落下を止めて上昇に転じたのを確認すると安心した。何らかのアイテム効果で飛んでいるのだろうが、落下して地面に叩きつけられないなら何だっていい。

 

「さて、ようやく……顔を見ながら話せるな。ブルー・プラネットさん」

 

 仲間達の援護により、弐式はブルー・プラネットの立つ枝に到達していた。目の前で立つ木人……フェドーラ帽に革ジャケット、木彫りの渋い髭面は、そう遠くない以前に『モモンガさんに対して申し訳ないギルメンの集い』で見た姿と変わりがない。いや、発狂していることは別にして、大きく違う点が一つある。

 

「……遠目に見て気がついてたけど……。表情、変わるようになったんすね……」

 

 そう、ブルー・プラネットは表情を変えることができるようになっていた。ユグドラシルにおいては、彼に限らず、プレイヤーのアバターは表情に変化を付けることができない。閉じた口でデザインしたら、何をどうしようと口は閉じたままなのだ。ところが、モモンガや建御雷など、デザイン上、表情が存在する者達は、転移後世界においては表情を変えられる。モモンガの場合は良くて口の開閉ぐらいだが、建御雷などは割と自由に表情を変えられるようだ。

 それらモモンガ達の事例を知りながら、何故、弐式がブルー・プラネットの表情について触れたかと言うと……ブルー・プラネットの顔つきが濃かったからだ。キャラデザインの元になった冒険家の考古学者はともかく、顔デザインの流用元となったキャラはひたすら濃かった。だから、その表情が動くということは何かにつけて濃いのだ。

 

(……濃い! 濃いわ~……。あのキャラデザで表情が動くと、こんな濃いのか……)

 

 ブルー・プラネットが正気ならば、この濃さは激減しただろうと弐式は思う。落ち着きを感じさせる雰囲気が漂い、ダンディーな木彫りのおじさんに見えたはずなのだ。しかし……弐式からの指摘を受けたブルー・プラネットは、歯茎を見せながらグワリと笑った。

 

「お? そう言えば口が動く感じですね? 俺の表情が変わってましたか? どうです、男前が上がった感じでしょう?」

 

「ブルプラさん……。あまり調子に乗るとか、浮ついた感じのことは言わない方がいいと思うぞ? タブラさんが資料だとか言って撮影してんだから……絶対に後悔する」

 

 既に数々のアレな言動を撮影されているので、もはや手遅れと言える。しかし、ブルー・プラネットは鼻で笑い飛ばした。

 

「それがどうしたと言うんです? 俺は、この()と一緒に居られさえすれば、他はどうだっていいんです」

 

 この()……女性のことだろうか。

 弐式は周囲を見回したが、他に誰か居るような気配はない。

 

「まさか……」

 

 引きつった声と共に、足下の枝を見る。その枝は……ザイトルクワエの枝だ。

 

「そのとおり! 樹高一〇〇メートル以上、しかも動く! 彼女ほど俺の嫁に相応しい存在は、他にありえませんよ!」

 

「うわあ、うわあ……」

 

 首を振りながら弐式が後ずさる。

 百歩譲ってピニスンのようなドライアードなら納得もできよう。だが、ザイトルクワエは「樹高一〇〇メートル以上、しかも動く!」は置いておくとして、その見た目は立木だ。世の中に性癖は様々あれど、まさか木を嫁にする男が居るとは……。

 

「お、恐ろしい……。ブルプラさんが正気でも、同じことを言いそうだと思ったのが更に恐ろしい……」

 

「フフッ、褒めても何も出ませんよ?」

 

 ブルー・プラネットが鼻の下を人差し指で擦るが、鼻水等は出ないので仕草だけのこと。得意げに言うブルーに、弐式は続く言葉が出なかったが……。

 

「褒めてねぇって……」

 

 聞き覚えのあるブスッとした声。弐式が振り返ると、そこには弐式の居る枝……の近くの枝へ降り立った建御雷が居た。

 

「どっこらせ……と。やっぱ俺は地に足がついてないと駄目だわ。木の枝も……まあ、無いよりはマシか……」

 

 建御雷は、抜き身の大太刀を下げ、踏みにじるようにして足場を確認する。ブルー・プラネットまでは少々遠いが、建御雷の身体能力なら一飛びで間合いを詰められるだろう。

 そしてこの時、ザイトルクワエには新たなナザリック勢が到着していた。

 ヘロヘロと、少し遅れてシャルティア。マーレのウッドランド・ストライドで転移した二名が、ザイトルクワエの幹に取りついたのである。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「ばっちり到着できましたね~」

 

 ザイトルクワエの幹にへばりついたヘロヘロは、狙いどおりに移動成功したので機嫌良さそうに笑う。と、そこに遅れてシャルティアも転移して来た。彼女は飛行能力を有するほか、自力で<転移門(ゲート)>を使用できるのだが、ペロロンチーノに進言し、敢えてマーレのウッドランド・ストライドで転移して来たのである。

 これは自力で転移することで強く目立つことより、他のナザリックの僕らと共同することで、至高の御方達への心証を良くしようとした……言わば打算によるもの。シャルティアらしからぬ思考に思えるが、これは皆と共同し『出来る女』を印象づけているアルベドの影響を受けているのだ。

 シャルティア自身、アルベドから影響を受ける……あるいは感化されていることは自覚しており、良い気はしていない。だが、この『作戦』を実行したことによる、効果は大きかった。

 何しろ転移前、ペロロンチーノから「凄いや、シャルティア! でも、気をつけてね! 怪我なんかしないようにね!」と感心され、かつ心配されたのである。このことにより、シャルティアの機嫌及び士気はすこぶる高かった。

 

「ヘロヘロ様! 私がお供させていただくでありんすえ!」

 

 ザイトルクワエに到達後、自力で飛んでいるシャルティアが言うと、幹にへばり付いているヘロヘロは嬉しそうに笑う。

 

「それは心強い。ありがとう、シャルティア。ペロロンさんにも後でお礼を言わないと~」

 

 自身の創造主に、他の至高の御方がお礼を……。

 それを聞いたシャルティアは舞い上がりそうな気分になった。実際に宙を舞っているので、十数センチほど上昇してしまったほどだ。

 

「はっ! 浮ついてはいけないのでありんす! それにしてもマーレのウッドランド・ストライドは具合が良かった感じでありんすね。弐式炎雷様もマーレに転移して貰えば良かったでありんしょうか?」

 

 ここで「私が<転移門(ゲート)>で……」と言わないのが重要である。あくまでも控えめに……。対するヘロヘロは、そういったシャルティアの思惑には気がつかず、「へえ……」と感心しながら首を横に振った。

 

「ああ、いやいや。弐式さんがブルプラさんの気を惹いてたから、私達が妨害もされずに転移できたんですよ。相手方の気を逸らすという意味では大助かりです」

 

 それに、後方で支援魔法を飛ばすモモンガ達も煙たく感じられていたのだろう、ヘロヘロ達が転移した直後には種子による攻撃を受けていたようだ。

 

「さて! 我々はザイトルクワエを攻撃しますよ! 私が幹を溶かして潜り込みますので、シャルティアは一緒に付いて来てください」

 

「内側から攻撃するんでありんすね! さすがは至高の御方! 面白そうでありんす!」

 

 さすがと言われるほどの事じゃないんだけれど……と苦笑するヘロヘロだったが、頭上を見上げると、弐式と建御雷がブルー・プラネットと交戦しているようだ。二人の邪魔をさせないためにも、ザイトルクワエには早々に退場して貰いたい。

 

「ザイトルクワエは大した問題じゃないですけど、後が大変ですよね~」

 

 この場合、大変なのはブルー・プラネットだ。彼が正気に戻った後のことを考えると、ひたすら気の毒に思うヘロヘロだったが、気を引き締めなおし、ザイトルクワエ内部へと進んで行くのだった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「すりゃあ!」

 

 ブルー・プラネットが鞭を振るう。

 元の現実(リアル)においては、ブルホイップと呼ばれる鞭で、彼のアバターデザインのモデルとなった映画主人公が使用していた物と同じである。ただし、ユグドラシルで作成したアイテムだから強度は実物の比ではないし、様々な付与効果があった。

 

「げっ!? 回避できねぇ!?」

 

 残像だけ残し、後方へ一歩引いた弐式が驚愕の声をあげる。

 残像を鞭が擦り抜けたところで、「忍者を舐めて貰っちゃ困ります。そうそう当たるもんじゃありませんよ」と言いたかったのだが、右腕の手首付近を絡め取られてしまったのだ。

 

「ふふふっ。あてが外れましたか? いや、何、ユグドラシルを引退したとき、有り金はたいて装備をアップデートしておいたんですよ」

 

 実際は、第六階層の大森林に最後の投資をした後で、残金を投入したのである。なので、言ってるほどのパワーアップは果たせていないのだが、それをわざわざ語ることはしない。

 

「弐式さんの想定を上回るには十分でしたかね?」

 

「くっそ! 戦うときだけ正気っぽいとか! ぐっ……滑る!?」

 

 弐式は手にした主武装の忍者刀……天照で斬りつけるが、鞭を切断することができなかった。鞭の表面が濡れており、刃が滑るのだ。

 

「くっくっくっ。樹液ですよ! おまけにヤニの類いも分泌しますから、切れ味も落ちる特別大サービス!」

 

「でえええ!? 俺の大事な刀に、なんてことしてくれやがるんですか!?」

 

 建御雷ほどではないが、弐式もお気に入りの武器に投資している。思い入れは大きいのだ。そんな刀を汚されたり駄目にされたのだから、当然、頭に血が上る。しかし、弐式が激昂するよりも先に事態は進展する。

 弐式の右腕が、鞭が絡んだ部位を基点に木化……いや、樹化しだしたのだ。 

 

「これはっ!?」

 

「見てのとおり、絡め取った部位を樹化する効果です! 驚いてて抵抗するのを忘れましたか? 愉快、愉快! さぁて何を実らせましょうか? 弐式さんは忍者ですし、日本っぽく柿でもいいですかねぇ!」

 

 柿を実らせたから、どうだと言うのか……。

 弐式は呆れたが一瞬で頭を冷やす。柿が実った分だけ、体力を吸い取られたりするのではないか。そもそも腕一本を樹にされた時点で、戦闘力が激減する。そういったことに考えが及んだのだ。

 とにかく、得体の知れない攻撃を受け続けるのはまずい。

 

「うりゃあ!」

 

 無事な左手で忍者刀……月読を振るい、弐式は己の右腕を肩口から斬り飛ばした。ブルー・プラネットの鞭から離脱成功。片腕を喪失したのは大きな痛手……だが、そうはならない。

 弐式の右腕の肩口、その残った部位がポロッと脱落し、新たな腕が忍者服込みで生えてきたのである。

 

「なんと!? 忍術ですか!?」 

 

「まあ、変わり身の術とでも言っておきましょうか」

 

 あらかじめ大量の金貨を消費することで、四肢のダメージを肩代わりさせる……課金アイテムを併用したギミックだ。もっとも再チャージには、一度取り出した金貨を消費する必要があるので、戦闘中に使用できるのは手足の各部位につき一回切りとなる。

 かくして、弐式とブルー・プラネットのPVPは仕切り直しとなった。

 

「ふふん。弐式さん、俺の武器は鞭だけじゃないですよ。あの冒険する考古学者の武器と言えば……拳銃!」

 

「背中のシャベルを使わないで、それかよ!?」

 

 鞭を手元に引き戻したブルー・プラネットが、革ジャケットの下からスミス&ウェッソンM1917リボルバーを取り出す。この銃に弐式は見覚えがあった。

 

(使ってるとこ、初めて見たぜ……)

 

 ブルー・プラネットのアバターデザイン……映画キャラスタイルは、作成時はギルメンから評判が悪かった。「ファンタジー世界にそぐわない」、「世界観を壊す」と不評だったのだ。そこをブルー・プラネットは「ファンタジー世界を旅する冒険考古学者! いいじゃないですか!」と主張、設定好きのタブラを味方につけて押し通したのである。そんな事情があるのに、現実味がある……と言うか、実銃そのものの見た目な拳銃だから、やはり他のギルメン達は良い顔をしない。後に、ユグドラシルではパワードスーツが実装されるのだが、その時点では実現していなかったため、彼の拳銃に対しての風当たりは強かった。

 

「評判が悪くて封印してましたが、やむを得ません! 密かに強化し続けた、このM1917の威力は尋常じゃありませんよ? まさに、デンジャラス&デンジャラス!」

 

「危険! そして危険!?」

 

 珍妙な物言いに弐式が驚くと、ブルー・プラネットは不敵に笑いながら銃口を弐式に向ける。が、その彼の頭部に真上から大太刀が振り下ろされた。

 

「あっ……」

 

 刀の峰で頭部を強打されたブルー・プラネットが、拳銃と鞭を取り落とし、後方へ倒れ込む。その彼の後方で立ち、大太刀を肩に乗せているのは建御雷だ。

 

「ブルプラさん、俺のことを完全に忘れてたな……」

 

 弐式が相手をしている間、建御雷は枝間を静かに移動し、ブルー・プラネットの背後に回り込んでいたのである。背後から斬りかかるのは建御雷の主義に反するが、場合が場合だ。

 

「正気のブルー・プラネットさんなら、気づいてたかもだけどね~」 

 

 特殊効果のある縄を取り出した弐式が、手早くブルー・プラネットを拘束していく。それを見た建御雷は、視線を足下の枝に向けた。

 世界を滅ぼしうる魔樹、ザイトルクワエ。その強さはナザリック勢にしてみれば問題ないものだが、放置しておくのは危険だろう。捕獲してナザリックに連れて行くにしても、発狂状態のブルー・プラネットが嫁呼ばわりしていたので、今のうちに始末しておいた方がいい。

 

「てか、今気がついたんだがな、弐式よ……。こいつ、死んでねぇか?」

 

「へっ? あ、ほんとだ……。そういや、さっきまで変に震えてたっけ?」

 

 建御雷の指摘を受けた弐式がスキャンしたところ、確かにザイトルクワエの生命反応が消失している。何があったと言うのか……。二人としては途中から幹に取りついていた、ヘロヘロ達の仕業だと思うのだが……。

 そんなことを考えていると、少し下方の幹が内側から掘り抜かれた。顔を出したのは古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)とシャルティアである。

 

「かなり高いところに出ましたね~」

 

「ヘロヘロ様? ザイトルクワエは、もう死んでいるようでありんす」

 

 内部を掘り進んできたらしい二人が、暢気に会話しているのが聞こえた。

 ブルー・プラネットの捕縛に成功。そして、ザイトルクワエの捕獲ないし討滅。

 二つの目標が達成したことで、戦闘は終了したと言って良い。

 後は、ブルー・プラネットをナザリック地下大墳墓へ連れ帰り、正気に戻すだけなのだが……。

 

「ブルプラさんにとっては、色んな意味で気の毒なことになるな……」

 

「だよな~」

 

 建御雷の呟きに応じながら、弐式は眼下のヘロヘロ達を見る。ヘロヘロとシャルティアは、幹に作った出口より身を乗り出し、モモンガ達に向けて手を振っているようだ。その様は、まるで遊園地の遊具に乗った親子である。

 

(シャルティアの創造主はペロロンさんだから、父親の友人と一緒ってところか……)

 

 良い例えだと思うも、ブルー・プラネットのことに気を向け直した途端、弐式は疲れを感じてしまう。異形種化……つまりハーフゴーレムの身体のまま溜息をついてみたが、口に相当する部分から呼気が出ていないにもかかわらず、それなりに気が紛れたようだ。

 

「異形種の身体ねぇ……。つくづくデタラメだな……」

 

 こういう時、笑って良いやら落胆してしまうべきか、よく解らない気分になった弐式は再度溜息をつくのだった。

 




 ザイトルクワエ、死亡。
 そしてブルー・プラネットさんの捕獲完了~。
 大勢による袋叩きにはなりませんでしたが、建御雷さんの不意打ちが決め手となりました。ブルプラさんを大怪我させないため、ああなった感じです。一〇〇レベルプレイヤーが峰打ち一発で昏倒するのか……とも思ったのですが、大太刀の条件付き付与効果みたいなもの……ということで。本文中に書こうかと思ったんですけど、テンポの調整がつかなくて~。後で何か閃いたら、書き足すかもしれません。
 
 ブルプラさんの狂いっぷりは如何だったでしょうか。
 一〇〇レベルプレイヤーの敵対。事態は割りと深刻なはずですが、別の方向で深刻になるように頑張ってみました。
 後発の登場ギルメンで、シリアスに発狂する人が出るかは未定です。

 今回、弐式さんの変わり身の術とか、捏造設定が山のようにあります。そもそもブルプラさんの異形種姿とか装備とか、捏造の塊ですし……。

 ちなみに「デンジャラス&デンジャラス」「危険! そして危険!?」の下りは、故島木譲二さんの持ちネタ「キックアンドキック」「蹴り、そして蹴り…」から頂きました。
 カンカンヘッドは男のロマンなのです。
 なお、『&』は『アンド』とカタカナ表記するらしいですけど、本文では読みやすさ重視で『&』にしています。

 対ブルー・プラネット&ザイトルクワエ戦においては、同行したNPCが数人ほど空気化しています。至高の御方同士の戦闘になるのに、ついて来ないというのも不自然だろうと思ったのですが、原作と違ってモモンガさんサイドにギルメンが多いですから。シャルティアやアルベドはともかく、戦闘メイド(プレアデス)では出る幕が無いんですよね……。
 正直、本話を書き出した頃はペロロンチーノ&シャルティアの出番は考えていませんでした。
 次回、戦闘後の会話シーンでルプスレギナやソリュシャンに出番をつけたいと思います。


<誤字報告>

所長さん、ARlAさん、サマリオンさん、佐藤東沙さん、macheさん、冥﨑梓さん

毎度ありがとうございます
今回、特筆すべきは所長さん。実に35回(35話分?)の誤字報告をして頂きました。回数の数え間違いがあったら申し訳ありません。
『。』が半角になってる箇所が多かったようです。
正直言って、チェック仕切れないと言うか、書き上がりは数回読み返すだけで目にダメージ溜まる感じでして……。 

ぐふ、投稿して読み返してたら『特に』を『得意に』とか誤字してるのを発見……。マジかよ……。

正直言って、誤字報告機能は本当にありがたいです。
あと、感想頂けるのも嬉しいです。
某所でオリ小説を投稿していますが、現状、向こうを休んで『集う至高の御方』に全力投球しています。
本作が終わったら、向こうを再開させるかな……。
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